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デビュー10周年を迎えたCHEMISTRYの堂珍嘉邦が初舞台に挑む『醒めながら見る夢』が、16日に東京グローブ座で初日を迎えた。前日の15日夕刻よりその公開舞台稽古と会見が行なわれた。


この作品は音楽劇で、作家の辻仁成が脚本と演出、そして劇中の音楽も手がけていることで注目されていてる。
物語は1組の愛し合うカップル、ユウジ(堂珍)アキ(村川)のやり取りがメインになっていて、そこにユウジの所属する劇団のオーナー(
華城季帆)や演出家でユウジの親友(松田賢二)、彼らを観察する天使(古川雄大)と悪魔(村井良大)といったキャラクターが関わってくる。

これが初主演という堂珍だが、落ち着きと自然さのある演技で、ユウジの内面の苦悩や悲しみを感じさせ、求心力もある。歌で心の中を聞かせることができるのも強み。
相手役の村川はキュートで妖精のような
佇まいで、この作品のテーマをしっかりと表現。感情を込めた言葉や透き通った歌声も、まさに役柄そのものだ。
劇団の主宰者で女優のエミリーを演じる華城は、演技のめりはりが利いていて華やかさもある。また他の役で出ているときの変身ぶりはみごと。
ユウジを親身に心配するヤザキの松田は、大人の男のシビアさや力強さを感じさせる。
天使の古川と悪魔の村井は、明るく楽しいキャラクターであると同時に、残酷な現実をさまざまなシーンで表現してみせる。

辻仁成による音楽はドラマ部分を盛り上げ、また、叙情をかき立てるような美しい曲が多い。コンテンポラリーのような広崎うらん振付のダンスナンバーで表現するシーンがアクセントになっている。また現実の街に破滅的なフィルターをかけたような石原敬の舞台美術と、それにマッチした笠原俊幸の照明幻想的な効果を醸し出す。そんな背景の中で、1組の男女の深い愛と心の軌跡がくっきりと映し出され、最後に「生きる」と「愛」の重さがずしんと心に残る舞台だ。


 

この作品の公開稽古の前に、作・演出・音楽の辻仁成と、出演者全員による会見が行なわれた。 

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前列・辻、堂珍、村川 後列・ 村井、古川、松田、華城

 

【一問一答】

 

━━この舞台の手ごたえは?

 手ごたえ、すごくあります。最初は不安でしたけれど、一月間激しい稽古をやってた、その成果が出てるんじゃないかと思うので。今日これからゲネを見ていただけると思うのですが、明日に向けてコンディション最高の状態だと思います。いいものを見せるために、(みんなに)だよな?(笑)。

 

━━メイクや衣裳が特殊な感じですが。

 衣裳(十川ヒロコ)やメイク(糸川智文)の方に相談して、ちょっと非現実的なんですけど、演劇の嘘みたいなところで観ていただければすんなり、はまる感じの衣裳だと思います。ちょっとデフォルメして。今、娯楽が大事だと思うので、皆さんに楽しんでいただくように、衣裳もメイクも頑張ってみました。

 

━━作詞作曲したラブソングはいつ頃どういう思いで作ったんですか?

 最初書いていたやつがあったんですけど、ちょうど震災のあとに本を書き直して、曲も作り直して。堂珍くんの声に合った感じ、彼のキャラクターに合わせて書いた曲です。全曲書下ろしました。

 

━━初舞台の堂珍さんは辻さんからみて?

 最高ですね。スター生まれる瞬間に立ち会えて光栄でした。素晴らしい役者にこれからなっていくと思います。歌も続けてもらいたいし、演技と歌と二つの道を極めてもらいたいと思います。すごく根性があります。結構僕は厳しいことをいっぱい言うんですけど、次の日までに必ずやり遂げて戻ってくるし、かなり王子様として生きてきたのに(笑)、僕がかなり言ってもそれに対して120%以上の力で返してくるんです。成長率は高かったです。映画の演出しかしたことなくて、こういうミュージカルって初めてだったし、歌は信頼しているけど、役者の部分はどこまでいけるか最初は心配でした。でもかなり注目される俳優になっていくんじゃないかと個人的には思います。そこに立ち会えたことが嬉しいです。

 

━━みなさん、キャラクターとみどころを。

堂珍 カイエダユウジという作曲家です。タイトル通り現実のようで現実でない、その狭間をさまよっているような、自分の中でのシチュエーションがありまして。その中で弱さとか迷いとか強さとか愛とか、そういうものをソフトな表面に中身は激しい部分もありつつ、そしてひとつの夢とか希望とかを信じて生きている主人公なのかなと感じてます。初舞台なので手探りの中から、この1ヶ月間毎日いろんなことを試してきて、辻さんの演出を信じて、6人プラス辻さんと7人で、明日の初日は最高の状態になるのではないかと思っています

村川 ユウジの恋人でカサイアキです、舞台女優を目指していた劇団の一員なんです。私の役は結構ワケありで、ユウジの恋人ではあるんですけれど…ちょっとそれは観ていただかないと、どうにもこうにも話せない理由がありまして(笑)。観ていただくと、ああこのことかという。基本性格は天真爛漫で明るくて、まっすぐ夢に向って頑張っているという女の子です。

松田 ヤザキヒロシという演出家の役です。ユウジの親友であり、とても思っている、そんな役です。僕は多分日本で堂珍くんの次に歌がうまいんですけど(笑)、今回歌えないのでとても残念です。

華城 エミリーマツムラです。エミリー一座という劇団の看板女優で、ユウジのことが大好きという役です。ユウジに対して迷惑をかけてしまうんです。

古川 ユウジを俯瞰して見ている天使役です。見守っているのか、おちょくりながら見ているのかというのを、是非観ていただいた方に判断していただきたいと思います。僕らのシーンって結構笑えるところが沢山あるので、笑いを取りたいと思います。

村井 悪魔役で古川さんがほぼ言ってくれたんですけども、俯瞰で見ているキャラクターです。天使と悪魔という反対にいるキャラクターなんですけれど、ユウジを見守りつつ、それともおちゃらけて見ているのか。それをお客さんに観て判断していただきたいなと思います。
 

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━━堂珍さん、歌のステージとの違いみたいな緊張感はどうですか?

堂珍 今日も昨日も、ここで本番同様のチェックなどをしながら色々やってみて。袖で出番待っている時は違和感を……不思議な感情を感じたんですけど。ステージに上ってみると、広く、強く、優しくというか、伝えることは一緒ですし。今回の中では、「醒めながら見る夢」という大切なお話があるので、そこを皆でちゃんと伝えていきたいなと思いながらやってます。


━━劇中の歌はどうですか?

 いいって言えよ(笑)。

堂珍 ラブソングは歌っててもうめっちゃいい(笑)、本当にすごく素敵な歌です。ユウジの心境にはまっていて気持ちいいです。


━━村川さんは舞台上でデュエットしていますが、堂珍さんの初舞台はどんな感じで見ていますか?

村川 そんな恐れ多い(笑)。私もそんなに経験ないんですけど、すごく年上なんですけれど初心の気持ちというか、そういう感じで舞台に取り組んでいらっしゃったので、同じように一緒に作り上げるという感覚で。この舞台に対して私もそういう姿勢でできたので、勝手に戦友のような気持ちでやらせてもらっています。

 

━━堂珍さんお芝居のほうは?

堂珍 徐々に楽しめよるようになってきたというか、自分の持ってるもの、出したことないものを、この舞台の中で出せると思うし、そのなかでの新しい発見とか、新しく伝わるものがきっとあると思うので。今もやっていて終ったあとにいつもスッキリはしているんです。
 

━━辻さん、震災の後に書き直したそうですが、変わった点は?

 外国で暮していることもあるんですけど、悪いニュース、かなり厳しいニュースがいっぱい流れている中で、復興に向っていく日本にとって日本人にとって何が大事かってすごく考えました。それまでは、もっと笑って泣けるコメディのようなのを考えてたんですけど。いつか必ず娯楽が必要になるということも考えていて。ちょうど今のタイミング、半年後でしたから、娯楽性もあって辛い経験を乗り越えていけるような「人間の命の尊さ」とか、そういうものにしようと。この舞台で若い役者さんのエネルギーを感じて、勇気を与えるようなものを、みんなでもう一回再生していく、復興して以降を考えながら。未来とか希望って忘れがちになってくるじゃないですか? そこをもう一回自分のなかに取り戻せるような、未来のある舞台にしたいなと。それで震災直後でしたけれど、一から全部書き直して、曲も全部そのために作り直して、こうやって半年後に上演できて、本当によかったなと思っています。


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音楽劇

『醒めながら見る夢』

脚本・演出・音楽◇辻仁成  

出演◇堂珍嘉邦 村川絵梨/松田賢二 華城季帆 古川雄大 村井良太 

●9/16〜25◎東京グローブ座

〈料金〉7000円

〈問合せ〉

サンライズプロモーション東京 0570-00-3337  

10/10◎長崎市公会堂

10/14◎広島市文化交流会館

10/15◎キャナルシティ劇場

10/21〜23◎森ノ宮ピロティホール

http://www.ntv.co.jp/sameyume/


文/榊原和子 インタビュー取材/佐藤栄子 撮影/冨田実布】