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TABACCHIが8月16日から下北沢「小劇場B1」で『バルバトス』〜嘘、連鎖、叫び〜を上演する(20日まで)。
TABACCHI=タバッキーとは、オルタナティブスペースで活動する、主宰の戸田武臣による、企画・プロデュースユニット。構成メンバーは、ヘアメイク・衣装・WEBデザイナーのスタッフ4名。主宰・演出家である戸田武臣は、KERA・MAP、花組芝居ほか多数の舞台に参加後、2008年よりTABACCHIを発足させる。創りあげる演出作品は、俳優にリアリズムを求め、戯曲には「疑う・信じる・壊す」を繰り返す事により、役の匂いや、戯曲の面白さを炙り出していく。

【あらすじ】
〜地下鉄ホームに電車が入ってきた瞬間を狙って、何の関係もない人を突き飛ばす行為が、1990年代の NYで流行っていた。現代の日本でも、連日誰かが知らない人も知ってる人も殺し合っている。冤罪裁判、 不倫、情報操作、テロ行為、よくわからない引退 etc…いつ自分がわけの分からない〈渦〉に巻き込まれても、もはや不忠識ではない。人ロが増え、人間の作った諸々の制度が肥え、複雑になり、人間が部品でしかないような現代、多くの人々が自分らしさ〈自己像 〉を持てずに、時には突発的な凶行に自分の存在感を求めてしまう人種も「普通に電車の隣席に座っている」。そういう時代に私達は生きている〜

この8回目の公演、『バルバトス』の開幕を間近にした主宰・演出の戸田武臣にインタビューを行った。

抗えない渦に巻き込まれていく人々

──TABACCHIというユニット名の由来を聞かせてください。
TABACCHIはイタリアにある日本のコンビニのような店のことで、塩とタバコと収入印紙を売っているんです。どれも生きている上で必要なもので、タバコもある人にとっては大切な嗜好品なわけです。そういう、暮らしの身近にあって、色々なものがすぐに手に入る、誰でも近寄れるというイメージで、みんなに必要なユニットでいたいという意味で付けました。
──今回の作品『バルバトス』ですが、作る上で戸田さんを駆り立てたものは?
世界中で起きている異常な「うねり」と「混乱」がキーワードです。今回の作品で感じて欲しいのは、人間の剥き出しの魂の揺れや脆さです。何気ない発言で、抗えない渦の中に巻き込まれていき、絡めとられていく様を息が詰まる密度で見せたいと思いました。そこに必要なのが正義ではないかと思ったんです。
──テーマとなる具体的な事件などは?
とくにこれというものがあるわけではないのですが、よくわからない事件が多すぎるなと思っています。正しい自己像を持ちづらい窮屈な時代だと。SNS上で本人ではない名前で好きなことを言うのはフェアじゃないと思ってて、今回は改めて「正義」がマッチしていると思いました。僕は、9・11のときニューヨークの現場にいたんですが、温度差を感じてしまった。日本では、かわいそうだ、大変だとニュースになるけれど、ニューヨークの人たちはまず生きることが大切だった。日本とアメリカのニュースを見て、何が正しいのか、正しくないのか、いろんな視点を感じてもらいたいと思っていました。

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KERAさんを見て演出という仕事の面白さを

──戸田さんの演劇歴も伺いたいのですが、最初に演劇に触れたのは?
僕は東京生まれで、小学生のときから児童劇などには触れていましたが、中学一年生の時に、姉が当時の新宿ACB(アシベ)ホールでやっていた唐沢寿明さん主演の劇団ATTACKの舞台を観に連れて行ってくれました。それを観てびっくりしたのが最初ですね。
──演劇をやろうと思ったきっかけは?
実はないんです(笑)。自然と空気を吸うようにいつの間にか目覚めていました。人前に出るのが苦手なのにどうしてでしょうね。最初は役者志望で、18歳で職業として役者になろうと。劇団には入らずに、当時流行っていた雑誌の『ぴあ』の欄外にある役者募集コーナーを読んで、片っ端からオーディションを受けて、出るという形で、色々な芝居に出ていました。
──そこから演出家になろうと思ったのは?
転換期はKERA・MAPの『青十字』(2003年)ですね。キャストで出て、演出のKERA(
ケラリーノ・サンドロヴィッチ) さんを見ているうちに、俳優をチョイスしてそこに味付けをしていく演出という仕事は面白いなと思ったんです。それにKERAさんの創作への真摯な姿勢に影響を受けました。
──そして08年にTABACCHIを結成したわけですね?
自分の考える面白いものをひたすら作りたくなったので。KERAさんの作品での経験を経て、衣装、ヘアメイク、WEBデザイナーで広報関係をやってもらっている人、そういうメンバーに呼びかけて、力を貸してもらってユニットを作りました。

しっかりとした海外戯曲を発信していきたい

──設立したTABACCHIの目標としているものは?
設立時は「ラーメンズ」を目標にしていました。素舞台に靴下を履かないスーツのみのシンプルなスタイルがかっこよかった。やっぱり笑いを作るのが難しいですからね。それを飄々とやっていらした。ユニットを立ち上げた時は、コントのように短編の繋がった作品が多かったですね。今は小劇場でしっかりとした海外戯曲を発信していきたいなと思っています。これからもユニットとして生き抜いていくことを考えているので、古典と言われるものを、自分のフィルターを通して作り直して、今の人たちにもシンパシーを得られるような作品にしていきたいですね。
──今回の演出でとくに心がけていることはありますか。
歴史的な背景ではなくて、人と人とのリアルな関係性です。あの人が思っていること、この人が思っていること、そこで生じる同調や違和を大事にして作っています。
──劇場にもこだわりがあるそうですね。
いつも作品にあった劇場を選んでいます。今回も作品世界を象徴するような、閉塞感のある濃密なオルタナティブスペースを作り上げたかったんです。
──最後に本作品の見どころを。
今回はあえて「熱・正義」を前面に押し出した、心がたぎる作品にします。お客さんに、その場で呼吸してしゃべっているリアルな熱量を感じてもらいたいと思っています。ぜひ観にいらしてください。
 

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構成メンバーで ヘアメイクスタッフの生藤憲、作・演出家の戸田武臣
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出演者の渡邊聡、川島佳帆里、贈人

〈公演情報〉
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TABACCHI PRESENTS 8』
『バルバトス』〜嘘、連鎖、叫び〜 
構成・演出◇戸田武臣
出演◇贈人、川島佳帆里、渡邊聡、春名風花、中下元貴、斉藤麻衣子、狩野和馬、宮嶋みほい、坂内愛、紺野相龍、朝廣亮二、吉橋航也、青木十三雄、澤井裕一、松原瑚春、山崎未来、凪彩、
武藤直樹、大草理乙子
●8/16〜20◎下北沢「小劇場B1」
〈料金〉前売り4000円 当日4500円(全席自由・税込)
〈チケット問い合わせ〉070-6562-4480(受付時間 平日11時から19時)


※この公演のチケットをえんぶSHOPでも発売中!
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【取材・文・撮影/竹下力】







『明日がある、かな』






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