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東京芸術劇場シアターウエストにて上演中の舞台『オーファンズ』
思いもよらないラストシーンと役者たち演技の評判が非常に高い、話題の作品らしく、客席は男女問わず幅広い年齢層の観客で埋まっている。

舞台となるのは、アメリカ・フィラデルフィアの古びれたアパートメント。
孤児の兄弟・トリートとフィリップ、ふとしたことから同居することになった中年男性・ハロルドの3人による再生と絆の物語だ。

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この作品は1983年にロスアンゼルスで初演後、日本でも市村正親、椎名桔平、根津甚八などの名優たちによって演じられており、今なお世界中で上演され続けている名作戯曲。翻訳劇に定評がある作・演出家の谷賢一が新たに翻訳を手掛けたことで、現代風な作品に生まれ変わっている。

主演は近年『真田十勇士』(宮田慶子演出)、『いつも心に太陽を』(岡村俊一演出)出演のほか、えんぶチャートにも‘13年より2年連続ランクインするなど、舞台俳優として評価を得ている俳優集団D-BOYSの柳下大。今作は演出の宮田慶子に自らオファーし、企画が実現した意欲作である。
柳下演じるトリートの弟・フィリップ役には、劇団プレステージの平埜生成。若手ながら蜷川幸雄演出ロミオとジュリエット』、9月に上演予定の栗山民也演出『DISGRACED』出演と今後がますます期待される注目株だ。
ハロルド役には映画『そこのみにて光輝く』での好演が光り、舞台でも豊富な出演経験を積み、次回作に『御宿かわせみ(G2演出)、紙屋町さくらホテル』(鵜山仁演出)が控える高橋和也。

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物語は、薄暗く散らかった部屋から始まる。
TVの前にしゃがみこみ、一人お気に入りの番組を楽しむフィリップ(平埜)。
そこへ盗品をせしめたトリート(柳下)が帰宅する。
兄弟は、いつもの変わらぬ日常を過ごしていた。
ある日、トリートはバーで出会ったハロルド(高橋和也)を連れ帰る。
ハロルドは自身の孤児院での思い出を語りながら、眠りこけてしまう。
トリートはハロルドを実業家と思いこみ誘拐を計画、縛り付けるとフィリップに見張りを命じ、また一人出掛けて行く。 
しかしトリートの思惑は外れ苛立ちながら帰宅すると、そこには声高らかに歌い自由にふるまうハロルドの姿が。
激昂するトリートにハロルドは、やさしく問いかける。
「私のところで働かないか?私たちはきっとうまくいく」
ハロルドとの生活は、兄弟ふたりに変化をもたらしていく。
教養とお金を与えられ、トリートは人とのつながりを学び、フィリップは外の世界を知るようになる。
孤独だった3人は互いに寄り添い、温もりを分かち合う存在になっていくが……。

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柳下は暴力的な愛情でしか弟を守ることができないトリートをナイーブに表現。不器用なまでに弟を想う温かさを時折垣間見せながら、ハロルドの存在により、自身も気づかぬまま変化していく複雑な心の機微をリアルに演じている。終盤での感情の爆発と痛みの表現はまさに圧巻だ。
平埜は、フィリップを繊細に体現。暴力的な兄におびえながらも、日々を楽しもうとするひたむきで純真な少年を等身大で好演している。ハロルドによって解き放たれていく様は観る者の共感を呼び、その成長に心打たれる。生き生きした表情と動きには目が離せなくなるような魅力がある。
そんな兄弟をおおらかに包み込む役どころの高橋は、ハロルドそのもの。豪放で愛きょうあるキャラクターながら、父性をもって二人に向かい合う姿は高橋自身にも通じるものがあり、どこか優しさを漂わせている。それだけに彼の背景にある社会の闇の深さが哀しい。
思わず笑ってしまうシーンもはさみながら、いつの間にか3人の世界に惹きこまれてしまう“奇跡の出会い”を描いた人間ドラマ。ラストシーンは心震わされ、観るものの胸の奥底まで強烈に訴えかけてくる。そして観劇後も彼らの未来を想ってしまう、そんな余韻を味わえる作品だ。
“人はふとしたきっかけでこんなにも変わることが出来る”。この『オーファンズ』は翻訳の谷、演出の宮田、そして3人の役者によって丁寧に丁寧に作り上げられたことがうかがえる。役者たちの全身全霊の演技をぜひ劇場で味わってほしい作品だ。

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7公演目となった2月14日の上演後には、柳下と平埜、高橋によるアフタートークが行われた。上演後の感動さめやらぬ客席から拍手で迎え入れられた3人。
柳下は今作について「ちょっとしたニュアンスとか、さじ加減でがらりと芝居が変わってしまう、毎回毎回新鮮さを積み重ねている」と話し、高橋も同調しつつ「本番前は毎回恐ろしい思いで、裏で集中している」と真剣な顔に。
それから本番に向けての集中の仕方について話す中で、平埜の過ごし方に興味深々な2人(笑)。
途中より宮田さんも参加し、平埜いわく「とても楽しそうにダメ出しされますよね?(苦笑)」という宮田さんならではの演出法についてトーク。
 
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予定時間をオーバーするほど盛り上がり、最後はメッセージで締めくくった。
柳下「ぜひ面白いなと思ったら、お友達を誘ったりまた観にいらしていただけたら思います」
 
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平埜「21日まで、どんどんどんどん熱くなると思います。熱くします!」
 
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高橋「毎回3人で、きわきわ、すれすれの綱渡りをするような公演をやっています。この緊張感を持って、最後まで成長し続けたいと思います。どうぞ皆さん、応援してください」

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宮田「舞台って日々違うんですよね。本番入ってから、いい方にどんどん変わっていってくれている。舞台ってライブだし、一期一会だし。また目撃したい方は、その日の3人を観に来ていただけたらと心から思います」
『オーファンズ』がさらに楽しめる、ここでしか聞けないプレミアムなアフタートークもぜひ楽しんでほしい。


 
〈公演情報〉
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『オーファンズ』
脚本◇ライル・ケスラー
翻訳◇谷賢一
演出◇宮田慶子
出演◇柳下大 平埜生成 高橋和也 
●2/10〜21◎東京芸術劇場 シアターウエスト 
●2/27、28◎新神戸オリエンタル劇場 
〈料金〉
東京/S席¥6,800 高校生以下¥4,000(全席指定・税込)
大阪/S席¥6,800 A席¥5,800(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉ワタナベエンターテインメント03-5410-1885 (平日11:00〜18:00)


●アフタートークスケジュール
〈東京公演〉
■2月18日(木)19:00公演
柳下大×宮田慶子×三津谷亮(俳優集団D-BOYS)
本公演実現のきっかけとなる柳下大と宮田慶子さんの出会いとなった舞台『真田十勇士』。
『真田十勇士』でも共演した柳下と同じ俳優集団D-BOYSのメンバー三津谷亮をむかえ、
宮田演出の魅力についてお届けします。

〈兵庫公演〉 
■2月27日(土)13:00公演
柳下大×平埜生成×高橋和也×宮田慶子
■2月27日(土)18:00公演
柳下大×平埜生成×高橋和也
出演者とともに、終演後も「オーファンズ」の世界をお楽しみください。


【資料提供/ワタナベエンターテインメント】


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