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渋谷のBunkamuraシアターコクーンで、1月11日に開幕する予定だった舞台『世界』が、出演者の鈴木砂羽にインフルエンザの陽性反応が出たため、初日となる本日11日と12日、13日の3公演を中止することに10日夜決まった。
初日前日の10日は、16時から初日前会見を、その後、公開舞台稽古が行われる予定だったが、公開舞台稽古は中止。会見は、演出で出演者の赤堀雅秋、主演の風間杜夫をはじめ、大倉孝二、早乙女太一、広瀬アリス、青木さやか、和田正人、福田転球、梅沢昌代の9人で行われた。

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赤堀雅秋、和田正人、梅沢昌代、青木さやか、福田転球
広瀬アリス、早乙女太一、風間杜夫、大倉孝二

【あらすじ】
千葉県船橋市、郊外のうら寂れた一角のとある家族を中心とした物語。
足立家の人々。誰彼かまわず噛みつく父・義男(風間杜夫)は工場を経営しているが、実質は息子の健二(大倉孝二)にまかせている。愚痴や噂話を喋り続けるばかりの義男の妻・節子(梅沢昌代)は、ある日突然に離婚を切り出し、家を出る準備を進めている。健二は8年前に妻・美紀(青木さやか)と結婚したが、スナックのママ宏子(鈴木砂羽)と浮気中。
自宅に隣接する工場では、義男が知人の親に頼まれ、預かった引きこもり青年・辺見(早乙女太一)と、工場同様くたびれた風情の従業員の服部(福田転球)が働いている。
彼らが仕事終わりにたむろするのは宏子と夫・坂崎(赤堀雅秋)が営むスナックである。
一方、美紀のパート先であるスーパーの店員・諸星(和田正人)は、風俗嬢のあずみ(広瀬アリス)に片思いをしている。
親子の確執、夫婦の問題、浮気、離婚、嘘など様々な波紋が広がっていく中、逃れられない小さな人間関係の機微、生々しい日常は、細い糸で結び合い絡まって……。


映画『葛城事件』の監督としても注目されている赤堀雅秋が、『殺風景』『大逆走』に続いてシアターコクーンで取り組む第3弾で、地方都市で町工場を営む家族を軸に、多彩なキャストとともに描きす"世界"のはじっこ。人生は喜劇である。

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【会見】
──まず赤堀さんに伺います。今回、ご自分の原点に戻って市井の人々を描くということですが、現時点の手応えを。
赤堀 作者からあまり手応えがあるというのもあれですが、面白いか面白くないかは、観た方に委ねるとして、作者にとってはとても愛おしい作品になったという予感はしています。見どころはいっぱいありますが、こういうコクーンのような商業演劇の大きな劇場で、今までありそうでなかったような作品というか、一見なんでもないような日常の積み重ねなんですけど、それで観終わったあとに観客の皆様に、今まで味わったことのないような感情が湧き起こるような、そういう作品になればいいなと思っています。あと、魅力はこのキャストの皆さんで、作品同様、見たことがあるようでない風間さんだったり大倉さんだったり、早乙女さんはまったく見たことないような、そういう役者さんを目撃していただければと思っています。

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──風間さんは今回、赤堀作品に初参加ですが、その感想と、また演じる義男という役が「ゲスの極み」と言われていますが。
風間 (笑)赤堀さんのコクーンでの2作品は残念ながら拝見できていないので、まったく白紙の状態で挑みました。市井の人々というか、日常を生きている庶民の姿が実に丁寧にデッサンされていまして、出てくる人みんな、良い人は出てきません。腹に一物というかクセのある人物たちですが、自分の生活を見回してみても、近しいというかリアルなお芝居です。僕はこの作品、とっても大好きで、早く皆さんに観ていただきたいという気持ちでいっぱいです。役どころは「ゲスの極み」といわれてますが(笑)、ダメ男です。奥さんの梅沢昌代さんが僕と離婚したいというので、そこから僕はバランスを崩してます。自分を大きく見せようとする人間で、やたらうんちくを言ったり、訳知り顔で人と接したり、よくいる人間で、小さい見栄っ張りな人間です。そんなジジイが万引きをしてしまいまして、それをきっかけに、この男もダメだというのがわかるという、そういうお芝居です。
──大倉さんはそんな風間さんの息子役ですが、過去の赤堀さんの2作品にも出演していますね。
大倉 僕の役は過去の2作品では、持ち味というかはっちゃけた役だったんですけど、今回はそれをすべて封じ込められて、なんでもない人間を生きれるよう稽古で作ってきました。本番が始まったらひたすら稽古で積み上げたものを誠実にやっていこうと思っています。(新しい大倉さんが観られる?)そうですね、そうであってほしいです。

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──早乙女さんは引きこもり青年で町工場で働くことになった青年役です。こういう日常劇は初めてではないかと。また辺見という役は言葉遣いなどもダメで、今の青年の象徴だそうですが。
早乙女 こういう役をやらせていただくのは初めてで、学生から社会を知らずに働きに出て、学校のノリのままで仕事場に来ているような、中身もない一番自分が毛嫌いしていたような人間を自分がやるというので、それは楽しかったです。でも、言葉遣いが自然にしゃべれなくて、そこをなんとかナチュラルにしゃべれるようにがんばりました。赤堀さんとの作品作りは、これまでやってきた舞台と全然違っていて、普段のような白塗りもできないし(笑)、刀も持ってないので、裸のままの自分を見せているような感覚です。稽古場でも毎日、すごく繊細なお芝居なので、緊張感しながらやってました。
──広瀬アリスさんは初舞台ということですが、デリヘル嬢の役です。
広瀬 以前、稽古に入る少し前なんですが、赤堀さんにお会いして、他愛もない世間話をしたんです。20分〜30分したら「もう、大丈夫です」とおっしゃって。その時に私の中の何かを見て人物像を描くのかなと勝手に思っていたのですが、それがデリヘル嬢だったので、なんか「うーん」という気持ちになりました(笑)。初舞台なので、わからないことだらけで、正面からぶつかっていこうという気持ちで毎日やってきました。(手応えは)まだ、緊張の方が勝ってしまっているので、まだ毎回、舞台に立つと手が震えてしまいますね。頑張ります。 

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──大倉さんの健二の妻、美紀役の青木さやかさんは、赤堀作品にファンだったそうですね。
青木 私は赤堀さんの作品が大好きで、映画の『葛城事件』など何回も見ているんです。赤堀さんの演出を受けられること、風間さんはじめ皆さんと一緒にお稽古場に居られることも、なんて幸せだろうと思っております。他の方々のお稽古を見ていると、本当に可笑しくて、なんか自分の中に蓋をしていた感情がばーっと出てくるような気がしていて、それが「生きててよかったな」と感じるような瞬間があって、友だちにも「絶対観にきてね」と言ってます。舞台を観るというのは、そういう気持ちになれる瞬間がいいので、ぜひ皆さまに見に来ていただきたいと思っています。美紀という役は、とても不器用な私には難しいなと思いながらやってます。でも、稽古場で見ているときに出てきた感情が、やってても出てくるときがあって、そういうなるといいなあと思っています。
──デリヘル嬢あずみの常連客で、俳優を目指しながらスーパーに勤めている諸星役の和田正人さん。オファーのとき、赤堀作品は出演するのが怖かったと言っていたそうですが。
和田 言ってましたか?(笑)たぶん生きてる限り役者としての仕事を続けていけたらと思っているのですが、壁にぶつかったり途中で挫折したり色々あると思うんです。それを乗り越えていくためにも1回壊したいなと。壊されて壊されて何かが生まれてくると、そう思ったときに、赤堀さんとご一緒させていただくことに期待感があって、怖かったんだと思います。実際、稽古では「死んだほうがラクになるんじゃないか」と思ったことが何度かありました。昔、陸上やってたときでもそう思ったことはなかったんですが。でも無事に本番を迎えられてよかったんです。

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──町工場に勤める服部役は福田転球さん、第一弾『殺風景』には出演されていましたが、今回はいかがですか?
福田 『殺風景』はかなりハードな作品で、かなり非日常的な作品でしたが、今回は、それこそ日常的で、でも少し非日常的です。皆さん、「こんなことあるな」「私もこんなことあるわ」という作品になってるんじゃないかと思っております。ダメな人が非常に多い作品なので、「そんなとこ行ったらあかんやないか」とか「なぜそこに行ってるんや」とか、いっぱい突っ込めるところがあるという感じで、すごく楽しめると思います。
──風間さんの義男の妻、節子役の梅沢昌代さん。夫婦役は2回目だそうですが。
梅沢 私の父も同じヨシオで、大正生まれで、味噌汁がちょっとしょっぱいとお膳をひっくり返しているような人だったので、全然違和感はないのですが(笑)。昔の女の方はそれを我慢していたのですが、今の女の人は違いますからね。あとの20年は自由に生きたいという役なので、観ている女性の方々は「うんうん」と頷いてくださると思います。私は稽古場が大好きで、赤堀さんと共演はしたことがあるのですが、演出は初めてでしたから、出番がなくてもずっと稽古場にいて観ていました。しごかれている方が(笑)変わっていくのを見ながら、すごく素敵な現場で、大事な時間をいただきました。

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〈公演情報〉
シアターコクーン・オンレパートリー2017
『世界』
作・演出・出演◇赤堀雅秋
出演◇風間杜夫、大倉孝二、早乙女太一、広瀬アリス、青木さやか、和田正人、福田転球、梅沢昌代、鈴木砂羽
●1/11〜28◎Bunkamuraシアターコクーン
〈料金〉 S席10,000円 A席8,000円 コクーンシート5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999
●2/4、5◎森ノ宮ピロティホール
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00〜18:00) 


【1月11日、12日、13日休演のお知らせとチケット払い戻し方法】





【取材・文・撮影/榊原和子】

 


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