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舞台で活躍中の中川晃教が、11月25日(土)からNHK総合テレビで放送される、大河ファンタジー『精霊の守り人〜最終章〜』に、ラダール役で出演する。ミュージカルを中心とした舞台活動と、自身の音楽活動に主軸を置く中川にとって、8年ぶりの映像ドラマ作品出演となった。久しぶりの映像現場での芝居は、舞台の芝居とどう違っていて、どう繋がっていたのか。そこから考える芝居への思いなどを聞いた。
『精霊の守り人』は上橋菜穂子原作の小説『精霊の守り人』シリーズが原作のドラマ作品。2016年3〜4月に第汽掘璽坤鵝2017年1〜3月に第競掘璽坤鵑放送された。最終章では、原作の『闇の守り人』『天と地の守り人』を元に描かれる。

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舞台での方法を応用しながら細かく芝居できるところが楽しい

──8年ぶりの映像作品となりましたが、ラダール役を演じるうえで、その作業は舞台のときと変わらないですか?
変わらないです。ただ、映像は撮影に入って、テストのあとすぐに本番なので、そういう意味では自分の中で感情として出来上がっていなくてはいけないですね。頂いたラダール役にしどころを感じたので、自分の中での準備や、どう演じようか考えるのが楽しかったです。そして、綾瀬はるかさんが演じるバルサにとってどうあるべきか、関わる役とどう芝居を作っていくかなどを考えました。一番舞台と違うところは、カメラがあることと、引きと寄りがあること、その角度ひとつで意思が強くも弱くも見えるので、そこを逆算して組み立てていくところですね。圧倒的に映像の経験値がないですが、舞台での方法を応用しながらも、大枠は違わないと思いますし、むしろもっと細かく芝居できるところが楽しいですね。
──働いている脳の感覚は同じですか?
同じです。でも、より集中力が高いかもしれません。舞台は空間も大きいので、例えば2000人を感動させる全体の空間を埋めるためには、目の前の集中力ではなく、いかに客席の一番奥まで集中するかと思ったときの、体の開き方ひとつが違うんです。映像の場合は近くの空間と引きの空間があるので、その切り替えは必要ですね。
──目の前に観客がいる状況と、いない状況というのは?
そこは当然全然違いますよね。でも作品によっても違います。舞台でも和田憲明さん演出でやらせて頂いた『死神の精度』では、客席に背を向けろと言われました。客席は壁だと思って、客がいることを意識しなくていいということですよね。後ろにいる人に話しかけているのに、前を向く芝居を求められる作品もありますし、劇場のサイズそれぞれの見せ方によって、役者が個人で判断して見せている場合もあります。そこは舞台も映像も同じかなと思います。

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自分がやってきたことが間違いではなかった、益々精進して行きたい

──演じるうえで『精霊の守り人』ならではと思ったことはありますか?
『精霊の守り人』は、ファンタジーという肩書きが付いている点で言うと、キャラクターひとつひとつが濃いです。その登場人物のキャラクターに負けては駄目なんです。カンバル国王・ログサム役の中村獅童さんが話していた言葉が印象に残っていますが、「ログサムは強い人間だから、あえて大きくやっている」と。それは芝居が大きいということではなく、感情や表現であり、その芝居がこの役に合っているんですよね。もちろんずっと大きいわけではなく、人間様々な状況がありますから、そのリアリティは舞台も映像も同じだと思うんですよね。この作品に出演している人それぞれ、ファンタジーならではの役に負けないキャラクターを、ちゃんと作れる人達が集まっていると思います。役者の力量で大きく変わってくる作品で、非現実空間の中でリアルに芝居をしている人達です。そこが音楽やダンスになっていくミュージカルと共通するなと感じます。
──確かに映像作品のなかでも、ファンタジーという要素が独特で、舞台ファンで『精霊の守り人』を好きな方も多いのではないかと思います。
獅童さんもこれを歌舞伎でやったら、ミュージカルでやったら、『LIFE! 〜人生に捧げるコント〜』でやったら面白いんじゃないかって話してたんですよ! カンバル王国のメンバーが、本気でコントにしたら面白いんじゃないかなと、それくらいソフトとしてすごくしっかりしたものですよね。
──改めてこの作品を終えていかがですか?
ひとことで言うと、今回自信がつきました。映像の初めての仕事だった『コンカツ、リカツ』、次の大河ドラマ『天地人』は、どちらも腑に落ちていなかったですが、今回8年近く経って、その間に舞台で経験してきたことが間違っていなかったんだと。映像と舞台は同じなんだと思いました。
──8年前は同じだと思えなかった?
気負っていたと思います。舞台と映像は違うものだと思っていましたね。8年間、本気で一作一作とぶつかって得て来たものが、今すごく身となってひとつの自信になったと思います。さらに今回吸収出来たことや、共演者の方達から頂いた刺激から、もっと出来ると思える気持ちも生まれました。自分がやってきたことが間違いではなかったんだと、読売演劇賞最優秀男優賞、菊田一夫演劇賞を取らせて頂いたタイミングでもありますし、益々自分を鼓舞して、精進して行きたい気持ちです。

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実はストレートプレイをやりたいと思っている

──最近は舞台といえばミュージカルが続いていますが、ストレートプレイはいかがですか?
実はすごくやりたいです。ストレートプレイをやりたいと思う一番の理由は、繊細に表現出来るから。『精霊の守り人』でも思いましたが、映像は寄りますし、しかも色んな角度から寄られますよね。その時に、自分がそのことを意識しながら、何を芝居するかというところが、すごく繊細に映り、そこを舞台ではもっと大きいところで表現しています。大きく出来るということは、小さい確実なものを持っているから拡大出来るわけで、実はどちらも出来ることがミュージカルにとっても、映像にとっても、音楽にとっても生かされることだと思えたんです。
役者の力で持っていくというところに、演出家の方針みたいなものを感じる場合もありますし、役者はあくまでも役であって、こういう作品を作りたいんだというものがはっきりと伝わって来る演出家もいます。例えばそれは、和田さんとやったときには、和田さんが描く作品のなかの、その人間として自分が存在できるかを大切にしたくなるんです。それは、こういうストレートプレイの世界なんだと提示されているから、自分がその駒になり、こういうふうにやりたいけれど出来ないという役者としての葛藤が生まれ、自分の役割が明確になる。逆に拮抗しあう役者の力量が問われる作品もありますし、色んなストレートプレイがあるので、もっと自分のなかで知りたいなという思いが、純粋な興味としてあります。どこかストレートプレイじゃないと表現出来ない、試せない部分に魅力を感じますし、絶えずアンテナを張っています。
音楽は自分の中に最初からあったものです。そして、ミュージカルをやったことによって、自分に音楽があったことが、ミュージカルの扉を開く一番の武器だと確信することが出来ました。芝居から生まれるのがミュージカルで、何を表現して何を語りたいかが音楽になっていくので、歌は音符だけではないんですよね。僕は、ミュージカルにおいてプロだと思いたい気持ちが強くなったことで、初めてストレートプレイに挑戦しようという思いに至っているので、ストレートプレイをやる前とそれ以降とでは、台本の読み方も変わりましたし、役の作り方も当然幅が広がり、自分じゃない人間を演じることの意味を柔軟に捉えられるようになりました。

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舞台を好きなお客さんがハマるひとつの要素になる

──最後にメッセージをお願いします。
舞台が好きなお客さんも『精霊の守り人』を見たら、原作を読みたいと思うだろうし、色んなキャラクターに感情移入することで見えてくる世界もあるだろうし、物語の内容を詳しく知らずに見ている人も、テレビドラマの今までにない魅力を感じて頂けると思います。森の中や、時代の中の建物や景色、シチュエーションが、本当に私達が住んでいる日常とは全然違うところにあり、そこに生きている人間たちを描いていますが、着ているもの、肌の色など、どこか今の私達と同じなのかなと思って見てみると、時代としては現代ではなく、そこに色んなイマジネーションが掻き立てられる面白さがあります。
それは舞台を好きなお客さんからすると、ハマるひとつの要素になるでしょうし、バルサの視点で三年に渡ってストーリーが展開していく、そんな舞台がもしあったならば、ものすごいバジェットですよね。僕が関わった作品で考えると『銀河英雄伝説』がそういう形でした。舞台ではなかなか出来ないような超大作に匹敵するような作品だからこそ、絶対に楽しいと思ってどんどん見たくなると思います。そして僕自身も、この作品を経験する前と経験した後とでは、確実に変わったと思いますし、見てくださっている方にもそう思って頂ける、ターニングポイントになった作品だと思います。ぜひご覧ください。

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なかがわあきのり○宮城県出身。01年自身の作詞作曲による「I WILL GET YOUR KISS」でデビュー。02年日本初演のミュージカル『モーツァルト!』の主役に抜擢され、初舞台にして第57回文化庁芸術祭演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞。以後音楽活動と共に数々のミュージカル、ストレートプレイに出演。最近の主な舞台作品は『CHESS』『グランドホテル』『フランケンシュタイン』『ビューティフル』など。昨年の『ジャージー・ボーイズ』で演じたフランキー・ヴァリ役で第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、菊田一夫演劇賞などを受賞。

〈作品情報〉
NHK大河ファンタジー『精霊の守り人〜最終章〜』
2017年11月25日(土)スタート
NHK総合 毎週土曜 午後9時00分から9時58分 <連続9回>



【取材・文・写真/岩村美佳】



『サロメ』
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