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ねずみ男/大塚庸介・小豆はかり/井上一馬
 
劇団イッツフォーリーズが2014年に初めてミュージカルとして上演し、大評判となったミュージカル『ゲゲゲの鬼太郎〜十万億土の祈り唄〜』、その3年ぶりの再演が3月28日に俳優座劇場で幕を開ける!(31日まで) 
1968年にアニメ化されて以来、広く親しまれているオープニングテーマ「ゲゲゲの鬼太郎」、そしてエンディングテーマ「カランコロンの歌」は、劇団の創設者いずみたくが作曲したもの。ミュージカル化に際しては、脚本・演出にラサール石井を迎え、“鬼太郎”が誕生するまでの物語を、オリジナルストーリーで描いている。
そのキャストの中から、小豆はかり役の井上一馬とねずみ男役の大塚庸介に、水木しげるの故郷、境港の風景の中で話を聞いた「えんぶ4月号」の記事を別バージョンの写真とともにご紹介する。

水木先生の意思を継いで、身を引き締めて演じる

──豪雪の中、鳥取の境港市にある「水木しげる記念館」で衣裳を着て撮影していただきました。
井上 大塚くんの衣裳は暖かそう(笑)。こっちは寒いよ。ねずみ男は、出っ歯を口に入れて喋るし歌うから大変だね。
大塚 井上さんの頭を作るのも大変ですよ。最初は「まりも」のように小さいから、これを巨大にする苦労があります。ただ、この格好で町を歩いても驚かれなかったですね。
井上 町中が水木ワールドの住人だからね。その日も米子で『死神』の公演があったけど、豪雪の中、270人ものお客様がいらっしゃって、みんなで感動したよね。
大塚 町全体に優しさがあります。
井上 館長の庄司行男さんも突然の訪問を快く受け入れてくださった。水木先生の生い立ちから、執筆していた場所も含めて目撃できて、幼い頃に読んでいた水木作品と今回の『ゲゲゲの鬼太郎』が結びついて、改めて気持ちが引き締まりました。
──役どころは大塚さんがねずみ男、井上さんが小豆はかりなのですね。
大塚 ねずみ男は、人間が持っている欲の代表ですが、鬼太郎のどこか怠けた部分とも共通する、妖怪と人間の間を仲介しているポジションです。
井上 僕はアニメには一切登場しないキャラクターです。天井の上で小豆をパラパラさせて「一瞬は永遠であり永遠は一瞬である」という水木先生の名言を言います。力のない妖怪ですが、哲学的で人間の心の闇を小豆はかりに託した先生の意思を感じさせます。 

力で押し返すのではない方法があるんじゃないのと

──記念館では水木先生のお話も出ましたか?
井上 館長さんが話してくれたことが非常に強烈でした。「鬼太郎がヒットしてお金を儲けさせてくれてありがとう」とおっしゃったそうです。子供向けのファンタジーを作っていながらあえて善人ぶらない。お金を稼ぐことを卑下してはいけない。正直でいなくちゃいけないと。そして、人間というのはしたたかだけど、頑張らなくてもいいんだ、怠けていいんだよと。まさに鬼太郎のことですよね。みんなが優秀でエリートでなくてもいいとおしゃっている気がします。
大塚 今、時代はピリピリしているじゃないですか。だから劇中の「頑張らなくてもいいんだよ」というナンバーが大事なんです。妖怪と戦うシーンでバカになって歌うんですが、その歌で妖怪たちのバリアが浄化されていく。戦争体験をした先生だからこそ、「力で押し返すのではない方法があるんじゃないの」と言っている気がしました。
──この作品は劇団の財産演目になっていきそうですね。
大塚 お客様はこの年齢じゃなきゃだめとかいうのではなく、年齢の高い方から低い方まで、一緒に見てもらいたい作品なんです。とにかく色々な方々に見ていただきたいです。
井上 NHKのニュース番組で2.5次元舞台が若い女性に受けていて、今後の日本の演劇界の柱になると言ってました。この作品も漫画の原作ありきで2.5次元ですが、万人が楽しめて、水木先生の精神性が残り続ける作品にしていきたいですね。
──最後に、作品を楽しみにしている方へ一言。
大塚 この舞台はファミリーミュージカルというカテゴリーに入ると思うんですが、みんなで一緒に楽しめる作品なので。ぜひ親子で観てもらたいですね。
井上 いずみたくが作ったテーマ曲を、ぜひ口ずさんで帰ってほしいです。

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大塚庸介・井上一馬

いのうえかずま○鹿児島県出身。『ルドルフとイッパイアッテナ』で客演を務め、その後イッツフォーリーズに入団。2011年には、てがみ座『線のほとりに舞う花を』で佐藤佐吉賞優秀主演男優賞を受賞。主な出演作品に『お・ど・ろ』『死神』『秋に咲く桜のような』『夏の夜の夢』など。特技はヒップホップダンスからタップダンスまで何でもこなす。

おおつかようすけ○東京都出身。杉並児童合唱団に所属している頃、いずみたくの曲に憧れ役者を志す。その後イッツフォーリーズに入団。また得意のギターを生かしてフォークデュオ「かぼす」を結成。主な出演作品に『おれたちは天使じゃない』『野菊の墓』『霧のむこうのふしぎな町』『死神』など。2017年4月には『見上げてごらん夜の星を』で主演を務める。

〈公演情報〉
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イッツフォーリーズ公演
ミュージカル『ゲゲゲの鬼太郎〜十万億土の祈り唄〜』
原作◇水木しげる
脚本・作詞・演出◇ラサール石井
音楽◇玉麻尚一
挿入歌◇作詞・水木しげる 作曲・いずみたく
出演◇明羽美姫 井上一馬 勝部祐子 大塚庸介 金村瞳
中村つむぎ 田中愛実 新井あゆ美/外岡えりか
築出静夫 縄田晋 四條久美子(ペテカン)  西海健二郎(劇団SET) 丸山優子(劇団SET)
●3/28〜31◎俳優座劇場
〈料金〉前売4,000円/当日4,500円 30日・31日11時 前売3,500円/当日4,000円 U25/3,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉オールスタッフ 03-5823-1055(平日11:00〜19:00) 
http://www.allstaff.co.jp



【取材・文/竹下力 写真提供/イッツフォーリーズ C水木プロ】 



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