成熟した恋愛の話を…

政岡泰志・小林健一

DSCF1122

あの動物電気が20周年を迎え、1年半ぶりに下北沢駅前劇場で記念公演を行う。平成になってから旗揚げした劇団がなぜか紆余曲折しながらも“昭和”の暖かさを持ち続けているその魅力を、作・演出で主宰の政岡泰志と主演男優小林健一に、たまたま旗揚げ当時をみている演劇ぶっく編集長が聞きました。

人前には出たいけど、
出しゃばりたくない人たちが集まって


――20周年ということで、おめでとうと言っていいのかどうか。
政岡 それでいいじゃないですか(笑)。
――自分の感覚だと、うちも創刊25周年記念とかもやったんですが、おめでとうと言われてもピンとこなくて。
政岡 僕らは勝手におめでとうと言ってる感じがします。
――企画書にありますが、10年ぐらい経ってからある変化があったと。最初は明治大学で、演劇が好きで始めたわけですね。
政岡 人前に出たい人が集まったんじゃないですかね。でも人前には出たいけど、矛盾しているけど出しゃばりたくない人たちが集まったんじゃないでしょうか。僕らの代はもともとお笑いが好きな人たちだったようですね。でもお笑いの学校に行くとかではなくて、なんとなくお芝居をやりたい人たちが集まりましたね。
――それなりに学力もあったわけですね。
政岡 学力?…まあ(笑)。

変わったきっかけは
装置を普通に建て込もう


――劇団の前半はわりと体を使ったお笑い的な要素がありました。
政岡 20代の僕が何を感じ、何を考えていたか覚えてないですけど(笑)。お笑いとかやりたかったんでしょうね。
――そのころは「どんなふうになったらいいな」と思いながらやっていたんですか。
政岡 たぶん、周りに売れている劇団さんがいっぱいいたから、とりあえずそこみたいになろうと。早稲田大学にもいっぱいいたし。カムカムミニキーナさんとか。とりあえず駅前劇場出るとか本多劇場に出るとかがまずは目標だったですね。
――その目標は達成されてますね(笑)。途中から少し作品の質が変わってきたようですが、きっかけはあるんですか。
政岡 具体的なきっかけで言うと、装置を普通に建て込もう、たとえば喫茶店とか一幕ものでやろうとなったときから変わっていったんです。
――お芝居のスタイルを変えようとかいうのではなくて?
政岡 いや、最初に「装置を作ろう」というのがあったんです。それまでは「場所がどこかわからないようなセットにしてください」と舞台美術さんに言ってたんです。台本を書くときにどこの場面になるかわからないから、なんとなく象徴的なのを置いておいてくださいと。
――装置のある場所で芝居がしたくなったんですね。
政岡 したくなったんでしょうね。リアルというか、普通のお芝居になっていった。たまたまですけど。これは関係あるかわからないけど、ハイレグ(ジーザス)をやめた次の公演から変わったんですよ。ハイレグの呪縛から解かれたというか。ちょっとは自分の中であるのかもしれない。
――あれはかなり負担だった?
政岡 どこかハイレグと似てしまうというか。ハイレグとしてどこかやっていたから。あったんじゃないでしょうか。
――小林さん、一緒にやっていてどうでしたか。
小林 それまでは作・演出中心で政岡はあまり出なかったんですけど、メインで出るようになったので、それは大きいですね。核がしっかりした感じがしますね。

DSCF1117

最近公演は1年半のペース
この感じが好きは好きです


――企画書には、途中で公演の回数が減って、劇団員が集まってお茶を飲む会になったと書かれていますが。
政岡 これも流れですね。普通に働いている人も何人かいるので。年に2回はキツイという意見が出たわけです。「そうですか」と。
――(笑)。
小林 子育てもあるし、という人とか。事務所に入っている人もいろいろ忙しくなってきて。先にどんどんスケジュールが決まっていったりとかの現状もあって。
政岡 来年の6月に駅前劇場で公演にしようとして1年前に小屋をとろうとしたときにメインの役者の客演が決まったりとか。
――それでよく「劇団をやめよう」という話になりませんでしたね。
政岡 ならなかったですね。
――物足りなくないんですか?
小林 最近は1年半のペースでもけっこう時が過ぎるのが早くて。
政岡 慣れちゃいました。年に2回ペースだと、この公演やりながら次の公演のタイトル決めたりしないといけないんで、実は今は満足しているんです。この感じが好きは好きです。

アメリカの海外ドラマで
恋愛がごちゃごちゃしているのが好きで

――今回の公演の話ですが、成熟した恋愛の話?
政岡 その予定なんですけど。
――政岡さんは今おいくつですか。
政岡 今年42歳です。
――もう立派な大人ですね。成熟した恋愛とかに思うところはあるんですか。
政岡 あまりやってなかったからやってみようかなと。
――芝居の内容として?
政岡 成熟した恋愛をしてないと思ってるんで(笑)。恋愛ものをやってなかった。
――そうですか?恋愛と言えるかわからないけど、愛情が通い合っているお芝居をするのが得意な劇団だと思ってますけど。
小林 恋愛を前面に押し出してやったことはないと思いますね。「好きだ!」とか嫉妬する、とか。照れくさいから。
――今までどうしてやってなかったんですか。
政岡 たまたま?
――今回たまたまやる気になった?
政岡 アメリカの海外ドラマで、恋愛がごちゃごちゃしているのが好きでそういうのをやりたいなと。
――好き?
政岡 ドラマを観るのは好きです。
――ちなみにタイトルは?
政岡 『セックス・アンド・ザ・シティ』。4人の女がいろいろ恋愛の話を女同士でやるみたいな。
――ご自宅でテレビで見て?
政岡 見て、なんかおもしろいなと。
――似合わない感じですね。
政岡 そうなんです(笑)。だからそれをアレンジするというか。
――ある程度構想はできているんですね?
政岡 はい。台本はまだ途中なんですけど。

DSCF1111

チェーホフみたいですね。
「そうなんですか !?(笑)


――もうちょっと具体的に話していただいていいですか。
政岡 夫婦がいるんです。もともと女子バレーの選手とコーチが結婚して、何年後かに旦那が体を壊して田舎に引っ越してきてそこでの物語です。
小林 古民家に引っ越してくる。
政岡 女子バレーの選手だった嫁は今は健康食品のライターみたいなことをしていて、それをやりつつ村の男たちと恋愛関係に陥ると。体の弱い男は小林がやるんですけど、それを見ても何も言えない。何か負い目があって言えない。
――チェーホフみたいですね。
政岡 そうなんですか!?(笑)
――チェーホフって、圧倒的に大人の恋愛沙汰が多いですよね。
政岡 その古民家に妖精が住んでいて、主人公とお話しだす。古民家に前に住んでいた人の歴史が語られる。最終的にここに住もうかと。恋愛の話というか、家の話です。

結局自分が思っている夫婦像が
一番書きやすい。


――劇団の中で結婚している人を参考にすると書いてありますけど、参考にしたんですか。
政岡 意外と参考にできないというか。なんででしょうね。結局自分が思っている夫婦像が一番書きやすい。喧嘩したとかという話とか噂は聞きますけど。
小林 喧嘩というか、一方的に俺が怒られる(笑)。
――政岡さんがイメージする中年のご夫婦というのはどういうのですか。
政岡 普通に仲が悪くなるもんなんだろうなと。
――そうなんですか!?
政岡 結婚したら普通に絶対に仲悪くなる、でも一緒にいなきゃいけないもんなんでしょと。でも離婚はしちゃだめなんだなと。
――なんだか小学生の感想みたいですね(笑)。客演で女性の方が出ていらっしゃいますが、どうやって選んだんですか。
政岡 プロデュース公演で一緒になった人とか。山口奈緒子さんですね。帯金ゆかりさんはうちの役者がよその劇団で共演して、稽古場に遊びに来て。
――ご覧になって、おもしろそうだからとか。
政岡 基本的に電気を観たことがあって、電気に出たいと言ってくれたら出てもらう。舞台を観て「あの子いいな」というよりは、「あの子電気が好きみたいですよ、しかもお芝居ができますよ」というほうが、俺があまり気をつかわなくていい。
――ご本人のモチベーションも違いますよね。

お客さんに元気になってもらえればいいですね。

――これが終わるとまた1年半とか空く?
政岡 終わってみないとわからないんです。
小林 小屋もとってないし。
――主宰者はいいかもしれないけど、みんなは不安じゃないんですか?
政岡 そこはみんなもぼんやりしてるから。次もっとやろうよという声が出てもいいけど、一切出ないですから。
――それでいて、やろうとなると皆さんが力を合わせるという。すごいですねそれは。それが20年の歴史。
政岡 20年の歴史…。
――正直20年をどう思います?
政岡 長いことやったな、と思います。僕は42歳ですから、人生の半分を動物電気で過ごしてるんです。たぶん小学生の俺が聞いたら「劇団やってんの?」とびっくりすると思います。
――この感じだったら皆さんが元気な限り続きますね?
政岡 病気が敵になってきますね。
――40歳代って働き盛りですよね。世間的には脂がのりきっている時期です。演劇人としてもいろんな経験をして頑張れる。
政岡 周りの同世代が年だ年だと言いすぎなんですよ。酒が弱くなったとか飲めなくなったとか。流行りなのかな。電気のメンバーだけじゃなくて。
小林 40になったら体に来る、とか絶対言いますね。
――私が演劇ぶっくを始めたのは40歳ですね。
政岡 えっ?
――みなさんこれから花開いていくと思いますが。今回の公演で新たにスタートするということでいかがでしょう。
政岡 ちょっと元気出ましたね(笑)。
――動物電気と言ったら元気がとりえみたいな。
政岡 お客さんに元気になってもらえればいいですね。


政岡泰志
DSCF1114
まさおかたいし〇71年生まれ。広島県出身。作家・演出家・俳優。動物電気主宰。93年旗揚げ後全作品に参加。HIGHLEG JESUSのメンバーとして02年解散まで活躍。この人の舞台を見ていると、どんな人でも好感をもってしまう不思議なオーラの持ち主。

小林健一

DSCF1109
こばやしけんいち〇72年生まれ。長野県出身。俳優。93年動物電気旗揚げより全ての公演参加。趣味は痛いのを我慢すること。近年外部客演、映像作品への出演も多数。舞台上でのふんどし姿はどんな人でも好感をもってしまう不思議なオーラの持ち主。



動物

動物電気『どっきり!成人式 〜オレもお前も』
作・演出◇政岡泰志
出演予定◇小林健一 辻修 森戸宏明 高橋拓自 松下幸史 ヨシケン 

浜松ユタカ 吉田麻生 姫野洋志 政岡泰志

帯金ゆかり 山口奈緒子 國武綾(劇団宝船) 堤千穂 松本D輔

●6/8〜16◎下北沢 駅前劇場
●6/21◎大阪 サンケイホールブリーゼ

動物電気公式ホームページ

話題の舞台を“お得に”観る!
えんぶSHOP



side_facebook

header_rogo