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日本の新しいエンターテインメントを海外に発信する目的の劇場が、東京・有楽町センタービル(有楽町マリオン)に、「オルタナティブシアター」としてオープン。こけら落とし公演として『アラタ〜ALATA〜』を7月7日から上演する。
 
脚本はスーパー歌舞伎から小劇場演劇、ミュージカルまで優れた戯曲を発表し続ける横内謙介。演出はつか作品では定評があり、アイドルやミュージシャンまでプロデュースする岡村俊一。キャストは、主役のアラタに若手俳優の中では殺陣においては右にでるものはいない早乙女友貴が扮し、サムライアクション・ディレクターとしてクリエイターとしても腕を奮う。さらに女優でコレオグラファーとしても活躍するElinaがヒロインこころ役として、またダンスクリエイターとして加わる。その他、オーディションで発掘された新たな才能として、今回は若干18歳の吉田美佳子が起用された。また音楽は、素性を一切明かさない謎の集団でありながら、今までにリリースしたCDは、すべてオリコンインディーズチャート1位に輝くMiliが手がける。
 
公演はロングランを予定しており(現在では2ヶ月の予定)、キャストの回替わり公演で千穐楽は設けず、海外の観光客から日本人まで、どんな客層も何度も足を運べるような、東京のナイトライフを楽しむことのできるスポットを目指す。
 
初日も近づいた6月中旬、このエンターテインメント性に溢れた舞台『アラタ〜ALATA〜』の稽古場がプレスに公開された。

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【あらすじ】
2020年、人口1千万を越える巨大都市トーキョーに1人のサムライが現れた。その名は「アラタ」。15XX年の戦国時代からタイムスリップしてきた勇ましい武将だ。アラタは夜の銀座で、現代を生きる女「こころ」に出会う。現代東京の常識を全く知らない「アラタ」と、古くさいことを嫌う「こころ」の東京珍道中が始まる。「アラタ」は戦国大名の千代姫を守るために悪霊と戦い、呪いをかけられてこの時代に吹き飛ばされたのだ…。そして、古代から追いかけてきた妖怪玉野尾が2人の行く手を阻む。はたして「アラタ」は自分の時代に戻れるのか…? 

【シーン1】
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目が覚めると現実はいつだって退屈な日常。日々の暮らしに満足できないOLのこころ(Elina)とアンサンブル(林祐衣ら)が花のように、やがてゆっくりと開くように、美しく気だるく踊り始める。退屈でルーティンと化した仕事、行きも帰りもぎゅうぎゅう詰めの満員電車、ひっきりなしに語りかけてくるつまらない用件ばかりの携帯電話。次第にスピードアップしていくダンス、それは現代の喧騒と抑圧をひたすら体一つで目まぐるしく表現しているようだ。抑揚をつけながら、ひたすらにその身体で現代の日常を表現するアンサンブルとElinaのダンスが圧巻だ。Elinaは時には人につっかかるのだが邪険に扱われ、そんな自分が白々しく、また周囲の人間に馴染めずにアイソレーションを感じている。そんな心理を言葉でなく悲しげな表情と踊りで表現する。どこかノンシャランとしたMiliの甲高い声によるダンサンブルな曲と相性が抜群だ。

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【シーン2】
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続いては、戦国時代が舞台になっている。千代姫(吉田美佳子)が持つ特殊な能力がある鼓を破壊しようと、玉野尾という魔物が妖怪たちを連れてやってくる。名刀を千代姫から授かったアラタ(早乙女友貴)は、妖怪たちと戦うのだが、戦局は危うくなるばかり。そこに現れた祈祷師の白百(SATOCO)が、アラタを法術によって現代へと飛ばそうとする。ここでの見せ場は早乙女の殺陣で、一糸乱れぬ剣劇は圧巻だ。本物の剣と剣がぶつかり合う音、所狭しと動き回る役者たち、凄まじいスピードに瞬きさえできないほどだ。その中で、千代姫の吉田美香子の険しい表情は、アラタたちが劣勢だということを伝えてくる。また、祈祷師のSATOCOは、コメディエンヌのようにおどけたマイムで妖怪たちと対峙する。妖怪役の林祐衣らアンサンブルは、妖艶なダンスで、彼らの勝利を宣言しているかのようだ。同じ空間でぎりぎりの近さで繰り広げられる殺陣とダンス、そのスリリングで絶妙のフォーメーションも、この作品の見せ場の1つだ。

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【シーン3】
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最後に公開されたシーンは、アラタが白百によって500年後の未来、つまりこころのいる現代に飛ばされてしまい、機動隊と一悶着を起こすシーン。アラタは機動隊とやりあうのだが、もちろん現代である以上、簡単に剣を使うわけにはいかない。そこで体術で殺陣を見せる。カンフーアクションを思わせる体術での攻防は、ニュースで見る外国の警備隊の衝突のようなリアリティーと迫力がある。そして機動隊に自分の剣を弾かれたアラタに、こころが勇気を持って名刀を渡し、再び機動隊とアラタの押し問答になる。Elinaは、舞台の奥でその戦いの様をダンスで表現、アンサンブルとのダンスは、戦闘の凄まじさを観客に伝えてくる。手に汗握るような攻防が続くだけに、殺陣が終わった瞬間はカタルシスさえ感じるほどだ。

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わずか3シーンの公開だったが、殺陣とダンスによるスピーディーな展開と、それを彩る音楽の中で、言葉はなくても物語は伝わってくる。圧倒的なライブ感と新鮮な表現、これまにないエンターテインメントが生まれる予感にワクワクさせられた公開稽古だった。

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【登壇者挨拶】
 
公開稽古の後、岡村俊一、Elina、早乙女友貴、吉田美佳子、塚田知紀、林祐衣、SATOCOが登壇。挨拶と質疑応答が行われた。

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岡村俊一(構成・演出)
稽古をご覧いただきましたが、芸能というのは数値基準がないもので、印象が良いか悪いか、なかなか判断しにくい世界です。しかし、小学校からダンスの授業を取り入れたり、日々進歩はしていて、優れているものは優れているとわかる時代になってきた。芸能もいずれ数値基準で判断ができるのではないか。そういう中で、優れたものを1つのショーにまとめてみたら面白いかなと思いました。ダンスの中に殺陣があるのでかなり危険ですが、ロングランできるシステムを考えて、日々取り組んでおります。

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Elina(ダンスクリエイター
OLのこころを演じます。特殊な魅力が詰まった作品になるように日々努力しております。

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早乙女友貴(サムライアクション・ディレクター)
僕はアラタという戦国武将をやります。ハードで長丁場なので、最後まで怪我なく、キャスト・スタッフ一同頑張ってまいります。

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吉田美佳子
アラタを支える千代姫という役をやります。すばらしい方々と舞台に立てることを幸せに感じています。

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塚田知紀
僕はアクション部なので、現代・戦国時代で、とにかく戦っています。殺陣を観て欲しいですね。激しい殺陣が盛りだくさん入っています。主役の早乙女くんの殺陣は僕が見ても天才です。500年に1人の天才です(笑)。

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林祐衣
アンサンブルダンサーとして出演させていただきます。現代の人であったり、妖怪として出たりと、昔と今を行き来しながらいろんな役をやっています。4月からリハーサルをさせていただいて、Elinaさんを筆頭にみんなで作り上げてきたので、3ヶ月の稽古で培ってきたものを初日で見せられたらと思います。

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SATOCO
パントマイムアーティストをしています。戦国時代の祈祷師、白百役でアラタと一緒に姫を守りながら玉野尾と戦っていきます。私もパントマイムをやっているので、この公演にはとても興味があって、出演させていただくのは本当に幸せです。ノンバーバルということは日本人だけではなく、世界中の人々が楽しめる舞台ですが、『アラタ〜ALATA〜』の魅力は、それだけではないんです。私はカナダでパントマイムを覚えましたが、日本人だからこそできる表現をやりたいと思っていました。それが『アラタ〜ALATA〜』では表現されていると思います。そして海外の人たちが日本に対して、クールジャパンだな、かっこいいなと思う部分がたくさんあります。例えばオープニングの満員電車のダンスシーンですね。そこは私たちが日常生活でやっていることです。でも海外の人にとっては目新しい。日本人も楽しんでいただけますし、海外の方も絶対に楽しい舞台だと思っています。

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【質疑応答】

──映像を使ったシーンはどのようになりますか。
岡村 今は設営中ですが、観客のみなさんの視界全面がいわゆるプロジェクションマッピングになるような装置が組み込まれる予定です。天井にも映像が映るようになります。迫力ある映像が目の前に押し寄せる感覚になると思いますよ。
──回替わり公演ということですが、どのように上演されていかれますか。
岡村 すべてのキャストが変わります。というのも、大変なロングランで、2ヶ月と発表されていますが、アルタさんは半年ぐらいやるよとおっしゃっています(笑)。できるだけ長く上演できる方法を考えておりまして、回替わり公演では、例えば、早乙女くんやElinaさんと同じことができる、同じクオリティーのキャストを用意しています。体調やスケジュールによって、いつ変わるかわからないけれど、観に行ったら誰が出ているかわからないスリリングさもあります。ご本人がいつ出ますと発表するのは良いですが、劇場としては当日に発表するシステムにしようかと試行錯誤しています。それぞれのキャストがダブルスタンバイしているような形で、ロングランに備えていきたいですね。

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──素晴らしい稽古でしたが、初日に向けてまだ磨き上げようと思っている点はありますか。
Elina 先ほど3曲やらせていただきましたが、この他にも何曲もあります。それぞれの良さが一番詰まっている曲を、今回は発表させていただきましたが、まだ改善の余地があります。キャストそれぞれがしっかり役割を持っているんです。というのもノンバーバルなので、一人一人のキャストを見ても展開がわからないといけないし、全体を見ながらでもストーリーがわからないといけない。これからは、一人一人、この人はこういう人だというキャラクターを緻密にしていく作業をしていきたいなと。
早乙女 殺陣は細かいところを詰めるところがあります。お芝居部分もまだまだですので、もっともっと良い作品にしたいので最後までみんなと一緒にやれたらと思います。
吉田 私はお芝居部分の出演なので、言葉がないぶん、しっかりと演じていけたらと思います。
塚田 殺陣はこれから詰めていくだけですね、公開した稽古もまだまだシャープにやれると思うので、しっかりと磨いていきたいです。
 ダンスの部分は踊りで個人個人のキャラクターを見せることができるようにしたいですね。出る時やはける時の演技もまだ改善の余地があるのでしっかりとやっていきたいです。

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SATOCO 私は戦国時代に住んでいなかったので、どういう人格なのかというのをもっと深くしていきたいですし、動き方も普段とまったく違うマイムなので、それを自分の体に入れていきたいですね。
──様々な出自の方がいらっしゃいますが、他にもなにか特技がある方は?
岡村 フライングのスペシャリストがいます。2階にフライング発射台、プラットホームと呼んでいるのですが、それが2つ、歌舞伎でいう花道のようになっています。それを生かしたフライングをお見せします。
──Elinaさんが先ほどおっしゃった特殊な魅力とは? また早乙女さんは稽古の中でとくに意識していることはありますか。
Elina ノンバーバルの舞台は数多くあるのですが、普通のお芝居の中に、ダンスと殺陣が競い合いながら共存するのが特殊であり、魅力ですね。
早乙女 戦国の時代と現代で殺陣の種類を変えています。現代だったら、機動隊の人の上に乗って蹴り技をしたり、中国アクションを取り入れたりと、場面によって殺陣を変えていきたいと思っています。


【吉田美佳子インタビュー】

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プレス用の稽古場公開で忙しい合間を縫って、厳しいオーディションを勝ち抜き、千代姫役に選ばれた吉田美佳子に単独インタビュー! 作品への取り組みと抱負を話してもらった。

──オーディションの時の気持ちはいかがでしたか。
すごく緊張しました。演出の岡村(俊一)さんとは、『AZUMI 幕末編』(2015年)でお世話になりましたから、雰囲気などもわかっているつもりでいましたが、いざオーディションが始まると、みなさんのパフォーマンスのレベルが高くて、甘い気持ちでは勝ち抜けないと痛感させられました。ただ、舞台に出たいという気持ちは他の誰より勝っている自信がありましたので、その想いの強さだけで勝ち抜けたのかもしれません。
──ここまでの稽古で感じることは?
稽古は見ているだけで勉強になります。どこか観客のような気持ちで楽しんでいる気持ちもあるんですけど(笑)。皆さんと比べると、お芝居で見せる部分がやはり大きいと思いますし、そこを勉強しないといけないなと、改めて自分の役割を認識するようになりました。
──ノンバーバルと銘打っていることで、大変なところはありますか。
言葉が少ない作品なのですが、最初はセリフを多めにして稽古をするんです。そして徐々にそれを少なくしていく。それでも観ている人には伝わる演技にしないといけないのが難しいですね。誰かに何かを問いかけているシーンでも、こういう問いかけということが、すぐわかるように演じるのが難しいです。心に思っているだけではもちろんダメですし、やりすぎてしまうと嘘っぽいお芝居をしているように見えてしまいます。そこを自然に見せつつ、わかりやすくしようと努力しています。
──演じる役の千代姫について、どう取り組んでいますか?
千代姫は、鼓を使うことによって人を生き返らせることができる特殊能力があるんです。でも生き返らせるときに自分もダメージを受ける。アラタ(早乙女)が傷ついたとき、千代姫は鼓を使って助けようとするのですが、家来に止められるんです。その家来の動きによって、千代姫が持つ鼓の能力や、鼓を叩くことの危険性が観ている人にも伝わるんです。以前共演させていただいた方に「演技は一人でやっているわけではなくて、一緒にやっている人がいるから、その人との連携で表現すればいいんだよ」と教えてもらったことはこれだなと思いました。お芝居は周りの人たちと一緒に作ることがとても大事だなと、改めて感じています。
──この舞台のテーマについては、どう捉えていますか?
人と人との絆、運命、未来とかが大事なテーマだと思います。
──最後に作品へかける想いを。
出演させていただけることに感謝の気持ちでいっぱいです。優れた技術を持つ方たちがたくさん集まって、ダンスに殺陣に愛を込めて取り組み、日々闘志を燃やしている姿がとても魅力的で見習わなくてはと思っています。その中で「この子がこの役でよかった」と思っていただけるような演技を心がけたいです。そして、この『ALATA』を、どんな人にも面白いと思ってもらえるような作品にしたいです。殺陣とダンスの融合やフライング、お芝居もありますし、色々なものが詰め込まれていて、海外のお客様はもちろん日本人の方にも楽しめる舞台になっています。もっともっといいものができるように、最高の舞台を届けられるように、私も頑張ります。ぜひ、観に来てください。

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この公演の製作発表の記事はこちら
http://kangekiyoho.blog.jp/archives/52023373.html

〈公演情報〉
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「オルタナティブシアター」こけら落とし公演
『アラタ〜ALATA〜』
脚本◇横内謙介
演出◇岡村俊一
音楽◇Mili
ダンスクリエイター◇Elina
サムライアクション・ディレクター◇早乙女友貴
出演◇村井亮 MANNA Riko Koyama 林祐衣 笹原英作 宮迫誠 Rina Shinohara Yuito Elina 吉田美佳子 Sakurako Ozawa 岡本ゆうか 青木源太 真由 SATOCO 早乙女友貴 寿美  美月 三上真司 Yume Hirono 青山萌 SHIOR! Kana MOMOCA 久保田創 K@ori 鈴木百花 塚田知紀 KOKi 根本なつき 椎名康裕 高橋邦春 中野里香 塚越靖誠(※ファーストネームのアルファベット順)
●7/7〜ロングラン公演◎オルタナティブシアター
〈料金〉8,000円(全席指定・税込)
〈公演に関する問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030(平日 11:00〜17:00)
〈劇場に関する問い合わせ〉オルタナティブシアター開業準備室 03-3350-4151(平日 11:00〜17:00)
 


【取材・文・撮影/竹下力】





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