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大和田獏、徳山秀典

喜びの少ない人生を送ってきた女性が、唯一の愛を注いだ存在を失ったとき、起きてはいけない事件が幕を開ける……。
この春、すべての人に衝撃を与えるストーリーを、「朗読」という切り口で紡ぐ舞台『猫と裁判』が上演される。人の心に潜む暗闇をひたと見据え、そこから生まれる悲しい狂気を描き出した本作。主演の白石美帆をはじめとする魅力的なキャスト陣が、セリフの応酬のみで、緊迫のステージを展開する。今回、上司×部下として初顔合わせとなった大和田獏と徳山秀典の対談が実現! 本格的な稽古を前に、作品について、また各々の朗読劇にかける思いをじっくり語り合ってもらった。

誰もが抱く心の闇から生まれた悲劇

──まずは、原作『その猫に何が起こったか』をお読みになった感想を聞かせてください。
大和田 切なくて悲しくて、怖い部分もあり…。人は誰しも心の片隅に、深い闇を持っているもの。本当はその闇の部分を理解し合い、思いやりで埋めていくことが必要なんだけど、現代は人との距離もなかなか縮まらないから、そうもいかないような気がします。大きな闇を抱えると、そのまま呑みこまれていってしまうような面がありますよね。そういったところをしっかり描いているなと。と同時に、生きることや命の大切さも感じられて、「もう少し優しくならなきゃな」という思いにもなりました。動物の命も、人間の命も大事にすることが、幸せに繋がる。そういうメッセージを感じましたね。
徳山 僕自身も犬好きなんです。だから主人公の女性・啓子の気持ちがわからなくもなくて。飼っている犬や猫って家族だから、失ってしまうと立ち直れないぐらいのショックを受けるんですよね。僕はこれまでに2匹見送っているんですけど、あのときのつらさは今でも覚えています。翌日も仕事だったんですけど、現場でもそのことばかりが頭をよぎって、涙が出ないようにずっと窓の外を見ていて…。朗読しながら、泣かないようにしないと(笑)。
大和田 思い出しちゃうよね。ウチも犬を飼っているから、気持ちはとてもわかります。

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ベテラン弁護士と新人弁護士のタッグ

──今回、お2人は弁護士。上司と部下という役どころだそうですね。
大和田 僕は啓子を担当する弁護士・片桐です。なんとか彼女を助けたいと手を差し伸べるんだけど、助けきれない。そのやりきれない切なさと葛藤することになります。
徳山 僕の役は、原作にはない役。片桐の下で勉強している新人役で、同時にストーリーテラー的な要素も担っています。お客さんと近い立ち場で、「なるほど、なるほど」と事の成り行きを追いかけていくような、それぞれを見守ります。
──お2人は初共演になりますが、印象はいかがですか?
徳山 お昼の番組ではよく拝見していましたが、もう、横にいてくださるだけで本当に心強いです! 
大和田 はは(笑)。それは役者じゃなくて、バラエティーのほうの顔だね。徳山君は、爽やかでカッコいい好青年だなぁと。
徳山 いえいえ、ありがとうございます。
大和田 僕にも若い頃があったんだよ、なんてね。自分では歳を取ったような感覚がないので、今も20代、30代の気持ちなんです。だから年寄り扱いしないでください(笑)。
徳山 あはは(笑)。もちろんです。初めてお会いしたとき、こちらからご挨拶しなければいけないのに、大和田さんから声をかけてくださって、「なんて気さくな方なんだろう!」って思いました。「よし、これで何回かトチっても大丈夫かな」って(笑)。それは冗談ですけど、役と同じように大和田さんにくっついて、一生懸命勉強させていただこうと思っています。
──弁護士という役どころは、久しぶりですか?
大和田 検事はやったことがあるけれど、弁護士は初かもしれないな。弁護士の役って、法律の難しい専門用語がたくさん出てくるから、普通のお芝居だとセリフを覚えるのが大変ですよね。今回は台本を読みながらだから、大丈夫かな(笑)。
徳山 確かに! 僕も刑事とか、逆に捕まる役とかばかりだったので、弁護士役は初めてです。それも、楽しみなことのひとつですね。

声と言葉で、観客の想像力を刺激する

──朗読劇というと、やっぱり普段のお芝居とは少し勝手が違いますか?
大和田 僕は朗読劇って、そんなに経験がないんですよ。友達に頼まれて2度ほど、地方で地元の子供たちと絡みながら、『走れメロス』や『杜子春』を読み聞かせて演じる朗読劇をやったり、近いものっていうと、あとはラジオドラマかな。こんなに大勢での朗読劇というのは初めてだから、演出のなるせ(ゆうせい)さんがどんなふうに作るのか、非常に興味深いですね。
徳山 僕も、このジャンルは経験が浅くて…。以前にやった朗読劇は、稽古期間も少なかったので、これだけじっくり取り組めるのは嬉しいです。セリフを、どういう感情や声色で伝えていくのか。ひとつひとつを粒立てしすぎてもウソくさくになるし、淡々と読んだ方が伝わることもあるはず。自分なりに台本を読み解いてそのバランスを考え、稽古で皆さんと世界観をすり合わせていき、キャラクターを作りだしていければと思っています。とにかく初めてづくしなので、今はただドキドキです。
大和田 僕らが子供の時代は、ラジオドラマが結構多かったんですよね。僕は大好きだったんですけど、あれも不思議な世界で、映画や舞台だと目の前に絵が出てくるけど、ラジオドラマや朗読劇は、自分のイメージで世界がどんどん広がっていくじゃないですか。お客様のイマジネーションを刺激するようなモノを作れるかが勝負になってくるから、役者としてはやりがいがありますよね。

 徳山さん修正

大人数での朗読が描き出す、未知の世界

──この舞台にかけての意気込みを、聞かせてください。
徳山 これまでに参加した朗読劇は、公演数もとても少なかったんです。ですが今回は全9ステージあるので、その期間でどれだけ役として、役者として成長できるかが楽しみです。普通の舞台作品とは趣が違いますが、朗読劇でも変わることなく、最高のパフォーマンスをずっと維持していきたいなと思っています。
大和田 若い人と仕事ができるのが、嬉しいですね。主役の白石美帆さんはとても美しい。毎日稽古場に行くのが楽しいだろうなって思います(笑)。僕ね、もう少し歳を取ったら“語り部おじさん”みたいになりたいなって思っているんですよ。読みながら、動きをつけながら物話を聞かせるっていうのを、大和田獏のひとつのパフォーマンスとしてやりたいなと思っていて。その夢に向けてのヒントを、何かつかめたらいいなと思っています。キャストそれぞれの声がどんなふうに重なって、お客さんの心にドンと入っていくのか、すごく楽しみです。ミステリー要素もあって、1人の人間の深層心理を旅しているような、そういう面白さもありますから、それが舞台上でどのように展開されるのか、楽しみにしてもらえればと思います。

命と同じくらい大切なのは……愛犬!

──さて、お2人にとって、自分の命と同じくらい大切なものは何ですか?
徳山 やっぱり、飼っている犬ですね。
大和田 僕もそうだな。徳山くんと同じように、2匹見送ってね。亡くしてしばらくはペットロスのようになって、「もう絶対に飼わない」って思ってたんですけど、それから1年半くらい経つと、どうしてもまた飼いたくなって。今、7年目になります。
徳山 何を飼っていらっしゃるんですか?
大和田 トイプードルです。
徳山 あぁ、お利口さんですね〜。
大和田 お利口さんすぎて、こっちが飼われているような…(笑)。徳山君は何を?
徳山 僕は甲斐犬の兄弟を2匹と、あと黒柴です。
大和田 おぉ〜、和犬ですね。いいですね。
徳山 ホントにやんちゃなんですよ。家の中で飼っているので、もうガチャガチャ。でもそういうのも含めてかわいいし、かけがえのない存在なんですよね。


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おおわだばく○50年生まれ。福井県出身。73年にテレビドラマ『こんまい女』で俳優としてデビュー。以降、映画やドラマなどで、数多くの作品に出演している。出演作にドラマ『渡る世間は鬼ばかり』大河ドラマ『女太閤記』、朗読劇『ラヴ・レターズ』
舞台『るフェア』などがある。また98〜09年の11年にわたり、昼の情報番組『ワイド!スクランブル』の司会として活躍。現在NTV『いのちのいろいろ』でナレーターを務めるなど、温かく親しみやすい人柄で、多くの支持を集めている。

とくやまひでのり○82年生まれ。東京都出身。幼いころからドラマや映画に子役として出演、役者のほかミュージシャンとしても活躍、キャリアを重ねる。ドラマ『インディゴの夜』、『さくら心中』で主演を果たす。他出演作はドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜2011』『高校入試』、映画『タナトス』『パーテーは銭湯からはじまる』、舞台朗読劇『ラヴ・レターズ』などがある。5/16には出演映画『闇金ウシジマくん2』が公開予定。


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朗読劇『猫と裁判』
原作◇「その猫に何が起こったか?」(野村桔梗)
脚本・演出◇なるせゆうせい
出演◇白石美帆、徳山秀典、太田基裕、小谷嘉一、山川ありそ(少年社中)、疋田英美╱村井良大╱大和田獏 
●6/3日〜8日◎全労済ホール/スペースゼロ 
〈料金〉 ¥5,800(全席指定・税込)
〈問合わせ〉CLIE 03-3409-5154(平日11時〜18時)



【取材・文/木下千寿 撮影/アラカワヤスコ】


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