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生活者の感情をリアルに描きつつ、エンターテイメントとしての作品作りにもこだわりを見せ人気の劇団□字ック。その劇団公演が5月14日(水)〜25日(日)サンモールスタジオで行われる。タイトルは『荒川、神キラーチューン』。劇団を主宰、公演を作・演出で牽引する山田佳奈に作品作りへの“こだわり”を聞いた。
 

──変わったタイトルですね。
山田 『荒川、神キラーチューン』ですね。すごくたくさん聴いたりする自分の“勝負曲”をキラーチューンと言うんですよね。これが私だ!という主張がある曲というイメージでつけました。
 
──今回の公演を山田さんがそう思っているんですね。
山田 それもありますし、□字ックって音楽が重きにある劇団だなと思っていて、そろそろ音楽的要素を物語として前に押し出していく公演があってもいいんじゃないかなと。ミュージカルではなく、あくまで演劇で。まだ次に書くものをどうしようかなと思っていたときにキラーチューンという言葉が浮かんできて。それに匹敵するぐらい強いものって「神」。で、「神キラーチューン」。
 
──荒川は?
山田 荒川はあの荒川ですね。わたしの勝手なイメージかもしれないのですが、川沿いに生活している人たちってお腹のあたりにどすっとした感情を持っている人が多いなと思うんです。川沿いって灯りも少ないから怖いし、魔物がすんでいるようなイメージも少しあるかな。昼と夜とでは雰囲気がかなり変わってしまうこともおもしろいですね。
 
──今回はどんな作品になりますか?
山田 今回はしっかり構成を組んで書いています。いつもはメッセージ的な自分の言いたいことが強くて、それをどう伝えていくかで構成をゆるくしてしまうこともあるんですけど、今回は構成のほうが強いですね。ひとつの事件に対して、今までは私のひとつの感情だったんですけど、もっといろんな人の感情で物事をとらえられるのかなと思ったんです。それを素直に組み立ててみたいですね。
 
──いつもより俯瞰してみているということですね。
山田 テレビニュースを見ている感覚なんですよ。実をいうと、年末に久々に新しくテレビを買ったのもあるんです。世間はニュースであふれきってるなと思って見ていると、すごくテレビを俯瞰して見ている自分がいるんです。他人事だからですね。それを書きたくなってしまった。不謹慎なんですけど、ニュースを見て、事件をひとつのドラマとしてとらえてしまうという。今回の作品はそれに近いのかもしれないです。役者さんには当事者になってもらうわけだから、ギリギリのところをしっかりもぐっていってもらわないと演じられないと思うんですけど。“うわっ”と思う瞬間が必ずあると思うんです。言葉なのか、そのとき見える映像なのか。その瞬間がひとつでもつくれるというか、私たちが意図している部分からはみ出してくるものを描きたいなと思っています。
 
──どんなお話になりますか。
山田 現在教師をやっている主人公の女性が、14年前の自分が中学生のときのクラスのこと、すごく仲が良かった女の子や、担任の先生が亡くなった事件のことなどを回想していくうちに、「もしかしたら」といろいろ気づいていくような構成になっています。現在の私(主人公)の目線、当時の私の目線。また別の人の目線と視点が変わるんです。扱っているものがニュースなので、どの目線で見るかで見え方が変わってきますね。ただの事象とかを書くのではなくて、そこに出ている女性の内面の動き方とか、その事件に対しての俯瞰した我々が見る当事者のあり方とか、そこにある生の生きざま、感情を描きたいなと思いますね。
 
──山田さんの作品は、人の感情の動きがメインになっていますけど、エンターテイメント性もこだわりがあって、なによりご自身がおもしろがって作っているよう感じますね。
山田 私自身、たぶん他の演出家の方より演劇に興味がないと思うんです。興味がないという言い方をすると少し雑ですけれども、どうしても作・演出をやっていると演劇にとらわれがちになるので、そうでない視点でいたいなという思いがすごくあって。コンサートや美術展などに足を運ぶ機会が多いと「これはおもしろいな」と思うことが多いんですね。それをためておいて、うまく自分なりのアレンジを加えて演劇に落とし込んでいくのが□字ックなんだと思うんですけど、今回はどうしようかなと。「キラーチューン」とついてるので、かなり劇中で音楽を使用するんですね。話が基本的にカラオケボックスを中心として描いていくんで。□字ックは音楽の使い方にエッジを利かせているつもりではいるんですけど。今回はエッジというよりも、歌によって変化していく場所みたいなものを描けたらなと思っています。

 


山田佳奈
山田新

やまだかな〇東京を中心に活動している劇団ロ字ックの作家・演出・役者。 


レコード会社 のプロモーターから演劇の世界へ。 
20代、30代の男女の深層をリアルに描く『人間のナナメ読み』によるエッジの効いた戯曲と、ポップで疾走感ある演出が持ち味。

劇団□字ック(ロジック)を主宰する傍ら、ガールズユニット「HAPPY BIRTHDAY」のライブ総合演出や音楽界の『夏フェス』ならぬ小劇場界の『鬼フェス』を主宰し、全団体の総合プロデュースを行うなど、エンターテイメ ント業界でマルチに活躍中。

2014年7月には俳優座劇場での外部演出も決定した。 


次回ロ字ック本公演「荒川、神キラーチューン」が5/14〜25ま でサンモールスタジオで予定。



ロ字ック公演『荒川、神キラーチューン』公演概要】

荒川神キラーチューン_表面

【日時】
2014年5月14日〜25日

【劇場】
サンモールスタジオ

【作・演出】山田佳奈
【出演】小野寺ずる 日高ボブ美  山田佳奈(以上、□字ック)
 円山チカ/浅野康之(劇団鹿殺し)浅見紘至(デス電所)
 大森茉利子 篠原彩 堂本佳世 増岡裕子(文学座/江古田の
 ガールズ)三上晃司 吉留明日香 レベッカ

【作品内容】
わたしの家の近くにはドブみたいな川が流れていて、

歌をうたうには最高な場所だったわけで。

雑念も苛立ちもぜんぶ石を投げるみたいにぶちまけてやってた。

でも、なーんか変わっちゃったんだよ。あの子のせいで。



殺されたり殺したりしてから気付くなんて馬鹿みたいじゃんね。

いつだって人間は感情をもっているのだから。あなたもわたしも。

事件なんて、いま、
あんたの目の前にある些細な事情による甘えの果てじゃんか。

それを止めたきゃ頭を撫でろ。抱きしめて謝れ。
謝罪しろ、贖罪して土下座しろ。

こっちはキラーチューン歌い終わったら、許すから。


ねえ。先生、マイク握って離さないなら、頭カチ割るよ?

(公演チラシより転載)


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