Unknown

宅間孝行が主宰するタクフェスに、コメディ路線の新しいシリーズ「タクフェス春のコメディ祭!」が登場する。その第1作目になる『わらいのまち』が、3月30日の東京グローブ座初日を皮切りに、名古屋、兵庫で公演する。
この作品は、2011年に宅間の作・演出で上演、寂れた田舎町の寂れた温泉旅館「まつばら」を舞台に、行き違い、勘違いが巻き起こす、抱腹絶倒のシチュエーションコメディだ。
今回はキャストの中に、宅間作品を10数年前から観続けてきたという鈴木杏樹を迎える。その鈴木杏樹と宅間孝行に、この『わらいのまち』について語ってもらった「えんぶ」4月号の対談記事を、別バージョンの写真とともにご紹介する。

Unknown-3鈴木杏樹・宅間孝行

お互いに10年先まで、この世界で頑張れたらと

──タクフェスに新しいシリーズができるということですが?
宅間 秋のタクフェスは、泣いて頂く作品を上演していて、それを楽しみにしてくださるお客様が沢山いますので、それはそれで大事に。でも笑いの作品もやっていきたいなということで、明るい春に笑いのシリーズをやることにしたんです。
鈴木 泣ける作品と笑える作品と、どちらも作れるってすごいことですよね。
──鈴木さんは宅間さんの作品をずっとご覧になってきたそうですね。
鈴木 10年以上観させていただいてます。宅間さんが脚本を書かれたドラマに出させていただいたのがきっかけで、その本が本当に素敵で、どんな方が書かれたのか聞いたんです。
宅間 東京セレソンデラックスの時代ですね。
鈴木 ちょうど『ピリオド』という公演が上演中で、観に伺ったんです。終演後に「初めまして」とご挨拶したんですけど、私が感動して号泣していたせいで、ご挨拶もままならないという(笑)。
宅間 そのまま飲みに行って、そこからほぼ全部観てくださってますね。一度だけ海外に行ってて、観ていただけなかったけど、まだ1週間くらいしか公演を打てない時期だったのに、必ず観に来てくれて、最初に劇団のファンクラブを作ったときは、なんと10年分の会費をいっぺんに振り込んでくれて。
──10年先まで観たい劇団だったんですね。
鈴木 お互いに10年先まで、この世界で頑張れたらいいなという願いをこめて。
宅間 たぶん同じ業界の人では一番長く観てくださってます。

Unknown-2

なんでうちじゃないの? と若干ジェラシーが

──そういうお付き合いなら、いつ宅間さんの舞台に出てもおかしくなかったですね。
宅間 杏樹さんは絶対舞台をやらないと思っていたから。つねにレギュラー番組もあったし、生放送とか持ってると舞台のスケジュールは難しいですよね。ところが一昨年、いきなり「舞台出ますから、観に来て下さい」と言われて、「えーっ、やるの?」(笑)。
鈴木 初めてで、恥ずかしいですけど、やっぱり観てほしかったのでお声をおかけしたんです。
宅間 その『Walk oN!』の杏樹さんがすごく良かったんです。それで「舞台も全然OKじゃない! ていうか、やるんだ芝居!?」みたいな。若干ジェラシーがありました。なんでうちじゃないの? という(笑)。本当にやらない人だと思ってたから。
──出てみたい気持ちはあったのですね?
鈴木 ずっと拝見してましたから夢ではあったんですが、体力的にどうなんだろうとか、持っている番組との兼ね合いで諦めていたんです。でも『Walk oN!』で西村雅彦さんに声をかけて頂いて、知ってる方が一緒だと心強いなと。
──宅間さんの作品は好きだからこそ逆に出たくないとか?
鈴木 私はそんなこと全然ないんですけど、弟も宅間さんのお芝居が大好きで、その弟が「えーっ! 大丈夫??」って、すごい不安がってます(笑)。好きな世界に、姉が入ることで、現実として受け止めたくないみたいで。
宅間 ははは(笑)。
──具体的に出て頂くまでのいきさつは?
宅間 作品が『わらいのまち』に決まって、仲居の真知子役を誰にしようかなと考えたとき、杏樹さんならぴったりだなと。スケジュールもあるので引き受けてもらえるか心配してたんですが、出てくれることになって。関係者みんな、めちゃくちゃ盛り上がりましたよ(笑)。
鈴木 私も嬉しかったです。「えっ宅間さんの舞台? 出る出る出る!」(笑)、作品が何かとか役とか聞かないうちに「出る出る!」って(笑)。
──初演もご覧になってると思いますが、真知子役については?
鈴木 関西弁で喋る役で、関西出身なので言葉は大丈夫なのですが、たぶん登場人物で私1人だけ関西弁ですよね? 周りが違う中で喋るって意外と難しくて。
宅間 ああ、引っ張られるんだよね。
鈴木 『Walk oN!』の大阪公演で、西村さんに「カーテンコールでは関西弁で挨拶して」と言われたんですけど、全員が標準語で挨拶しているので、うまく関西弁が出てこなかったんです。大阪のテレビ局の方に「東京に心売ったんやな」と(笑)。次の日は、関西弁を喋るスタッフさんと袖で練習して、無事関西弁で挨拶できたんですけど。今回もちょっとそこが心配なんです。
宅間 出演者の辻本祐樹くんが確か大阪出身なので、彼と喋っててください(笑)。

Unknown-4

スライムみたいな状態で役に入っていく

──宅間さんから見て、女優さんとしての杏樹さんは?
宅間 一度共演してますよね。別れた旦那役で。
鈴木 私が主演した『ライアの祈り』(2015年)という映画に出てくださって。
宅間 ドラマも観てますが、素の杏樹さんとは違う人に、ちゃんとその役に見えるんです。
鈴木 嬉しいです。ありがとうございます。
──バラエティと役を演じるときとでは意識が違いますか?
鈴木 バラエティに関しては、素の鈴木杏樹で出ています。発言なども私自身です。でも役を演じるときは、その人はどんな人か考えて役になろうとします。そしてスライムみたいな状態で役に入っていきます。
──作・演出家としての宅間さんとは今回が初めてになりますね?
鈴木 そうなんです。以前、1回だけ初演の『歌姫』で稽古場を見せていただいたことがあって、自分で演出しながら主役でも出るってすごいなと感心した覚えがあります。よく色々な方が言う「怖い演出家」という印象はなかったです。
宅間 怖くないですよ(笑)。
鈴木 でも初演の『わらいのまち』のDVDの特典映像で、柴田理恵さんが「宅間さん怖いです」って言ってて、あの柴田さんが怖いって?(笑)。
宅間 いやいやいや、柴田さんのほうが怖いですって(笑)。
──そんな楽しい座組が今回も楽しみです。最後に意気込みをぜひ。
鈴木 私は、本当なら不安という気持ちがあってもいいのに、全然なくて(笑)、楽しみでしかなくて、ワクワクしています。出演者の皆さんやお客様と一緒に、楽しくすごせたらいいなと思っています。
宅間 この「タクフェス 春のコメディ祭!」が毎年のシリーズになればいいなと思っています。素敵なメンバーが揃ったので、期待して頂いて大丈夫です。東京グローブ座では初めてですが、コンパクトで居心地の良い劇場ですから、楽しみにいらしてください。

宅間孝行 鈴木杏樹
鈴木杏樹・宅間孝行

たくまたかゆき○東京都出身。脚本家、演出家、俳優。97〜12年にかけて劇団「東京セレソンデラックス」、以降は「タクフェス」を主宰。作家・演出家・監督・俳優として映像や舞台で活躍、辻本茂雄とのユニット「つじたく」でも活動中。俳優としての主な作品は、NHK朝の連続テレビ小説『つばさ』『新選組血風録』大河ドラマ『花燃ゆ』『嵐の涙-私たちに明日はある-』など、映画は『くちづけ』(原作・脚本・出演)『海難1890』『団地』『嫌な女』、昨年『全員、片想い』内の短編「サムシング・ブルー」を監督した。

すずきあんじゅ○1992年、連続ドラマ『十年愛』(TBS)でデビュー。以後、数々のドラマや映画に出演。現在、『相棒シリーズ』(EX)レギュラー。95年から20年間司会をした『MUSIC FAIR』は記憶に新しい。TVは朝の情報番組『ZIP!』(NTV)で金曜日のメインパーソナリティーとして出演、ラジオは『鈴木杏樹のいってらっしゃい』(04年〜/月〜金/LF)『オールナイトニッポン MUSIC 10』(15年9月〜/毎週水曜/LF)のレギュラー。舞台は『Walk oN!』(15年)に続いて2作目。

〈公演情報〉
201612070033_ex

タクフェス 春のコメディ祭!『わらいのまち』
作・演出◇宅間孝行
出演◇宅間孝行 永井大 柄本時生/柴田理恵 鈴木杏樹 ほか
●3/30〜4/12◎東京グローブ座、
4/14〜16◎中日劇場、
4/18〜23◎兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
〈お問い合わせ〉東京/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
http://takufes.jp/warainomachi/


【撮影◇岩田えり】 



えんぶ4月号 




kick 

shop 

nikkan 

engeki