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新橋演舞場で2年前に初演、その後、大阪、博多を経て、よりバージョンアップした『ワンピース』が、本年10月〜11月に待望の東京凱旋公演を行う!
 
2015年10〜11月に新橋演舞場で初演された『ワンピース』は、国民的人気漫画『ONE PIECE』の世界観を、市川猿之助が伯父の市川猿翁の「スーパー歌舞伎」の流れを汲んで、「スーパー歌舞伎ll(セカンド)」として立ち上げた舞台。人気デュオ・ゆずの北川悠仁が書き下ろしたテーマ曲「TETOTE」も得て、大きな話題となり、舞台と劇場が一体となる盛り上がりを見せた。また文化庁芸術祭優秀賞、大谷竹次郎賞、AMD Award優秀賞にも輝くなど、高い評価を得ている。その人気演目が、大阪松竹座と博多座での公演を経て、いっそうの進化を遂げ、新橋演舞場で再演されることが決まった(10/6〜11/25まで)。

脚本・演出は、スーパー歌舞伎でも数々の脚本を手がけた劇団扉座主宰の横内謙介。猿之助は演出と出演を兼ね、また猿翁もスーパーバイザーとして名を連ねている。
原作でいう〈頂上戦争編〉に当たる物語だが、注目のキャストは、初演からのメンバー、大阪・博多公演で加わったメンバーが再び集結している。
主人公ルフィと女海賊ボア・ハンコックに猿之助。白ひげには、初演当時は市川右近だった市川右團次。麦わらの一味ゾロをはじめ、ボン・クレー、スクアードには原作の大ファンという坂東巳之助。麦わらの一味サンジ、イナズマに中村隼人。サディちゃん、マルコに尾上右近。麦わらの一味ナミ、サンダーソニアに坂東新悟。アバロ・ピサロに市川寿猿。麦わらの一味チョッパー(Wキャスト)に右團次の息子である市川右近が初参加。はっちゃん、戦桃丸に市川弘太郎。ベラドンナに坂東竹三郎。ニョン婆に市川笑三郎。ジンベエ、黒ひげに市川猿弥。麦わらの一味ニコ・ロビン、マリーゴールドに市川笑也。マゼランに市川男女蔵。つるに市川門之助。また歌舞伎俳優以外ではエースを演じる平岳大が初役のシャンクスにも挑む。そして麦わらの一味ブルック、赤犬に嘉島典俊。イワンコフ、センゴクに浅野和之。いずれも自身の演じるキャラクターに負けない個性豊かな面々だ。

また今回は、若手を抜擢した新企画として特別マチネ「麦わらの挑戦」も上演される。通常公演とは役が変わり、猿之助はシャンクスの1役で、尾上右近がルフィとハンコックを、新悟がサディちゃん、隼人がマルコを演じる。

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横内謙介、市川猿之助
 
この製作発表記者会見が、7月25日に都内で行われた。会見には市川猿之助、横内謙介、安孫子正松竹株式会社取締役副社長が出席。それぞれから挨拶の後、質疑応答に移った。

【挨拶】

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横内
 2年前の記者発表の時は、これはおそらく歌舞伎界と漫画界を敵に回してしまう恐ろしい試みで、この船に乗ってしまった私は何なんだろうと、ウソップのような気持ちでいました。当時、台本の第1稿は出来ていましたが猿之助さんはお忙しく、深く打ち合わせもできず、さらに原作を読んでいないという発言までなさり「そんなこと言っちゃダメだ〜」というウソップの台詞が出てくるぐらいハラハラしました(笑)。我々の、特に私の『ワンピース』の理解不足で、ジャンプ編集部と何度かやり取りがありましたが、国内だけどちょっとした異文化交流だったと思います。
紆余曲折があって千秋楽を迎え、とても嬉しかったのは、歌舞伎界のお客様にも漫画界のお客様にも大きなところで受け入れてくださり、「想像の斜め上を行く」という、力になる言葉をいただきました。思った以上に歌舞伎と『ワンピース』の相性がいいと褒めていただきましたが、そもそも『ワンピース』の世界がどこかで日本の文化の源流みたいなものを分かち合って、ここで再会しただけなのかもしれないと思います。正直(幕を)開ける時に精一杯で、大阪まで時間があったので、そこでの練り直しがかなり大きくて、別なものというくらいの進化をしました。我々の『ワンピース』への理解も深まり、やるべきことはこれだったと、やりながら気づいたこともありました。
僕でいうと、たった一言台詞があるような小さな役にまでファンがいて、想いがあると肌で感じました。もう一回原作に立ち返り、役を考えると、並びの俳優さんたちが名前をもらって、原作があるというところで、もう一つ輝きを増して臨んでくれて、そこがもう一つ上に上がった瞬間なのかなと思いました。なので、これを大阪と博多の最中に「これをもう一回最初に観て下さった方に見せないといけないね」と。まだ進化させますが、この機会をいただけて嬉しいと思います。また少しでも多くの方に観ていただきたいです。

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猿之助
 歌舞伎は名作と現在謳われているものも、初演からその形があったわけではない。何回も繰り返し上演されて、あらゆる俳優の工夫を経て、究極形が出てきた。やっぱり再演を重ねることは、素晴らしい作品を生み出すには必要だと思います。伯父の(市川)猿翁から常々言われることは、新作は一回作るのはわりと簡単にできるが再演を重ねるような新作を作るのは実は難しいと。私は常にものを作るに当たり、興味本位、一回限りの話題という作品作りは避けて、なるべく後世に残るものをと作ってきました。『ワンピース』が再演になったことが、すべての答えだと思います。
このあいだ尾田先生とお話したとき、「君は何をやってもルフィにしか見えないから大丈夫だ」と言葉をいただきました。最初はディテールにこだわります。歌舞伎でも先輩に習った時は細部にこだわります。でもそれだけではだめで、次の発展段階は自由にやること。役の心さえちゃんと掴んでいれば何をやったっていいという、究極の教え。再演にあたり、みんな役が自分のものになっていると思うので、その心をしっかり掴んだ上に自由に羽ばたいてみたいと思います。
演出も、九州でも大阪でもやったことがないことを東京バージョンでお見せしようと。また今回、若手を抜擢することを認めていただいて、とても喜んでおります。歌舞伎は若手を、役者を育てることも非常に大事で、それに力を入れていることがわかっていただけると思います。主役が違うことで世界観も違ってきますので、両方を楽しんでいただきたい。

【質疑応答】

──歌舞伎の源流というお話でしたが、演出でそのあたりを感じられたことは。
横内 2.5次元シアターがいま流行っていて、基本は顔のいい青年たちがコスプレをして、漫画的な美しさで表現するんですが、歌舞伎の役者さんたちの力というのは、原作をコピーするのでなく一回解体して別のものにして提示する。猿之助さんがルフィそのものと言ったって、近くで見るとそうそう少年でもない(笑)。ところが芝居になると、少年だったり超能力者だったりを自分の中で再構築されて、形だけコスプレするのでなく芝居することでやる力がある。この一座の腕ききの方はもちろんですが、若手の人たちも名前をあげてキャラクターを示された瞬間に並びの手下1、2ではなくなる。歌舞伎は形と言いますが、気持ちが出てくる装置がうまく作動した時にこの人たちは輝くんだなという体験をしました。
マルコという役があって、初演ではわき役でした。ところが再演で尾上右近を入れるというので、見せ場を作れという話になり(笑)、書き換えるのかということになるんですが、この役も不思議で。中村勘九郎さんが最初の声をやってくれているのですが、稽古場で雑談する機会があり、誰が好きなのか聞いたらマルコだと。あいついいんだよね、と。気になって読み直すと確かにかっこいいのかもしれないと、右近さんの役はマルコにしようと。もともとコスプレっぽく役も作っていましたが、役が尾上右近という俳優を得て、役者が命を吹き込んでくれた瞬間に、漫画の人物がその場にいるという感覚。漫画にすり寄るのでなく、俳優たちがかみ砕いて具現化していく姿の力強さを感じました。他の2.5次元をディスるわけではないですが、俳優たちへのメッセージとしても、この人たちがやってる仕事は凄いことではないかと思います。

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──ともに浅草歌舞伎でやってきた仲間のお二人(勘九郎と七之助)は、お父様のなさったことを引き継いで、猿之助さんは猿翁さんの立ち上げたスーパー歌舞伎を引き継いでセカンドとしてなさっていて、ともに活躍の場を別にもって歌舞伎界を動かしていることについてはどう思いますか。
猿之助 初演の時は、中村屋兄弟が「ワンピースに出たい!どうしても出たい!何の役でもいいから!」…まぁ、勘九郎さんはマルコという指定がありましたが(笑)。お互いそうそう自由の利く身でもないですが、何らかの形で関わってもらいたい、幕開きのナレーションでもぜひやっていただきたいんだけどと言ったら、本当に喜んで関わってくれた。そういうのは、変な話、たとえば僕も勉強してきたし、一緒に勉強してきたし、勉強があるからこそああいう形でも皆さんが喜んでくれる。これがあんまり歌舞伎界に一生懸命にならず、うだつの上がらない人だったら、そういう人にナレーションをやってもらってもエッ?となるけど、勘九郎、七之助と名前が出た時にワッと言ってくださるのは、やっぱり、苦しい思いをしてちゃんと勉強してきたからこそ。本当に感慨深いものがあります。そして彼らに限らず、平さんだって浅野さんだって、右團次さんも名前は変えたって白ひげは絶対出ますよという心意気が嬉しいなと。僕は一人でなくみんなで作っていると思ってます。そういうと、みんなが「そういうところがルフィだ」って言うんだけど、僕は気にしたことがないんだけど。今回も独り占めしないで、いい役はみんなに振ろうと、なるべくいろんな機会を与えています。
──「麦わらの挑戦」で抜擢された若手に期待することは。
猿之助 今回、巳之助君、隼人君、右近君、新悟君が入ってくれましたが、右近君は右近君で僕と主役で比べられる。彼のほうがルフィに年齢は若いけど、若けりゃ歌舞伎の役の上で若いかというとそうじゃない。年を重ねれば重ねるほど若いという歌舞伎術、演技を彼が学んでくれるか。そして主役が若手になったことで、それを支える隼人君、巳之助君、新悟君は100パーセント以上の実力を出さないと面白くない。先輩とばっかりやると勉強にならない。カバー力が必要なので、主役が変わったことで難しいと思います。そのことで彼らが何かを掴んでくれればいいと、僕は泣く泣くワンキャストにしました(笑)。

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──原作はお読みになられましたか。
猿之助 それは僕のルフィを見れば、誰しも100パーセントわかることだと思います。
──2年前の会見で、ルフィの手を伸ばしたくないと伺って、その後、手を伸ばすという演出についてはどうですか。
猿之助 実写化される時に話題になるのはそういうところですね。僕らが心配したのが、『ワンピース』を知らない方々が入ってこれるのかということで、最初はたとえば「能力が上がる実」をいちいち説明したりしていましたが、上演を重ねていくとそういうところが全部要らないなと。いきなり手が伸びても不思議に思わない。それが世界観に溶け込んでいるので、すんなり入ってきて、余計な説明がどんどん要らなくなるんです。もちろん手を伸ばすことで喜んでくれますが、それが非常に重要な部分を占めているわけではない。尾田先生が書かれている人間の変わらないもの、ドラマのほうが感動するので、能力の面は彩りでしかない。それはお客様の反応、特に『ワンピース』好きの人の反応からも思わせていただいたので、今回は説明に使ってきた時間をドラマに込められるので、より普遍的なものをお見せできるかなと思います。
──演出のプランが、おぼろげでもあれば教えてください。
猿之助 この作品はもともと行き詰った時に、ゆずの北川悠仁さんに相談して、やろうと決めた時に主題歌を提供してくれて。今回の舞台の発想は、全部彼らのステージからヒントをもらっています。幸か不幸か、5月に20周年のライブを見てしまって、やっぱり刺激を受けると新たなことをやってみたくなるので、そこで使われた演出を取り入れてみたいなと。ライブ会場と演舞場という違いはありますが、無理にお願いして何とか組み込めるかなと。最新技術を使ったことをやってみたい。多分、映像を使った演出にはなると思います。あとは上演時間をなるべく短いほうがいいので、終わってもお客様が銀座の街を楽しんで帰れるような上演時間にしたいので、濃密にしたいと思います。

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【囲みインタビュー】
 
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──初演の時から、これはもう絶対再演という気持ちは。
猿之助 再演はあるだろうなとは思ってました、なんとなく。
──それは初演の公演中の手応えで?
猿之助 観られなかったというお声が多かったので。その後、大阪と九州でやりますよと言いましたが「そこまでは観に行けないので、東京でもう一回」という方がね。
──ご自身の意気込みも初演の時とは変わると思いますが。
猿之助 一回目を観た方もいらしてくれるので、その期待をいい意味で裏切るというのと、初めて観る方にも感動していただけるような作品をみんなで作っていきたいなと考えています。
──尾田先生がルフィにしか見えないと言った役を、他の方にも譲ることに関しては。
猿之助 やっぱり、自分が一番いい状態の時に次の担い手に渡すというのは、歌舞伎が長く続くための使命だと思うので。僕がシャンクスに回った時、若手の彼らがどうなるかお手並み拝見というところでしょうね。
──ハリウッドでもドラマ化がありますが、実写化の先駆者としてはどうですか?
猿之助 自分のほうがいいという自信はもってますから。歌舞伎のほうが、日本のアニメの、尾田先生の世界観により合ってるんじゃないかと自負はしてますが、どんなものができるか楽しみでもありますね(笑)。
──漫画も読まれたそうですが、ルフィ以外でこの役が好きというのは。
猿之助 今はもうルフィしか考えられませんね。それだけやらせていただきたくて、やっぱり愛着がありますのでね。僕が死ぬ時、当り役にたとえば「義経千本桜・佐藤忠信、ルフィ」とかね、いいじゃないですか(笑)。僕は一生の宝物だと思ってます。
──改めて公演に向けて。
猿之助 今回再演になりますが、バージョンアップでなく、また新しい『ワンピース』ということで作っております。一度観た方は「本当にこれが同じ作品なの?」という驚きをもって、また、初めての方は『ワンピース』がこんな世界だったのかということもありますので。初日に向かって、また新たな進化に関する情報が飛び出すかも楽しみにしていただきたいと思います。

〈公演情報〉
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原作◇尾田栄一郎(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
脚本・演出◇横内謙介
演出・出演◇市川猿之助
スーパーバイザー◇市川猿翁
出演◇市川猿之助 市川右團次 坂東巳之助 中村隼人 尾上右近 坂東新悟 市川寿猿 市川右近 市川弘太郎 坂東竹三郎 市川笑三郎 市川猿弥 市川笑也 市川男女蔵 市川門之助 平岳大 嘉島典俊 浅野和之ほか
●10/6〜11/25◎新橋演舞場
〈料金〉通常公演/1等席16,500円 2等A席9,500円 2等B席5,000円 3階A席5,000円 3階B席3,000円 桟敷席17,500(全席指定・税込)
特別マチネ「麦わらの挑戦」/1等席14,500円 2等A席8,500円 2等B席4,500円 3階A席4,500円 3階B席2,500円 桟敷席15,500円(税込)
〈お問い合わせ〉
チケットホン松竹 0570-000-489または03-6745-0888
〈公式HP〉http://www.onepiece-kabuki.com 
 



【取材・文・撮影/内河 文】






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