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エログロナンセンスな昭和郷愁的アンダーグラウンドの世界、『艶漢』。尚月地の大人気漫画を原作に、2016年3月に浪漫活劇譚『艶漢』として上演。好評を得ての第二夜が12月13日から17日まで、六本木・俳優座劇場で上演される。
メインキャラクターは、ノーフンがちで柳腰の美少年・傘職人の吉原詩郎(櫻井圭登)と、熱血正義感の巡査殿・山田光路郎(末原拓馬)、そして詩郎の兄貴分で無敵な色気を放つ吉原安里(三上俊)。この3人を軸に、愛憎絡まる世界と、それぞれが背負う宿命が、美麗な表現の中で演じられていく。
 
この作品の脚本・演出を手がける空想組曲のほさかよう。そして山田光路郎役を演じる、おぼんろの末原拓馬。アーティスト活動の中で独自の美意識を持つ2人に、再び挑む『艶漢』の世界を語ってもらった「えんぶ12月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

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末原拓馬・ほさかよう

「ほさか節」と手品で物語を仕掛ける演出家

──初演が好評でしたが、独特の美学がある原作を舞台化する苦労もあったのでは?
ほさか まず背景も含めて絵面がとにかく美しいですから、その美しさをどう立体化するかという点が課題でした。特に肉体美。この作品の登場人物達は半裸になるシーンがとにかく多く、「筋肉達磨」とか「柳腰」とか言われるような特徴的な体だったりする。そこは衣装や演出表現だけではごまかしが効かないため、役者には体作りから頑張ってもらわねばならない。逆にそこまで出来ないなら手を出してはいけない領域だなと思いました。
末原 稽古初めに、(ほさか)ようさんが、みんなで腹決めてトレーニングしようと言って、プロテインをどーんと(笑)置いたとき、あ、そういうことなんだなと。あとはキャラ作りでしたが、結局、光路郎のメンタリティは他の人間への接し方から出てくるので、そこがしっくりしはじめると自ずとキャラクターも決まってくる感じがありました。
 
──末原さんの光路郎の魅力は?
ほさか 彼はそもそもの本質は光路郎に似ているけど、表現の出し方が真逆だと思っていて。たとえば自分の思いの丈をぶつけるような時も光路郎がどストレートに全力投球なのに対して、拓馬は無意識に甘噛みを挟んできたりする。そこは思い切り噛みつけと思うときもあり、逆にその甘噛み具合がやらしくて面白かったりもして、結果的により人間臭い人物になった気がしています。人たらしなところは共通してますね(笑)。

──演出家・ほさかようの凄さは?
末原 役者に対する処方箋の出し方が的確です。作品を構築する段階で本人の美学がちゃんとあるから、わからないところはようさんに聞けば全部わかる。だからこちらも工夫しやすい。そして、見た目の美しさをはじめ、作品に入りやすい部分でおいでおいでとしておいて、そこに「ほさか節」が差し込まれる。それは特殊な能力なんじゃないかな。あとは…隠すところと見せるとこを巧妙に計算することで、観る人の心をドキドキと揺さぶり続けるんです。そういったこだわりが、本編から場面転換まで、あらゆるところに散りばめられている。手品師ですね。

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人を信じる信じないの線引きは誰もが抱えるテーマ

──今回の続編はほとんど初演キャストのままで、そこは心強いですね。
ほさか 尚先生の絵を体現できる役者が揃っているうえに原作のお話がそもそも面白いので、これが舞台作品としても面白くなるのはもはや当たり前で、あとはいかに内面部分を掘り下げたり、それを伝えるための表現方法を生み出したりして「すごく面白い」ものにすることが大事だと思っています。第2弾なわけですし。一つでも二つでもレベルを上げたいなぁと。
 
──また新たな殺人事件、新たな戦いもあります。
末原 前回は絡めなかった安里とちゃんと絡めるのが嬉しいです。それに事件の真ん中にある湯上先生の考え方が素敵で、あの部分に関しては1本の演劇として見たいくらいの内容が詰まってるなと。普遍性のあるテーマですよね。
ほさか 「人を信じる」というのは言葉にするのは簡単ですけど、たとえ恋人や家族に対してでも、お互いのすべてをさらけ出すというのは不可能に近いくらい難しいことだと思うんです。どこまでを明かし、どこまでなら受け入れるのか。その線引きはたぶん誰にでもあるんです。
末原 尚先生は絵が綺麗で表現もエキセントリックなんですけど、最終的に人間を描いてるところが鋭いなと。
ほさか そうなんだよね、表面的なグロテスクだけではなく、思想でこっちをえぐってくる。
末原 しかもまったくめちゃくちゃな事件ではなくて、物語だから少し過剰になっているけど、確かにあり得ると思えるから。
ほさか 根本にあるものが嫉妬とか憧れとか、誰でも持っているものからきているからこそドキッとさせられるよね。そういう誰もが抱えて生きている問題を、独自の美学で描いている。それをどこまで舞台に落とし込めるかですね。


【プロフィール】

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末原拓馬・ほさかよう

ほさかよう○京都府出身。06年、演劇プロデュースユニット「空想組曲」を結成。主宰を務める。07年、『小さなお茶会』で佐藤佐吉演劇賞・優秀脚本賞を受賞。「空想組曲」外でも精力的に作品作りに参加。最近の作品はミュージカル『八犬伝―東方八犬異聞―』(脚本)、劇団プレステージ第10回公演『Have a good time?』(脚色・演出)、舞台『インナーワールド エボリューション』(脚本)、浪漫活劇譚『艶漢』(脚本・演出)など。
 
すえはらたくま○鹿児島県出身。06年、早稲田大学在学中に劇団おぼんろを旗揚、主宰、脚本を手がける。映画は『さぬき巡礼ツアー』(主演)がさぬき映画祭2011で上映作品・奨励賞受賞、『月の鏡にうつる聲』で最優秀脚本賞を受賞。劇団以外の最近の舞台は、浪漫活劇譚『艶漢』、T FACTORY『愛情の内乱』東京ハートブレイカーズ『サブマリン』クロジ第16回公演『銀の国 金の歌」』など。


〈公演情報〉
あで

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜
原作◇尚月地『艶漢』/「ウィングス」連載中(株式会社  新書館)
脚本・演出◇ほさかよう(空想組曲)    
出演◇櫻井圭登 末原拓馬(おぼんろ)  三上 俊/田上真里奈 林野健志 野田裕貴(梅棒)  狩野和馬/村田 恒 加藤良輔  ほか
●12/13〜17◎六本木・俳優座劇場




【構成・文/宮田華子 撮影/友澤綾乃】



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