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宅間孝行の作り上げる極上のエンターテイメントプロジェクト「タクフェス」。その第5弾『ひみつ』が、10月19日の鹿児島市民文化ホールを皮切りに、12月まで東京、大阪ほか全国10ヵ所を上演中だ。
 
本作は、宅間孝行による4年ぶりの新作書き下ろし。主人公「渚」を演じるのは、女優、声優、歌手などマルチに活躍中の戸田恵子で、宅間孝行とは今回が初タッグとなる。渚の弟「八郎」には、劇団EXILE松組の演出家・俳優の松本利夫(EXILE)が扮している。
さらに、福田沙紀、ベンガル、山崎静代(南海キャンディーズ)、東風万智子、武田航平、赤澤燈、岡本あずさ、越村友一、益田恵梨菜など豪華出演陣が脇を固めている。
 
その東京公演初日にあたる10月31日の昼に、プレス用の公開通し稽古と囲みインタビューが行われた。(Wキャストの本橋京太郎役は三谷翔太)

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【あらすじ】
ある秋の日。とある田舎町にある別荘に連れてこられた山之内夢(福田沙紀)は、車椅子に乗る年老いた一人の女性と出会う。そして、今は名前を名のることも出来なくなったその女性が、自分を産んだ母親だと告げられる。彼女の名前は、本橋渚(戸田恵子)。本橋家には3人の姉弟がいた。姉の渚と弟の五郎(宅間孝行)は、“虹色渚ゴロー”という漫才師として活躍していた。マネージャーでもある末弟の八郎(松本利夫)に支えられ、人気絶頂だったこの姉弟に、運命を一変させるある事件が起きる。なぜ渚は25年間、夢と別々に生きる道を選んだのか、そして本橋家の「ひみつ」とは…。
 
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スクリーンに映し出されたのはタブレットの画面、その動画再生アプリがクリックされると、25年以上前の“虹色渚ゴロー”の漫才が再生される。この漫才が宅間孝行らしいキレのあるボケとツッコミの応酬で、その爆笑の中、スクリーンが上がると、そこは田舎町の別荘で、年老いた本橋渚(戸田恵子)が登場する。渚は甥の京太郎(宅間孝行・二役)にタブレットで昔の動画を観せてもらっているのだが、動画の漫才師の1人が自分だとわからないらしい。
そばには、同じく名前さえわからなくなった、かつての所属事務所の長妻社長(ベンガル)もいる。そこへ突然、弟の八郎(松本利夫)らが山之内夢(福田沙紀)を、目隠しして足を縛って拉致してくる。京太郎は「そんな大仰なことをしなくても」とツッコミを入れながら、夢を解放し、余生の短い渚に会ってくれないかと頼み込む。夢は渚の娘なのだ。突然の話に驚き必死に否定する夢。それを予期していたかのように、京太郎から25年前の「ひみつ」が語られる…。

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本橋渚の戸田恵子は、25年という年月を自在に行き来して、宅間孝行がこの作品で訴えたかったテーマを背負うに相応しい存在として物語を牽引する。人気漫才師の華やかなスター性、女性の弱さと母としての強さ、そして苦しみの中で年老いた姿を、場面ごとに鮮やかに浮かび上がらせる。 
その弟の五郎の宅間孝行は、漫才では姉に頭の上がらない黒縁メガネのゴローを演じているが、現実では家族愛に満ち溢れた男。直情径行で無骨だが、誰よりも兄弟のことを心配している不器用な優しさは、役者・宅間孝行の真骨頂でもある。二役の京太郎では、まったく違う若々しい青年像を達者に演じる。
 
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八郎の松本利夫は、“虹色渚ゴロー”のマネージャー兼作家として、日夜漫才のネタを書きながら、オロオロと姉たちの心配をする末っ子気質の優しい男。だが家族が危機になれば真っ先に立ち上がり、身を呈して守ろうとする。誠実な持ち味が生きて、また動きのキレの良さはダンスで鍛えたMATSUならでは。 
山之内夢の福田沙紀は、次第に明かされていく秘密に、1つ1つ、泣き、笑い、喜び、怒り、感情を揺さぶられる若い娘の姿を、無垢な赤子のような純粋さで演じている。
 
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こんな一家をめぐって、様々な個性豊かな人物たちが登場する。
長妻社長のベンガルは、 “虹色渚ゴロー”を抱えるプロダクションのオーナーで、面倒見がよくて気のいい「おっさん」。だが複数の愛人を持つなどダークな一面も見せる。 

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その長妻社長と訳あり?の1人が、別荘の管理人漆原さんの東風万智子。気っ風のいい女性で、長妻との関わりを面白く見せてくれる。
長妻の現在の愛人であるナオミは岡本あずさ。ナオミは両親との不和から荒れた生き方をしていたが、長妻に救われ、彼を愛している。それだけに本橋家の仲の良さが憧れで、不協和音を持ち込むレイジが許せない。そんな真っ直ぐな想いが伝わる。
 
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漆原さんの息子の一馬は赤澤燈、茶髪にリーゼントに特攻服で、いかにも不良という外見だが、“虹色渚ゴロー”に憧れ、恋人のまりちゃんとコンビを組んでいる。
まりちゃんは益田恵梨菜で、根は優しいのに強面のあねさんといった風情、この2人のコンビはちょっと寒い漫才で笑わせてくれる。

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渚の年下の恋人レイジ役は武田航平で、どこか浮ついてチャラチャラした若い愛人の色気があり、だが同時にしたたかで、この物語の核心を握るキャラクターとして、強い印象を残す。

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五郎の妻の元子は山崎静代、漫才師の妻として本橋家を支えるおおらかさと、息子京太郎を愛おしむ母性を自然に滲ませている。
その息子、京太郎の子供時代を演じるのは子役の三谷翔太で、驚くほどの量のセリフをみごとにこなしている。
駐在の碑文谷役は越村友一で、“虹色渚ゴロー”の別荘に出入りする怪しげなファンとして、ちょっと異色のオーラを放っている。

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この作品は残酷な現実に引き裂かれた家族の話だ。そして、今現在もこの社会で起きているさまざまな事件と、そこに巻き込まれる人々の苦しみが描かれている。ある究極の状況の中で、愛するものを守ることとは本当の愛とは何かが問いかけられる。そして、家族の絆の強さと温かさが、宅間独特の「笑い」をスパイスに、真摯に切実に綴られていく。
名作『くちづけ』に代表されるタクフェスの社会派エンターテインメント、その傑作がまた1つ誕生した。

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【囲みインタビュー】
 
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松本利夫(EXILE)、福田沙紀、戸田恵子、宅間孝行
 
この公演『ひみつ』に合わせ宅間孝行、戸田恵子、福田沙紀、松本利夫(EXILE)が登壇し、囲みインタビューが行われた。

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宅間孝行(本橋五郎・本橋京太郎)
旅から始まった公演。東京に戻ってくるまでにすでに4公演。かなり一緒にいる時間が長かったので、今までにないチームワークで東京に乗り込んできました。本番が終わった後には、朝5時まで、「人狼」というアプリゲームを使って『ひみつ』について語り合う。「人狼」は子役の子がやりたいとやり始めたんです。6年生に負けちゃうんですよね(笑)。なかでも、武田くんと沙紀ちゃんが強いんですけど、喧々諤々のやり合いでカンパニーが破裂するんじゃないかと思いましたね。お昼ご飯は炊飯器を持ってきて、毎回炊き出しをして食べるので、稽古場から同じ釜の飯を食べて、とにかく明るいカンパニーです。戸田さんは毎日差し入れを持ち寄ってくれて、卵焼きが美味しかった。山崎静代が対抗心を燃やして出汁巻を作ってくれたんですけどこれも結構美味しかった。良いこと続きです。お酒を9月3日から断酒したのも成功で体調良く朝を迎えられるし、僕と戸田姉さんだけ飲んでなくて、みんないい加減にしろよと思っています。お酒は毒です(笑)。4年ぶりの新作です。正直いえば、お客さんの前に持っていくのは不安でしたが、4公演を上演して、お客様に喜んでいただけている様子なので、自信を持って東京で上演できます。

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戸田恵子(本橋渚)
何回か公演を重ねてきたのでかなりいい雰囲気で東京で上演できると思っています。これまでのツアーの思い出は、演技に集中しすぎて詳しくは忘れてしまいましたけど、熱く観てくださった。ご当地のネタも盛り込んでいます。例えば、方言はレイジの武田航平くんが公演ごとに変えるのですが、彼はそれで苦しんでいるところが見どころです(笑)。差し入れはたまにですから、他所でも期待されたら困りますね(笑)。この舞台は発展途上にあると思って、1回1回を集中してやっていきたいという気持ちです。役どころの性格上、精神的に追い詰められて、終演後に独特な雰囲気があります。気持ちが切れないように、新鮮な気持ちで取り組んでいけるようにして、12月の公演までやっていきたいと思います。

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福田沙紀(山之内夢)
稽古場でも、お芝居で人と人に向き合う素敵な時間を過ごしてきました。九州の鹿児島から一緒に旅をしてきて、その土地の美味しいものをいただきながら、お客様の前でお芝居をして、気が緩める暇もないほど、芝居に向き合えています。お酒の話でいうと、宅間さんが全くお酒を飲まないんです。信じられないと口々に言われて、代わりにスイーツ男子に変身していました(笑)。感情のコントロールをしながらいっぱいアンテナを立てて、いろんな感情を受信してやっていけたらと思います。今作では新しい試練をいただいたような気がします。感情が爆発する演技が多いので、ここでは感情をあえて抑えるというアプローチも新しい挑戦です。精神的にも自分の秘密を知っていく役所なので、秘密を新鮮に受け止めて、自分の中で感じる気持ちの変化に敏感になりながら、1つ1つを舞台で表現したいです。最初に脚本を読んだ時は、人生で忘れないだろうという衝撃を受けたので、その時の気持ちを大事にしつつ、目の前にカンパニーの皆さんとしっかり芝居をしていきたいたいと思います。

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松本利夫(本橋八郎)
ツアーから始めさせていただけるので、稽古中は、終わったら食事に行かなかったのですが、ツアー先で終わってからご飯に行ったり、「人狼」というゲームを使ってお芝居のお話をさせていただいて、素敵なカンパニーになっていると思います。僕は稽古場でご飯を食べるのが斬新でしたね。お酒に関しては、稽古場を通してよくしずちゃん(山崎静代)と飲んでいるんですけど、一番の乙女ですよ。何よりこの舞台に立たせていただいている感謝を持ちながら、毎公演しっかりやらせていただきます。タクフェスという名前がついている以上、大切な題材で、始めから終わりまで、ストーリーも伝えつつフェスも楽しんでいただけるように全力で突き進みたいと思います。

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〈公演情報〉
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タクフェス第5弾『ひみつ』
作・演出◇宅間孝行
出演◇戸田恵子 福田沙紀 武田航平 赤澤燈 岡本あずさ 山崎静代(南海キャンディーズ) 東風万智子 松本利夫(EXILE) 越村友一 益田恵梨菜 三谷翔太(Wキャスト) 松本純青(Wキャスト) ベンガル 宅間孝行
●10/31〜11/12◎サンシャイン劇場
〈料金〉S席8,000円、TAKUFESシート(後方席)5,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉東京/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00) 
●11/16◎足利市民プラザ
●11/19◎周南市文化会館
●11/24〜11/26◎刈谷市総合文化センター
●12/1〜12/2◎道新ホール
●12/6〜12/10◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ



【取材・文・撮影/竹下力】



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