s_010

オフ・ブロードウェイのミュージカル『スリル・ミー(Thrill Me)』が、9月15日から麻布十番の小劇場アトリエフォンテーヌで上演中である。

1924年にシカゴで実際に起こった犯罪史上に残る誘拐殺人事件を題材にしたこの作品は、03年にニューヨークの演劇祭で初演して、05年にはオフ・ブロードウェイで上演、その後、ギリシャ、オーストラリアなどでも上演されている。
とくに07年に初演された韓国では大ヒットを記録して、それ以降、毎年再演されていて、今年秋にも公演が予定されている。

 s_004s_005














物語
は刑務所の中での仮釈放審議会の場面で始まる。

審議官に問われるまま、「私」は37年前に犯した自らの罪を語り始める。「私」と「彼」は、高等学校時代に知り合った。そして19歳で再会。「彼」は頭脳明晰な法律大学生で、自分を「超人」だと思っている。その証明として犯罪を行ない、「私」に共犯になることを要求する。愛を得るために「彼」の言うままに行動する「私」。やがて犯罪はエスカレートし、12歳の少年を誘拐して凄惨な殺害をするまでにいたる。


このミュージカルは2人芝居で、今回は田代万里生と新納慎也、松下洸平と柿沢勇人という2組のコンビが15公演ずつ上演する。演出は栗山民也、伴奏は生ピアノ1台、150席ほどの濃密な空間で「私」と「彼」が時には甘く、時には熾烈な心理戦を美しいナンバーで繰り広げるのが見どころだ。
 
s_001s_002












初日の前日、田代・新納コンビによるフォトコールがあり、久しぶりに再会した2人が過去に共有した危険で甘美な瞬間を思い出し、再び共犯になるキスをするシーン。そして2人が廃屋となった倉庫に放火して陶酔感に酔う、といった2つの場面が演じられた。その後、田代万里生・新納慎也、松下洸平・柿澤勇人、2組4人の囲みインタビューが行なわれた。


【出演者コメント】

s_012
松下・田代・新納・柿澤
 
田代万里生 初演なので、数ヶ月前から言葉いや脚本を変えたりしてましたが、凝縮して稽古したのはここ1ヶ月ぐらいです。新納さんはニューヨークの劇場で観たことがあるので、そのときの印象が強くて。国際派だなと思ってます。一緒に組ませていただいて幸せですし、頑張りたいと思ってます。この作品のテーマですが、同性愛をテーマにしているわけではなく、舞台では「私」と「彼」という役ですが、原作は名前がついていて、今回は時代や国を限定しないようにということで出てこないのですが、実際に存在した2人の話であり、犯罪を犯した2人がたまたま同性愛だったということだと思います。人間の核にあるものや心理的なものを深く凝縮された世界観で描いているので、そういうところを伝えていけたらと思います。
『スリル・ミー』は日本初演ですし、
2人芝居でのミュージカルで約100分間で休憩なしです。

お客様は拍手をする間もないと思いますし、僕も舞台から引っ込んでいるのは2分くらいです。

栗山さんの演出と共演者、観に来てくださる皆様との出会いが、僕にとって大きな意味を持つ、そういう作品ではないかと思っています。毎日、良い作品になっていくようにつとめたいですね。 

s_007

新納慎也
 田代くんとはもともと知り合いだったので、共演は初めてですが、初めて感はなくて、いいカップルですよ(笑)。韓国ですごい人気がある作品で、凝縮された100分の中でスリリングに展開されていく、すごくよくできた作品です。ストレートプレイではなくミュージカルとしてよくできているし、だからこそ成功した作品だと思います。

ここは劇場が舞台と客席が近くて、もともとオフ・ブロードウェイの作品ですから、この劇場は本当にオフ・ブロードウェイみたいな感じだなという気がしているます。栗山さんの演出でとても贅沢な空間になっています。昼の公演は15時、夜の公演は20時からというのも、まるでブロードウェイのようなおシャレな時間帯ですから、ディナーをとってちょっと一杯飲んで、という感じで来ていただけたらいいですね。

s_003

松下洸平 柿沢くんとは同い年で、初めて会ったときから気をつかうこともなく、初対面でもフレンドリーに接していけたました。もう1組とは少しテイストの違う作品になるんじゃないかなと。

演出の栗山さんが、これはストレートミュージカルだとおっしゃっていて、本当にその通りだなと。音楽とセリフとシンプルなセットだけですが、そこにいろんな仕掛けがあって巧みに表現されている、すごく素晴らしい作品です。この作品に参加できる喜びと責任を感じながら、日本初演をがんばります。

柿澤勇人 お兄さんチームとは、また全然違って見えると思います。ぜひ両方楽しんでいただけたらいいなと思います。
この濃密な空間で、人が人を欲する作品、ぜひ観ていただきたいです。
この空間にいらしてくださったら、きっと何かギフトを得ることができると思います。楽しみにいらしてください。

s_011

ミュージカル
『スリル・ミー』

●9/15〜10/3◎アトリエフォンテーヌ(麻布十番)
作詞・作曲・脚本◇Stephen Dolginoff
演出◇栗山民也
出演◇田代万里生・新納慎也 松下洸平・柿澤勇人(Wキャスト)
ピアノ伴奏◇朴勝哲

〈料金〉6,300円(全席指定・税込)

〈問合せ〉ホリプロチケットセンター 03-3490-4949

http://hpot.jp


【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】