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下北沢の本多劇場で、抱腹絶倒のシェイクスピア劇が上演中だ。
俳優集団D-BOYSの若手演技派の柳下大を筆頭に、前山剛久、西井幸人、大久保祥太郎、山田悠介、三上真史、牧田哲也といった豪華メンバーに加え、D-BOYSの卒業メンバーで実力派として知られる加治将樹と遠藤雄弥、ミュージカルやストレートプレイでおなじみの鈴木壮麻、タレントで俳優としても活躍中の松尾貴史、文学座のベテラン石田圭祐など、総勢12名でエネルギーあふれる舞台を繰り広げている。

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今年はシェイクスピアの没後400周年。これまでにもDステでは、『ヴェニスの商人』(2011年)や『十二夜』(2013年)というシェイクスピアが上演されてきたが、本作は、シェイクスピアの中で、もっとも幸福な物語とも言われている。そんな『お気に召すまま』を、演出の青木豪が笑いにこだわって演出しているのだから、面白くないわけはない。キャッチコピー通り、Dステのシェイクスピア作品の中でも、もっとも笑える楽しい作品になっている。

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【STORY】

フレデリック(松尾貴史)は兄である前公爵(松尾貴史/二役)を追放してその地位や財産を奪ったが、姪のロザリンド(前山剛久)については自分の実娘シーリア(西井幸人)と共に宮廷に置き、いとこ同士の二人は仲睦まじく暮らしていた。
今は亡き栄光の騎士サー・ローランド・ド・ボイスの末弟オーランドー(柳下大)は、家督を継いだ長兄オリヴァー(三上真史)からの不遇な扱いに不満を抱えていた。
ある日オーランドーは公爵主催のレスリング大会で宮廷お抱えのレスラーであるチャールズ(加治将樹)に勝利し優勝する。そこで、宮臣のル・ボー(遠藤雄弥)とともに試合見物をしていたロザリンドに出会い、2人は一瞬にして恋に落ちる。
その後、公爵から突然の追放を言い渡されたロザリンドは、男装して身分を隠し、シーリアと道化のタッチストーン(牧田哲也)を連れ、追放された父・前公爵が暮らしているというアーデンの森へ向かう。一方、オーランドーもまた、弟の活躍に対するオリヴァーの嫉妬を危惧する召使いのアダム(石田圭祐)とともに邸を離れ行き着いたアーデンの森で、旅人のジェイクイズ(加治将樹/二役)や貴族のアミアンズ(鈴木壮麻)を従え悠々自適に暮らす前公爵に助けられる。
森で暮らし始めたオーランドーは、ロザリンドへの恋心を詩にして森の木々に吊るし歩き、これを見つけたロザリンドもまた、一層想いを募らせていた。
男装したロザリンドは羊飼いのシルヴィアス(大久保祥太郎)やコリン(三上真史/二役)、高慢ちきな女羊飼いフィービー(山田悠介)、田舎娘のオードリー(遠藤雄弥/二役)や彼女に片思いをするウィリアム(石田圭祐/二役)たちの恋愛騒動に巻き込まれるが、そんな最中愛しのオーランドーと再会。自分がロザリンドであることを隠したまま彼の愛の告白の練習相手になることを自ら提案し、恋愛ゲームを楽しむことに…。
数々の恋愛模様の中で牧師のサー・オリヴァー・マーテクスト(山田悠介/二役)や結婚の神ハイメン(鈴木壮麻/二役)なども登場し、一筋縄ではいかない人たちのちょっとおかしな恋物語は世界一ハッピーなエンディングをむかえるのだった。

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それぞれ二役や女役などもあり、見たことのない顔を見せてくれる中で、思いがけなく笑いに貢献していたのは、シーリア役の西井幸人。普段は可憐な乙女なのに、なにかがあると表情が変わり、リアリストの一面を見せ、ときおり凄みすら感じさせる。それがこの作品のコミカルな面に通じる。

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シーリアが慕う従姉妹のロザリンドは前山剛久で、しとやかで落ち着いた雰囲気だが、叔父から突然の追放され、男装してギャニミードと名乗り、シーリアや牧田哲也演じる道化のタッチストーンとともに旅に出る。男性の前山がロザリンド役で女になり、さらにもう一度男装をして演技する。複雑な役どころだが、男装したロザリンドの恋の戸惑いが伝わってきた。
 
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そんなロザリンドに一目惚れしながらもギャニミードにも惹かれるオーランドーを演じた柳下大。恋に対して一途で情熱的なところがチャーミングで、最後まで女性のロザリンドと男性のギャミニードに翻弄される姿を見ていると、結末を知りながらもハラハラとさせられて、作品を牽引する主役らしい力を見せてくれる。

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オーランドの兄で野心家なオリヴァーと森で生きる老羊飼いコリンという二役で、宮廷と自然で生きる人間の違いを楽しくみせた三上真史。

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不思議な力を持ったジェイクイズで存在感を見せた加治は、以前の痩せていたときの写真を使い、現実とリンクしたエピソードを演技に盛り込み笑いをとる。

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ブサかわいい森の娘オードリーでインパクトを与える遠藤雄弥はフランス人ル・ボーでも良い味を出している。でたらめさ加減の中にシニカルさもあって道化らしい牧田哲也のタッチストーン。

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大久保祥太郎演じる素朴なシルヴィアスと山田悠介演じる高慢ちきフィービーの恋はとにかく笑えて、息の合った掛け合いがみごとだ。(追記:2人は羊も演じていてたまらなくカワイイ!)

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オーランドーに付き従う老召使の役で引き締める石田圭祐、フレデリック公爵役と前公爵役で兄弟役を巧みに演じ分ける松尾、前公爵に仕えるアミアンズ役と結婚の神ハイメン役を演じる鈴木壮麻は至福の歌声で舞台を彩っていた。

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二役だけでなく名前のない役などで全員の総力で演じている『お気に召すまま』、それぞれの個性が生き、まさにシェイクスピア喜劇の面白さ全開の舞台となっている。

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〈公演情報〉
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Dステ 19th『お気に召すまま』
作◇ウィリアム・シェイクスピア
翻訳◇松岡和子
演出・上演台本◇青木豪
音楽◇笠松泰洋
出演◇柳下大、石田圭祐、三上真史、加治将樹、西井幸人、前山剛久、牧田哲也、遠藤雄弥、松尾貴史、鈴木壮麻、大久保祥太郎、山田悠介(台本の登場順)
●10/14〜30◎東京・本多劇場 
●11/12、13◎山形シベールアリーナ
●11/19、20◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
〈料金〉7,000円 召しませシート6,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉ワタナベエンターテインメント 03-5410-1885(全日11:00〜18:00)


【取材・文・撮影/西森路代】



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