_L3A9677

昭和30年代、日本で初めて知的障害者の雇用を取り入れた、実在のチョークメーカーの工場。そこを舞台に書かれたきたむらけんじの代表作、『幸福な職場』が新たなエピソードを加えて、年明けの1月26日から29日まで、世田谷パブリックシアターで上演される。
 
【あらすじ】
父親が病気に倒れたため、急遽、会社を継ぐことになった大森泰弘(安西慎太郎)。その会社は黒板で使う“チョーク”のトップメーカーだった。慣れない経営に四苦八苦する毎日。そんなある日、養護学校の女性教師・佐々木友枝(馬渕英里何)が「来年卒業する生徒を雇ってもらえませんか?」と訪ねてくる。
養護学校の生徒とは、つまり、知的障害者。「そんな事情を持つ子を受け入れる自信がない」と断る大森。しかし、従業員の久我省一(谷口賢志)が何故か熱心に受け入れを勧めてくるので「職業体験」として期間限定で受け入れることを渋々と承諾し、知的障害を持つ少女、吉岡聡美(前島亜美)が工場にやってくる。
「うちの会社にそんな余裕は無いはずだ!」と従業員・原田亮輔(松田凌)は反発するのだが…その原田に聡美はほのかな想いを寄せ始める。聡美のために、簡単な作業を任せるのだが、仕事覚えの遅い聡美に、とうとうイラだちを隠せなくなる大森。その様子を観ていた徳凛寺の住職(中嶋しゅう)は、大森に対して「人間の幸せ」とは何か?働くこと、働かせることの真理を語る。この説法をキッカケに大森は、ささやかな奇跡を呼び寄せることになる…。

通産官僚の道を諦め、倒れた父親の代わりに専務をつとめる大森に安西慎太郎、理系学部から引き抜かれたものの単調な現場作業に飽き飽きしている原田に松田凌、ある事情を抱えながら従業員として働く久我に谷口賢志。それぞれの役柄でこの作品を演じる3人が、モデルになったチョーク工場を訪れた。そのインタビューを掲載した「えんぶ」12月号の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介する。
 
_L3A9727
谷口賢志・安西慎太郎・松田凌

6人きりの濃密な芝居で新しい経験を

──この作品を読んで最初にどんなことを感じましたか?
安西 台本を読んで、これは実際にあった話だと知ったとき、書かれているメッセージをちゃんと届けることが大事だと、まず思いました。
松田 僕は、この作品で世田谷パブリックシアターに立てることが嬉しかったです。演劇ファンでこの世界に入った僕にとって、憧れの劇場ですから、この作品の共演者の皆さんと一緒に、また1つあの劇場の歴史に刻まれるような作品にしていきたいです。
谷口 2人が言ってくれたことに加えて、(安西)慎太郎は何度も共演して狹刑有瓩世隼廚辰討襪掘△曚の方々は初めてなのですが、松田くんをはじめ共演したかった凄い役者さんばかりで、しかも6人きりの濃密な芝居で、きたむら(けんじ)さんの演出も初めてで、僕の演劇歴の中でも新しい経験を沢山させてもらえる現場なので、すごく楽しみです。
 
_L3A9679

──それぞれ役柄について伺いたいのですが、まずは安西さんの役から。
安西 父親が倒れたので専務になって、障害を持っている方を初めて工場に雇うことになる人なのですが、最初は障害への理解があまりないために困難に突き当たります。役をどう演じるかというイメージは、まだはっきり湧いてないのですが、皆さんとの稽古の中で自然に生まれるものを大事にしていきたいです。
松田 僕の原田という役はよくいる人というか、物事のマイナス面を考えがちな人で、そういう彼のわだかまりを僕がきちんと演じないと、この作品のスパイスにならないと思っています。自分を成長させてくれる役だと思うので、思い切って作り込んで、ヒューマンドラマの中に生々しい何かを残したいです。
谷口 僕の役の久我は工場の従業員で、大切なものを心の中に抱えていながら口には出せずに、でも人情に篤い、筋を通してをきちんと仕事をする男です。僕と同じですね。
安西・松田 えー(笑)。
谷口 仕事に関しては本当だから(笑)。この作品は、何度も上演されているわけですが、僕たちは僕たちでしっかり繋がりながら、それぞれの役を生きる意味を見つけたいと思うし、今までで一番良い『幸福な職場』を見せてくれたと言われたいですね。

OK 9723

幸福とは誰かに求められること

──今日、ここに来て感じた犢福な職場感瓩呂匹鵑覆發里任垢。
谷口 来る前にどんな雰囲気なんだろう、どんな職場なんだろうと考えてきたのですが、とても温かくて、皆さん優しい顔していて、ベルトコンベアーで流れてくるチョークを取る作業も楽しそうで、でも今のそういう姿は、何年か前のこの物語に出てくる話から繋がっているわけで。そこを見せるのが僕らの役目だと思っています。
松田 「幸福とはなにか」と言われたら、仕事でもいいし愛でもいいんですけど、誰かに求められることだと思うんです。そういうことがこの作品には滲み出ていて、ふだんは染み渡りにくい何かが、じんわりと染みてくる作品なんです。
安西 違う視点から言うと、幸福な職場にした人たち、原作に出てくる専務の方なども素晴らしいなと思うんです。人間の究極の幸せって、人からもらったり与えたりということを大切にすることで、人が生きるうえで一番大事な、そういうものがここにはあるなと改めて感じています。僕らも幸福な現場で「幸福な演劇」を作って、沢山の方に観ていただきたいなと思っています。

_L3A9727
谷口賢志・安西慎太郎・松田凌

あんざいしんたろう○1993年生まれ。神奈川県出身。2012年、舞台『コーパス・クリスティ 聖骸』で俳優デビュー。主な出演舞台作品に『エドワード二世』、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン、『聖☆明治座・るの祭典』、『戦国無双 関ヶ原の章』(主演)、『もののふ白き虎』(主演)、『僕のリヴァ・る』(主演)、『ARCADIA アルカディア』、『K -Lost Small World-』(主演)、『喜びの歌』、『幽霊』、ドラマ『アリスの棘』(TBS)など。来年1月に『男水!』(NTV)の連続ドラマ出演と5月の同名舞台が控えている。

まつだりょう○1991年生まれ、兵庫県出身。2011年CMで芸能界デビュー、2012年、『ミュージカル『薄桜鬼』斎藤一篇で初舞台初主演、ドラマ『仮面ライダー鎧武/ガイム』(テレビ朝日)、映画『ライチ★光クラブ』、ドラマ『ニーチェ先生』など映像や舞台で活躍中。最近の主な舞台は少年社中x東映『パラノイア★サーカス』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、『曇天に笑う』、『瞑るおおかみ黒き鴨』など。来年1月に『男水!』(NTV)の連続ドラマ主演と5月の同名舞台主演、4月にはミュージカル『花・虞美人』が控えている。

たにぐちまさし○1977年生まれ。東京都出身。1999年「救急戦隊ゴーゴーファイブ」巽流水 / ゴーブ ルー役でデビュー。以降、映画、TV、CM、舞台と幅広く活動。2014年W主演映画「どうしても触れたくない」(外川陽介役)は、異例の大ヒットとなり1年後のリバイバル上映や海外上映、オリコン週間DVD映画チャートで第1位獲得など高評価を得た。2016年4月よりAmazonプライムにて配信されたドラマ「仮面ライダーアマゾンズ」(東映)ではW主演の鷹山仁 / アマゾンアルファ役に抜擢され、2017年シーズン2の出演を控えている。
 
【アフタートーク】
・1月26日(木)19:00回:安西慎太郎、松田凌 
・1月27日(金)13:00回:安西慎太郎、松田凌、谷口賢志  
・1月28日(土)16:00回:松田凌、前島亜美、馬渕英里何  
・1月29日(日)12:00回:安西慎太郎、前島亜美、中嶋しゅう  
 ※MC(全日):きたむらけんじ 

〈公演情報〉
fbimg

舞台『幸福な職場〜ここにはしあわせがつまっている』
作・演出◇きたむらけんじ
出演◇安西慎太郎、松田凌、前島亜美、谷口賢志、馬渕英里何、中嶋しゅう 
●17/1/26〜29◎世田谷パブリックシアター
〈お問い合わせ〉公演事務局 03-3492-5300(平日14:00〜18:00)
〈料金〉7,800円(全席指定・税込) 




【取材・文/宮田華子 撮影/岩村美佳】




kick 

shop 

nikkan 

engeki