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伝説のカルト・ロック・ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』が5年ぶりに上演され、11月7日からの六本木ブルーシアター公演を皮切りに、12月31日の大阪公演まで5都市6劇場で公演を行う。
初演は1973年のロンドン。場所はロイヤル・コート・シアターにある小劇場のシアター・アップステアーズ。座席はわずか63席。しかし、チープで、セクシャルで、アナーキーで、グラム・ロックな音楽がきらめく舞台は瞬く間に大ヒット。イギリス・カンパニーを引き連れた日本初上陸は75年、同時期に映画化もされ、『ロッキー・ホラー・ショー』ブームが巻き起こり、以来、さまざまなカンパニーで上演されてきた。

【あらすじ】
友人の結婚式の勢いに乗せられ、自分たちも婚約してしまったブラッド(小池徹平)とジャネット(ソニン)。ふたりは恩師に報告しようと、嵐の夜、車を走らせていた。しかしタイヤがパンク。助けを求めた彼らは、人里離れた荒野に建つ古い城にたどり着く。困り果てた二人の前に現れたのは、不気味な執事リフラフ(ISSA)と使用人のマジェンタ(上木彩矢)やコロンビア(アヴちゃん)たち。その異様な雰囲気に呑まれて戸惑う二人をそっちのけに、城の中ではノリノリのパーティーが始まる。
さらに、黒いガーター&ストッキング姿も妖艶な城の主・フランク“N”・フルター(古田新太)が登場。いかにも性倒錯者然の彼は、この城で秘密の実験をしている科学者であるという。その実験とは、人造人間を創り出すこと。まさにこの夜は、彼の輝かしい実験が最終段階を迎えようとしていたのだった…。

主人公のフランク・フルターに、2011年の劇団☆新感線版から引き続いてこの役をつとめる古田新太。演出は、いのうえひでのりからバトンを渡された河原雅彦。“ロッキー・フリーク”を自称してはばからない2人が新タッグを組む。
さらにキャスト陣として、ミュージカル界でも活躍目覚ましい小池徹平とソニン。抜群のダンスと歌唱力を誇るISSA。アーティストでもある上木彩矢。注目のバンド女王蜂から舞台初挑戦となるボーカルのアヴちゃん。新感線きっての肉体派吉田メタル。舞台・ドラマ・バラエティーと幅広く活躍する武田真治など、グラム・ロックの香りも濃厚な多彩な顔ぶれが集まった。
そして、1995年の主演フランク・フルター役をはじめ、毎回この作品に携わり、今作ではナレーター・音楽監督・演奏までこなすROLLY。まさに『ロッキー・ホラー・ショー』のカリスマ的存在の彼に、この作品への想いを語ってもらった。

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ロックンロールと女装、これこそ僕のアイデンティティー
 
──1973年に初演された作品ですが、本作との出会いはいつ頃でしたか?
『ロッキー・ホラー・ショー』との出会いを話すと幼い頃の話から始めないといけない大切な作品です。幼稚園に行く前の頃、同時にいろいろ吸収しようとしていた多感な時期でした。家は電気屋さんを営業していて、女性従業員の方が住み込みでいらっしゃいました。お風呂に入るのも従業員のお姉さんに入れていただいたりした家だったんですよ。その方達が読んでいたんでしょうね。「スクリーン」「キネマ旬報」など映画雑誌がたくさんありました。僕はそれを盗み見るように貪り読んで、ハリウッド女優の、グレタ・ガルボ、マレーネ・ディートリヒ、マリリン・モンローなどのグラビア写真を見て、「こんな風になってみたい」と思ったんです。今思うとそれは男性としての女性への憧れではなくて、女性のアクセサリーをつけたり衣装を着たりする女性性への憧れでしょうね。ですから、ある日、従業員さんの下着を身につけて、鏡の前でハリウッド女優のポーズをつけたらこれまでに経験した事がない程のハイな気分になったわけです。お化粧をして、下着をつけてポーズをとっていることが、おぼろげにタブーを犯している実感がありました。タブーを犯すことが快感につながることに目覚めてしまったんです。まあ、家族にバレてこっぴどく怒られたわけですが(笑)。
──確かに、そうなるでしょうね。
その事件以降、例えば姉は、おやつの配分を決めるときは、僕だけ量が違うんです。不公平じゃないかと文句を言うと、窓を開けて、「一雄(ROLLYの本名)はなあー!」と叫んで、近所中に響き渡る声で僕が変態だということを知らしめようとした。姉にこのことで一生ゆすられるのだろうなと思った暗い幼年時代。そういう時期があって、中学生の時に、ロックが好きになって、「Queen」に目覚めました。フレディ・マーキュリーが当時、グラム・ロック的なメイクをして中性的なファッションをしていましたから、僕が「スクリーン」「キネ旬」の女優たちを見ていた時期と同じで、タブーを犯している人だと思って憧れるのは当然といえば当然だった。それから、高校生の時に、「淡路東映」という町の小さな映画館で『ロッキー・ホラー・ショー』『ファントム・オブ・パラダイス』、デヴィッド・ボウイの『地球に落ちて来た男』の三本立てを観たんです。
――すべてロックンロール映画ですね。昨年亡くなられたデヴィッド・ボウイさんもグラム・ロックの元祖ですから、ROLLYさんも影響を受けたのでしょうね。
ええ。特に映画『ロッキー・ホラー・ショー』のオープニングの、黒バックにピンクの口紅をつけた唇が喋るイントロから始まって、フランク・フルターが登場した時に、今まで好きだったロックンロールと女装という倒錯的なものが合体して、これが僕のアイデンティティーとさえ思いました。それから、劇中の音楽を何度も聴き、ビデオを何回も観た覚えがあります。

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『ロッキー・ホラー・ショー』に出たいとプロデューサーにアピール

──そして、1995年の時に、フランク・フルター役で初主演を果たします。
ロック・バンドの「すかんち」でデビューしてから、『ROLLY HORROR SHOW』という曲を作りましたし、デビューした時から常に、『ロッキー・ホラー・ショー』を意識していました。いつか自分がピンクのビスチェを着て、フランク・フルターのような格好をして、舞台で思いっきり歌ったり踊ったりする。それを姉に見せつけることによって、姉のゆすりから脱出することができるんじゃないか。
──そこにたどり着くわけですね。
とはいうものの、役者を経験したことはないですし、演劇学校にも劇団にも行っていない。チャンスが訪れたのは、1993年の中野サンプラザで公演したROCK OPERA『ハムレット』に出演させてもらった時です。X JAPANのTOSHIさんが主演で、山本リンダさんや、劇団☆新感線の右近さん。そして今回もロッキー役で出ている吉田メタルさんといった方々で作る『ハムレット』がありました。
──錚々たるメンバーですね。ROLLYさんの役はなんだったのですか?
僕の役は、デーモン小暮閣下の演じる墓掘り人の恋人「好奇心」という役。ただ、役に没頭すればいいだけではなくて、稽古中に、自分なりに『ロッキー・ホラー・ショー』感を出そうと演じましたね。僕のソロの曲《人生なんか屁のようなもの》は歌詞がすでにあって、音楽監督の加藤和彦さんから「自分で作曲してもいいよ」とおっしゃってくれた。加藤さんは、僕に『ロッキー・ホラー・ショー』的な楽曲を作るチャンスをくれたんです。嬉しかったです。
──どんな曲だったのでしょう?
シャンソン風の歌で、リハーサルの時にピアノの人にメロディを口頭で伝えて弾いてもらいました。そして、近くにティッシュペーパーが置いてあったので、それを持って泣きながら、ステージの上からティッシュをハラハラ落とす演出を勝手にして歌ったんです。それをみていた当時のプロデューサーの草刈清子さんが、「この子ならできる!」と思ってくださったらしいんです。僕も草刈さんがどういう人か存じ上げていましたから、稽古の合間に、偶然を装って立ち話をしたんです。すると、「ところでティッシュペーパーのシーンは演出家の人から言われたの?」とおっしゃられる。僕は「『ロッキー・ホラー・ショー』が大好きで、それらしい演出ができたらなと思ったんです。僕はいつかフランク・フルターを演じたいんです」と。それから毎日のようにこのことをお伝えしました。そうしたら『ハムレット』の1年後に電話がかかって来て、「パルコ劇場で、あなたの主演で『ロッキー・ホラー・ショー』をやりましょう!」と。念願かなったのが95年で、それから5年間、フランク・フルターをつとめました。

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古田新太からの優しい誘いに感動して

──ROLLYさんの才能と素晴らしい人との出会いがあったからこそですね。今回、フランク・フルターをつとめるのは古田新太さんですが、古田さんの印象はいかがですか。
いのうえひでのり版の2011年のとき、「いのうえひでのりさん演出で『ロッキー・ホラー・ショー』をやろうと思っている。役は変わるけど一緒に出ないか」と誘ってくれたんです。自分が好きな作品の好きな役を、先に演じてしまった僕を嫌わずに、逆に自分がフランク・フルターの時に呼んでくれるなんて、素敵な人だなと思いました。それから彼はこうもおっしゃった。「1986年の日本版で初めてフランク・フルターを演じた藤木孝さんも誘いたい。『ロッキー・ホラー・ショー』が好きな人間ばかりでやりたいと思っているんだ」と。古田さんの優しさにとても感動しましたね。それで、エディ役と日本語の歌詞を担当させていただきました。ロングランだったし、舞台は感動的な出来栄えで、さすがいのうえさんだと唸りました。僕もエディ役以外にもアンサンブルや映画版のように大きな唇を動かす役、通行人など、5役ぐらい演じました。
──今回の出演は、どなたからの声がけだったのですか。
古田さんがもう一度一緒にやりたいとおっしゃったんです。ひょっとしたら、ここまで『ロッキー・ホラー・ショー』の舞台に出ているのは僕だけですから、話が通じる奴がいて欲しかったのかもしれませんね。僕はどんな役でもかまわないんです。前作では、作詞をする時に全員分のデモテープを作ったほどですから、音楽もストーリーも全て知り尽くしています。だから役が違っても心は迷わない。今回はナレーター役ですが、アメリカのFOXでリメイク版『Rocky Horror Picture Show: Let's Do The Time Warp Again』(2016年)が作られましたね。その作品で、フレディ・マーキュリー亡きあと「Queen」でボーカルをしているアダム・ランバートが、エディ役を演じています。そしてナレーター役は、1975年の映画版でフランク・フルター役を演じた僕の憧れのティム・カリーがやっています。また、時代を超えて、音楽と音楽が、僕らの運命を繋げてくれたような奇跡を感じます。
──改めてこの作品と楽曲の魅力を語っていただくとしたら?
ナンバーの1つ《サイエンス・フィクション・ダブル・フィーチャー》という曲名に象徴されるような、B級SF映画を二本立て続けで観るような感覚なんです。つまり、リチャード・オブライエンさんが子供の時に体験した古い映画のパロディですよね。ありとあらゆるパロディが含まれていて、オールディーズなロックンロールが劇中歌になると、グラマラスで、シンプルなロックンロールになり、親しみやすい楽曲になる。同じく《タイムワープ》《スイート・トランスヴェスタイト》といった、みんなで一緒に歌えるロック・ミュージカルの定番が流れます。途中で僕が『ハムレット』で歌ったようなシャンソンもありますから、チープで懐かしい感じがいいんです。
――今回の演出の河原雅彦さんはどんな印象ですか。
いのうえ版は映画『ロッキー・ホラー・ショー』を、いかに舞台で表現するのかに重点を置いていました。例えば、ステージ上がプールになって人が泳いでいるのをLEDライトで表現していましたが、河原版は、原点に戻って、もともとロンドンの場末の劇場でやっていたような感じを出そうとしていると思います。11年版で最高にゴージャスなものをやっているので、これを超えるには、アラブの大富豪をスポンサーにつけないとできません(笑)。 

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アヴちゃんだけでなく女王蜂のメンバーも演奏で出演

──大人気ロックグループのボーカル「女王蜂」のアヴちゃんが、コロンビア役で舞台初出演するのも楽しみです。
今回は、女王蜂の他のメンバーにも出演してもらうんです。2011年の時、音楽も豪華だったので、今回はどうしようかと音楽監督として色々悩みました。まずは、腕のいいスタジオ・ミュージシャンに声をかけていたのですが、考えてみるとアヴちゃんが、『ロッキー・ホラー・ショー』をやっている間、女王蜂の他のメンバーは何もすることがないぞと。だったら女王蜂のメンバーも演奏で出演すればいいんだと。
──それは女王蜂ファンも楽しみですね。
スタジオ・ミュージシャンだったら、ステージの見えないところで演奏することになっていたと思いますが、女王蜂が演奏するのなら、大々的に演奏者も見えていてもいいじゃないか。しかも、それが普通のロック・バンドではなくて、日本一『ロッキー・ホラー・ショー』がに似合うヴィジュアリストたちですからね。アヴちゃんの出演が決まったあと、たまたま僕が出演中の舞台『ビッグ・フィッシュ』の楽屋に女王蜂が来たので、他のメンバーに、一緒に泥水をすすってみないか(笑)と誘って二つ返事で快諾していただきました。今までやって来た『ロッキー・ホラー・ショー』よりも、よりロッキンなルックスになるんじゃないかな。
──ROLLYさんのナレーター役も楽しみです。
ナレーターの役は、これまで藤木孝さん、細川俊之さん、瑳川哲朗さん、壤晴彦さんなど、ベテランの尊敬する俳優さんたちが演じています。今回は河原さんが、僕もギターを弾いてほしいと言うので、ナレーターもやるけれどギターも弾くというのは、今までにない見どころだと思います。
──まさに八面六臂の活躍ですね。最後に作品のアピールをいただければ。
偶然か必然か、古田新太=フランク・フルターみたいですよね?この人はフランク・フルターをやるべき人だったんです。僕らは50代で、ひょっとしたらこれが最後の『ロッキー・ホラー・ショー』になるかもしれない。5年後には別のフランク・フルターが生まれているかもしれませんが、僕たちは今回でラストかもしれないので、ぜひ劇場に観にきてください。

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ろーりー○大阪府高槻市出身。1990年にバンド「すかんち」のヴォーカル&ギターとしてデビュー。「恋のマジックポーション」「恋のミラクルサマー」などが大ヒット。俳優にも挑戦。コミカルな舞台からミュージカルまで幅広くこなす。主な舞台に『ロッキー・ホラー・ショー』、『星の王子さま』、『TOMMY』、『三文オペラ』、『ビッグ・フィッシュ』など。
 
〈公演情報〉
PARCO presents
RICHARD O'BRIEN'S
『ロッキー・ホラー・ショー』
脚本・作詞・作曲◇リチャード・オブライエン
演出◇河原雅彦
訳詞・音楽監督◇ROLLY
振付◇牧宗孝(MIKEY from 東京ゲゲゲイ)
出演◇古田新太 小池徹平 ISSA ソニン 上木彩矢 アヴちゃん(女王蜂) 吉田メタル 東京ゲゲゲイ(BOW・MARIE・YUYU・MIKU) 戸塚慎 若井龍也 佐藤マリン ROLLY 武田真治
演奏◇女王蜂(ひばりくん、やしちゃん、ルリちゃん)ながしまみのり、大塚茜
【東京公演】
●11/7〜12◎Zeppブルーシアター六本木
〈料金〉11,000円 U-25チケット6,000円〈観劇時25歳以下対象・当日指定席引換・要身分証明書〉(全席指定・税込)
●11/16〜12/3◎サンシャイン劇場
〈料金〉S席11,000円 A席9,000円 U-25チケット6,000円〈観劇時25歳以下対象・当日指定席引換・要身分証明書〉(全席指定・税込)
【北九州公演】
●12/9・10◎北九州芸術劇場 大ホール
〈料金〉S席9,500円 A席7,000円 ユース5,000円〈24歳以下・枚数限定・要身分証提示〉 高校生チケット1,500円〈枚数限定・窓口前売りのみ取扱い・購入時/入場時用学生証提示〉(全席指定・税込)
【仙台公演】
●12/16・17◎仙台サンプラザホール
〈料金〉S席10,000円 A席8,500円 U25チケット5,500円(全席指定・税込)
【松本公演】
●12/23・24◎まつもと市民芸術館 主ホール
〈料金〉S席9,500円 U18チケット7,000円(全席指定・税込)
【大阪公演】
●12/28〜31◎森ノ宮ピロティホール
〈料金〉12,500円(全席指定・税込)

〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858(月〜土11:00〜19:00/日・祝11:00〜15:00)



【取材・文・撮影/竹下力】




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