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世界に3億5500万人の読者を持ち、1950年の連載開始から今尚読み継がれているチャールズ・M・シュルツ著の大人気コミック『ピーナッツ』。作品から飛び出した、やはり世界中で愛されているキャラクターたちは、アニメに、映画に、そしてグッズにと、多方面で大活躍を続けている。
その1つであり、キャッチーな音楽に乗って彼らが舞台上を駆けまわるブロードウェイミュージカル、『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が、本日、4月9日にシアタークリエで開幕した!

たとえ原作コミックを知らなくても、このキャラクターを目にしたことがない人は、日本に1人もいないだろうというほど、世界で最も有名なビーグル犬スヌーピーとその飼い主のチャーリー・ブラウン。 
その役を演じる村井良大と中川晃教が、大人気キャラクターを演じるということ、作品への期待、そしてミュージカルへの思いを語ってくれた「えんぶ4月号」の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介する。(※この公演のレビューも近日中にアップ! ご期待ください!)

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可愛いキャラクターの中にある哲学的な言葉

──大人気キャラクターを演じるということになりましたが、原作のシュルツさんの漫画『ピーナッツ』は読んでいましたか?
中川 新聞に連載されていた4コマ漫画だということは、知識として知ってはいたんですが、全然読んでいなかったです。読んでた?
村井 僕も読んでいませんでした。だから純粋に可愛いマスコットキャラクターというイメージでしたね。
中川 そう、全く同じ。あとミュージカルになっているということもなんとなく知ってはいたけれど、調べたことはなかったから。でもこの作品をやらせて頂くというお話が決まった時に、六本木の「スヌーピーミュージアム」に行ったんです。そこでシュルツさんの本のことを知って、アメリカでとても愛された国民的キャラクターなんだなということがわかりました。
──ある意味フラットな状態だったわけですね。その中でこの作品に取り組もうと思ったのは?
村井 まず、面白そうだな! と思ったんです。イメージが強烈なだけに、あのキャラクターたちがどうやってミュージカルになるのか想像できなくて、その想像できないという力に惹かれました。わからないことって面白いじゃないですか。
中川 なるほどね。僕はまず周りに、ものすごくたくさんスヌーピーファンがいたことが1つですね。これほど愛されているキャラクターにと、声をかけて頂けたことが嬉しかったです。それから、このお話をきっかけに、妹がたくさん本を持っていることを知って見せてもらったら、結構内容が哲学的なんですよ。しかも英語で書かれているものを日本人が読んで、拙い語学力でも何気ない言葉の中に力を感じるし、イマジネーションが沸いたんです。だからこそ今、この作品をやることが、新しく感じられました。しかも演出が小林香さん、振付が川崎悦子さん、これまでむしろ大人っぽい世界観を作ってきた人たちが、敢えてこの作品に取り組むのは、ものすごく作品を愛しているからこそで、そこにもとても惹かれました。
 
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6人の出演者で紡ぐエンターテイメント!

──そんな人気キャラクターですが、それぞれ演じる役についてはどんなイメージを?
村井 僕はチャーリー・ブラウンですからね。
中川 タイトルがまず『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』で、「Good Man」だよ。どうですか?「Good Man」ですか?
村井 僕は結構自負してますよ、自分がGood Manだなって(笑)。でも、人から「いい人だね」と言われると反抗心がわきません?
中川 男の子だね!
村井 そうそう(笑)。本当は悪い部分もあるんだぜ! と言いたくなる(笑)。でも周りから「チャーリー・ブラウンをやるんだ? 村井君にピッタリ!」と言われていて、調べてみると、チャーリー・ブラウンって幸せそうな人たちを見ているのが好きと言っていて、僕も周りの人たちが幸せそうにしているのを見ているのがすごく好きなので、あぁそこは一緒だなと。でもまだ解剖中です(笑)。チャーリーがいい人というよりは、彼の周りの子供たちが個性的な子ばかりなんじゃないかとも思うので。スヌーピーの飼い主だけれども、スヌーピーに尊重されているのかというと、?というところもあるし(笑)。
中川 スヌーピーは自由だからね。
村井 自由ですよね。鎖につながれているわけでもなく、屋根の上に寝てて、人間みたいな動きもして(笑)。
中川 うん、だからね、僕はまず犬を演じるというのがすごく面白い。人間の役では天才的な人物、アウトロー、戦隊もの、悪役などなど、色々な人物を演じてきたけれど、犬を演じるってどういうことなんだろうと考えると、とても感覚的なものに思えて。スヌーピーだからこそ発揮できる僕の感性もあるのかなと。それに作品が6人の出演者だけで演じるというとてもコンパクトに凝縮された中に、コメディやエンターテイメントの要素が詰まっているから、そのバランスもいいなと思います。
村井 ただ難しいですよね。そもそも絵柄は2頭身だし(笑)、アニメ版も観ましたけれど、とにかくみんな可愛く動くし。でも等身大の人間が演じた時には、絶対にああいう動きにはならない。キャラクターの可愛さだけを追求するなら、実際に子供が演じた方がいいのでは?ということにもなりますよね。それをなぜ、敢えて大人が演じるのかを考えると、ただ子供らしく演じればいいということではないはずで、アッキー(中川)さんが言った通り、作品の中にある哲学的な言葉は大人が演じてこそ伝わるものだろうから、稽古の中でその辺のバランスをきちんと探っていきたいです。
中川 キャラクターが確立していればいるほど、僕らが演じる意味が重要になるよね。このキャラクターをこの俳優がどう演じるのかが、ハッキリ見えた方が面白いと思う。決して子供風とか、キャラクターっぽい、ということではなくて、村井君のチャーリー・ブラウンを中心に、仲間たちがいて、飼い犬のスヌーピーがいる。芝居の中でそれぞれの役者ならではの個性が投影されていくといいよね。

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チャーリーとスヌーピーとして同じ方向を向いていける

──作品のミュージカルとしての魅力はどうですか?
中川 まず音楽が素晴らしいです。どの曲も色々な意味で聞き入ることができるし、きっと作品を観終わった後に、お客様個々の中に残る曲が必ずあると思います。それほどどの曲もテーマがハッキリしていて、かつオシャレなんです。クラシックの有名なモチーフから展開される曲もあれば、三重唱があったり、スヌーピーの曲などでは「とにかくご飯が食べたい」(笑)と言い続けているものもある。ミュージカルとしてのクオリティがとても高いし、ミュージカルだから、このキャラクターたちの物語が成立しているとも言えます。
村井 音楽が入ることによって、物語が軽快に進みますよね。
中川 村井君はミュージカルよりストレートプレイへの出演の方が多かったの?
村井 そうですね。ミュージカルは『キム・ジョンウク探し』『RENT』『私のダーリン』くらいかな。あまりまだ数はやっていないです。
中川 ミュージカルとストレートプレイとの違いって何だと思う?
村井 もちろんミュージカルには、まず歌があるっていうことですけど、でも「キーがずれてるよ」みたいなことは極く初期の段階の話で、結局は役者の中身の話になってくるから、僕は実はあまり変わらないと思っています。ミュージカルの現場でも「芝居作りと一緒だな」と思うことが多いですね。
中川 うん、そういう感覚なんだよね僕も。村井君っていくつ?
村井 28です。
中川 そうか、20代か。この頃の若い人、20代の人と話してるとミュージカルに対して考え方がフラットなんだよね。今、ミュージカルの世界に芝居という入り口から自然に入ってくる人がすごく増えていて。「声楽家でした、歌手でした」という出自じゃなく「踊りも好きです、歌も好きです、芝居も好きです、映像もやってます、だからミュージカルもやります」っていう感覚。これすごく良いことだと思うし、ちょっとオヤジくさくなるけど(笑)、あぁ、時代は変わったなって思う。人を喜ばせる仕事、それを言葉にするとエンターティナーだと僕は思うけど、そういう人たちがミュージカルというものにも自然に入ってきて、やりこなしていく時代になった。やっぱり日本のミュージカルが世界レベルになっていく為には、まずスタンダードの1つになることが大切だと思うから、これから更に上を目指していくにあたって、とても良い流れ、良い風が吹いていると思う。
村井 僕は今年で芸能界に入って10年目なんですけれど、やっぱりミュージカルっていいなぁとこの数年でどんどん思うようになってきました。やっぱりストーリーと言葉だけじゃなく、音楽が入ってくることによって、感情の振り幅が激しくなるんですよね。音楽の力ってとても大きいじゃないですか。
中川 うん、デカい。
村井 その力で気がついたら泣いていたということがよくあります。演じていても、観ていても。
──そういう大きな力のあるミュージカルで共演するお互いの魅力は?
村井 アッキーさんの舞台は色々観させて頂いてきましたが、とても繊細で、その繊細さの中にある骨格はすごく骨太で、感情に向かって体当たりしている印象が強いです。そんなに力いっぱいぶつかったらハートが壊れちゃうんじゃないか、と心配になるくらい、いつも本気の人だなと思います。
中川 僕は今日話していて更に感じたんだけど、村井君は自分の言語をきちんと持っていて、思ったことを端的に言葉にできる人だなと。それってやっぱり天性のものだし、ずっと自分を見失わずに、かつ様々な経験の中で自分を磨いてきたということだと思うので、そういうポテンシャルの高い村井君とだったら、チャーリー・ブラウンとスヌーピーのある種のツンデレ感、お互いに突き放していても、ちゃんと同じ方向を向いているところは、きちんと作れるだろうからとても楽しみですね。今、こうしていても、すでに飼い主から見られている感覚にスッとなれるから(笑)。村井チャーリーについていきたいと思います。
村井 これだけ愛されているキャラクターを演じるのには、プレッシャーもありますが、僕たちならではのチャーリーであり、スヌーピーをお客様にお見せできるよう、頑張っていきたいです。


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むらいりょうた○東京都出身。07年テレビドラマ『風の小次郎』で初主演。また『仮面ライダーディケイド』などでも活躍。舞台活動にも熱心で『風魔の小次郎』『テニスの王子様』『里見八犬伝』をはじめ、『マホロバ』『カワイク・シアワセでなくちゃいけないリュウ』『殺意の衝動』『真田十勇士』『キム・ジョンウク探し〜あなたの初恋探します』など数々の舞台で活躍。7月には、その温かい存在感で喝采を集めた『RENT』のマークで再び主演に挑む。10月には『アダムスファミリー』への出演も決まっている。 

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なかがわあきのり○宮城県出身。01年自身の作詞作曲による「I WILL GET YOUR KISS」でデビュー。02年日本初演のミュージカル『モーツァルト!』の主役に抜擢され、初舞台にして第57回文化庁芸術祭演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞。以後音楽活動と共に数々のミュージカル、ストレートプレイに出演。最近の主な舞台作品は『CHESS』『グランドホテル』『フランケンシュタイン』など。昨年の『ジャージー・ボーイズ』で演じたフランキー・ヴァリ役で第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、菊田一夫演劇賞などを受賞。7月にはミュージカル『ビューティフル』への出演が控えている。
 

〈公演情報〉

PR のコピー

ブロードウェイミュージカル
『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』
原作◇チャールズ・M・シュルツ著 コミック『ピーナッツ』より
脚本・音楽・詞◇クラーク・ゲスナー 
追加脚本◇マイケル・メイヤー
追加音楽・詞◇アンドリュー・リッパ 
訳詞・演出◇小林香
出演◇村井良大 高垣彩陽 田野優花(AKB48)  古田一紀 東山光明 中川晃教
●4/9〜25◎シアタークリエ
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9:30〜17:30)
http://www.tohostage.com/charlie/


【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

 


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