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アニメ化もされた原作・高殿 円、漫画・雪広うたこの人気コミック『魔界王子』。昨年6月に舞台版の初演を上演し、学園悪魔ファンタジーの世界をキャッチ―なミュージカルナンバーの数々とあえてアナログな演出で表現し話題となった。そのミュージカル『魔界王子 devils and realist』の続編が、11月4日から上演される。(12日まで新宿FACEにて)

初演と同じく、ウイリアム役には石渡真修、ダンタリオン役には鮎川太陽、ジル・ド・レイ役には碕 理人、クロスビー牧師役には松本祐一、カミオ役(特別出演)には米原幸佑が扮するほか、ケヴィン役に田村良太、シトリー役に櫻井圭登、ミカエル役に山中健太、レオナール役に逢沢 優など豪華新キャストも加わっての続編に期待が集まる!
その公演を前に、石渡真修・鮎川太陽・田村良太にそれぞれの役柄と今回の舞台の見どころなどを語り合ってもらった。

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田村良太・石渡真修・鮎川太陽

稽古場が楽しくてホームに帰ってきた感じ

──稽古が始まったばかりだそうですが、今作が初参加の田村さんはどのように感じていますか?
田村 僕は2.5次元作品が初めてなんですけど、驚いたことが3つあって。皆さんの台詞の覚えの早さ、段取りや振り付けののみ込みの早さ、そして役になる早さ。続編ということもあるかもしれないのですが、喋り方やふるまい、立ち方まで、すでに役そのものなんですよね。そこはすごく驚きました。
石渡 この現場が早いのかも。役と似た部分を持ってる人が多いし、役とその人自身の魅力をうまく合わせられる人も多いかもしれない。
田村 そうなんだ!新鮮でした。
──初めての2.5次元作品についてはどうですか?
田村 でも2.5次元だから特別どうということはあまり考えてないです。役に1つの正解があって、その中で自分がどう遊ぶかという考え方でやっていて。この作品はそれ以外にも演劇的なチャレンジがある作品なので、そこをうまく成立させられるようにがんばりたいなっていう気持ちですね。
──石渡さんと鮎川さんは昨年6月の初演からシリーズ2作目になりますが、稽古が始まってどう感じていますか?
石渡 稽古場が楽しくて、ホームに帰ってきたような感じがあります。みんなでいいものを作ろうっていう空気があるので、意見も出しやすいですし。新しいキャストも含めみんなが仲いいので、いい方向に向かっていっているなって感じがします。

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──7月の『CLIE Summer Festival 2017』で新キャストがお披露目されたときは、まだまだこれからという雰囲気でしたが、すぐに仲良くなれましたか?
石渡 すぐでしたね(笑)。
鮎川 すぐ!
石渡 「仲良くなろう」とかじゃなくて、勝手に輪っかになってた感じ。でもこれは太陽さんのおかげですよ。
鮎川 わはは! なんだよ(笑)。
石渡 いや、そういうとこあるよ。「みんなでご飯行こうぜ」って声かけたりしてくれるので。それで一気に馴染める。
──鮎川さんは意識してそうされているんですか?
鮎川 僕は夏休みの宿題は先にやるタイプなんですよ。稽古の後半にご飯に行くようになるカンパニーは多いけど、早くやっといたほうが馴染みやすいかなって。
田村 本当にすごくやりやすい。中でもこのふたり(石渡・鮎川)は特に「みんなでやろうよ」的な空気があるのかもしれないですね。
鮎川 やっぱりこの作品は歌があるし、舞台上で交わることも多いので。その分、稽古場でも関わっていきたいなっていうのはありますね。
 
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客席が近い360度の舞台で嘘はつけない

──今は歌のレッスンが中心だそうですね。
鮎川 もうね、田村さんすごくうまいから。
石渡 うまい。スッと入ってくるし。
──先日までミュージカル『レ・ミゼラブル』でマリウスを演じていましたね。
鮎川 ね! レッスンのときは田村さんがどこから声出してるんだろうって耳を澄ましてますよ。
田村 いやいやいや。口だよね。
一同 (笑)。
鮎川 歌い方がやさしいんですよ。
──今作は楽曲も多いと聞きました。
鮎川 去年の倍くらいありますから。
石渡 そしてミュージカルらしさも増したと思います。
鮎川 演出の元吉(庸泰)さんが「前作よりもっとミュージカルに近づけたい」ということでこうなったと聞きました。今回は20曲以上あるんだけど、田村さんの出演してきたミュージカルもそのくらいあるんですか?
田村 大体そのくらいある。歌いながら話が進んでいくので、そういう点でも完全にミュージカルだなって思いますよ。
──前作でも楽曲のテイストの幅広さは印象的でしたが、今作はどうですか?
石渡 すごいですよ、今回も!
田村 遊びみたいな曲からガチな曲まであって振り幅が面白い。
石渡 なんでここでその曲調なの!?ってなることもありますよね。物語に天界と魔界と人間界が混ざっているように、曲もすごくいろんな世界が集まってる。
田村 すごい挑戦だなって思う。
石渡 だって田村さん、今まで「♪ぴゅー」とか歌ったことあります!?(笑)
田村 「♪ぴゅー」は初めて。役作りに悩む(笑)。
鮎川 あはは!「♪ぴゅー」はお客さんにも楽しみにしててほしい。

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──元吉さんの演出はどうですか?
鮎川 熱いですよ。
田村 熱いですよね。
鮎川 お客さんを楽しませようって気持ちがすごく強いし、それで俺たちも火が点くしね。
石渡 うん。お客さんが飽きないような演出を考えているのもわかるし、僕たちもそこは考えながらやってますね。
──今回、360度の舞台というのも見どころですよね。演じるほうは大変ですか?
石渡 そうですね。やっぱり気を抜けない部分もありますし。
鮎川 360度あるとどうしてもお客さんに後ろ姿を見せることもあるんだけど、それもちゃんと「見せる」っていう捉え方をすると、変わってくる。そこが突き詰められれば、無駄のない演劇になるんじゃないかな。
田村 あと、舞台上のどこにいてもお客さんが常に近いから、舞台の上にいる人は絶対に嘘をつけない。ずっと気を抜けないので、それがエネルギーとして伝わるんじゃないかなというのもあります。

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『魔界王子 devils and realist』の深部を突いた今作

──皆さんの役柄についてもうかがいたいです。リアリストな主人公・ウイリアムを演じる石渡さんは、今作では何か変化はありますか?
石渡 まだ稽古がこれからではあるのですが、ウイリアムって変わらないんですよ。ただ、変わらないけど、今作で自分を再確認するような部分はあるなって思います。
──そういうウイリアムを演じるうえでどんなことを意識していますか?
石渡 常に“受け”であろうというか。もちろん自分で発信する部分もあるんですけど、ウイリアムって状況に振り回されて振り回されて、「ウイリアム、変わっちゃうかな?」というときに、やっぱり「それは違う!」ってなる役なので。その振り幅をしっかり見せられたらと思っています。
──鮎川さんが演じる、偶然ウイリアムに呼び出された悪魔・ダンタリオンは今作ではどうでしょうか?
鮎川 初演はウイリアムと出会って、「(代理王に)俺を選べ、俺を選べ」って感じだったんだけど、今回はその先に進みつつも、過去─ダンタリオンの根底にある記憶が多く描かれるので。その中で、ダンタリオンがウイリアムのどこを見てるのかがフィーチャーされるんですよ。ダンタリオンは悪魔として何百年も生きてきて、その分いろんなことを考えてるし、いろんな思いがあって。そのうえで今目の前にいるウイリアムをどう見てるのかというところは、ぜひ観てもらいたいなって思います。
──田村さん演じるケヴィンは、ウイリアムの実家の家令でありながら実は…というところが今回描かれますね。
田村 今作のケヴィンはものすごくしんどいですよね。立場と想いで選択を迫られていて。本当にどっちも選べなくて迷っているうちにタイムリミットもどんどん迫ってきて。ずっと苦しいなって思います。
──ケヴィンがどんな選択をするかは今作の見どころになりそうですね。
田村 でもこういう悩み方って意外とあると思うんですよ。その選択で自分の生き方まで決まってしまったり、いろんなものに影響与えてしまうような場面は、観てる人にもあると思うし、だからこそ心に響くと思うので。だからケヴィンとして本気で悩みたいです。

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 ──ほかにも濃厚なキャラクターがたくさん登場しますよね。
石渡 ほんと濃いですよ! 帰りにお客さんにどこが残ってるか心配なくらい(笑)。楽しみですね。
鮎川 基本的にはふざけてますからね(笑)。でも隠れた真意がある。特に今回は、『魔界王子 devils and realist』という作品の深部を突いてる回だと思うから。そこを観てほしいです。セットが360度である意味も実はちゃんとあるので。そこに気づけたら…お客さん、すごいです!
──では最後に、読者の方へ一言お願いします。
田村 音楽を含め、この世界観はほかにないものだと思います。演じる側はみんな全開でいきますので、お客さんには全身で浸っていただきたいです。座る場所でも観え方が違うだろうし、何回観ても楽しめる作品です。ぜひ何度でも、身体全部で楽しんでください!
鮎川 この作品で描かれる天使と悪魔と人間の三角関係って「旧約聖書」にも出てくるような、ずっと昔から語られているもので。それを、原作の高殿円先生と漫画の雪広うたこ先生が、現代の人に向けて、こういうふうにしたら読みやすいかな、面白いかなって描かれたのが原作の『魔界王子 devils and realist』なんですよね。その物語をミュージカルにした作品なので、ぜひそういう目でも観てみてほしいなって思います。
石渡 伊勢(直弘)さんの脚本、元吉さんの演出、そしてスタッフさんと僕たちキャストによって、このメンバーでしかできない世界観、そしてカオス感が生まれていると思います。ストレートな舞台にも見えるし、2.5次元ならではのアニメのような世界にも見えるし、すごいミュージカルにも見えるような作品だし、意味わからないくらいの情報量ではありますが(笑)、存分にお腹いっぱいになってほしいです!

 【プロフィール】
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いしわたりましゅう○1993年生まれ、神奈川県出身。近年の主な出演作に舞台『ALL OUT』、ミュージカル『八犬伝−東方八犬異聞−』、『アイ☆チュウ ザ・ステージ』など。ほか、情報バラエティ番組『猫のひたいほどワイド』(テレビ神奈川)火曜日レギュラー出演中。今後の予定としては、12月に主演舞台『雷ヶ丘に雪が降る』、『ROSE GUNS DAYS〜Season2〜』、来年2月に舞台『おおきく振りかぶって』への出演が控えている。

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あゆかわたいよう○1991年生まれ、東京都出身。近年の主な出演作に、つかこうへいTRIPLE IMPACT『いつも心に太陽を』、『最遊記歌劇伝』シリーズ、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、舞台『青の祓魔師』京都紅蓮篇、『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』、『舞台ホイッスル!BREAK THROUGH-壁を突き破れ-』、『ROSE GUNS DAYS』などがある。今後の予定としては、11月にツキステ。第5幕『Rabbits Kingdom』への出演が控えている。

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たむらりょうた〇1983年生まれ、東京都出身。近年の主な出演作に、ミュージカル『レ・ミゼラブル』、舞台『TRUMP』、オフブロードウェイ・ミュージカル『bare』、『ウィングエンターテイメント 〜 Anne of Green Gables 〜 赤毛のアン』、舞台『私のホストちゃんREBORN〜絶唱!大阪ミナミ編〜』などがある。今後の予定としては、来年1月に『新春シャンソンショウ2018』への出演が控えている。

〈公演情報〉
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ミュージカル『魔界王子 devils and realist』the Second spirit
原作◇『魔界王子devils and realist』(原作:高殿 円・漫画:雪広うたこ)コミックZERO-SUM(一迅社)連載中
演出◇元吉庸泰(エムキチビート)  
脚本◇伊勢直弘
脚本協力◇高殿 円
出演◇石渡真修、鮎川太陽/田村良太、櫻井圭登、碕 理人、山中健太、松本祐一、遠藤 誠、逢沢 優、KEN/米原幸佑(特別出演)  ほか
●11/4〜12◎新宿FACE

(c) 2017 高殿円、雪広うたこ・一迅社/ストラドフォード校歌劇部

 

【取材・文/中川實穂 撮影/友澤綾乃】


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