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今田耕司が主演し、作・演出を鈴木おさむが手がける舞台『三途会〜私の人生は罪ですか?〜』が、11月22日から東京グローブ座で上演される(26日まで)。
 
今田耕司と放送作家・鈴木おさむによる舞台は今回で第6弾。これまで第1弾=千原ジュニア(千原兄弟)・小木博明(おぎやはぎ)、第2弾=堀内健(ネプチューン)、第3弾=宮川大輔、第4弾=立川談春、第5弾=大久保佳代子(オアシズ)・徳井義実(チュートリアル)らと共演。本作では、女優のベッキーと初共演する注目作だ。
前作で第5弾にあたる『AVM』(2014年)は、アダルト・ビデオの世界で生きる人をモチーフに、鈴木おさむさんが男優、女優、監督に直接取材を行い、フィクションにノンフィクションの実話を盛り込んだ舞台で話題となった。今回はうって変わって「三途の川」がモチーフ。どこかシリアスな世界になるという。

【あらすじ】
そこは三途の川の手前。三途の川を渡れば、死者になる。
そんな三途の川の手前で、会議が行われている。それが三途会。
今日も、死ぬ一歩手前の人間の意識がそこに集まった。人生で様々な罪を抱えた人たちが。そして会議を開く。
誰が死ぬのか? 誰が生きるのか? 三途会が始まる…。

キャストは今田耕司、ベッキーのほかに町田マリー、加藤啓、伊藤修子、木下隆行(TKO)が出演する。その作品について、今田耕司とベッキーに鈴木おさむ作品の魅力やお互いの印象について語り合ってもらった。

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オチがビシっと決まるので、そこに向かって演じていけばいい

──第5弾はなかなかハードでリアルなお話でしたが、今作は、三途の川が舞台というどこか幽玄的なお話です。今作への期待から伺いたいのですが。
今田 脚本のテーマは作品ごとに変わるので、出来上がった脚本を読むのを、いつも楽しみにしています。鈴木おさむくんの脚本は、オチがビシっと決まるので、それが気持ちいい。そこに向かって演じていけばいいので、もちろん苦労はたくさんありますが、ある意味とても楽ではあるんです。
ベッキー 私は、鈴木おさむさんが紡ぐ作品はなんでも好きです。14年ぶりの舞台なので、セリフがスッと言えたらいいなと思っています。「どうやってセリフを覚えるんだっけ?」からスタートなので、稽古の早い段階からセリフと戦っていきたいですね。そして、今田さんのバラエティの顔は拝見させていただいているので、俳優としての今田さんの顔にすごく期待しています。
──劇場は東京グローブ座という独特の形の劇場で、なおかつ6人の役者という少数精鋭の舞台になります。座長としてどのように臨んでいこうと?
今田 東京グローブ座は、ジャニーズの方の公演で拝見したことがあるのですが、グローブ座で打つと聞いた時に「ほんまにイヤや」と思いました(笑)。
ベッキー どうして?
今田 やっぱりあの空間はプレッシャーだから。規模だとNGK(なんばグランド花月)とか、グローブ座より大きいところは経験してますけど、鈴木作品に関しては役者が少ないので埋められるかなと。東京では使い慣れている本多劇場とかなら、気やすくてホーム感があるけれどね。でもグローブ座は見やすいし、とても心地よい空間なので、貴重な経験になると思います。3階席までありますから、3階に吉本の会社のマークがついた大きな布を用意してもらって、プロ野球のドーム大阪のオリックス戦みたいに広げてもらったらカッコいいかなとか(笑)。
ベッキー 私はどんな場所でも全身全霊しかないですね。お芝居のプロではないので、周りの方たちの足を引っ張らないように、早めにセリフを覚えてなんでも対応できるようにしたいです。あとは美味しい差し入れを持っていきたいと思います。
今田 それいいな!(笑)

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シリアスな今田耕司にドキドキワクワクしたい

──毎回の役作りはどのようにされてますか?
今田 おさむくんに全部委ねています。どういう風にセリフを言えばいいのか、どういう気持ちでやってほしいのか、本当に事細かに演出していただけるので、体ひとつでポンと稽古場に入ることしか考えていないですね。自分から余計なことはしないです。まっさらな状態で行って、こうやってくれと言われて、それができていればOKをもらいますし、できていなければこうしてほしいと直されます。
ベッキー 今田さんと同じです。ただ、女性の場合はメイクを変えたりすることもあるので、このメイクの時はこういう役という風に、スイッチのON・OFFを使い分けながら、臨みたいと思っています。
──役者としてのお互いについてはどう感じていますか?
今田 最近のベッキーからは人生を感じますね。色々なことを経験して、経験値が上がっているぶん演技に深みも出るし、魅力的になると思います。そういう意味では、昔のベッキーよりは今のベッキーのお芝居のほうが迫力があるでしょうね。おさむくんもそういうベッキーに対して脚本を書くわけですから、ベッキーが言うからこそ説得力の出るセリフがたくさん入っていると思うし、楽しみです。きっと千秋楽には、ベッキーすごいヤツだなと思ってしまうやろな(笑)。
ベッキー 今田さんは、基本はバラエティの方なのですが、その方がお芝居をしていることはカッコいいし、今回は「三途の川」を題材にしているので、きっとシリアスなシーンも多いと思いますので、そのギャップにワクワクしたりドキドキしたりするのではないかと思っています。
──テレビでコントなどと、こういうお芝居とではやはり違うものでしょうか?
今田 まず、セリフを間違えられないという緊張感が違いますね。初めはお芝居もコントも一緒だと思っていました。ただ、コントのセリフは最後は笑いに繋げられるので、ニュアンスさえ間違えなければ少々脱線してもいいんです。芯さえ崩さなければいい。でも、お芝居はもう少しちゃんとしなければ成立しない。そこがある意味スリリングです。
 
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鈴木おさむのセリフはオートクチュール
 
──作家としての鈴木おさむさんの魅力を伺いたいのですが。
今田 おさむくんの場合は「人ありき」なんです。作家のやりたいことや言いたいことを我々が演じるというよりは、「この人ならこうやったら面白くなる」という発想から作ってくれる。だから、おさむくんの舞台に出た役者は、出演してよかったとみんなが思うんです。僕がやっている舞台以外のおさむくんの作品もそうだと思います。出演者がみんな満足して終わることができるのが一番大きいですね。一方で、有名な演出家や脚本家さんみたいに、個性がぐいと前面に出てくるときもあって面白いし、おさむくんとやると演者と演出家が溶け合う一体感があります。
ベッキー 作家、演出家、脚本家としての鈴木おさむさんの大ファンです。ストーリーを読むと心に刺さるセリフが多いんです。それは根底に愛があるからで、そうだよなあと納得できてしまうんです。おさむさんの中で、この役者にこのセリフを言わせたいという気持ちで書かれるので、セリフ1つ1つがオートクチュールのジュエリーみたいで、重みもあるし、メッセージもあるので、本当に大好きです。だから、今回自分のセリフを作ってもらえるのは嬉しくて仕方がないです。メッセンジャーでもあるおさむさんは私に何を言わせたいんだろうと期待をしています。
──演出家としての鈴木おさむさんはいかがですか。稽古が短いという話も聞きますが?
今田 短期集中型だと思います。あのシーンだけもう1回稽古をしましょうというのはありますが、必要以上に長く稽古をしない方です。僕とおさむくんがタッグを組み始めた頃は、2週間というぎゅっと詰まった稽古でした。今回は3週間ですが、おそらく1ヶ月もやると芸人がダラダラしてしまうから(笑)。
ベッキー 芸人さん合わせなんですね(笑)。
今田 プロの役者さんは短くて大変だとおっしゃいます。ただ、1つ1つのシーンは手を抜かず稽古を積み重ねる人で、演者さんが困っていたら臨機応変に対応してくれます。セリフが長すぎて言いにくい場合など、短くカットしてくれたり。もちろん役者が努力したうえでのことですが。とにかくゴールがしっかり見えているので、いつも大船に乗ったようなつもりでいます。
ベッキー おさむさんが演出された舞台を観に行ったとき、出演者の方がミスをされたことがありました。おさむさんは怒るのかなと思っていたのですが、「イエーイ! それぐらい僕はあの人を追い込めたんだ」と笑っていたそうです。本当に懐の深い方だなと感心しました。

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絶対に人を見捨てない、面白くする、愛があ
 
──テレビのバラエティなどに出ている時と、芝居を演じている時と違いはありますか。
今田 あります。ルールが違うので、テレビのルールではなく舞台のルールに従ってやりたいと思っています。せっかく違うことに挑戦しているのだから、共演者や演出家に、こうしてほしいとどんどん言ってもらいたいですね。ただ、怒鳴られるのは大嫌い(笑)。
ベッキー そこは同じです(笑)。
今田 だからお芝居は他のところではやりません。
ベッキー 違いは、私はお芝居のほうではリアリティを求めているし、バラエティのほうが演技をしていますね。例えば、ドラマで泣くシーンでは本気で泣きますが、バラエティではこのほうが面白くなると思えば、逆の行動をしたりします。
──バラエティでの共演も多いお二人ですが、普段の印象はいかがですか。
今田 ベッキーはスタジオに礼をして入ったりと、丁寧すぎなぐらいで僕とは真逆です。こんなの真似できへんから、最初は見て見ぬふりしていました(笑)。
ベッキー 今田さんは普段は素を出さずに、舞台の時には出すという印象です。
今田 客席にお客さんがいる方が出せますね。
ベッキー ということは、普段はなかなか見ることはなさそうですね(笑)。
──人間としての今田耕司はいかがでしょう?
ベッキー 司会の仕方が本当に大好きです。絶対に人を見捨てないし、面白くする。愛がある。共演した時に今田さんの優しさを肌で感じました。だから皆さんに愛されて、ずっとテレビに出ているんだなと思いました。今回も座長に頼っていきたいです。
──最後にこの公演のアピールを。
今田 面白かったというだけではない、観た方にもう1回自分を見つめ直す機会になる作品だと、100%自信を持って思っています。お客様に後悔させたくないし、料金以上のものをお観せできると思います。
ベッキー 2つの意味で面白いと思います。ワハハと笑える部分とストーリーの面白さ。鈴木おさむさんのセリフはメッセージ性があって、しかも「三途の川」という命に関わるお話の舞台ですので、自分の人生について色々考えられる良い機会になればと思っています。ぜひ劇場にいらしてください。
 
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今田耕司・ベッキー

いまだこうじ○大阪府出身。「吉本総合芸能学院」(NSC)を卒業。1990年、東京へ進出。バラエティで多数のレギュラー番組に出演しているほか、映画、ドラマ、ラジオ、CMで活躍。「ルミネtheよしもとで新喜劇」の座長も務めている。

べっきー○神奈川県出身。テレビドラマやバラエティで活躍。舞台は2000年『BOYS BE…ALIVE TRY AGAIN』で初舞台。その後、『OH!BABY』CBGK Premium Stage リーディングドラマ『Re:』」などに出演。今作は14年ぶりの舞台出演となる。
 
〈公演情報〉
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『三途会〜私の人生は罪ですか?〜』
作・演出◇鈴木おさむ
出演◇今田耕司 ベッキー 町田マリー 加藤啓 伊藤修子 木下隆行 
●11/22〜26◎会場:東京グローブ座
〈料金〉S席7,000円 A席5,500円(全席指定・税込)




【取材・文・撮影/竹下力】




細貝圭 佐藤祐基 加藤虎ノ介『オーファンズ』


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