『管理人』ビジュアルs(撮影:細野晋司)

ノーベル文学賞作家ピンターの代表作『管理人』、その登場人物はわずかに3人。ガラクタを拾い集める男と、ガラクタを処分したい男と、ガラクタ同様に拾われてきた男……。
常軌を逸したやりとりを繰り広げる男たちの不条理劇には、息詰まる緊迫感と、不格好なまでのペーソスがあふれ出し、それゆえに人間存在の脆さとたくましさが表裏一体となるおかしみ!森新太郎のエッジの効いた演出、絶妙にアンバランスな3人の男による狂気とユーモアの“ピンター・ワールド”が、11月〜12月、東京と大阪で上演される。

この三人芝居に名を連ねるのは、青年ミック役の溝端淳平(=ガラクタを処分したい男)、その兄アストン役の忍成修吾(=ガラクタを拾い集める男)、宿無し老人デーヴィス役の温水洋一(=ガラクタ同様に拾われてきた男)。それぞれに異なる個性を持つ、森いわく「完璧」な顔合わせで、絶妙にアンバランスなトライアングルを作り出す。

【ストーリー】
舞台はロンドン西部にある家の小さな一室。住み込みで働いていたレストランを首になったばかりの宿無し老人デーヴィス(温水洋一)は、偶然知り合ったアストン(忍成修吾)に自分の家に来ないかと誘われ、これ幸いとついていく。だが翌朝、いきなり現れたアストンの弟ミック(溝端淳平)に不審者扱いされ激しく責め立てられる。口の減らない図々しいデーヴィスの前に交互に現れる、無口で謎めいた家のリフォーマーと称するアストンと、家の所有者であると主張する切れ者のミック。彼らはそれぞれ別々に、この家の「管理人」にならないかとデーヴィスに提案してくる。兄弟に見込まれたデーヴィスの態度は、次第に変化していき――。

【コメント】

森新太郎(演出)  
舞台の出来事はロンドン西部にある小さな一室で起こります。
戯曲冒頭のト書きによれば、その部屋は大量の廃品=ガラクタで溢れかえっており、今日の日本で言うところのいわゆる“ゴミ屋敷”です。
登場人物は三人。この部屋にガラクタを拾い集めてくる男と、この部屋からガラクタを処分したい男と、この部屋へガラクタ同様に拾われてきた男です。彼らが何者でどんな人生を送ってきたのか、ピンターは何一つはっきりとは提示してくれません。全てが曖昧。ただひとつ確かなことがあるとすれば、それは彼らがこの部屋において、常にある種の緊張状態に置かれているということでしょうか。
そこでは、自分の居場所を巡っての駆け引きや闘争が、延々と容赦なく繰り広げられます。「アホらしい!」と笑えてしまうくらいに。そんな滑稽なせめぎ合いの様は、我々が生きている現代社会そのものかもしれません――。
徐賀世子さんによる切れ味のいい新訳のもと、ユーモアと臨場感に満ちたピンター劇をお届けできたらと思います。どうぞお楽しみに。



〈公演情報〉
『管理人』
作◇ハロルド・ピンター
翻訳◇徐賀世子
演出◇森新太郎
出演◇溝端淳平 忍成修吾 温水洋一
●11/26〜12/17◎シアタートラム
〈料金〉一般  6,500 円  高校生以下・U24 3,250 円(一般料金の半額)(全席指定・税込)
〈一般発売開始〉 2017年9月17日(日)10:00〜
〈お問い合わせ〉世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515  (10〜19時)
  http://setagaya-pt.jp/
 
●12/26〜27◎兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
〈料金〉一般  7,500 円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-025
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【撮影:細野晋司】


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