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中川晃教が、この秋冬は全国各地で様々なスタイルのコンサートを開催している。
中日劇場、新歌舞伎座、明治座で開催した『Seasons of love』は、朗読やダンス、篠笛とコラボしたシアトリカルなコンサートだったが、11月4、5日は新国立劇場中劇場で、中川晃教コンサート2017『I Sing〜time to come〜』を開催する。
2013年から開催しているシリーズ『I Sing』は、中川が歌うことに真正面に向き合うコンサート。今年は自身の誕生日に開催するスペシャルなコンサートだ。『Seasons of love』を振り返り、『I Sing〜time to come〜』について考えていることを聞いた。

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自分の経験値を手応えとして感じた『Seasons of love』

──『Seasons of love』を振り返っていかがですか?
シアトリカルというコンセプトで作ったコンサートでしたが、ご覧頂いたお客様には、そこを感じて頂けたのではないかと思います。今、ミュージカルシーンでは、様々な俳優や歌手の方など、これまでミュージカルの世界ではあまり触れ合うことが出来なかった方々ともご一緒できるようになりました。さらに、例えば『レ・ミゼラブル』のような昔からある王道のミュージカルがあるとするならば、そうではない新しいミュージカルや、ブロードウェイで上演されている作品が、ほぼリアルタイムで日本でも上演される時代になってきて、それがお客様にも認知されるようになってきたと思います。そういう新しいことが起きている現場にいて、吸収出来ることや感じることがたくさんあります。そういうことを含めて、劇場という場所でコンサートを行うときに、自分がどんなコンサートを行えばいいんだろうかと考えて形にしたのが『Seasons of love』でした。
 
──ご自身で手応えはいかがでしたか?
寺山修司さんの短編を読むことも含めて、ミュージカルの経験は僕にとって何なのかということを今一度振り返るきっかけになりました。朗読をすることひとつを取っても、普通のコンサートのなかでも朗読をすることはあると思うんです。シアトリカルだからとか、劇場だからという理由ではじまることではないですよね。例えば、一緒に出演した伊礼亮くんは、自分が詩を書きたくて、自分が朗読をしたいから、短編集を作ったそうですが、何かのはじめというのは、やりたい気持ちや、試したい気持ち、試すことによって新しい扉が開くんじゃないかという期待、そういう“はじめ”を誰もが持っていると思うんですよね。僕もそういう気持ちで、過去に「LIVE ACT」などのコンサートにチャレンジしたり、ミュージカルのなかでも色んな作品と出会いながら、色んなことを吸収しながら、それがコンサートにフィードバックされたらいいなと思いながら、やってきた16年間があるんです。
自分のなかで見えたひとつ明確なものは、コンサートとミュージカルは、ある意味全く違うものとして、でもそこに立つ自分自身はどちらも経験している自分であるという意味では、今の自分がどんなコンサートを、どんな歌を、どんな音楽を届けたいのかということに集中していったときに、『I Sing』“歌う”ということに全てを込めるコンサートが続いてきた流れがありました。そのなかで、久しぶりに歌を歌うだけではないものを入れ込んだコンサート『Seasons of love』は、一瞬身構える気持ちがありましたが、実際にやってみると、朗読のスキルも10年前にやっていた朗読とは全く違いますし、自分がこうしたいと思うことが出来るようになってきている。自分の経験値を手応えとして感じられました。
さらに自分自身が書いた音楽が、寺山修司さんの詩という媒体を通したときに、より立体的にお客様に届く、それはもしかすると物語的であり、演劇的であるかもしれないのですが、僕にとっては「演劇的」「立体的」「シアトリカル」をも包み込むのが音楽だと思っています。寺山修司さんの詩の世界とコラボレーションすることが出来たことが、自分が今後ミュージカルを作っていくうえで、手探りのなかで見つけたひとつの今の答えで、手応えとして残っています。

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『decade』を中心に届けるコンサート『I Sing〜time to come〜』

──『I Sing〜time to come〜』はどんなコンサートになりそうですか?
自分が誕生日にコンサートをするのが初めてなので、それだけでも特別なコンサートになると思っています。1982年11月5日にこの世に生まれて、はじめて自分が産声をあげた、その第一声、音楽、歌は、生まれたあの瞬間だと思うんです。その瞬間を感じる日に、コンサートをやることになり、構成などを考えていますが、「歌を歌う」ことにより集中して考えることが出来ています。
ミュージカルとコンサートは、どちらも“音楽”ですが、何が違うのかと思い浮かべたときに、ミュージカルは当然台本があり、セリフがあります。役をあてがわれていて、その役のなかで稽古をしてきた過程の集大成を見せることが出来、歌、セリフ、ダンスのすべてがあります。一方、コンサートは台本はなく、セットリストとMCの内容をまとめたもの、その大枠だけです。じゃあ、そこにあるものは何なんだろうと思うと、音楽には歌詞があって、言葉があるんです。その言葉が、無限の世界に飛んでいくようなイメージで、最後には実在しているのは自分ひとり。その自分というところに帰ってくるイメージなんです。
当然それはミュージカルとは全く違いますよね。音楽を作る側だから、楽器を弾く側だから、踊る側だから、センターに立つ側だから……そういう役割ではなく、「音楽と自分」が「ミュージカルと自分」よりも先にあることを改めて実感しています。そういうことを感じながら構成について考えているところです。
──構成について具体的に伺えることはありますか?
昨年アルバム『decade』を発売させて頂きましたが、『decade』を中心に届けるコンサートをやっていないんです。昨年はデビュー15周年を冠にコンサートをしましたから、その15年にはミュージカルが切り離せませんし、『decade』の曲だけで構成するには難しかったんです。ようやく今回『decade』を中心にお届けできます。さらに新曲を書いているので、それを織り交ぜて構成したいと思っています。『I Sing〜time to come〜』ならではコンサートにしますので、ぜひ楽しみに聞きにきて頂けたら嬉しいです。

【プロフィール】
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なかがわあきのり○宮城県出身。01年自身の作詞作曲による「I WILL GET YOUR KISS」でデビュー。02年日本初演のミュージカル『モーツァルト!』の主役に抜擢され、初舞台にして第57回文化庁芸術祭演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞。以後音楽活動と共に数々のミュージカル、ストレートプレイに出演。最近の主な舞台作品は『CHESS』『グランドホテル』『フランケンシュタイン』『ビューティフル』など。昨年の『ジャージー・ボーイズ』で演じたフランキー・ヴァリ役で第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、菊田一夫演劇賞などを受賞。

〈公演情報〉
中川晃教コンサート2017『I Sing〜time to come〜』
出演◇中川晃教
●11月4日(土)18:00/11月5日(日)16:00◎新国立劇場中劇場
〈料金〉S席 8,640円 A席 6,480円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799(平日11〜18:00・土日祝10〜18:00



【取材・文・写真/岩村美佳】


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