DSC_0002

新宿FACEで、『ALTAR BOYZ』のTeam GOLDバージョンが2月3日、開幕した。(16日まで。TeamLEGACYは2月6日開幕。大阪公演あり。その後品川で合同スペシャルバージョンあり)
 
『ALTAR BOYZ』は、2004年、ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティバル(NYMF)の47丁目劇場(Puerto Rican Traveling Theatre)にて初演を迎え大ヒットした作品。
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『RENT』『アベニューQ』など、時代の映し鏡とも言える話題をさらった舞台を次々に送り出すオフブロードウェイにおいても燦然と輝き続け、「ベストオブ・オフ ブロードウェイ賞」を受賞した。その後、韓国、フィンランド、オーストラリアなどで上演。日本では、09年の東京、大阪、名古屋での初演を皮切りに、今回で5回目の公演となる。
今回は、日本初演メンバーが集結したTeamLEGACY(東山義久、植木豪、中河内雅貴、森新吾、良知真次)と、LEGACYとは異なる振付で挑む新メンバーのTeamGOLD(大山真志、法月康平、松浦司、常川藍里、石川新太)の2チーム体制で上演される。そのTeamGOLDの通し舞台稽古が初日前にプレスに公開された。

DSC_8896

【あらすじ】
アルターボーイズとは、神に仕えた美しき男子のこと。5人の使徒たち、MATTHEW(大山真志)、MARK(法月康平)、JUAN(松浦司)、ABRAHAM(常川藍里)、LUKE(石川新太)は、ボーイバンド(ダンスボーカルグループ)を結成。“福音”の歌とダンスで愛を説き、観客たちの魂を救うことを使命とした現代版ゴスペルグループのような存在だ。
舞台は、2017年世界ツアーの日本ファイナル公演という設定で、アルターボーイズのメンバーは、人種差別、移民差別、LGBTQ問題、ドラッグ問題など、現代の難問を知的でコミカルなセリフに織り交ぜ、歌と踊りで魅了する。
はたして5人の使徒たちは、日本ファイナル公演の終了までに観客たち全員の魂を救うことができるのか。しかし、そこで待っていた思わぬ展開がメンバー達を悩ませ始めるのだが……。

DSC_8875

アメリカがトランプ新大統領になって、移民流入やLGBTQ法、イスラム教徒への対応などで悶着を起こしている今、この作品の語るコミカルで辛辣な時事ネタがそのまま誇張ではないことがはっきりする。作品に出てくる事態は紛れもなく本当に起こりうる話なのだ。アルターボーイズはそんな問題の解決策として、愛と平和と友愛を歌と踊りで表現し、世界がひとつになろうと説いている。まさにジャストなテーマと言えるのではないか。
そして、そういったテーマ性だけでなく、大切なのは、歌や踊りを体感し、人への慈しみと思いやりの大切さを心の底から感じることなのだ。だから、彼らは精一杯、誠意を込めて歌い踊るのだ。

DSC_0144

舞台上には生バンド、バックにドラム、エレキベース、エレキギター、シンセサイザーという布陣。演奏の腕はピカイチだ。彼らが鳴らすのは、まさにアメリカの音楽の歴史だ。サム・クックばりのR&Bやゴスペル、レッド・ホット・チリペッパーズともおぼしいミクスチャー・ロック、ディアンジェロやプリンス的なソウル、パブリック・エナミーの社会派ラップ、出身国は違えどレッド・ツェッペリンのハードロックとくれば、これはアメリカが人種問題や、社会問題にどうやって戦ってきたかという歴史の証言でもあるのだ。それを使徒5人が朗々と歌い上げるのは、今のトランプアメリカに抗おうとする姿でもある。

DSC_8817

リーダーとしてチームを引っ張る存在というべき大山真志(MATTHEW)の歌は、大きな体躯も相まって、本当にサム・クックと言わんばかりの、うまさ、キレ、伸び、感情の入れ方が、歌詞の一語一語から滲み出ていた。
 
DSC_8944

法月康平(MARK)は、役柄のゲイの問題をそこはかとなく匂わせながら、(どちらかといえば彼はQueer=変わり者に近い気もする)、たくましくハードロックの曲をシャウトしていた。彼が歌おうとした時、レッド・ツェッペリンの大ヒット曲『天国への階段』のイントロをギターのトレモロで演奏するのは、いやがおうにも気持ちが高ぶる。

DSC_9649

松浦司(JUAN)は、自身の両親の居所を探す孤児でもあるのだが、孤児問題という社会派のライムをかっこよくラップしていた。このラップの韻は、原曲のゲイリー・アドラーとマイケル・パトリック・ウォーカーの英語の韻を、翻訳の北丸雄二が日本語に見事に近づけている。
 
DSC_9332

常川藍里(ABRAHAM)は、メンバーのまとめ役であり、作詞家を務めていて、彼の歌う愛と平和と友愛の歌は、みんなで1つになろうという思いを強く感じられるソウルフルな曲で、涙腺を崩壊させる。どこかマイケル・ジャクソンを思い出してしまうのは、彼も世界が愛の力でひとつになることを望んだ人だからだろう。

DSC_0030

石川新太(LUKE)はメンバーの盛り上げ役で、客席をも盛り上げる。この作品は観客も参加できるストーリー展開になっているのだが、彼はディアンジェロやプリンスばりの巧みにソウル・レビュー(ファンクな曲を切れ目なくつなげて客席を煽る)で、会場を大いに盛り上げ、まるで一流アーティストのコンサートにきたような気分にしてくれる。

DSC_9007

踊りも演出の玉野和紀の指導が隅々まで行き渡っている。演劇キックのレポートでも「何も間違っていないし、一生懸命で素敵だけれど、抜くところと見せるところのメリハリをつけよう」という指示(http://kangekiyoho.blog.jp/archives/52017869.html)があったように、隙がなく、しかも統制の取れた踊りだ。

DSC_0083

とくにTeam GOLDの場合は、彼らの個性や技術を活かした自由な踊りという気がする。例えば、常川藍里がバレエのピルエットを巧みに見せれば、松浦司はブレイクダンスで逆立ちして回転し激しく応じる。そしてメンバー全員での息の合ったコンテンポラリー・ダンスは、目を離せないほど素晴らしい。

DSC_9553
DSC_0062
DSC_8933

バック・バンドの演奏がハードでテンポが早いことで、ハイレベルな歌と踊りを要求されるのだが、若さと結束力でそれに立ち向かい、見事なパフォーマンスを見せてくれるのは、激しい稽古と、何よりTeamLEGACYという偉大な先輩達の背中を追いながら成長してきたからではないだろうか。

DSC_8900
DSC_9349

そんな彼らを踊りやすいように、歌いやすいように創られた舞台美術(中村知子)も見逃してはならない。背面に十字架をかたどったネオンライトが象徴的で、それ以外は俳優と演奏者の激しい応酬を意識した舞台なのは、演出の玉野自身がダンサーであることも大きいだろう。この作品の日本版の演出家として、上演のたびに新しい才能あるスターを生み出し、同時にこの『ALTAR BOYZ』という名作の素晴らしさを改めて伝えてくれる玉野の演出力に感動する。

DSC_9299
DSC_9190

このTeamGOLDの5人がゴールドのように輝きながら、彼らもまたレガシーへとなるべく、進んでいくだろう。そんな感慨に震えるような、今まさに新しいイエス・キリストが生まれた祝祭日に立ち会えたような、胸躍る舞台となっている。

DSC_9819
DSC_9890


〈公演情報〉
s_PR
BEST OF OFF BROADWAY MUSICAL
『ALTAR BOYZ』
作◇ケビン・デル・アギラ
作詞・作曲◇ゲイリー・アドラー マイケル・パトリック・ウォーカー
演出◇玉野和紀
出演◇
「TeamLEGACY」東山義久 植木豪 中河内雅貴 森新吾 良知真次
「TeamGOLD」大山真志 法月康平 松浦司 常川藍里 石川新太
●2/3〜16◎新宿FACE
〈料金〉「TeamLEGACY」8,500円 (全席指定・税込 ※会場にて1ドリンク代500円別途必要)
〈料金〉「TeamGOLD」7,000円 (全席指定・税込 ※会場にて1ドリンク代500円別途必要)
 プレビュー公演 6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799 (11時〜18時)
●2/18◎森ノ宮ピロティホール ※「TeamLEGACY」キャスト
〈料金〉8,800円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(10時〜18時)
●2/24日〜2/26日◎東京・品川プリンス・ステラボール(TeamLEGACY×TeamGOLDによる合同スペシャル公演)
〈料金〉8,800円 (全席指定・税込 ※会場にて1ドリンク代500円別途必要)
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799 (11時〜18時)




【取材・文・撮影/竹下力】



えんぶ3号発売!えんぶチャート投票ハガキついてます。




kick 

shop 

nikkan 

engeki