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一昨年、カムカムミニキーナが旗揚げ25周年を記念して上演した『>(ダイナリィ)〜大稲荷・狐色になるまで入魂〜』が、役柄を大幅に入れ替えて、再演される。
安倍清明と狐の謎を秘めた団体とそれを探る演劇探偵団という、めくるめく歴史ロマンの面白さに加えて、バックステージの役者と劇中の登場人物がメタ演劇的に入り交じる上演形式サラウンド・スケルトンで、カムカムの可能性と底力を示した傑作舞台だ。

【あらすじ】
未だ見ぬ母が屋根裏に隠した異国語の日記…ダイアリィ。
そこに無数に記された謎の記号「>」…ダイナリィ。
迷える少女がルーツを探るうちに紛れ込んでいく昭和の闇。
暗躍するはお稲荷様の嫁入り行列…オイナリィ。
平安の世より続く妖狐と陰陽師安倍清明の因縁。
人を変えてしまう恐るべき狐憑きの力。
その獣の超力を我が物にせんと企む軍人、商人たち。
闇に葬られた歴史を解き明かしていくのは、現代を生きる売れない前衛劇団。
即興劇による閃きと創作で真実に肉迫する、名づけて演劇探偵メソッド!
稲荷信仰の孕む霊気と狂気が、時代を超えた日本人の宿命を揺さぶる。
残された最後の手段は…愛ナリィ?

この作品で、一昨年に続いて座長をつとめる山崎樹範と、劇団の看板女優としてますますパワフルに存在感を発揮する藤田記子が、今回の『>(ダイナリィ)』の見どころを話してくれた「えんぶ10月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介。

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藤田記子・山崎樹範

団長役が変わったことで、みんなの役も変わって

──再演で大きく役が変わるそうですね。
藤田 私が言いだしたんです。初演は良い作品になったし、良い評価も頂いたんですが、再演の話を聞いたとき、どうせなら劇中の団長の役を、公演の座長でもある山崎くんにやってもらったらと。
山崎 松村さんに提案して。僕はびっくりしました。
藤田 山崎くんの前回の役も面白かったし、山崎くんならではの役だったけど、そろそろ清水(宏)さんがやるような役もやってみたほうがいいので。
山崎 その役が変わったことで、どんどん押し出されるように、みんなの役も変わって。俺の役は藤田さんになって。
藤田 そこは私には予想外の展開で、結局一番大変なところが来て。役替わりを言い出した以上、やるしかないなと。
──今回、山崎さんが演じることになった団長役ですが、どう捉えていますか?
山崎 自分で局面を動かせる役だなと。初演で演じた劇団員の役は、与えられたことに対してどう反応するか、流れの中でどう動くかという面白さがありましたが、団長の役は、自分の意志で物語の舵を切っていく。そこが役としては魅力的な部分ですね。
──今までの山崎さんのキャラクターにはあまりないような。
山崎 ないですね。だからこの役で説得力が出せたらすごいし、出したいです。
藤田 私もすごいプレッシャーで。あんなに走り回る役は久しぶりなんです。最近劇団では、お母さんとかお祖母さんの役どころになっていたので、まず体力的にすごく心配ですね。鍛えます。

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松村さんの懐の深さで20年以上続けられた

──それぞれ20年以上の劇団歴ですが、カムカムだから良かったということは?
藤田 つまらないとか面白くないとか、きついとか散々言われて育ってきたことが、今となっては、強さになっていますね。
山崎 カムカムで生き残れたら、他へ行っても通用しますから。
──山崎さんはメディアへの出演も多くて、つかず離れずきたわけですが、そのことで逆に劇団活動が続いている部分もあるのでしょうね
山崎 それはありますね。僕は劇団では末っ子長男気質というか、松村さんと八嶋(智人)さんは、役者としてのお父さんとお母さんだとは思って、散々わがまま言ってきたし、八嶋さんに本気で怒られるまで、劇団とちゃんと関わらなかったりしましたから。でもやっぱり僕を生んでくれたのはここで、それは一生変わらないことなので。今は2年に1回というペースがちょうどいいし、逆に2年に1回しか出られないのだから、その1回は大切にしないといけないなと思うようになりました。
──そういうペースで付き合えるのも、松村さんの懐の深さかなと。
山崎 結局、全部受け入れてくれますからね。来るものは拒まず去る者は追わずで。僕がしばらく休みますと言った時も「わかった」と。
藤田 器が大きいんです。作品のスケールもですけど、人としても大きい。
──それでいて過激で、劇団外でも演出されていますが、劇団で一番実験的なことをしている気がします。
藤田 それは松村さんも明言していて、カムカムは自分が一番興味あることを全部つぎ込むところ、実験する場所だと言ってますから。
──役替わり再演というまた過激な実験で楽しみです。最後に意気込みをぜひ。
藤田 この作品は、狐憑きの話と演劇探偵をする劇団の話が出てくるのですが、私は狐の側から劇団の側になるので、新しい作品に取り組む気持ちでがんばりたいと思います。
山崎 今回は本当の座長というか、真ん中をやってみろという負荷をかけられて、この歳で、こんなチャレンジやらされるとは思ってなかったですが、有り難いし、役者としてまた次に行くチャンスだと思っています。がんばりますのでぜひ観にきてください。

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藤田記子・山崎樹範

やまざきしげのり○東京都出身。95年より劇団に参加。ドラマ、映画、バラエティなどで活躍中。最近の主な出演作品は、映画『龍三と七人の子分たち』『幸福のアリバイ〜picture〜』、ドラマ『トットちゃん』『しあわせの記憶』『めおと蝶』、劇団以外の最近の舞台は『崩壊シリーズ〜リメンバー・ミー』『剣豪将軍義輝〜星を継し者たちへ〜』『テレビのなみだ』など。映画『火花』が11月に公開、NHKBSプレミアム『ワンワンパッコロ!キャラともワールド』レギュラー出演中。

ふじたのりこ〇東京都出身。94年、劇団カムカムミニキーナに入団。ダイナミックな演技で、舞台に大きなうねりをもたらす女優として、多方面で活躍中。08年には劇団拙者ムニエル澤田育子との演劇ユニット「good morning N°5」を立ち上げる。最近の出演舞台は『青木さん家の奥さん供戞悒ぅ鵐肇譽薀鵐垢虜廖戞悗匹匹畧磧戞愧羚颪良垰弋弔別鮨諭截昂遒good morning N°5『豪雪』を上演した。

〈公演情報〉
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カムカムミニキーナ
『>(ダイナリィ)』〜大稲荷・狐色になるまで入魂〜
作・演出◇松村武
出演◇山崎樹範 藤田記子 松村武/成清正紀(KAKUTA) 広澤草 豊原江理佳 本間茂樹/清水宏 ほか
●11/2〜12◎座・高円寺1
〈料金〉一般 5,000円 スペシャル割 4,000円(11/2・4・7の各19時、11/8の14時と19時公演)U-25割引 3,500円(要当日身分証、劇団のみ取り扱い) (全席指定・税込)
 〈お問い合わせ〉 カムカムミニキーナ 090-6328-1076 (平日12時〜18時)




【取材・文/宮田華子 撮影/安川啓太】


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