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シンガーソングライターの中川晃教のコンサート『中川晃教コンサート 2017 “Seasons of love”』が9月14日に中日劇場で開催された。引き続き、9月24日は大阪・新歌舞伎座で、10月1日には東京・明治座で開催される。
劇場でのコンサートということで、いつものコンサートとは趣を変えたシアトリカルなコンサート。朗読、篠笛、ダンスとのコラボレーションで、自らの楽曲の新たなイメージを引き出した。その中日劇場での初日の様子をお届けする。

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プロローグは佐藤和哉の篠笛と、杉浦ゆらのダンスからはじまる。どこか聞き覚えのある音楽だなと思ったら「かごめかごめ」。笛の音によって一気に異次元の世界に誘われるようで、真っ赤な衣裳で踊る杉浦のダンスとともに、これからはじまるコンサートへの期待を掻き立てられた。そして杉浦と入れ替わって登場した中川。1曲目は「CHINA GIRL」。プロローグで踊っていた杉浦の残像が脳裏に残る中、艶やかなCHINA GIRLが浮かび上がる。
 
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続いて、朗読と音楽のコラボレーション。伊礼亮と朗読する寺山修司の詞と、中川の楽曲が交互に構成されている(4曲中1曲は既成曲)。この構成で特に面白いと思ったのは、寺山の詩と中川の楽曲の親和性だった。『お月さまの瓶詰』と「I Have Nothing」、『ギターとキノミ』と「I Say Goodbye」、『青空を塗る男』と「Blue Dream」という3つの組み合わせが見事にシンクロしていて、両方の世界がさらに広がって行くようだった。

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朗読を経て膨らんだ想像から、曲の聞こえ方が変わってくるのが新しい感覚だった。例えば、『お月さまの瓶詰』と「I Have Nothing」。ひとりの女性がひとりの男性を思い続けて、ふたりが幸せだったときに詰めたお月さまの瓶詰めを最後に飲み干して亡くなる物語。朗読の後に歌い出した「I Have Nothing」の歌詞は「月を切った夜の真ん中で 鳴いて静まった森 月音が無音で響く 魂の重なったところから 聞こえたでしょうこの思い……」。これまでに何度も聞いた曲ながら、「月」という言葉が、初めて聞いた言葉の趣をともなって魅惑的に立体化する。 

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『涙ととびたい』は、名曲「見上げてごらん夜の星を」とコラボレーション。シンプルながらもドラマティックな世界が広がった。中川自身はMCで、「詩の朗読と歌のコラボレーション朗読からはじめてみることで、新たな発見があったらいいなという思いで構成した」と語っていた。LIVEとACTが融合した「LIVE ACT」と表現する。
 
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次はミュージカル楽曲コーナー。『モーツァルト!』から「僕こそミュージック」。2005年に中日劇場で『モーツァルト!』を上演したときのことを語り、当時に思いを馳せて歌い、12年ぶりに同じ場所に蘇った。続いて、『SHIRO』から「人のツバサ」、8月まで帝国劇場で上演されていた『ビューティフル』から「On Broadway」「Walking In The Rain」。「On Broadway」は、作品中では中川が演じたバリー・マンが作った曲で、ドリフターズが歌った。実は自分も歌いたかったと、浅井信好のダンスとコラボレーションして披露。ジャジーなアレンジから、バンドも含めたセッションのような自由さもあり、劇中の楽曲とは違った粋なアレンジだった。さらに、昨年シアタークリエで上演され、読売演劇大賞最優秀男優賞、菊田一夫演劇賞演劇賞の受賞へと繋がった『ジャージー・ボーイズ』から「Can't Take My Eyes Off You」「Who Loves You」。2018年秋には待望の再演が決定している。

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クライマックスは中川のオリジナル曲から「FLY」「To Be Is To Do」「止まらない一秒」。ノンストップで観客もスタンディングで盛り上がる。ここで朗読を担当した伊礼亮を紹介。もう、すっかり中川のファンになってしまったという伊礼は、キラキラとした瞳でその興奮を語っていた。伊礼自作の詩『懐かしい涙』を伊礼が朗読して、ラストナンバー「Miracle Of Love」へ。「Miracle Of Love」は中川の曲の中でも特に人気のある曲だが、今回のコンサートのラストナンバーとして聞くと、とても清々しい心地になるのが新鮮だった。音楽は、同じ曲でも時と場所に応じて聞こえ方が変わるのが面白い。

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アンコールは客席から登場した中川。「きゃあ!」と歓声に包まれ、驚き喜ぶ観客たちに囲まれながら「My Way」を歌う。ステージに上がり、中川のコンサートのもはや名物となった“歌うコール&レスポンス”を楽しんだ。バンドメンバーも加わり、会場一体となって即興で歌い合い、「Hey! Yeah ! Nagoya! のうた」と命名して笑いを誘った。最後はデビュー曲「I Will Get Your Kiss」で締めくくった。自由自在にその日の観客を巻き込んで自分の世界を作り上げる中川のコンサートは、劇場ごとに違った景色が広がりそうだ。

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〈公演情報〉
『中川晃教コンサート 2017 “Seasons of love”』
出演◇中川晃教/佐藤和哉(篠笛)/浅井信好 杉浦ゆら(ダンス)/伊礼亮(朗読)
●9/14◎中日劇場(公演終了)
●9/24・17:00◎新歌舞伎座
〈料金〉8.500円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉新歌舞伎座06-7730-2222(10:00〜18:00)
●10/1・17:00◎明治座
〈料金〉8.500円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉明治座03-3660-3941(10:00〜17:00)


【取材・文/岩村美佳 撮影/宮川舞子】




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