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毎年、年頭に行われる早乙女太一の吉例新春公演が、1月8日に銀河劇場で幕を開けた。(14日まで)
これまでも『龍と牡丹』シリーズでは、男としての力強い殺陣や舞と、女形としての妖艶な踊りとを演じ分け、また、太鼓やタップ、昨年は影絵と斬り結ぶ「剣舞/影絵」など、さまざまな新しいパフォーマンスを見せてきた。

今回は、『龍と牡丹2013 真田幸村〜結ばれし魂〜』という副題にあるように、真田幸村から現代まで、時を超えて結び合う魂と愛を描く舞台となっている。
 

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1幕のオープニングは現代のとあるギャラリー。さまざまな古い時代の衣裳や絵画があるフロアで1組の若い男女が、それぞれ目の前の1枚の絵に魅入られたように立ち止まる。そこから時は400年前に還っていく。

真田幸村は家臣を率いて戦いの日々を続けている。そんななかで彼は1人の女忍者と愛し合うようになる。だが、激しい戦闘の中で彼女は命を落とし、幸村もまた服部半蔵との一騎打ちのすえ重い傷を受けてしまう…。

2幕では、100年後の江戸の吉原へと舞台が移る。幸村の魂は万治高尾太夫として生まれ変わり、女忍者の魂は若い武士へと転生して、2人は再び巡り合い、愛し合うことになる。だが高尾太夫に横恋慕する伊達綱宗によって2人は引き裂かれてしまう。切ない身の上に嘆く高尾太夫…。

その悲劇から300年を経た現代に再び時は戻る。古い絵画の前で立ち止まった男女は、いつしか見えない糸にたぐり寄せられるようにお互いを見つめる。魂は今、三たび巡り合って…。


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これまでは、1幕は物語形式で2幕はショーという形の公演だったが、今回は2つの幕を通して1つのストーリーラインを追いかけていく。その構成の流れに太一ならではの数々のパフォーマンスを盛り込んでいるのが大きな特徴だ。

スピーディで華麗な剣さばきはもちろん、殺陣の長槍や混棒、舞では扇などの小道具を、まるで自分の身体の一部のように自在に操ってみせる太一。またダンスから日舞まで音楽によって踊り分けて、バックダンサーたちとともに、さまざまなフォーメーションで進軍や敵との戦いまで表現してみせる。台詞がほとんどないなかにも、踊りや殺陣のバリエーションでストーリーはきちんと伝わってくる舞台だ。

 

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真田幸村の太一は、一回り男らしくなった姿で一軍の将らしい凄みと強さを感じさせる。2幕の花魁では愁いを含んで儚く、女形太一の変わらない美しさで酔わせる。そして現代の青年は白いTシャツがよく似合う、そのまま等身大の太一で、相手役の山田裕美子と踊るコンテンポラリー風のデュエットダンスが新鮮だ。
 

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この公演では、太一の弟で最近外部でも活躍中の早乙女友貴が2つの幕を通して敵役を演じている。1幕の服部半蔵では身の軽さと小道具さばきなどが見事で、2幕の伊達綱宗では徹底的に悪い大名になりきって印象的だ。また、幸村・太一とは一騎打ちで斬り結ぶのだが、その2人の殺陣は圧巻で今公演のいちばんの見せ場となっている。
 

そのほかに、鈴花奈々は月の化身とストーリーテラーを兼ねて登場、鈴花あゆみは月、かむろ、波風といった役どころで出演している。また、ジャパンアクションエンタープライズやCOOL STARのメンバーによるダイナミックなアクションやパフォーマンス、客演の山田裕美子や涼瀬みうとのダンス、そして劇団朱雀の団員たちの踊りなど、ショーの楽しさもふんだんに織り込まれた充実した公演となっている。


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【囲み取材】


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この公演の開幕2日目、1月9日の終演後に早乙女太一の囲みインタビューが行われた。

 

――左足のけがから復帰して、いかがですか?

本調子ではないですが、ここまで動けるようになってよかったです。痛み止めも飲んでませんし、80〜90パーセントくらいは回復しています。

――殺陣あり、踊りありの舞台ですが。

けっこう動いてるので、足に関係なくきついんですけど、今日は初めての(1日)2回公演なので、大丈夫かなという感じですね。

――現代の自分、真田幸村、花魁と1人3役ですね。花魁もきれいですが、ご自分のなかでは、この3役はどうわけてらっしゃいますか。

1幕目の真田幸村で、踊りまくって戦いまくるので、幸村というより僕の魂が抜けちゃったような感じになるんです。そこから休憩をはさんでの女形になかなか魂が戻ってこないので、むずかしいですね。舞台に出れば、それなりにやれてるとは思うんですけど…。

――激しい踊りも殺陣もある1部は、どんな気持ちですか?

泣きそうですね(苦笑)。本当の戦いはこんなもんじゃないと思うんですが、久しぶりなので。

――2幕で女形に気持ちを切り替えて出るときは?

1幕でエネルギーを前に放出して、使った後なので、できるだけ疲れた体を平常に保つのと、1幕で放出したエネルギーを、内にため込むように気をつけています。

――女形のしなやかさは、日頃のストレッチとか、女性の仕草を研究して出すのですか?

稽古を重ねていますが、僕はストレッチはすごく苦手なので、しないんです。すごく体が硬くて、地面にちょっと指先がつくぐらいで。

――そうなんですね! お客様の反応は見ていていかがですか?

すごく真剣に見てくれているのがわかりました。

――ステージの見どころはどこでしょう?

3つの魂の、男と女の二面性ですね。1幕で幸村の魂が、みんなと一緒に激しく、エネルギッシュに、力いっぱい動き回って、2幕では女に生まれ変わって、1幕とは全然違った色でやってます。

――どっちが演じやすいですか?

だんぜん男(役)ですね。

――ほとんどせりふがなく、殺陣や踊りだけの舞台ですが、その面白さと難しさは?

やっぱり、この公演でしかいない仲間たちと舞台を作っていく過程だったり、それを本番にぶつけて、本番を進めながらも研究していくことが、面白くもあり、難しいところですね。それを(お客様に)喜んで受け取ってもらえる時が一番うれしいです。

――2013年はどんな年にしたいですか?

舞台を中心に、映像も少しさせていただくので、このままがんばっていきたいです。

――では、ファンの皆様にメッセージをお願いします。

短い期間ですが、東京の後は大阪、名古屋でもやらせていただくので、お時間が合えば見に来てください。


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2013年新春特別公演

早乙女太一 『龍と牡丹2013』

出演◇早乙女太一、早乙女友貴、鈴花奈々、鈴花あゆみ、塚田知紀、村井亮、山田裕美子、涼瀬みうと 他

●1/8〜14◎天王洲 銀河劇場

●1/18〜20◎シアターBRAVA!

●1/24〜27◎名鉄ホール

〈料金〉

東京公演/昼の部S席8,500円 A席6,500円 夜の部S席7,500円 A席5,000円(全席指定)

大阪・名古屋公演/昼の部8,000円 夜の部7,000円(全席指定)

〈問合せ〉うぼん 03-5459-7461 http://ubon.co.jp/



【インタビュー取材・文/塩田史子 レビュー文/榊原和子 撮影/塩田史子】



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