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藤田記子・八嶋智人

めくるめくような掛詞と重層的な世界観で、毎回観客を巻き込んでいく、松村武率いる劇団カムカムミニキーナ。今年の本公演は、劇団の看板女優・藤田記子を座長に送る『野狂(やきょう)〜おのしこのし〜』。2015年5月八嶋智人座長公演『スワン・ダイブ』、11月山崎樹範座長公演『>ダイナリィ』に続き、2016年本公演はプリタこと藤田記子が座長に抜擢! ゲストに、瀬戸さおり・福田転球・久保酎吉を迎え、カムカムミニキーナが送る「納涼ホラー大作」!

【あらすじ】
賢愚いかなる王の下でも忠実なる僕として、この国を縁の下で支え続け、歴史の表舞台には登場せずとも不気味に栄え続ける一族小野氏。小野妹子小野ヨーコ小野ヤスシ小野伸二小野ののか…そして「野狂(やきょう)」と呼ばれ、ついに生死の境を越えた地獄の魔人小野篁(たかむら)。その孫にして絶世の狂女小野小町は野に下り、秘密の花園にて、恐ろしき時空召喚の禁術に手を染める。
跨ぐ千年、ついに怨念へと極まりし現代、神は一族最後の少女に残酷で悲しき血の贖いを求めた… 

歴史の裏舞台で不気味に栄え続ける小野一族。その1人、小野小町に藤田記子が扮して送る座長公演を前に、昨年の『スワン・ダイブ』で座長をつとめた八嶋智人とともに、藤田座長が語る『野狂〜おのしこのし〜』。演劇ぶっく8月号の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介。

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俺の重さをお前たちも背負えと

──八嶋さんの『スワン・ダイブ』、山崎(樹範)さんの『>
ダイナリィ』に続いて、いよいよ藤田さんが初座長ですね。 
藤田 去年は劇団の25周年でしたから特別だと思っていたので、私も座長と聞いたときは「えっ、いいのかな」と。でもそういう立場を背負わせてもらえるのは、自分にも励みになります。
八嶋 うちの劇団は基本的に松村武が座長で、中堅メンバーたちは、それぞれ劇団運営上の役職に就いているんです。それで僕ら古株3人だけが、何の役職もない外様大名みたいなポジションで(笑)、その僕らに責任感を持たせようかというのが、25周年の座長公演だったと思います。それで僕、山崎、ときたところで、松村と僕の中で「最近の藤田はすごい」という話が出て。外部でも色々活躍しているし、藤田座長で1本やってみようということになったんです。
──その3人の方は、観客として観ていてもカムカムを牽引していて、いわばスターですから、藤田さんの座長も当然だなと。
藤田 私はただ八嶋さんや山崎さんと一緒に、でも女ということで可愛がってもらって、ワガママも言わせてもらってきたんです。でも、八嶋さんもおっしゃったように役職をやってないので、「背負ってやってみろよ」という松村さんの、「俺の重さを背負えよ」ということなのかなと。
八嶋 あると思いますね。「こっちは全部やってるんだからな」と(笑)。
──昨年の八嶋さんの座長ぶりはいかがでした?
藤田 劇団では松村さんがお父さん、八嶋さんはお母さん的な立場でまとめてくれていて、普段からみんなの心のケアとかも気にしてくださるんです。だから八嶋座長のためにとみんなが頑張って、それは山崎くんのときも劇団員の想いを感じました。
八嶋 僕は山崎の『>ダイナリィ』は出ていなかったから、客席で観たんだけど、面白くて、羨ましかった。
藤田 山崎くんは八嶋さんの『スワン・ダイブ』を観て、最高だと感動してました。

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塊のままのほうが伝わりやすい松村戯曲

──今回の『野狂』ですが、藤田さんは絶世の美女・小野小町の役ですね。
藤田 美女というより狂女なんですが(笑)。
八嶋 小野篁の子孫です。小野氏というのは今で言えば官僚みたいなもので、脇というかサブの立場で時の権力者を支える存在です。しかもあの世とこの世を行ったり来たりできるという。松村らしい世界観で、歴史から俯瞰したとき現代の色々な問題に繋がってくるという構造になっています。
──いつもながら重層的な仕組みで物語が進んでいきそうですね。八嶋さんも藤田さんも、そんな松村戯曲を読み解いて表現して、さすがだなと思います。
八嶋 たぶんあまりわかってないんです(笑)。松村の本はあまりわかりすぎてもよくないというか。芝居によっては、ワンセンテンスごとに気持ちを込めてうまいなと思わせるものもありますけど、松村の芝居はワンセンテンスごとに気持ちを込められてしまうと、逆に繋がらないんです。塊(かたまり)で渡すほうが伝わる。早いテンポでスピードに乗せて、でかいボールのまま渡す。その方法のほうが面白いと思っているから。
藤田 なんかびっくりさせられたいんですよね。勢いというか。
八嶋 そういう意味では藤田はすごい。この人が暴走することで周りがわかることが沢山あるんです。
藤田 松村さんに、方向が違うとしょっちゅう言われてますけど(笑)。
八嶋 でも若い役者なんかには、この台詞で藤田さんはこれだけ上がるんだというのがわかればいいので。
藤田 学生時代から松村さんに、「飽きた」とか「つまんない」とかいつも言われていたので、とにかく使えるものは全部使う、貧乏症なんです(笑)。たとえば髪の毛をリボン状に絡ませるだけで何かの表現になればいいなとか。持ってるもの全部使って、やっとぎりぎり何かできていればいいなという。
──カムカムの女優さんは、そういう藤田さんの系譜を引いてエネルギッシュな人が多いですね。
藤田 素直なんです。その子たちが、今回私が座長することを自分のことのように喜んでくれて。カムカムは男優の劇団と言われた時期もあったので、それだけに、座長をさせてもらえることはすごく嬉しいです。
──長く続いた劇団だからこそ、藤田さんの座長も大きな価値がありますね。
八嶋 藤田は主役は何回かやってるけど、座長は初だからね。
藤田 八嶋さんより先に名前があるなんて畏れ多いし、プレッシャーですが、先輩座長たちに負けないように頑張ります。

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藤田記子・八嶋智人

やしまのりと○奈良県出身。劇団カムカムミニキーナ旗揚げメンバーにして看板役者。TV・映画・バラエティ等で幅広く活躍中。最近のTVドラマは、NHK連続テレビ小説『マッサン』新春ドラマスペシャル『坊っちゃん』、NTV『戦力外捜査官スペシャル』、BSフジ『鈴木光司リアルホラー「鍵穴」』、EX『遺留捜査スペシャル』『迷宮捜査』『妻と飛んだ特攻兵』、CX『HERO特別編』『早子先生、結婚するって本当ですか?』など。劇団以外の最近の舞台は、こまつ座『國語元年』ナイロン100℃『消失』スパイラル芸能の宴2016「花方第二章『若松の宴』」など。

ふじたのりこ○東京都出身。94年からカムカムミニキーナに参加。劇団の看板女優。02年に演劇ユニット「うさこF」を立ち上げ、08年には澤田育子との新ユニットgood morning N˚5を立ち上げる。劇団以外の最近の出演舞台は、大川興業『The Light of Darkness』碗プロダクション5周年記念公演『碗遊記』KOKAMI@network vol.14『イントレランスの祭』など。テレビ『ねまきでアート』(BSプレミアム)にレギュラー出演中。8月には鴨リンピック『青木さん家の奥さん』に出演予定。

〈公演情報〉
OMOTE OUT
カムカムミニキーナ 2016年本公演  
『野狂〜おのしこのし〜』
作・演出◇松村武
出演◇藤田記子、八嶋智人、松村武、吉田晋一/瀬戸さおり、福田転球、久保酎吉  ほか
●7/22〜7/31◎東京/座・ 高円寺1
●8/6、7◎大阪/ABCホール
〈料金〉¥5,000 学生割引¥3,900(全席指定・税込) 
●8/11◎奈良/やまと郡山城ホール
〈料金〉
¥4,800 学生割引¥3,900(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉カムミニキーナ 03-6328‐1076




【取材・文/宮田華子 撮影/大倉英揮】
 


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