2011年に上演されたミュージカル『ヒロイン』が、ニューバージョンとなって上演されている。『NEWヒロイン』の初日の昼、博品館劇場にて公開稽古と囲み取材が行われた。
元アイドルという設定の役を、実際に人気アイドルだった榊原郁恵、松本伊代、石野真子、早見優が演じるのが本作最大の魅力。しかし、それだけではない。ユニットのミューズとしてのアイドルっぽい歌も、メロディアスなソロ曲も、バランスよく聴かせる。作詞・作曲は深沢桂子。海外ミュージカルの日本上演に携わってきたスタッフだという。頷けるセンスの良さで、今後の創作にも期待したいところだ。楽曲の良さ、全体のテンポの良さ、スター性のある出演者が揃い、楽しいオリジナルミュージカルを創っている。
物語はコンサート前日の劇場リハーサル風景から始まる。出演するのは、現在は主婦やカフェ経営をしている元アイドル。「ミューズ」というアイドルグループだった４人は、昨年25年ぶりに一日限りのコンサートを実現した。そして、今年も一日だけ、デビューした会場でコンサートを開催する。本番を目前に頑張る４人には、それぞれに事情があった。
リリー（榊原郁恵）は、長年舅の介護で苦労していた。その舅が亡くなり現在はヘルパーの仕事をしている。ナナ（早見優）は離婚して、歌手としての道を模索している。ジュン（松本伊代）は、シングルマザーで息子が一人いる。息子の社会復帰を助けたいが結婚相手に不満がある。ピーチ（石野真子）は独身でカフェを経営している。もてるのになかなか恋愛がうまくいかない。ブランクがある４人だが、アシスタントの若い佐藤（ダレアレ悟）も彼女たちと接して魅力を知る。
そして、この公演をプロデュースするのは、昔はミューズのバックミュージシャンで今は売れっ子プロデューサーの古池（川崎麻世）だ。彼はミューズ再結成に乗り気なのだが……。
笑いと涙と歌と踊りで楽しませてくれるこの舞台の通し稽古のあと、ミューズの４人と川崎麻世 が囲みインタビューに応じた。
【囲みインタビュー】
━━今夜からですがいかがですか？
榊原 どうですかね？
川崎 なんで僕に？
榊原 だって頼りになるしねえ。
川崎 いやいや。もうバッチリですよ。稽古を重ねてとうとう今日が来ちゃいましたね。
一同 来ちゃいましたねー。
榊原 ちょっと不安が残るんですけどね。
━━稽古期間はどのくらいでしたか？
榊原 一ヶ月です。
松本 顔合わせをして歌レッスンから始まり……。
━━どうですか、身体のほうは？
松本 身体ボロボロ（笑）
石野 肩バリバリ（笑）
早見 腰もなんか（笑）
榊原 から元気ってやつ？
━━こういう衣裳を着て出るのはどういう気分なんですか？
早見 もう、楽しい♪です。ね。
一同 うんうん
━━久し振りにアイドルに戻ったって感じですか？
早見 そうですね。
榊原 そうですね。
━━ああいう衣裳を着ると昔に戻りますか？
松本 やっぱり嫌いじゃないよね。
榊原 でもちょっと短くなかったですか？
━━膝上ですもんね。
早見 見てて引きませんでした？
━━可愛かったです（笑）
榊原 ４人揃えばねえ。１人１人だったらちょっと。
松本 １人だったら勇気いりますね。
榊原 伊代ちゃんは大丈夫よ。
松本 そうですかー♪
榊原 あらっ（笑）。
━━以前AKBがライバルじゃないかと言っていましたけど、今でもライバルですか？
榊原 かもねー！
━━今日は同じ日に自分達の映画の舞台挨拶で出てますけど勝てる自信は？
榊原 ないです（キッパリ）！ じゃあ記事になるスペースがちっちゃくなっちゃう？
━━そうですね。闘いになりますね。
榊原 ああー、そこに割り込みたいねー。
早見 一番がAKBですよ、ニュースとかも。
榊原 だから、その写真の中に紛れて入ってれば分かんないんじゃない？ わかんないと思う。図々しいですかね？（笑）
石野 うんだって（笑）。
━━楽しみですね。
早見 私たちのことを入れてください（笑）。
川崎 でも、こうやって近くて見ていてもぜんぜん違和感ないんですよね。袖で待ってると、本当にその当時の彼女たちが目の前を通り過ぎたくらいの感じ。今までの時間というのが全然分からないです。昔一緒に仕事やっていた頃の感じがまだありますよね。
ーーまた一緒に共演することは
川崎 光栄ですね。変わってないし。逆に昔よりスリムになっているんじゃない
榊原 それは言えてるの。
川崎 だから同じ世代の人にとっては皆が目標じゃないですか。
一同 優しいねー。
川崎 だって、オレがプロデュースしてるんだから、ちゃんと売らないと。
一同 素晴らしいね。
━ーご本人たちは当時との違いを感じるところはあるんですか？
榊原 数え切れないよね。
松本 楽屋を見にこられたらすごいですよ。昔との違い？ 元気溌剌な物がいっぱい。サプリとか。物に頼ります。ニンニク注射もうちに行きます。
━━じゃ本当に最初の歌（冒頭のミューズのステージ新曲）のようになってる？
松本 そうなの。肩も腰もね痛いの。
榊原 うん。
━━フリ覚えは当時と比べてどうですか？
一同 ……（笑）。
石野 すいません（１曲目でフリ間違いをした）。
川崎 当時のほうがグループじゃないからそんなに一所懸命覚えなくても良かったじゃない。ミュージカルとしてやる方が覚える量が多いよね。
早見 ちょっとしたアングルとか合わせるのがたいへんだけど、すごく楽しいですよね。
榊原 でも一つ教えてもらうと二つ目がなかなか入らなくなっちゃって。本当どうしちゃったんだろうね（笑）。それはしょうがないでしょうね。
━━もしかしたら初日と最終日だとちょっと違うかもしれない？
早見 （笑）。
榊原 ところどころ違うと思いますよ。ねっ。
川崎 でもあんまり変えちゃうと分かんなくなっちゃうでしょ。
早見 違うでしょう（笑）。体力的にでしょう。今元気だけど千秋楽にはウワーってなってるかもしれないっていうことですよね。
榊原 分かんないよね。
川崎 でもね、毎朝ウォーミングアップするんですけど、腹筋もハードにやってるけど、皆ちゃんとやってますよ。筋トレとストレッチと発声とやりますけど、皆体力もありますし、全然ＯＫですよ。
━━こちらで一週間で全部で一ヶ月ですけど大丈夫ですか。
早見 そうですね。地方公演もありますし。うん、大丈夫。先ずは今よね。
石野 うん。今日。
榊原 すいません。口数少なくて いろんな体力温存しておきたくて。申し訳ない。サービス精神少なくて、どうしよう（笑）。
松本 そうなの。声も温存しておきたいっていう。
━━皆さんのなかでライバルだったりとかはしないんですか？
榊原 皆仲間だしライバルですね。様子見ながら励ましあったり。あの人も頑張ってるんだから、私も頑張んなきゃって思ったり。それぞれの世代もそうだし、家族いたりとかなんかね、いない人もいますけど（石野のこと）。麻ちゃんとお弁当作ってきてるんだなとか、ご飯の支度してきてるんだなとか、まあちょっと家族いない人もいるんですけど（笑）。いろんな意味で励ましあいながら、意識しあいながらやってます。
川崎 俺も家族いるけど、いないもんね。
榊原 まめなんですよ、この方が。
川崎 たまにおにぎりなんか自分で作って稽古場行くんですけど。「誰が作ったの？」って俺しかいないじゃん。
松本 そうなの。すごいね。偉いですね。健康に気をつかってね。
川崎 誰も気を遣ってくれる人がいないから、自分で健康管理しないと。
━━初日のＰＲをお願いします。
全員 『NEWヒロイン』観に来てね！
松本 今日から23日までだよ！
2月20日（月）19時開演
榊原郁恵×石野真子×川崎麻世
2月21日（火）19時開演
早見優×松本伊代×川崎麻世
※各公演終了後15分程度を予定。
※アフタートークショーは対象公演当日日時のチケットを持つ方のみ参加可能。
ミュージカル NEW『ヒロイン』
〜女たちよタフであれ！〜
脚本・作詞◇高橋知伽江
演出・振付◇川崎悦子
作詞・作曲・音楽監督◇深沢桂子
出演◇榊原郁恵 早見優 松本伊代 石野真子 ダレアレ悟 川崎麻世
●2/16〜23◎博品館劇場
〈料金〉7500円
〈問合せ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337（10:00〜19:00）
●2/27◎崇城大学市民ホール
〈料金〉S席7000円 A席5500円
〈問合せ〉テレビ熊本事業局 096-351-1140
●3/3◎周南市文化会館
〈料金〉6500円
〈問合せ〉山口放送企画事業部 0834-31-9300
●3/8◎森ノ宮ピロティホール
〈料金〉7500円
〈問合せ〉キョードーインフォメーション 06-7732-8888（10:00〜19:00）
●3/15◎中日劇場
〈料金〉A席7500円 B席5000円
〈問合せ〉中日劇場 052-263-7171
【取材・文／佐藤栄子 撮影／冨田実布】
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