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韓国のアイドルグループKAEAの元メンバーで日本での女優活動も順調な知英が、天才振付家ボブ・フォッシーが、ニール・サイモンが脚本を手掛けた名作の主演でミュージカルデビューを果たした。(天王洲 銀河劇場で9/23〜10/2)
本作は1966年にブロードウェイで上演、2年後にはシャーリー・マクレーン主演で映画化もされ、広く知られたフォッシーの代表作のひとつ。随所に「フォッシースタイル」のダンスを堪能できる。

主人公は幸福そうな名前のチャリティ・ホープ・ヴァレンタイン(知英)というニューヨークのダンスホールで働く女の子。しかし名前とはうらはらに男に裏切られ続けるアンラッキーさだったが、出来事をポジティウブに捉えて明るく生きようとしている。知英は、ほぼ出ずっぱりでこのキャラクターが彼女そのものに見えるほど、役に馴染んで生き生きとしている。初舞台とは思えないファンなら大満足、初めて見る者は知英の可愛さに引き込まれる。初舞台ということで不安定な部分はあるものの、役柄を的確にとらえるセンスがあり、見事な舞台女優ぶりを見せてくれた。今後の活躍を期待する。

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チャリティが出会う魅力的な男性陣は岡幸次郎と平方元基が演じる。平方は若手人気映画スターという役どころで白いスーツ姿が決まって先ず姿が良い。このヴィットリオ・ヴィダルがチャリティと出会う高級クラブのダンスはいかにも「フォッシースタイル」で素晴らしい。
続いて、チャリティがダンスホールの仕事からまともな仕事に転職しようと訪れたビルで出会う会計士役が岡幸次郎。濃い役が多い印象の岡がオスカーという真面目な会計士役というのもこの作品の見どころのひとつだろう。チャリティとの息もぴったりで、出会いのエレベータの中では二人がじっくりと芝居を見せてくれる。その後のデートで紛れ込む新興宗教の教祖ダディ・ブルーベック(黒須洋壬)信者のヒッピーたちの集会の場面も圧倒的。
ほかに、チャリティの勤めるダンスホールの支配人役の坂元健児の歌唱や、同僚役の原田薫とジェニファーのダンスなど見どころはたくさんある。
初々しい知英を中心にベテラン俳優が周りを固めるというキャスティングが成功して、見応えのある作品となった。観客はチャリティの苦労を共に味わい、くじけないチャリティに元気をもらえるハッピーなミュージカル。素晴らしい作品をぜひ劇場で観てほしい。

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【囲みインタビュー】

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上島雪夫、平方元基、知英、岡幸二郎

初日を前に天王洲・銀河劇場のロビーで主演の知英と岡幸二郎、平方元基に加え演出の上島雪夫がそろってインタビューに答えた。

──いよいよ初日を迎えますが一言お願いします。
知英 緊張もしているけれど、稽古で頑張って作ったものを皆さん見せることが出来ることにワクワクしています。絶対皆さん坂元健児が楽しんで帰られる舞台になっていると思うので、自分も楽しみです。 
平方 稽古場からずっと皆さんと一緒に作り上げてきたのですが、知英ちゃんがずっとチャリティなんですよ。可愛さがこれでもかというくらい詰まっているので、そこは皆さん見ていただければと思います。
 いま元基が言った通り、とても平和な稽古場でした。知英ちゃんがチャリティそのままで、自然に皆を引っ張っていく感じの稽古場だったんです。だから、本番もそのまま知英ちゃんに皆付いて楽しい感じでいけると思います。
知英 えーっ。私じゃないですよー。 
上島 歌あり踊りあり笑いあり涙ありというブロードウェイの定番のような作品がそのままブロードウェイから持ってきたような感じで作れました。是非楽しんでいただけたらと思います。
──知英さんは初舞台の初主演ということですが演出されていかがでしたか?
上島 初舞台なんだ。
知英 ええっ。今更ですか(笑)。
上島 若いし、こういう人にミュージカルに来てほしいと思います。なかなか女の人でスターを張れる人が育たないので。初めだから拙いところも多少あったし、練習で克服できたと思うし。でも、何万人の前に出ていたというオーラが確実にあるし。本番に強いと僕も思うし、本人もそんなことを言っていたと思うし…。
知英 言わないです(笑)。
一同 (笑)。
上島 だから素晴らしい主役になっていくんだと思います。
知英 ありがとうございます。

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 ──初主演ということで大変なことがあったのでは?
知英 はい。初舞台ということで、自分の立場で皆を引っ張らなきゃいけないけど、自分は何も知らないし皆さんに教えてもらってばかりなので、どうすれば良いか分からなかったんです。あとイントネーションなど細かいところも大変でした。皆さんに迷惑をかけたかもしれないですけれど、チャリティは一生懸命な女性なので、今回の役は一生懸命やれば伝わるのではないかなという気持ちで、今日も精一杯頑張っていきたいと思います。
──2時間超の日本語の台詞ということはどうですか?
知英 んー。もう何か間違えたら皆さんに任せて(笑)。
一同 (笑)。
知英 チャリティはいっぱい喋るんですよ。でも稽古で頑張って練習した通りに頑張れば伝わると信じています。
──特に難しかった台詞はありますか?
知英 んー。
上島 四字熟語じゃない? 高所恐怖症とか。
知英 そうですね。閉所恐怖症とかも。
 日本人でも言うのがちょっと大変なんだけど。
上島 彼女のイントネーションを直しているうちに、こっちが分からなくなってきちゃう。どっちなんだっけ。
知英 ちょっと間違えても、それは愛嬌で見てほしいなって気持ちがあるんですけどね(笑)。頑張ります!
──岡さんから見て初舞台・初主演というのはどうですか?
 このお話はチャリティの成長の話なんです。だから正に稽古場のままの感じで、どんどん彼女が成長していく姿なんです。稽古場で見ていると、日々の成長が著しく見えてきました。今日できなかったイントネーションが次はしっかり出来ていたりして。
出てきた時のパッとした華や明るさは努力でどうにもできないこと。それを知英ちゃんは持っているので是非本番を観てもらいたいですよね。
─例えばアドバイスしてあげたりしましたか?
知英 いつもやってくれましたよ。「もうちょっとこういう風がいいよ」とか「イントネーションこれだよ」とか、岡さん、平方さん共いつも教えてくださって。
 知英ちゃんがすごいのは覚えて喋るだけでなく、日本語の意味も分かっているので、それはすごいことですよね。引っ込む間が無い位くらい出番で喋っているんですから。
上島 服を着替える暇がないという。
知英 そうなんです。服を着替えないんです。上に何か羽織ったりするくらいで。
──今回はミュージカルですが、歌や踊りは今までと違いはどうですか?
知英 発声が今まで歌ってきた歌とは全然違うので、上島先生にはいつも言われていました。「チャリティは発声ね!」って。
上島 声出してくださいと 
知英 今日もずっと発声して。でも楽しくやっています。体中を使って声を出すっていう感じです。踊りは苦労しました。

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──役柄について教えてください。平方さんから。
平方 ヴィットリオ・ヴィダルという世界的な若手映画スターの役です。チャリティが憧れる映画スターでセレブですね!
──役作りはいかがでしたか?
平方 岡さんがセレブ過ぎて稽古場から観察していたんですけど、なかなか盗めなくて。でも、頑張りました。
 私は平方元基くんの後に登場する、真面目な会計士という真逆な役です。そこにチャリティがどう魅力を感じてどう近付いてくるのかはここでは言えないんですけど(笑)
──お二人は恋をしあうストーリーなんですか?
知英 それはどこまで喋って良いのか……
 知英ちゃん演じるチャリティという女性がいろんな人たちと出会いつつ成長していく話なので、出会うなかの一人です。
──知英さんは男運の無い役?
知英 そうです。チャリティは愛を信じている女性。今まで付き合ってきた男たちに騙されたり、お金だけを出してあげたりとか、そういうことがいっぱいあって、二人と出会って「心の中に置き忘れていたものを取り戻した」という台詞があるんですけど、自分で決意して一歩を踏み出す感じです。
──劇中で小さな嘘をついてしまってストーリーが始まると思いますが、実生活でついた小さな嘘は?
平方 今朝、居留守をしましたね。宅配便が来たんですけど、ぎりぎりだったのでダメでした。
 そういう時は「主人は出ております」って言えば(笑)。
上島 役者って嘘つきですね。「そんな人間いないでしょう」っていう、皆そんな感じです(笑)
 大きい嘘をつきながら生き続けている(笑)。
──「そんな人間いないでしょう」というのはどなたが?
上島 いま岡さんを見て言ってしまいましたが、役者や女優さんは本当はどんな人かわからないけれど舞台上で生きている人ですから、演出家もそうですけど実生活と舞台上とどちらが本当か分からない。
岡さんは謎の多い人です。
 あまり実生活の話はしないので(笑)。
──1日2回公演は体力的には大丈夫ですか?
知英 体力的には強いので大丈夫です。
──スタミナのもとは?
知英 よく食べること。ご飯をしっかり、栄養剤もいっぱい食べています(笑)。
──ミュージカルのお話が来たときにどう思いましたか?
知英 女優になってから歌手だったこともあるし、ミュージカルにいつか出たいと夢見ていました。自分が好きなこと全部が入っているから、ずっと思い続けてきました。そして、素敵な作品に参加できたことが光栄ですし、まだ夢みたいな感じです。
──最後にPRをお願いします。
知英 皆さんと作り上げてきた作品を披露します。
泣いたり笑ったり楽しめる素敵な作品になっているので、最初に「チャリティの冒険」という看板が出てくるんですけど、自分の冒険でもあります。チャリティを劇場に応援しに来て欲しいです。ぜひ観にきてください!

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<公演情報>
ブロードウェイミュージカル『スウィート・チャリティ』
原案◇ボブ・フォッシー
脚本◇ニ−ル・サイモン
作曲◇サイ・コールマン
作詞◇ドロシー・フィールズ
上演台本・演出・振付◇上島雪夫
音楽監督◇玉麻尚一
出演◇知英、岡幸二郎 、平方元基
坂元健児、黒須洋壬、原田薫、ジェニファー
●9/23〜10/2◎天王洲 銀河劇場
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京0570-00-3337(10:00〜18:00)



【取材・文/佐藤栄里子 写真提供/ネルケプランニング】 



『ハンサム落語第八幕』




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