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畠中恵の大ヒットファンタジー時代小説を舞台化したミュージカル「しゃばけ」。いよいよ1月19日から新宿・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで上演される。(29日まで)
原作は、2001年にシリーズ第1弾を発刊、現在まで続く人気シリーズで、刊行15周年を記念して今回のミュージカル化が実現した。
 
主人公の一太郎(若だんな)役は植田圭輔、佐助(犬神)役は滝川英治、仁吉(白沢)役は中村誠治郎がつとめ、古い屏風の付喪神・屏風のぞき役は藤原祐規、一太郎の親友で菓子屋の跡取り息子・栄吉役は逢沢 優、鈴の付喪神・鈴彦姫役は大平峻也など、豪華な顔ぶれで繰り広げる江戸の不思議物語。脚本は神楽澤小虎(MAG.net)、演出・音楽は浅井さやか(One on One)が手がける。
その作品について、菓子屋の跡取り息子・栄吉役の逢沢 優と、妖(あやかし)で鈴の付喪神・鈴彦姫役を演じる大平峻也に語り合ってもらった。

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逢沢 優・大平峻也

ワイヤーで吊られる鈴彦姫?

──この有名な作品への出演が決まった時の気持ちから、聞かせてください。
逢沢 ドラマ版も原作もすごく面白かったので、出演できることが嬉しかったです。僕の役は、一太郎の親友で、菓子屋の跡取り息子なのに、あんこを作るのが苦手な(笑)栄吉です。この役に決まったことで、和菓子店に見学に行って、作る過程を見せていただいたんです。小豆のしわ伸ばしから始まって、渋抜きなども何度もあって大変な作業で、思わず職人さんに「愛情たっぷりですね」と言ったら、「愛情と料理は比例しません」と(笑)。もっとシビアなプロの世界でした。
──貴重な経験でしたね。大平さんは付喪神(つくもがみ)の鈴彦姫ですね。似合いそうです。
大平 でも最初に役名を聞いたとき、姫と付いているので「えっ?」と(笑)。調べたら写真や絵があって、「これ女性じゃないか!?」と(笑)。付喪神に性別があるのかよくわからないんですけど、見た目は女性ですから、今回初めて性別の壁を超えることになります。でも初めてのことに挑戦するのは楽しいので、女性の所作なども綺麗にできるように勉強していこうと思っています。
──飛ぶような場面もありそうですか?
逢沢 ワイヤーいっちゃう?(笑)
大平 でもワイヤーで吊られて頭に鈴が付いてたら、神社の鈴そのものでしょ?(笑) 
逢沢 まさしく(笑)。でも綺麗な衣装で飛んだら、絵的には素敵だよね。
──キャラクターについてはどう演じたいと思っていますか?
逢沢 お話の中で栄吉が作るお饅頭があって、妖たちが食べるんですけど、そのお饅頭の味の成長が、栄吉自身の成長に繋がっているのかなと。お饅頭にはそういう比喩的な意味があると思っているので、お饅頭を通じて何かを表現できればと思っています。それに当時の家の跡継ぎ問題というのは、今では計り知れないくらい大事で、それを抱えているプレッシャーの中で、どんな気持ちでお饅頭を作っていたのか、そういった部分も考えていきたいです。
大平 鈴彦姫は鈴ですから、たぶん色々な感情によって音が違ってくるのかなと思っています。それから、表に出すか出さないは別として、すごく感情は豊かなんじゃないかなと。若だんなにつくのも温かい感情からではないかと思いますし、しっかりもので、思いやりがある気がします。
逢沢 鈴の音色って、気持ちを癒やしてくれますよね。魔除けでもあるらしいから、この公演中は大平くんに魔除けになってもらいましょう(笑)。
大平 わかりました(笑)。鈴彦姫と一太郎の関係性などは、植田(圭輔)さんと稽古で触れあう中で作っていけたらいいなと思います。

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ポップで楽しい本格ミュージカル

──お二人の舞台歴も伺いたいのですが、逢沢さんはミュージカル分野でのキャリアがすごいですね。
逢沢 一応、ミュージカル俳優なんです(笑)。最初はバレエダンサーになりたくて、クラシックバレエを6歳から習って、ニューヨークにバレエ研修もしたのですが、外国に行くとまず体型でかなわないんです。そこで諦めて、踊りも生かせる劇団を探して劇団四季を受けたんです。
──歌唱力は四季に入ってから身に付けたのですか?
逢沢 その前に大阪のテーマパークで働いたことがあって、そこで歌唱指導を受けて、そこから始めたという感じです。僕はすごく不器用で、栄吉のあんこ作りではないですけど、とにかく努力するしかなくて、四季の研究所は、毎日4種類のダンスのあとに「発声」というレッスンがあって、そこで「母音法」を徹底的に教わりました。
──四季独特の発声法ですね。滑舌がすごく良くなると定評があります。
逢沢 そうなんですが、退団したあと、滑舌が良すぎることで台詞が不自然に聞こえるとネックになりまして、「母音法」を抜くのにけっこう時間がかかりました。
──一方の大平さんは、なんと13歳で映像デビュー、すでに10年目ということで、若いのにキャリア十分ですね。
大平 いえ、まだまだ必死です。ただ、ここまで来られたのは周りの方に恵まれているからで、僕は本当に人との出会いに恵まれていて、その点だけは自信があります。
──ミュージカルも『テニスの王子様』や『刀剣乱舞』など、沢山出演していますね。
大平 ミュージカルは大好きです。歌はすごく好きですし、踊るのも好きなので。
──今回はそんなおふたりにふさわしい、本格ミュージカル作品になりそうですね。
逢沢 まさに本格ミュージカルです。歌詞に個々のキャラクターがうまく表現されていますから、お客様に伝わりやすいと思います。そして、栄吉的にいうならば、一太郎との友情を表したナンバーが1曲ありまして、「2人の友情は、めちゃめちゃ強いんだぜ!」という(笑)、一太郎&栄吉をフィーチャリングした曲があるんです。小さい時からお互いに知っているからこその、お互いへの思いが描かれていて、それを歌うのが楽しみです。
大平 けっこうポップというか楽しい曲が多いですよね。それに鳴家(やなり)という小鬼さんが沢山でてきて、「きゅわきゅわ」とか声が入るらしいので、とても楽しくなると思います。
逢沢 でも僕は劇中では人間だからね。妖怪たちが楽しく出てきているとしても、見えてないわけで、すごく苦しい。
大平 いたずらしに行きますからね(笑)。
逢沢 うわー(笑)。
大平 いくらでも好きなことできるので、楽しみです。

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人間と妖の面白さが盛りだくさん!

──お二人は会ったのは2度目だそうですが、すごく仲良しですね。
大平 優くんのあんこ作りの話を聞いたりすると、作品に対する愛も感じるし、真面目に取り組んでいる思いの強さを感じるんです。だから僕も負けてたまるかという(笑)。そういう良い刺激をもらうし、この出会いはきっと、僕の人生にとってかけがえのないものになるだろうなと思います。「年上だけど敬語じゃなくていいから」と言ってくれたり、とても温かさを感じるので。
逢沢 いや、大平くんは年は若いけど、僕のほうが教えられることが多いと思っています。2.5次元の舞台をはじめすごく活躍していて、ファンの方の声などを聞くと、キャラクターになりきる力のすごさとか、ナチュラルに芝居をしているとか、僕から見たら学ぶことが沢山あるんです。だから「敬語はやめてください」と。
──大平さんは、若いけれど自分の考えをしっかり持っていますね。
逢沢 僕がその年齢では、そんなにしっかりしていなかったよ。
大平 ほんとですか? 僕はなぜかわからないんですけど、小さい頃から俳優になりたいという気持ちだけは強かったんです。もの心ついた頃には、「俳優になる」と言っていて、どうして俳優になりたいと思ったのか、そこはまったく不明なんですけど。そして中学になって、このまま高校に進むのは僕の人生ではないと思ったので、今の事務所に入ったんです。本当にお芝居が大好きなので、今は毎日がすごく楽しいです。
──天性、俳優に向いているのでしょうね。
大平 すごく使命感みたいなものがあるんです。僕は俳優をやらなくてはいけないという。俳優に人生をかけているんです。
逢沢 素晴らしいね。僕にとっては俳優という仕事は、自分が不器用なこともあって、めちゃしんどいんですけど、舞台の上に出るとやっぱりすごく楽しい。だからやめられない。でも俳優は孤独な仕事という考えもあって、だからこそ、周りの方たちにいつでもウエルカムでいようという気持ちなんです。今回もすごい方々との出会いがあるので、それを大事にしていきたいですね。
──素敵な出会いで、良い作品になりそうですね。最後に意気込みをぜひ。
大平 すごく盛りだくさんの要素がある作品ですし、物語も面白いので、お客様もきっと感情の振り幅が大きくなると思います。そのためにも、鈴彦姫がんばります。
逢沢 この舞台は歌もダンスもあって見どころ満載です。日本の伝統や古典的な要素も、ミュージカルの中に組み込まれているので、日本の良さを改めて感じていただきながら、人間と妖のそれぞれの面白さを楽しんでいただきたいです。楽しみにしていてください。
 
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逢沢 優・大平峻也

あいざわゆう○1985年生まれ、兵庫県出身。劇団四季を退団後、映像や舞台で活躍中。主な出演作品は、ドラマ『キスから始まるストーリー、王様ゲーム編』(NHK)『ゴットハンド輝』(TBS)、映画『20世紀少年 最終章』、舞台は『最後の忠臣蔵』『WICKED』劇団四季ミュージカル『はだかの王様』『アトム』『冒険者たち』『The Beautiful Game』『カルメン』『ファントム』、最近ではCMアサヒフードアンドヘルスケア MINTIAWILD&COOL『ミンティアのち喝采』篇(2016)などがある。

おおひらしゅんや○1994年生まれ、東京都出身。TBS日曜劇場『本日も晴れ。異常なし』にてデビュー。TV・映画・CM等、映像作品を中心に多作品に参加。2011年からはミュージカル『テニスの王子様』加藤勝郎役をきっかけに、舞台作品へ活動の幅を広げ、愛らしいルックスと魂宿る芝居で独自のキャラクターを確立し、活躍中。主な出演作品は、ミュージカル『刀剣乱舞』、舞台『カードファイト!!ヴァンガード』バーチャル・ステージ、ドラマ『お迎えデス。』、映画『渇き。』、PlayStationR4用ソフト『人喰いの大鷲トリコ』あるゲーム店の場合篇CMなど。


公演情報〉
Unknown
 
ミュージカル「しゃばけ」
原作◇畠中恵『しゃばけ』(新潮文庫刊)
脚本◇神楽澤小虎(MAG.net)
演出・音楽◇浅井さやか(One on One)
出演◇植田圭輔、滝川英治、中村誠治郎、藤原祐規、逢沢 優、大平峻也、福井将太、荻野 崇、川下大洋 ほか
●2017/1/19〜29◎紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
〈料金〉プレミアム席(前方エリア/特典付)10,800円 一般席6,900円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉株式会社CLIE 03-6379-2051

c2001 畠中恵/新潮社 c2017 CLIE




【取材・文/榊原和子 撮影/アラカワヤスコ】

 


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