『ペール・ギュント』制作発表会フォトセッション_パターン3_S
 ヤン ジョンウン・浦井健治

ノルウェーが誇る劇作家イプセンによる『ペール・ギュント』は、真の自分をどこまでも追い求める、150年経った今も古びない壮大な「自分探し」の物語。その戯曲が、今年開場20周年の世田谷パブリックシアターで12月に上演される。演出は平昌冬季オリンピックの開・閉会式の総合演出を務めるヤン ジョンウン。主演には浦井健治、そのほか日韓20名のキャストが演じる舞台だ。
 
この『ペール・ギュント』は、シェイクスピアに次いで世界で2番目に多く上演されているノルウェーの偉大な劇作家・詩人ヘンリック・イプセンが、150年前の1867年に書いた「劇詩」。エドヴァルド・グリーグによってかの有名な劇音楽が作曲され、1876 年に初演。通常の戯曲形態をとらない異色の本作は、無限の表現が考えられることから、あまたのアーティストの想像力を刺激し、今日まで上演され続けてきた。真の自分をどこまでも追い求める男の一生を描いて、執筆から150年簁った今も古びない壮大な「自分探し」の物語で、ヤン ジョンウン演出は、音楽やダンス、日本語と韓国語が飛び交う、エネルギッシュな舞台となる。

『ペール・ギュント』制作発表会(撮影:宮川舞子)

この作品の制作発表会が、昨日、10月24日、世田谷パブリックシアターにて行われた。
登壇者は、上演台本・演出のヤン ジョンウン、タイトルロールのペール・ギュントを演じる浦井健治、ペールの恋人ソールヴェイの趣里、ペールの母親オーセほかを演じるマルシア、ソールヴェイの父役の浅野雅博、見知らぬ乗客役のキム デジン、緑衣の女役のダギョンという顔ぶれで、稽古中の本作への手ごたえなどを語ってくれた。

【コメント】

 ヤン ジョンウンさん(撮影:宮川舞子)
ヤン ジョンウン(上演台本・演出)
稽古が始まって1週間が経ちましたが、すでに日韓の役者とスタッフが演劇という文化を通してボーダーレスな関係を築き上げていて、「人間はみんな似ている」という普遍的な同質性を強く感じています。これからどういう旅路になるのか期待でいっぱいです。(韓国で自身が芸術監督を務める「劇団旅行者(ヨヘンジャ)」にならい命名した)我々「劇団ペール・ギュント」が「人生の中で生きていくこと、死んでいくこと」への問いかけを提示できたらと思っています。この作品はペールが自分を探し出す物語ですが、この作品に関わっている人それぞれの自分探しの物語、また現代人が混乱のなかで自分を見失うところから自分を発見する物語にもなりうるでしょう。イプセンの哲学的なテーマ、そして私の自分探し、旅路というテーマなど、この作品に込められた多義的なテーマがお客様にもオーバーラップして伝わっていけば幸いです。
 
『ペール・ギュント』制作発表会 浦井健治さん(撮影:宮川舞子)
浦井健治(ペール・ギュント役)
笑顔とエネルギーに満ちている家族のような現場です。稽古というよりは“play”、遊びのようであり、またある意味修行のようでもある濃密な時間を稽古場で過ごしています。この“劇団ペール・ギュント”の船旅が新大陸なのか、理想郷なのか、そういったどこかに着く頃には、日本も韓国も国なんか飛び越えて、イプセンが描いた人間、自分探しにおける一番大事なことに辿りつけたらと思います。さまざまなメッセージが込められている作品ですので、お客様の一人ひとりに十人十色の感想を持ち帰っていただきたいです。このエネルギーが皆さんに伝わると良いなと思っています。ぜひ、クリスマスも大晦日も一緒に旅に出かけましょう。
 
『ペール・ギュント』制作発表会 趣里さん(撮影:宮川舞子)
趣里(ソールヴェイ役 ほか)
昨年夏のワークショップでヤンさんや韓国のキャストの方々とお会いし、自分自身と向き合い、相手を見つめ、共有するという貴重な体験をしました。ぜひこの作品に参加したいと思っていたので、今日この日をみなさんと迎えることができて嬉しい気持ちでいっぱいです。稽古が始まって1週間ですが、濃密な時間が過ごせている気がします。言葉の違いも感じないようなエネルギーは、絶対お客様にも伝わるはずだと思っています。観ていただくお客様が『ペール・ギュント』という自分探しの旅にみなさんにも参加していただけるような舞台になればいいなと思っています。
 
 浅野雅博さん(撮影:宮川舞子)
浅野雅博(ソールヴェイの父役 ほか)
言葉の壁が心配でしたが、韓国のみなさんが「なんでこんなに愛が溢れているのか」と思うほど愛情深く、そんな心配は杞憂に終わりました。まだ稽古が始まり一週間ですが、言葉や国境の壁を芸術は簡単に超えてしまうものだということを目の当たりにしています。またこんなにニコニコされているヤンさんですが、心の中にとても熱いマグマがふつふつと燃えているような方です。今回のカンパニーは韓国、日本関係なく一個人として集められて、まずはヤンさんの鍋でぐつぐつ煮えて、それから形づけられていくのだろうと思います。若い座組ですがみんなで楽しさと苦しさを分かちあいながら、最後にみんなで万歳をして終われたらと思います。
 
 キム デジンさん(撮影:宮川舞子)
キム デジン(見知らぬ乗客役 ほか)
今回日本の俳優の方と舞台で初めて共演しますので、昨年のワークショップからとても楽しみにしていました。『ペール・ギュント』に出演するのは今回で4回目です。一度演じたものを再び演じるのは大変なことですが、以前とは違う新しいものをつくりたいというのが役者の心理です。この挑戦には期待感もあり、同時に怖さもありまして、稽古は楽しいのですが、集中力とエネルギーをすごく使います。宿舎に帰るとぐったりです。けれども、このような素晴らしい環境で、素敵な仲間と出会えることはそうそうありません。個人的な抱負は、千秋楽のその日まで、この場にこの仲間と“ここ”に存在していたい。そう強く思っています。
 
 ユン ダギョンさん(撮影:宮川舞子)
ユン ダギョン(緑衣の女役 ほか)
日本は私にとってとても大きな影響を与えてくれた国で、いつか日本の俳優の方々と一緒に仕事がしてみたいと夢見ていました。それが今回叶って、ここにいることがとても幸せです。稽古を通して、言葉が通じなくてもお互い心で感じ合えることはこれほどまでに自分を豊かにしてくれるんだ、私はこれに出会うために芸術活動をしてきたのではないかという思いでいます。言語も、年齢も、性別も、国境も越えて、人生で感じたことや、幸せ、痛みを見せ合い、お互いに感じ合い、涙したり笑ったり踊ったりしています。今まで生きてきて、これほど他人の話に耳を傾けたことがあったろうか。今までこれほど、胸の内を人に伝えたことがあったろうかと思うほど、稽古場の一瞬一瞬が魔法にかけられているようです。今のままの自分でいい、今のままの自分でもみんなと一緒にいられる、そういうなぐさめと、お互いの人生に対する祝福、そういうことを分かち合える作品になることを心より願っています。
 
『ペール・ギュント』制作発表会 マルシアさん(撮影:宮川舞子)
マルシア(ペールの母オーセ役 ほか)
国境を越え、言葉を超え、すべてを超えた舞台がすでに始まっています。稽古では、魂から生きる、子どもになる、あらゆる自分に化ける、自分の中にある自分をさらけ出すという作業を繰り返し、毎日筋肉痛で、自分が生きていることを実感しています。ペール・ギュントは「旅」をしますが、私自身も毎日「旅」をして、自分と戦って生きていますし、みなさんもそうだと思いますので、共感して観ていただけると嬉しいです。きっと皆さんの想像を超える舞台になると思います。素晴らしい旅を、ぜひとも、遊園地に行った気分でご覧ください。ありがとう、カムサハムニダ、ムイトオブリガーダ、サンキュー、愛してる!

『ペール・ギュント』制作発表会フォトセッション_パターン1_S

〈公演情報〉
日韓文化交流企画『ペール・ギュント』
世田谷パブリックシアター+兵庫県立芸術文化センター
世田谷パブリックシアター開場 20 周年記念公演
『ペール・ギュント』
原作◇ヘンリック・イプセン
上演台本・演出◇ヤン ジョンウン
出演◇浦井健治/趣里 万里紗 莉奈 梅村綾子 辻田 暁  岡崎さつき/浅野雅博 石橋徹郎 碓井将大 古河耕史 いわいのふ健 今津雅晴 チョウ ヨンホ/キム デジン イ ファジョン キム ボムジン ソ ドンオ/ユン ダギョン マルシア
演奏◇国広和毅  関根真理
●12/8〜24◎世田谷パブリックシアター
  12/6プレビュー公演
〈料金〉一般S席(1・2階)8,800円 A席(3階)5,400円/プレビュー公演一般S席(1・2階)7,300円 A席(3階)4,400円/高校生以下・U24 は一般料金の半額、ほか各種割引あり(全席指定・税込)
〈一般発売開始〉2017年9月24日(日) 10:00〜
〈お問い合わせ〉世田谷パブリックシアターチケットセンター  03-5432-1515
●12/30〜30◎兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール



【撮影/宮川舞子 資料提供/世田谷パブリックシアター】




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