青年座『旗を高く掲げよ』チラシ
青年座劇場が、まもなく50年を迎えようとしている。1969 年に開場したこの劇場は、常に新しい創造の場だった。そして、今年も演劇界注目の劇作家の新作を連続上演が決まっている。

その第1弾が劇団チョコレートケーキの古川健が書き下ろす『旗を高く掲げよ』。タイトルは、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の党歌からとった。古川健は、歴史上の出来事を題材に独自の視点で骨太な戯曲を創作する作家として高い評価を受けている。演出は新作の立ち上げに定評のある黒岩亮、最近では、野木萌葱作『崩れゆくセールスマン』『外交官』などを手がけている。

「模範的なファシストは、模範的な市民でありえる」。言い換えれば、「模範的な市民は、模範的なファシストになりうる」を基本テーマとして、第二次世界大戦下(1938 年〜45 年)のドイツ・ベルリンを舞台に、一人の男とその家族が変貌する様を序章と終章を含む6つの時代を追って描き出す。
「知的と誠実とナチの三項連立はない」、これはナチスが政権を握るとスイスに亡命した小説家トーマス・マンの言葉とされる。つまり知的で誠実であればナチでないし、知的でナチなら誠実でないし、ナチで誠実なら知的でないということだ。ナチス政権下、SS(ナチス親衛隊)という組織の中で生きる一般市民の意識変化を、私達の市民生活に重ね合わせることで、現代日本人に警鐘を鳴らす。

【ものがたり】
1939年9月、ドイツ軍がポーランドに侵攻し、第二次世界大戦は勃発した。その前年から物語は始まる。
歴史教師のハロルドは善良なる市民。妻レナーテ、娘リーザ、妻の父コントラートとベルリンに暮らすミュラー家は、ごく一般的なドイツ人家庭。1938 年 11 月、ドイツ各地で起こったユダヤ人に対する組織的暴動事件(水晶の夜)直後、事件を受けて亡命を決意したユダヤ人の友人オットーが今後のドイツを憂える。妻レナーテはナチス支持者で、時流に乗らない夫ハロルドに物足りなさを感じている。夫、妻、義父、夫の友人、妻の友人、それぞれの立場からナチスドイツを語る。
その数日後、SS(ナチス親衛隊)の友人ペーターが、ハロルドに歴史の専門知識を活かした仕事をしてほしいとSSへの入隊を奨める。乗り気のレナーテに対し、二の足を踏むハロルドだったが……、迷いながらもついに入隊を決断する。
1940年7月フランスの降伏、1942年4月ホロコースト(ユダヤ人の組織的大量虐殺)開始、1944年9月ドイツ軍敗色濃厚、1945年4月ベルリン陥落寸前、そして……。ドイツ崩壊が進むにつれ、反比例するかのようにナチスへ傾倒していく家族。ナチス独裁政権下のベルリンを舞台に、物語は時を移して転がっていく。
 
【キャスト】
ハロルド・ミュラー(夫)………………石母田史朗 
レナーテ・ミュラー(妻)………………松熊つる松 
リーザ・ミュラー(娘)…………………田上唯 
コンラート・シュルツ(祖父)…………山野史人 
ロッテ(娘の友人)………………………市橋恵 
ペーター・マイヤー(SS の友人) ……豊田茂  
バウワー(副官)…………………………鹿野宗健 
ヘルガ・シュヴァルツ(妻の友人)……渕野陽子 
オットー・ワルター(ユダヤ人)………嶋田翔平 
ブルーノ・コッホ(障がい者の友人)…小豆畑雅一 

本公演期間中に、本年度新作を書き下ろす劇作家や青年座劇場に縁のある演劇人をゲストとして招き、青年座劇場4公演を横断するリレー形式のアフタートークを開催する予定。

〈公演情報〉
劇団青年座 227 回公演
『旗を高く掲げよ』
作◇古川健(劇団チョコレートケーキ)
演出◇黒岩亮
出演◇山野史人 石母田史朗 小豆畑雅一 豊田茂 嶋田翔平 鹿野宗健 渕野陽子 松熊つる松 田上唯 市橋恵
●7/28〜8/6◎青年座劇場
☆7/31 終演後「劇作家リレートーク VOL1」(詳細は HP にて)
〈料金〉一般 4,200円 U25[25歳以下]3,000円(全席指定・税込)※初日割引(7/28)3,000円
〈前売開始〉6月13日
〈お問い合わせ〉劇団青年座 0120-291-481(チケット専用 11時〜18時、土日祝日除く)
〈青年座ホームページ〉http://seinenza.com





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