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堤幸彦・ミムラ・戸次重幸

シアタークリエで1月12日から上演される『スタンド・バイ・ユー〜家庭内再婚〜』は、ヒットドラマ・メーカーの脚本家・岡田惠和が初めて書き下ろした戯曲。演出は映像作品だけでなく、『悼む人』『真田十勇士』などの舞台でも話題をふりまく堤幸彦が手がける。
 
休暇で貸別荘に訪れていた2組の夫婦が、別々のパートナーとともに大雪というアクシデントで閉じ込められてしまう…。結婚生活をテーマに描き出す“あるある”感満載の大人のラブ・コメディだ。
夫婦を演じるのはミムラと戸次重幸、真飛聖と勝村政信という華やかな顔ぶれ。この4人が、ふとしたアクシデントでパートナーをチェンジの危機に?
ちょっと滑稽で、ちょっとデンジャラスで、やがて胸熱なドラマが、まもなくその全貌を現す。その舞台への抱負を堤・ミムラ・戸次の顔合わせで語ってもらった演劇ぶっく12月号の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介。

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いい台詞や名言がたくさん出てくる大人の芝居

 
──今回、初めて同士ということですが、堤さんのお2人へのイメージは?
 実は2人とも気難しい方かなと思っていたんです。くだらないこと言うと嫌な顔をされるんじゃないかと(笑)。全然そんなことなくて、ミムラさんはすごく正直な方で、本読みの日にマネージャーさんの時間の読み違いで、時間ぎりぎりになって、その焦りを引きずりながらというのが面白くて(笑)。舞台もこのバタバタ感が出るといいなと。遅刻してもらいましょうか(笑)。
ミムラ あのときは本当に申し訳ありませんでした!
戸次 舞台上でも共演者がミスするといい感じのアドレナリンが出ますよね。なんとかしなくちゃという。でも、終わったあとの酒がうまいというか、人のミスをフォローしたときの酒のうまさといったら(笑)。
 戸次さんは、プロ中のプロという印象ですね。この芝居でのチャラ男は当て書きではないかと言われていましたが、僕は全然違うと思ってて、深い方だと思ってます。
──お2人から見て、堤さんへの印象は?
ミムラ 監督さんって皆さん一癖二癖あるのですが、堤監督はすごく穏やかな方で、でもやはりどこか見破られてしまう恐さがあるなと思いました。それから今日、掃除機4台で掃除しているというお話を聞いて、そのストイックさが演出になったとき、果たして私は対応できるのかと(笑)。
 全然ストイックじゃないから、大丈夫です。
ミムラ 私はすごくチキンなんです。いつも30分くらい余裕を持って着いていたいタイプで。
 だから、よけい焦ってたんだね(笑)。
ミムラ すみません。(笑)。もう私のダメなところは見られてしまったので、全部さらけ出していこうと思っています。
 こういうふうにいちいち受けてくれるところが面白いし、頼もしいんです(笑)。
ミムラ 戸次さんとは以前ドラマで共演させて頂いて、とにかくラインが綺麗というか、こんなにシュッとした人はいないというくらい素敵。でも仲間うちでは「残念なイケメン」と呼ばれているとか、ご自分で面白がってそんなことを言えるのは、とても男前だなと。
戸次 (笑)。僕は、監督とやっとご一緒にできるのが嬉しくて。役者は演出家の言う通りにやるのが大事だと思っていますから、ぜひイジメていただければと。それから、僕は途中で止まりたくないというか、いつも稽古場の最終日ぎりぎりに「できた!」という感覚になりたいんです。ですから、これでいいという状況でも、あえて「違うのも見せて」と言っていただければ嬉しいです。でもモノを投げるのはやめてください(笑)。
 そういうタイプじゃないです(笑)。僕はコントをたくさんやってきたので、その感覚が抜けずに演劇をやっているので、どうしても笑いにはこだわるんです。ちょっとした間だったり、コンマ何秒の世界で笑ってもらうのが好きで、今回は百戦錬磨の方ばかりですごく楽しみです。稽古場では完成しないというか、板の上に立ってしまえば俳優さんのものですからね。編集ができない世界で、僕が逆に叩きつけられたいというのが願いです。

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戸次さんとの映像では40回くらい稽古して

──ミムラさんは初舞台なのですね。
ミムラ そうなんです。本読みの前の晩なんか眠れなくて。でも舞台はずっとやってみたかったんです。私は運良くこの世界にポンと入らせていただいた人間で、いつもここにいていいのだろうかと思いながらの10年間だったんです。そのなかでとくに尊敬する俳優さんとか、すごいなと思った方はやはり舞台経験のある方が多くて。映像は編集でマジックを入れて貰えるのですが、それがないところで観てもらえる舞台は恐くもあり、楽しみでもあります。カウンターで料理人が料理しているのを見るのが好きなんですが、顔が見えるのがいいというか、これも生ものへの憧れからですね。
 僕なんか映像で延々インチキをやってますからね(笑)。
ミムラ でも舞台に出ると映像のよさもわかると言いますね。
戸次 僕は舞台出身で映像もやらせていただいてますが、やはり最初は戸惑いがありましたね。声量でまず戸惑ったし、求められるスキルが全然違うのがストレスで、まったく芝居してる気がしなかった。稽古で積み上げてきたものを見ていただくのが、自分の芝居の見せ方だと信じていたので。家で台詞を何十回読んでもそれは稽古ではないし、自信がないものを見せるのがいやだったんです。でも慣れてきたら、瞬発力を出すこととか、「用意、ハイ」というあの空気に負けない精神力とかが付いてきて。
 あれ暴力的ですからね。
戸次 今は両方のメリットばかりを感じるし、それぞれ反映させることができるので。
 いい話ですね。
──その両方を監督も続けられていますね。
 僕も素材の持ってる生(き)の味が好きなんですよ。だから映像でもぶっつけ本番が多くて、演出するとわざとらしくなるので、説明だけして、「じゃ、やってください」と。みんな戸惑いますよね。そこでその人が持っている本来の部分が出てくる。でも戸次さんと映像やるときは40回くらい稽古しましょう。
戸次 最高ですね(笑)。

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ぐちゃぐちゃになるためにも元の関係を大事に

──今回のお芝居は2組の夫婦が入れ替わる面白さがありますが、ミムラさんは勝村さんと、戸次さんは真飛さんと一緒のシーンが長いのですね。
ミムラ まず4人が到着する場所が日常的ではないところで、しかも相方が入れ替わった形でスタートするんです。ですから、それぞれの夫婦が普段はこうなんだという日常を、どこかで感じさせないといけないと思っています。相方についての台詞もあるのですが、そこで生活をどれだけ想像させられるかでしょうね。それから、相手が変わると人間は出す部分が変わりますよね。その違いを見てもらうことで、元に戻ったときの面白さも発見してもらえると思うんです。かなり崩壊してぐちゃぐちゃになる芝居なので、元をしっかり感じてもらえるように戸次さんと作っていければと。
戸次 僕の場合は、真飛さんも元カノなので、なんか妻が2人いるような感じなんですが(笑)。劇の構造的に僕と真飛さんのシーンが後半に出てきますが、お客様に前半と同じパターンかなと思われないように、どう新鮮さを出すかでしょうね。
 実は全員、舞台に出ずっぱりでやろうと思っています。見ながらリアクションしてもいいし(笑)、俳優も観客も参加性がある舞台にしたいなと。それに、夫婦役以外のキャストもすごく魅力的な俳優さんばかりで心強いです。演奏家も見せたいし装置も立体的にという我がままな舞台を作ろうと思っています。
──2組の夫婦はまだ子供もいないし恋愛感情が残っていて、だからこその関係性もありますね。
ミムラ 相手によって変わる合わせ鏡ではないですけど、関係性のカオス感が面白いですよね。芸達者な方ばかりなのでちゃんとついていけるか心配です。
 皆さんすごいと思いますよ。何もしないのが一番勝ちます(笑)。
戸次 僕はこの物語のオチがすごく好きなんです。僕もちょっと脚本とか書くんですが、さすが岡田さんだな、こう書くかという。
堤 すごく大人の本ですよね。いい台詞がたくさんあって、名言がたくさん出てくる。それに戸次さんの藤沢が欲情すると脇を掻くとか、岡田さんらしい表現だなと。
ミムラ そういうところ愛しいですよね。笑えるところもたくさん出てくるし、刺さるところもあるし。
 僕が芝居を観始めた頃、パルコ劇場とかで観た洒落た感じの舞台になるんじゃないかな。シアタークリエのお客様に、いいものを観たなと思っていただける、そういう作品になると思っています。
 
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つつみゆきひこ○55年生まれ、愛知県出身。映画監督、演出家。堂本剛の『金田一少年の事件簿』や『ケイゾク』、『池袋ウエストゲートパーク』、『トリック』、『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』などのヒットドラマを演出。最近の映画は『くちづけ』『エイトレンジャー2』。舞台は『悼む人』『真田十勇士』など。また演劇ユニット・キバコの会でも活動。

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みむら○84年生まれ、埼玉県出身。03年ドラマ 『ビギナー』(CX)でデビュー。ドラマや映画の多くの作品で活躍中。岡田惠和作品では『銭ゲバ』(NTV)に出演。最近の主な作品は、映画『天国からのエール』(アスミック・エース)連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(NHK)『恋するハエ女』(NHK)『東京バンドワゴン〜下町大家族物語』(NTV)、『昨夜のカレー、明日のパン』(NHK BSプレミアム) などに出演。

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とつぎしげゆき○73年生まれ、北海道出身。演劇ユニットTEAM NACSのメンバーで、舞台、映画、ドラマ、バラエティで活躍中。TEAM NACS SOLO PROJECT 戸次重幸一人芝居『ONE』では脚本・演出も手がけた。最近の主な出演舞台は『モンティパイソンのスパマロット』『こどもの一生』『趣味の部屋』など。TVドラマ『すべてがFになる』(CX)に出演。11月より『ダークスーツ』(NHK)に出演中。
 

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『スタンド・バイ・ユー』
〜家庭内再婚〜』
脚本◇岡田惠和 演出◇堤幸彦
出演◇ミムラ 戸次重幸 真飛聖 モト冬樹
広岡由里子 馬場良馬 勝村政信
●2015/1/12〜27◎シアタークリエ
〈料金〉¥9,200
(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
●2015/1/30〜2/1◎サンケイホールブリーゼ
〈お問い合わせ〉ブリーゼチケットセンター 06-6341-8888
静岡、名古屋、福岡公演あり