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「男はなぜ浮気をするのか?」
この人類永遠のテーマに、テレビドラマ界屈指のヒットメーカーである脚本家・野島伸司が真正面から挑んだのが、8月3日からル テアトル銀座で開幕中の『ウサニ』である(26日まで)。
 

野島にとっては、本作が初の舞台脚本、演出は、野島同様、テレビドラマで数々の大ヒットを世に送り出してきた永山耕三。また音楽は、小室哲哉が本作のためにオリジナル曲として書き下ろしたもの。出演者は主人公のコーゾーに溝端淳平、ウサニに平野綾と真野恵里菜(ダブルキャスト)、ほかに温水洋一、高岡早紀、山本耕史も参加しているという豪華な公演である。


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コーゾー(溝端)は、母の亡き後、脱サラして父(温水)とイチゴ栽培を始めるがうまくいかず、最後の手段として、伝説のへびイチゴの精霊(平野/真野 ダブルキャスト)を探しにアマゾンへ行き、命からがら精霊を捕まえて帰国する。
一方、コーゾーに捕まった精霊は、ウサギに似たぬいぐるみ・ウサニに宿り、コーゾーに恋心を寄せながら、人間や恋愛について学んでいく。不器用だが一途なウサニに、戸惑いつつもほだされていくコーゾー。そこへ現れたのは、ミステリアスでセクシーな美女・レーコ(高岡)。ウサニは、レーコとの情事に溺れるコーゾーを心配し、嫉妬する。
そんななか、ウサニを取り戻しに大蛇王・スネーク(山本)がやってくるが、人間の複雑な感情を理解できない。意外な人物をも巻き込んだ、このいびつな恋の三角関係の結末は? そして、コーゾーが辿りついた“本当の愛”とは――。


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ピンクやイエローの蛍光色、ブルーやグリーンのメタリックカラーを中心とした、ポップかつサイケデリックな色調の舞台装置は、そのインパクトで、瞬く間に観客を非現実世界へ誘う。

コーゾーたちの人間界と、スネークたちの世界を交互に見せる構成で、両者のコントラストが際立つ。溝端は、対照的な2人の間で揺れるコーゾーを等身大で体現。せりふのポイントでもある、亡き母へのモノローグもしっかり聞かせる。

この回の精霊は平野で、着ぐるみのようなウサニの衣裳も難なく着こなし、コーゾーとの場面では甘いハイトーン・ヴォイスで純粋で真っ直ぐな恋心を表現し、精霊としてのスネークとの場面では、声のトーンを落とし凛とした様を見せる。

高岡は、しなやかな肢体と、蟲惑的な眼差しで、レーコの魔性を的確に描写。温水はその独自の存在感で、コーゾーの父を印象づける。スネークの山本は、豊富な舞台経験を活かし、狂言回しとして時に冷たく、時にコミカルに人間たちを翻弄していく。
 

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【囲みインタビュー

その初日前日に、一般客も招待しての公開ゲネが行われ、溝端淳平、平野綾、真野恵里菜、高岡早紀、山本耕史が、囲み取材でインタビューに答えた。 


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――いよいよ明日から初日ですが、どうですか。

溝端 野島さんの、すごく哲学的なことで愛を説いていくという、ちょっと変わった舞台です。どういう舞台に仕上がるのか、稽古が始まった時は見えなかったんですが、どんどん形が見えてきて、これをお客さんに届けたらきっと感動してもらえるんだろうなという自信も出てきました。本当に初日が楽しみです。

真野 私自身、ダブルキャストでやらせていただくのは初めてだったので、もちろん稽古時間は半分になりますが、平野さんの稽古を私も見させていただいて。自分と違う引き出しをもってる方なので、すごく勉強になる部分もありました。
――やっぱり、意識するものですか

真野 ただ今回は、根本的なウサニは一緒ですけど、お互いの個性を大事にしてと言われたので、いい感じにお互いのカラーが出来てるんじゃないかなと。だから、両方見てほしいです。

平野 ほんとに不思議な世界観なので、これを成立させるのはすごく難しいと思いますが、不思議と成り立っているのが面白いので、ぜひ皆さんに、いろんな視点から見ていただけたら。
 

――高岡さんはまた、すごい役どころですけど。

高岡 すごい役、でもないですけど。見てわかるとおり、皆さんぜんぜん世界観の違う衣裳を着て、舞台の上でも、皆さんが出てくるたんびに、ぜんぜん違う世界が繰り広げられます。今まで見たことのないような不思議な世界に、見ていただける方が迷い込めるような、変わった面白い舞台になると思います。

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――数々の舞台を経験されている山本さんも、ヘビの役は初めてではないかと。

山本 ヘビに見えますけど、なんの変哲もない弁護士……

一同 はははは(爆笑)

山本 だったらおかしいですけど。現実世界とメルヘンの世界というか、そういうファンタジーとリアルな現代が交わっている、その接点になる(役)というか。ところどころ、間を行き来して、人間には姿が見えなかったりとか。同じ舞台のなかに、振り幅の広い世界観があるので、見て楽しめるし、聞いて楽しめる。何か感じてもらえば、よりいいんじゃないかなと思います。
 

――「男はなぜ浮気をするのか」というのが大きなテーマですが、男は浮気をするものだと思いますか?

高岡 私も今、こっちで聞いてた感じなんですけど……。思いませんよ。(必ずしもそうではない?との問いに)それを信じたいですね。

真野 お芝居でも「男は浮気をするものだ」ってダイレクトに言ってるのがあるので、そうなのかなって思っちゃう部分もありますが、そうじゃないって信じたいです。

平野 そうですね、浮気、してほしくないです。でも、この舞台を見たら、絶対浮気しないって思ってくれるはずです、男性は。

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――男性陣二人は?

山本 まあ、“友達”の話ですけど……

高岡 違うでしょ?(笑)

山本 基本的にでも浮気ってさあ、しないよね、男って。

溝端 そうですね。しないと思います。

山本 って言っといたほうがいいと思うよ(笑)。でも、生物学的(なこと)までいっちゃうじゃないですか、そういう話をするとね。だから、人生楽しく、人に迷惑かけなければ。

高岡 それ、浮気するっていう話?

山本 いや、男だけじゃないよね、言ってみれば。女の人も同じようなもんですよ。でも、昔からあるテーマなんで、自分たちもそれを体験することによって、お客さんが見ることによって、もう一度考え直せるっていう、そんな時間になればいいと思います。

溝端 難しいですよね。一言では答えにくいというか。本気で好きになってのめり込むような愛が愛なのか、それとも居心地のいいのが愛なのか、二つの対比が今回の舞台なので、それを見てもらえれば、また考え直せるきっかけになると思うので。舞台を見てぜひ考えてもらえればなと思います。
 

――山本さんはいろいろな舞台を踏まれてきましたが、野島先生が初めて舞台の作品をやられて、そのあたりは、参加してみていかがですか。

山本 僕は昔、野島さんの作品も永山さんの作品も出させていただいて、ものすごい久しぶりなんで、舞台というフィールドでどういう形になるのかなって、すごく楽しみだったんですよね。野島さんはもちろん昔からやられてますが、初めての舞台ということで、いろいろやってきても、まだ新しいものがあるんだなと思いましたね。

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――高岡さんも、舞台としては野島さんは初めてですが。

高岡 すごく本が深くて深くて、何回読んでも、何回こうやって舞台をみんなでお稽古してみても、まだまだ楽しめるっていうくらい、すごく熱いんですね。だから、すごく面白いです。楽しませていただいています。

平野 芸能界に入って初めて関わらせていただいたのが野島さんの作品だったので、やっとご本人とお会いできて、こんな方なんだって知ることができて、すごく嬉しいです。今回は恩返しのような気持ちで頑張りたいと思います。

真野 私は、これから本格的にお芝居も頑張っていきたいなと思っていて、まだ演技経験が少ないなかで、野島さんと一緒にお仕事させていただくのはすごい嬉しいです。初めて舞台の脚本を書かれる作品に、こうやってヒロイン役で出演できたことが本当に幸せで、せっかくいただいたチャンスなので、しっかり楽しみたいと思います。
 

――最後に、意気込みを。

溝端 すごく可愛い世界観の中に入っていって、最後にはすごく愛の深いテーマに浸れる、とても素晴らしい舞台なので、ぜひ暑い夏は涼しい劇場で、『ウサニ』を見てもらえればなと思います。


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『ウサニ』

出演◇溝端淳平、平野綾(ダブルキャスト)、真野恵里菜(ダブルキャスト)、未来穂香、板倉チヒロ、平田敦子/温水洋一、高岡早紀、山本耕史 ほか
●8/3〜26◎ル テアトル銀座 

〈料金〉S席8,500円 2階BOX8,500円 A席5,000円(全席指定・税込み)

〈問合せ〉チケットホン松竹 0579-000-489(10時〜18時)

公式HP http://usani.jp/


【取材・文/塩田史子 撮影/冨田実布】


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