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あの“森本”がついに帰ってきた…!

心の機微を繊細に描き、哀愁の人間ドラマを生み出してきた岩松了が10年に初めて手がけた"任侠モノ"『シダの群れ』は、心理描写の手腕はそのままに、ヤクザ物ならではの銃撃戦を交えた高いエンターテインメント性と相まって大反響を呼び、『シダの群れ 純情巡礼編』(12年)と続いてシリーズ化された人気作。その第3弾の『シダの群れ3 港の女歌手編』が、11月6日にシアターコクーンで幕を開けた(30日まで。その後、大阪、北九州と巡演)。


シリーズ1作目以来、ひさびさの登場となる森本を演じるのは阿部サダヲ。歌手としての成功を夢みる女ジーナには小泉今日子。そのマネージャー・山室には吹越満。森本を助けた女・ヨシエには、2作目に続いての出演となる市川実和子。都築組の若頭には小林薫。幹部のノブには赤堀雅秋。都築組の上納先である大庭組の幹部・清水には豊原功補など、この作品を描き出すのにふさわしい、強烈な個性と実力を兼ね備えたメンバーが結集した。


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【あらすじ】

志波崎組から逃げ、あてどなく彷徨った森本(阿部サダヲ)が辿り着いたのはある港町。密航しようとした森本が、町を仕切る都築組の若造たちに囲まれるが、ヨシエ(市川実和子)に窮地を救われる。ふってわいたヨシエだが、実は彼女は森本を追っていた。ヨシエに言われ、森本が町一番のクラブ「スワン」に入ると、歌手としてもっと羽ばたきたいと願う女歌手のジーナ(小泉今日子)とマネージャーの山室(吹越満)がいた。そして、都築組の若頭・結城(小林薫)、ジーナに惹かれているノブ(赤堀雅秋)、都築組と深い関係のある大庭組の幹部・清水(豊原功補)らに出会った森本は、結城に誘われ、組のために働こうとするが、いつしか組同士の抗争に巻き込まれていく…。人情、愛憎に揺れる男女の心が向かう先とは…。


初日前日の11月5日、マスコミ向けにフォトコールが行われた。都築組と大庭組の関係がその雲行きを怪しくしていくさなかでの、スワンでの一場面である。
 

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バーカウンターに小さなステージ、真紅のカーテン、大きなガラス窓。作りはしっかりしているがあちこち煤けて、年季の入ったクラブ。暗闇のなか音もなく人影が現れ、明かりがつくと、イスに足を乗せてのけぞるような豊原功補の清水と、その子分。白のスーツがいかにもそれらしく、話す言葉も凄んだり脅したり、すぐキレたりと、混じり気なしのヤクザ者だ。豊原をはじめ、口調は柔らかだがゾクッとするほどドスのきいた小林薫の結城、ジーナには弱くて下っ端たちへの面倒見がいい赤堀雅秋のノブ、単細胞で血気盛んな鉄砲玉たちなど、都築組や大庭組の組員たちのヤクザっぷりが実にはまっている。また、ここで働く女性従業員でどこか訳ありふうな市川実和子のヨシエや、腕っぷしは弱いが計算高そうな吹越満の山室、この世界の裏を知ってか知らずか飄々としたバーのマスター、ジーナの後釜を狙う中国人歌手の女の子など、みんな一癖あるキャラクターばかりだ。シックなジャズをサラリと聞かせる“Swan House Band”の面々も、作品をグッと魅力的なものにする。

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そのなかで、ものも言わずジッと話を聞いていたかと思うと、いきなり銃をつきつけるような阿部サダヲの森本が、その不気味な凄みと異質さで芝居の要をしっかりつとめている。また、そのまま去ろうとする森本を、悟られぬように必死に引き留める小泉今日子のジーナからは、ふと激高する姿に溢れ出す心が垣間見える。

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パンパン!と弾がはじける銃撃戦シーンも見どころの1つだが、本当は誰が敵か味方かわからないようなスリリングな会話と状況のなかで、いずれも一筋縄ではいかない登場人物たちが、それぞれの事情や思い、野望、夢をかかえながら繰り広げていく。まさにヴィヴィッドな“総天然色”の任侠ドラマ『シダの群れ3 港の女歌手編』。都築組と大庭組の関係は? ジーナの夢は叶うのか? 森本の人生のサイコロはどう転がっていくのか?

一般社会から逸脱した者たちの活躍と葛藤を描いたピカレスクロマンのなかに、複雑で移ろいやすい人の心を映し出す岩松了の世界。今日を、そして明日を必死に生き抜こうとするヤクザ者たちの生きざま、その切なさ、可笑しみ、愛しさをたっぷりと詰め込んだ舞台である。



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『シダの群れ3 港の女歌手編』

作・演出◇岩松了

出演◇阿部サダヲ 小泉今日子 豊原功補 市川実和子 吹越満 小林薫 他

●11/6〜30◎Bunkamuraシアターコクーン

●12/6〜15◎シアターBRAVA!

●12/21〜23◎北九州芸術劇場 大ホール

〈料金〉

東京公演/S席9,500円 A席7,500円 コクーンシート5,000円(全席指定・税込)

大阪公演/S席9,500円 A席8,000円(全席指定・税込)

北九州公演/S席9,500円 A席7,500円(全席指定・税込)

<お問合せ>

東京公演/Bunkamura 03-3477-3244

大阪公演/キョードーインフォメーション 06-7732-8888

北九州公演/キョードー西日本インフォメーション 092-714-0159

http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/13_shida/index.html


【取材・文/塩田史子 撮影/岩村美佳】



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