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AKB48を卒業した川栄李奈が主役をつとめる『AZUMI 幕末編』が、9月11日に新国立劇場 中劇場で幕を開けた(24日まで)。
暗殺者として育てられた少女を主人公にした小山ゆうの『あずみ』は、1994年から2008年まで青年誌に連載され、高い評価を得た漫画。03年と05年に上戸彩主演で映画化され、05年と06年には黒木メイサ主演で舞台にもなった。その後は幕末を舞台にした『AZUMI』が14年まで連載され、今回、前2作の舞台演出を手がけた岡村俊一によって、『AZUMI 幕末編』として舞台化された。

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【物語】
時は幕末、桜田門外の変で大老の井伊直弼を凄腕の刺客あずみが討ち取る。幼い頃より武術の訓練を積み、刺客となるために育てられてきた。あずみを指揮するのは江戸の豪商・三井八郎衛門。井伊を討ち取った褒美にあずみには双子の兄・駿介がいることを教える。その兄や坂本竜馬との出会いがあずみの運命を変えていく。

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主役のあずみを演じるのは、8月にAKB48を卒業してから本格的な舞台はこれが初めてとなる川栄李奈。冒頭からワイヤーアクションで悪い奴らをなぎ倒し、激しいアクションシーンを次々にこなし、休憩なし2時間の舞台を、小柄な体から発するパワーと感情豊かな演技で走り抜き、大舞台の主役を見事につとめ上げている。
兄の向駿介を演じるのはTVドラマ『仮面ライダーオーズ』主演でおなじみの渡部秀。坂本竜馬と出会ったことで新しい日本のために役立ちたいという目標に目覚める青年を、すがすがしく演じている。
そして、「刀のない世界を作る」という理想を掲げる坂本竜馬役には、朝ドラ『マッサン』で注目された浅香航大。人を惹きつける魅力にあふれた温かい芝居と風格があり、彼の理想に感銘したあずみが次第に異性としても惹かれていくのも納得できる。

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彼らに関わる人間像も多彩で、駿介の友人の圭次郎(久保田秀敏)、駿介の養子先の姉・志乃(岡本あずさ/お駒と二役)、志乃を妾にと狙う旗本の滝沢欣矢(町田慎吾/近藤勇と二役)、あずみを指揮する江戸の豪商三井(細貝圭)、あずみを狙う桑名藩家老の服部半蔵(佐藤祐基/勝海舟と二役)、そして金のために殺しを請け負う刺客の壮太(早乙女友貴)などが登場。それらの人々との出会いと戦いの中で、あずみは戦うことへの疑問や、刀を持つことの意味を突きつけられることになる。

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早乙女友貴の切っ先鋭く鮮やかな殺陣、町田慎吾の憎々しさを貫いた悪役ぶり、志乃と二役のお駒を見事に演じ分ける岡本あずさ、若さゆえの儚さを見せる久保田秀敏、そして細貝圭や佐藤祐基の底知れない不気味さや迫力などに加え、岡村作品常連の吉田智則、須藤公一、黒川恭佑、杉山圭一など達者な面々が物語を盛り立て、舞台の熱をかき立てる。

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映像や舞台奥に登場するアンサンブルによって場面はテンポよくつながり、途中にはミュージカルシーンもはさんで盛り上がる。大人数から1対1までの派手な立ち廻りに驚かされつつ、大事なメッセージは役者たちが熱く語るという構成で、目が驚き心は震える、見ごたえのある舞台になった。
 
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岡本あずさ、細貝圭、
浅香航大、町田慎吾、川栄李奈、早乙女友貴、渡部秀、佐藤祐基、久保田秀敏、岡村俊一

【囲みインタビュー】

公開稽古後の囲みインタビューには演出の岡村俊一、川栄李奈、浅香航大、渡部秀、久保田秀敏、早乙女友貴、町田慎吾、佐藤祐基、岡本あずさ、細貝圭が参加した。
 
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──役柄と意気込みについて。
岡本あずさ 今回は二役で、駿介とあずみの優しい姉の志乃と、あずみの仲間でちょっと変なお駒さんとを演じます。まるで違うキャラなので、思い切り振り切って、あとは座長についていこうと思っています。
細貝圭 三井は、表は武器商人ですが、裏では刺客をやとって自分の作りたい世界に邪魔な者を排除する悪い奴です。
浅香航大 幕末に竜馬が唱えた思想を今の人にも伝えたい。観てくださった方の中で、伝説に残るような舞台にしたいと思います。
町田慎吾 序盤の滝沢欣矢、終盤の近藤勇と、二役とも悪い役なので、観る方から「何だ、あいつ!」と思われるよう(笑)、しっかり演じたいです。
早乙女友貴 あずみとはライバルになる壮太という役で、最後まで怪我なく、全力で戦えたらいいなと思います。
渡部秀 僕が演じる向駿介は、最初は身分制度の中の御家人という立場で家を守るために抗っているのですが、あずみと出会って新しい日本のために戦うという成長をみてほしいです。
佐藤祐基 勝海舟と服部半蔵の二役をやらせていただくので、勝では人間としての懐の深さを見てほしい。半蔵ではあずみを苛め抜いて、追い詰めていくところを自分でも楽しんでいます。
久保田秀敏 駿介の幼なじみで親友の圭次郎を演じさせていただきます。最初は信念も同じなのに、最後は敵対してしまう。でも、熱い思いは変わらないところを観てほしいです。
川栄李奈 あずみは辛くて、苦しいキャラクターです。(AKB48時代と違う)劇場の広さなどにも戸惑いながら、千秋楽までにもっと良くなっていきたいと思います。舞台に出るなんて考えたこともなかったし、殺陣も大変ですが、回りの皆さんにサポートしていただいています。
(共演者から「2週間前までは、殺陣が辛くて眠れないとつぶやいていましたよね!」と指摘される)
川栄 やっているうちに楽しくなったし、早乙女さんには「やりたいようにやっていいよ」と言っていただいたので、今は斬るのは楽しいです。
岡村俊一 川栄は覚えがすごく早くて2週間くらいで全部覚えて、本番に向けて完成させてきた。総選挙では最高何位だっけ?
川栄 16位です。
岡村 今の日本の演劇界では1位もとれるんじゃないか。
──最後に意気込みを。
川栄 怪我なく無事初日を迎え、日々成長しあって千秋楽を迎えたいです。

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〈公演情報〉
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『AZUMI 幕末編』
原作◇小山ゆう(小学館刊)
構成・演出◇岡村俊一
脚本◇チーム渡辺(渡辺和徳 他)
出演◇川栄李奈/浅香航大、渡部秀、久保田秀敏
早乙女友貴、町田慎吾/佐藤祐基/吉田智則、岡本あずさ/細貝圭 他
●9/11〜24◎新国立劇場 中劇場
〈料金〉S席¥8,500 A席¥7,500(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉
東京音協 03-5774-3030(平日11:00〜17:00)




【文/佐藤栄子 撮影/岩田えり】



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粟根まこと、松永玲子ほか、【ほのぼろ稽古場通信】など連載中!
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