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ジェラール・プレスギュルヴィックの作・音楽による『ロミオ&ジュリエット』が初演されたのは、2001年のパリのパレ・デ・コングレ。その後、各国を巡演し、世界的な大ヒットになったのは記憶に新しい。日本でも宝塚歌劇団が2010年に初演、そののちも何度も上演されている。

今回のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』は、2011年に初演、13年の再演が好評を博し、この度の3演目では、潤色・演出の小池修一郎の指揮のもと、ほぼ全配役を刷新。さらに衣装、音楽、演出を含め、装い新たな『ロミオ&ジュリエット』が、2017年1月15日から3月5日まで、東京と大阪で上演される。そんな公演の舞台稽古と囲み取材に立ち会うことができた。

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【あらすじ】
イタリアのヴェローナのキャピュレット家とモンタギュー家は古より憎しみあい争いを続けてきた。その争いに終止符を打とうとヴェローナ大公は「今後、争いごとを起こしたものを処する」と言いわたす。そんなある日、キャピュレット家ではひとり娘のジュリエットに大富豪パリス伯爵を求婚者として紹介しようと舞踏会を開催。そこへ、モンタギュー家のひとり息子のロミオがベンヴォーリオとマーキューシオと共に忍び込む。その舞踏会でロミオとジュリエットは、運命的な出会いを果たし、一目ぼれの恋に落ちた。彼らは、両家の諍いを乗り越え、バルコニーで愛をかわし、そしてロレンス神父のもと密かに結婚式をあげるのだが……。

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この日の公開稽古で観劇できたのは、「いつか」「バルコニー」「世界の王」という3曲を歌うシーンだったが、それだけでも、壮大でいて緻密、パセティックでありながらロマンティックな、ジェラール・プレスギュルヴィックの歌の世界観を見事に表現していることがわかる。

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最初の「いつか」は、ロミオ役の古川雄大、ジュリエット役の木下晴香がデュエット。愛の重要性を説くという内容の歌なのだが、イントロから甘酸っぱく、そして雄大なストリングスが曲を引っ張っていく。
ロミオの古川は、繊細でいて震えるような深いバリトンを稽古場中に響かせて、聴くものの動きや息までも一瞬止めてしまうほどの求心力。古典的な美しさもある容姿が、シェイクスピアの中の青年そのもので、かつて演じた経験も糧にして余裕のある役作り。もうすでにそこには、ジュリエットへの愛のために、幾多の困難に戦いを挑む、激しく勇ましいロミオが存在していた。
 
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ジュリエット役の木下は、舞台初挑戦だが、演出の小池修一郎が「テレビの歌番組で観て高校生ながら突出した歌唱力と新鮮さに懸けました」と言っていたように、抜群の歌唱力で圧倒する。可憐でありながら恋に誇らしげに、それでいて愛を求めて弱くもなるジュリエットの姿がそのものだ。

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次の「バルコニー」は、清々しいイントロが印象的なアコースティックギターのナンバーで、2人の間にある純粋な愛を、ギターのスタッカートが美しく表現する。ここはロミオ役の大野拓朗と、ジュリエット役の生田絵梨花のデュエット。『ロミオ&ジュリエット』でも最も知られていると言っていい、ロミオがバルコニーで愛を告白する有名な場面で、さらにキスシーンもあり、感情の揺れやそれに伴う動きが要求される難しいシーンだ。
ロミオ役の大野の歌声は、迫力があって豪快そのもの。4年間この役が来るのを待ちわびていたという彼の熱気がほとばしって、愛のために危険も顧みず、ジュリエットの窓辺に昇っていくロミオの姿に、思いをぶつける大野自身の像が重なる。

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またジュリエットの生田絵梨花は、危険を冒して会いに来てくれたロミオへの喜びと、家族に見つかるかもしれないという危機感の間で揺れ動くジュリエットの気持ちを、伸びやかな歌と演技で鮮やかに表現してみせた。

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最後の「世界の王」は、大勢のダンサーやキャストが集まって歌うナンバー。
ロミオ役の古川雄大を中心に、ベンヴォーリオ役の馬場徹、マーキューシオ役の平間壮一とともに、アンサンブルやダンサーたちが入り乱れて歌い踊る。
この曲は、モンタギュー家のロミオたちが、キャピュレット家との争いにうんざりしながら、大切なのは諍いを超えて一つになることだと宣言する現代的なテーゼであり、シェイクスピア時代から今に至るまで続いている永遠のテーマだ。

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前の2つのナンバーとは違い、体を思わず動かしたくなるアクロバティックな曲で、ダンサーたちが、振付けのKAORI alive、AKIHITO、小㞍健太による現代的なダンス、つまりブレイク・ダンスや、ヒップホップ・ダンスを激しく踊りながら歌う。アップテンポな曲調で、踊りながら歌うその激しさは、呼吸できないのではないかと心配になるほど。

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ベンヴォーリオ役の馬場徹は、激しい動きをしながらも、歌詞がはっきりと聞き取れる澄み渡った声が印象的。また、マーキューシオ役の平間壮一の独特なシャウトは、ロバート・プラント、フレディ・マーキュリーといったロックスターのようで格好いい。
 
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このエネルギーとパワーが要求される曲を、大勢のダンサーたちとともに全身で歌い踊り抜く古川・馬場・平間。曲が終わった瞬間の、全員の激しい呼吸音が耳にいつまでも残っていた。

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この3曲だけでなく。観終わった後に、思わず口ずさみたくなるような、ポップで現代的な歌が散りばめられたミュージカルだけに、劇場に足を運んで、聴いて、観て、感動してほしい名作舞台だ。


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【囲みインタビュー】

このミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の公開舞台稽古で、囲みインタビューが行われ、古川雄大、大野拓朗、生田絵梨花、木下晴香が登壇した。

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古川雄大
キャストやスタッフはみなさん実力派なので、稽古場にいるだけで、刺激をいただいている毎日です。改めて、ロミジュリ・チームに入れて幸せですね。再演の時にロミオをやらせていただきましたが、心も体もいっぱいいっぱいで、余裕がなくて至らない点ばかりで落ち込みました。ただ、あれからいろいろなミュージカルに出させていただいて、努力し、修業し、自信を取り戻すことができたので、いまはやる気に満ちています。見どころは全部ですが、あえてあげるとすれば、ダンスですね。振付けの方が3人いて、とてもパワフルなものから繊細なものまで、バラエティ豊かで魅力的です。演出の小池修一郎先生には何度もお世話になっていますが、今回は特に力が入っていて、細かく的確な指摘がたくさんあり、勉強させていただいています。3演目ということで、新演出でキャストも入れ替わり、セットも衣装も変わって、新しい『ロミオ&ジュリエット』が生まれようとしています。みんなで一丸となっていいものを作ろうとしていますので、ご期待ください。
 
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大野拓朗
4年前の初演の時から大好きな演目で、初演と再演も個人的に観劇しています。生涯で一番回数を観たミュージカルが、この『ロミオ&ジュリエット』だと豪語しています(笑)。初演のCDもすぐに購入して、カーステレオで毎日聴いて歌っているのがストレス解消法で、日々の楽しみでした。初めて参加させていただいて、しかも自分がロミオとしてその曲を歌えるのは、ものすごく光栄なことです。古川くんが言ったように、演出が大幅に変わっているのに、ダンサーさん、キャストさんたちのパワーは変わらないというか、より熱くなっているんです。それは曲の良さもあって、ノリが良かったり、感動的だったり、メロディがものすごく綺麗だったりと、どの曲を聴いても頭に残るし、観終わった後に、あの曲は良かったな、歌いたいなと口ずさむ曲ばかりだからだと思います。僕は小池先生の演出の美的感覚が、ミュージカル・ファンとして大好きで、とくに視覚の美しさが先生は抜群だと思っています。自分が演出を受けてみると、体の開き方、動き方、すべてを丁寧にご指導していただいているので、美しく演技できる方法を体に覚え込ませている段階です。その稽古を乗り越えて、観に来てくださった方々の一生の思い出に残るような素敵な舞台にしたいです。

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生田絵梨花
再演を観てから、ずっとやりたいと思っていた『ロミオ&ジュリエット』で、ジュリエットを演じられることにびっくりしています。今までは、ジュリエットの儚さや切ない部分が多く見えていたのですが、演じれば演じるほど「芯の強さ」を出して行く必要があると思いました。ジュリエットの葛藤を常に考えて強く演じられたらと。今回はアイドルとして参加しているわけではないので、ラブシーンがあっても身をゆだねる覚悟です(笑)。ファンからは応援の言葉や気遣いの言葉をくれるので、その信頼を演技で恩返ししていけたらと。このミュージカルの私のオススメは音楽です。ただ、歌う側としては、シェイクスピアの長ゼリフが歌詞になっているので情報量も多いし、転換のスピードが早いので、ちゃんと気持ちがついていくようにしたいです。これからの稽古でもっと気持ちを爆発させるようになれたらいいですね。私たちの歌を乃木坂46のメンバーも楽しみにしていて、私以上にドキドキしているぐらいです(笑)。何回も観に行くよって言ってくれています。嬉しいですね。小池先生の演出は、直さなくてはと思っていたところは、必ず指摘してくださるし、気づかなかったところまでダメ出しをしてくださるので、毎日お話ししていると、新しい発見ばかりです。必死についていって身につけたいと思います。現代版の『ロミオ&ジュリエット』ですので、自分の中にあるシェイクスピアのジュリエットのイメージを一度壊して、稽古場でいろいろ試して、今の私たちのエネルギーをぶつけていきたいと思います。

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木下晴香
初めてこんなに大きな舞台に立たせていただくので、楽しみと不安と戸惑いでこんがらがった状態で稽古場に入りました。けれど、優しい先輩や先生にフォローしてもらいながら、毎日自分の課題と向き合って戦って千秋楽まで乗り切りたいです。自分とジュリエットの同じところと違うところをしっかり研究して毎日取り組んでいますが、わからないところは、生田さんに相談しながら作り上げています。ジュリエットは強い意志を持っている女性で、その部分を素直に演じていけたらと。稽古場ではダンスに衝撃を受けました。キャストもダンサーの皆さんも、エネルギーに溢れていて、すごい迫力ですから、楽しみにしていただきたいな。小池先生の演出は、細かく動きをつけてくださるので、わかりやすいのですが、最初は段取りを覚えるだけで必死でした(笑)。でも、自然に演技ができるように、これからどんどん稽古を頑張っていきたいと思っています。

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〈公演情報〉
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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
原作◇ウィリアム・シェイクスピア
作・音楽◇ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出◇小池修一郎
出演◇古川雄大/大野拓朗、生田絵梨花/木下晴香、馬場徹/矢崎広、平間壮一/小野賢章、渡辺大輔/広瀬友祐、大貫勇輔/宮尾俊太郎 ほか
●2017年1/15〜2/14◎TBS赤坂ACTシアター
〈料金〉S席13,000円、A席9,000円、B席5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場(東京) 0570-077-039
●2017年2/22〜3/5◎梅田芸術劇場メインホール
〈料金〉S席13,000円、A席9,000円、B席5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場メインホール 06-6377-3800
〈公式サイト〉http://romeo-juliette.com




【取材・文・撮影/竹下力】









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