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聖人にして異端、凛として可憐。時代に愛され、時代に翻弄された女性、時代を駆け抜け、そして散った少女、ジャンヌ・ダルク。その生涯を描く「朗読活劇」に、ミュージカル界で活躍する女優、新妻聖子が取り組む。

これまでもさまざまな俳優やアーティストたちが、この「朗読活劇 Recita Calda (レチタ・カルダ)」に挑み、新しいエンターテインメントとして大きな成果を上げてきた。

「朗読」「活劇」「音楽」の3つから構成し、野外という特別な空間で壮大なロマンを浮かび上がらせるこのパフォーマンスで、新妻聖子はどんなジャンヌ・ダルク像を描き出そうとしているのだろうか?

 

【新妻聖子ならではの解釈で】

 

ーー今回演じるジャンヌ・ダルクについては、どんな思いがありますか?

ジャンヌ・ダルクは、以前からすごく興味があってやってみたいなと思っていたんです。アヌイの『ひばり』をはじめ、いろいろな形で上演されていますし、作品も拝見しているんですが、私がやるならどんな形がいいのかなと思っていて。ミュージカルではない気がしますし、ストレート・プレイでかちっとやるのも私らしくないと思っていたところに、この企画をうかがって「ああ、これだわ」と。すごくしっくりきたんです。ちょうど昨年、NHKで『日本怪談物語』という朗読のテレビ番組に出演したこともあって、朗読がとても好きになっていたところだったんです。ですからとても楽しみです。


ーー女性にとってジャンヌ・ダルクという人は憧れる部分もありますね。

でも、私自身もそうなんですが、生涯を詳しく知る機会はなかなかなくて。今回朗読するにあたって色々な資料も読みましたし、私なりにちゃんとして取り組みたいなと思ったんです。それで、演出家やプロデューサーの方とも話し合って、神のお告げを聞いたということの解釈とか、戦争に関することの立ち位置はどういうふうに取ったらいいのかをすごく考えました。


ーー具体的にはどんなところを大事にしたいと?

神がかり的な衝動で動かされた奇跡の人というイメージだけの作りにはしたくないし、戦争とか暴力を美化したり肯定するものにはならないようにしたいと。自分が関わる以上、ジャンヌ・ダルクという人について上演する責任をちゃんと取りたいと思ったんです。


ーー1人の田舎の少女だったジャンヌ・ダルクがどう葛藤し、戦いの先頭に立っていったかということですね?

つねにもがいていないとダメだと思っていて、最終的には武器を取るわけですが、彼女の内面ではもがき苦しんでいたという気持ちを持っていたいですね。


ーーそのへんが新妻聖子ならではのジャンヌ・ダルクになりそうですね。

脚本としては再演物になるんですけど、印象として新作に近いものになると思います。賛美歌など、短い歌も入れたいと思っていますし、ジャンヌが葛藤しているのが伝わるような台詞をいくつか追加してほしいというリクエストもしています。そして、読んだり喋ったりするだけではなくて、多少はアクションというか殺陣も入る形になると思います。

 

【一夜限りだからこその贅沢さと儚さを】

 

ーー朗読といってもかなり演劇的な舞台になりそうですね

たぶんいちばん面白いところは、私が物語の筋やト書きを読んでいるという客観的な立場から、セリフ、つまり「」の中を読んだとたんにジャンヌ・ダルクになるところで。お客様も最初はト書きとともに全体を見ていたつもりが、セリフ部分になると一緒に登場人物になってしまう。一緒に物語と登場人物を行ったり来たりする、というようなところが「開かれた演劇」という感じで、楽しいのではないかと思っています。


ーーそれに音楽もあるということで、さらにドラマ性も加わりますね。

スパニッシュ系の情熱的な音楽になると聞いているので、甘くなりすぎない感じがいいかなと。


ーー衣裳はどんなものに? 戦いでは甲冑とか。

それはなさそうです(笑)。たぶん白い麻とかシンプルなものになると思います。それが物語が進むにつれてお客様に色々な色や形に見えてくれればいいなと思っています。


ーーこれだけ沢山の要素のある舞台が、たった一夜というのがもったいないですね。

一夜限りだからこその贅沢さと儚さを楽しんでいただければ。それから、これは夕方から開演するのですが、上演中にちょうど陽が沈んでいくのではないかと予想されますし、自然とのコラボレショーンもぜひお楽しみに。



にいづませいこ○80年生まれ、愛知県出身。上智大学法学部卒業の03年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』エポニーヌ役で鮮烈にデビュー。以来、数々のミュージカルでヒロインを務めている。第31回菊田一夫演劇賞、平成18年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞。最近のミュージカル作品は『GOLD〜カミーユとロダン』、ミュージカル以外では、『イリアス』(10年)、『プライド』(10年)、一人芝居『青空…!』(11年)、『国民の映画』(11年)など。この『ジャンヌ・ダルク』のあとは6月28日から7月1日まで『骨唄』に、8月からは『ミス・サイゴン』の全国ツアーに出演が決まっている。


 


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朗読活劇レチタ・カルダ

『ジャンヌ・ダルク』

語り・歌◇新妻聖子 

音楽◇スパニッシュ・コネクション (伊藤芳輝《ギター》平松加奈《ヴァイオリン》吉見征樹《タブラ》)

●6/3(日)16:30開場 17:00開演

会場◎上野水上野外音楽堂

〈料金〉指定席7000円

〈問合せ〉キョードー東京 0570-064-708

http://kyodotokyo.com



【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】

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