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アマヤドリが15周年企画として行っている過去の選りすぐり三作品の再演シリーズ「汚れちまったアマヤドリと、15年分の後悔」の第2弾!「イノチガケで戦争を止めようとする人たちの、ちっともイノチガケではない、空騒ぎのような日常を描いた作品」(公演チラシより)で“イノチガケ”で作品作りに励み、物語を引っ張っていく二人! 小角まや・倉田大輔の真摯で熱き対談!


「物語を楽しみに」大勢の人に来て欲しい。

――お二人の役はどんな役ですか?
小角 わたしは初演もやらせてもらった役で、「サンゲ(散華)」という団体が出てくるんですけど、その団体が自殺をすることで「戦争をなくそう」という団体なんですよ。その団体に家族が巻き込まれちゃって。という巻き込まれた側の、すごく「サンゲ」という運動自体に反対している役なんです。劇の中でずっと反対している役。ほかに反対する人は出てこないですね。倉田さんは、その「サンゲ」という団体のリーダーですね。
――一番軸になる人物ですか?
倉田 お話としてはそうですね。お話を進めていく役です。主役と言えば主役なんですけど、狂言回しみたいな節があるのかなぁ。というような不思議な役なんです。


――配役が決まったときの感想を聞かせください。
小角 自分は初演の時に、広田さんが当て書きで書いてくださって、自分に近い部分が多い役だったので。またやることになるのかなという納得感みたいなものはありましたね。「もう一回やれるんだ」という嬉しい部分もありましたし、初演が3年前なんで、もっとよくしたいという思いもすごくありました。
――それはいい機会ですね。
小角 劇団員も大幅に増えたので。初演でまったく同じ役をやるという人は少ないんです。だからみんなとは少し違う、逆のプレッシャーみたいなものが(笑)。自分との戦いか・・・みたいな。
倉田 同じ役を演じるのは、楽しいんですか?
小角 楽しいですね。やっぱり深められる部分があるので。時間をよりかけられるみたいな。わたしはすごいうれしいですね。倉田さんはいかがですか?
倉田 初演を観てるんですけど。今回、僕が演じる役は、初演ではスキンヘッドでなかなかパンチのある人が演じていて。彼のイメージがものすごく強かったんで、どうしていこうかなというか。・・・何なんですかね。彼のイメージの強さですかね。
――(前回公演の写真を見ながら)一目で焼き付いちゃいますもんね。
小角 どっちかというと、初演の彼は「陽」のイメージがあるんですよ。「陰」と「陽」で言うと。倉田さんはどっちかっていうと、「陰」。
倉田 ちょっと待って。天真爛漫・・・
小角 天真爛漫とは真逆の、陰の強さみたいなのがあって。テンションすっごい低いみたいな役とかをやったら、すごいんですけど。一方、陽の人が前にやった役だから、それをどうやるのかなというのはものすごく楽しみだし。今までに無い倉田さんが見れるのかなって、みんなですごい噂してるんです(笑)。


――今回の出演に際して、目標のようなものを教えていただけますか?
小角 いろんな人の思いが渦巻いている。しかもその思いというのが、生半可なものではなく、鬼気迫るものがある台本だと思うんですね。その分、わかりづらさもあるから、一人一人がちゃんと自分の限られたシーンの中で、明確に自分の役のことを表現して行かないと、見ている人は「なんかよくわかんないな」というだけで終わってしまうと思うんです。でも、逆に全員が色濃くできれば、すっごく広いというか、壮大な作品にできるんじゃないかなという可能性を感じていいます。それを俳優たちが立ち上げたときに、そのエネルギーを殺さないで、むしろ増すように伝えたいなと思います。そういうのを感じてもらえたらうれしいですね。
倉田 素晴らしいですね。
小角 本当ですか!? 独りよがりになって「なんか分からないな」と思われるのはいやで。何か共感できるような、お客様も一緒に進んで行かないといけないと思うので。ちゃんと劇の中で順序をたどって燃えて行きたい。というのが目標です。
――倉田さんはいかがですか?
倉田 日常を切り取ったようなお芝居ではない、その対極にあるようなスケールの大きなお芝居で。重い話、大きな話でもあるし、考えさせられる話ではあるんですけど、観てもらう僕たちの側からすると、間口は広く、あらゆる方に観ていただきたいという思いがあるので。物語を伝えたいというのは、第一前提としてあるんですけど、それで何か政治的な思想や思いを各々持ってくれというのでは、まったく無くて。・・・何って言うんですかね。タイトルが『月の剥がれる』となっていますけど、見終わったときに、「月の剥がれることもあるさ」じゃないけど。何か要は今までの日常で、生活しているところから、ぽろっと剥がれ落ちてしまうような瞬間というか、事柄がね。起きうると。
小角 当たり前のことはない、みたいなことにつながるんですかね。
倉田 そうだね。何かそういうことに届くことになるといいですね。
小角 一概に善悪では書かれていなくて。人としての葛藤を描いているので、そういう意味では、倉田さんも言ったように、普通に観てもらったらいいなと思います。
倉田 単純に物語を楽しめるものとしても作っているので、変にお話だけ聞いちゃうとなんか、観に行きづらいのかなという印象を持たれるかもしれないんですけど、まったくそんなことなくて。物語っておもしろいじゃないですか。物語を楽しみに来てくれる方も大勢来て欲しいなと思っています。


【あらすじ】
「怒り」を放棄して暮らす国のとある学校。そこではサンゲ(散華)という、自らの死をもって殺人に抗議する過激な平和団体について学んでいた……。
 
ネット上で一人の青年が発表した思想から始まったサンゲの平和運動は、すぐに証券マン崩れの策士・羽田の目に留まり、彼を中心とした小さな平和団体が組織される。お飾りの初代代表に担がれた現代芸術家崩れの男・朝桐太地は、弟妹の反対を押し切ってノリで運動に身を投じてしまうが、そんな折、この国の軍隊が始まって以来の海外での死傷者が出る事態が起き、早速サンゲは、「命をもって抗議する者」を抽選によって選出する……。
 
サンゲという過激な平和運動を通して描かれるイノチガケの激動の世界と、「怒り」を放棄した人間たちがのほほんと暮らすのどかな世界を行き来しながら綴る異色の現代劇。学校、家庭、戦争、平和、宗教、憲法など社会的なモチーフを小さな人間たちのささやかな暮らしから描き出す一大絵巻。世界各地で続発する暴力と殺人、そして焼身による抗議活動に対するアマヤドリからの苦し紛れの必死の応答は、叶わぬ願いへの祈りの祝祭劇である。
 


【プロフィール】
倉田大輔
くらただいすけ○1980年生まれ、栃木県出身。ひょっとこ乱舞時代から何度かの出演を経て、“大いなる野心と純真なる衝動をもって”今年7月に劇団員となった期待の“大型”新人。

小角まや
こかどまや○1989年生まれ、神奈川県出身。2010年よりアマヤドリの前身であるひょっとこ乱舞に参加。以降すべての本公演に出演。2012年よりカンパニーメンバーに。“大きなハート”を持つ劇団中核メンバーの一人。

【公演データ】
tsukino
アマヤドリ
『月の剥がれる』
作・演出◇広田淳一
出演◇笠井里美 渡邉圭介 小角まや 榊菜津美 糸山和則 他
9/23〜10/3◎吉祥寺シアター


【取材・文・撮影/矢崎亜希子】


『早乙女友貴 20th Anniversary Event Vol.2 in 杉田劇場』




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