『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _AHV6440

緻密な構成と筆致で、身近な生活と隣り合わせに現れる異界を描きだし、多くの演劇ファンを唸らせてきた前川知大。世田谷パブリックシアターでは、前川知大脚本・演出による「奇ッ怪」シリーズを09年より継続して上演してきた。第1弾となった『奇ッ怪〜小泉八雲から聞いた話』(09年)、続いて第19 回読売演劇大賞の大賞・最優秀演出家賞等を受賞した「現代能楽集 『奇ッ怪 其ノ弐』」(11年)、そしてシリーズ第3弾『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』が、10月31日にプレビュー公演の幕を開けた。

今回の「奇ッ怪」は、民俗学者・柳田国男が遠野盆地〜遠野街道にまつわる民話を集録した「遠野物語」をモチーフとしている。河童や天狗といった妖怪たちから、死者、神に至るまで様々な異界のものたちと生きてきた人々の記憶の集積を、超常的な世界観を真骨頂とする前川が、日本の演劇界を賑わす魅力ある出演陣と共にどのように紡ぎだすのか──。

『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _GAD6528

【ストーリー】


今は昔、あるい未来―― 
舞台となる世界は、現実から少しずれた架空の日本。 
社会の合理化を目指す「標準化政策」により、全てに「標準」が設定され、逸脱するものは違法とされた。 
物事は真と偽、事実と迷信に明確に分けられ、その間の曖昧な領域を排除した。 
管理の整った首都圏は標準に染まり、地方も固有の文化を失うことで衰退しつつある。  
作家のヤナギタ(仲村トオル)は、東北弁で書かれた散文集を自費出版しことで、任意同行を求められた。
方言を記述したうえ、内容も迷信と判断され、警察署の一室で事情を聞かれている。  
迷信を科学的に解明することで著名な学者、イノウエ (山内圭哉)が召喚され聴取に加わった。

 『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _GAD6855

名だたる演劇賞を受賞した前作から5年、充実したプレビュー公演で観客の高い期待値に応えた前川知大、仲村トオル、瀬戸康史からコメントが届けられた。

【コメント】

前川知大 (脚本・演出)
良いプレビュー初日でした。お客様が入って固まったという感じがします。とにかく劇場全体がすさまじい集中力に包まれていました。原作の「遠野物語」を知っている人には絶対に面白いでしょうし、知らない人にも届く、一演劇作品として面白い作品になったのではないでしょうか。柳田国男は自分の伝えたいことをストレートに語らなかった人。僕たちはトオルさん演じるヤナギタを通して、彼のメッセージを語っていきたいと思っています。

『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _GAD6227

仲村トオル(役名・ヤナギタ)
いつも初日を迎える度に感じることですが、お客様に教えていただくことはとても多く、大きいものです。今作は特に「伝わっているのか」「今の自分はきちんと村人に見えているか」など、これほど教えていただかないと不安で仕方がない作品はありませんでしたが、お客様から「大丈夫」と、我々の背中を押してくださるような空気が伝わってきまして、安心しました。
 
『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _GAD6131

瀬戸康史 (役名・ササキ)
僕が演じるササキの台詞に「話している時は最高なんだ。気持ち良いんだ」というものがあるのですが、初日を終えてまさにそういった感じでした。舞台に出るまではすごく緊張していたのに、いざ語り始めたらノってくるんです。自分の中にササキが入り込んできたように感じました。僕は語り部としてヤナギタに語りかけると同時にお客様にも語りかけていて、ある意味お客様も出演者だと思って演じています。
 

【フォトレビュー】
(※舞台写真追加!)

『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _GAD6814
『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _GAD6866
『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _GAD6294
『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _GAD5885
『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』撮影:細野晋司 _GAD7055

〈公演情報〉
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世田谷パブリックシアター
『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』
原作◇柳田国男(「遠野物語」角川ソフィア文庫)
脚本・演出◇前川知大
出演◇仲村トオル、瀬戸康史/山内圭哉池谷のぶえ安井順平浜田信也安藤輪子石山蓮華銀粉蝶
●10/30〜11/20◎世田谷パブリックシアター
11/23〜12/4◎国内ツアー(新潟、兵庫、岩手、仙台)
〈お問い合わせ〉世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515(10:00〜19:00 年末年始を除く)
 
【撮影/細野晋司】






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