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紀伊國屋ホールで恒例となっているつかこうへい公演が2月17日に幕を開ける。(3月5日まで)。
今年は『熱海殺人事件』の上演45周年を記念して「CROSS OVER 45」と副題をつけて上演する。
その作品で2度目の木村伝兵衛部長刑事役をつとめるのは、昨年、新世代の伝兵衛に抜擢され、役者としての資質を輝かせた味方良介。また、富山から東京警視庁に栄転してきて伝兵衛に対峙する熊田留吉刑事には、一昨年の『新・幕末純情伝』で坂本龍馬役に挑んで気を吐いたNON STYLEの石田明。
これからのつか作品を担う役者といってもいい2人に、今回の『熱海殺人事件』と、つか作品にかける想いを話してもらった「えんぶ2月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介。

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味方良介・石田明

味方伝兵衛をさらに跳ねさせるために

──味方さんは2度目の木村伝兵衛ですが、その話を聞いたときは?
味方 「よしっ!」でしたね。昨年一度やらせていただいて、その中で得たものが沢山あって、でも「これか!」と掴んだときは公演が終わってしまったという部分もあるので、もう1回この作品にぶつかることができる、新たな自分でもう一度向き合えるという喜びはすごくあります。
──そして石田さんは、『新・幕末純情伝』で素晴らしい龍馬を演じましたが、今度はいよいよ『熱海殺人事件』ですね。
石田 嬉しいですね。『新・幕末』では、味方くんや皆さんのおかげで成長させてもらったので、今回は味方伝兵衛をさらに跳ねさせたいなと。そのためのキャスティングだと思っています。
──もしかしたら部長刑事のあの椅子を奪いそうな強力な熊田刑事ですね。
石田 それくらいの勢いで行きます(笑)。味方くんの新境地が見たいなというのはホンマに思っていて、『新・幕末』のパワー倍掛けで挑みたいと思います(笑)。
味方 僕もこのキャスティングを聞いたとき、「おお、石田さんが熊田ですか!」という、いい意味での衝撃がありました。年齢では僕のほうが若いけれど、伝兵衛ですから絶対負けられない、熊田を潰しにいかなくてはいけないので。でも、石田さんとは『新・幕末』を共に戦い抜いた仲なので、そこは役の関係は変わっても、またどうやってお互いに突っ込んでいくかは楽しみです。
石田 こういう関係って、普段からちゃんと作っていかないとダメだと思うんですよ。だから稽古が始まったら、基本的には味方くんにおごってもらう形で(笑)。
味方 そこですか(笑)。

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つかさんの言いたいことは言葉の裏の部分に詰まっている

──石田さんは『熱海殺人事件』という作品にどんな印象がありますか?
石田 人間の底の部分というか、本当にどん底の部分、それを隠したり見せたりを、ずっと続けていく。役者も、表と裏の顔を使いながら、表でぶつかり合うところ、裏でぶつかり合うところ、表と裏でぶつかるところと色々な形で絡んでいく。そこが面白いし、それだけに演じる側も相当パワーいるなと思いました。
──なかでも伝兵衛は、自分でボケツッコミをしながら、熊田をからかったり水野婦警を口説いたり、忙しいですね。
味方 めちゃくちゃです(笑)。でも、本当は見せていない裏の部分がすごく難しいなと思っていて、なぜこう言うのか、その裏には何があるのか。おそらく、つかさんの言いたいことはそこに詰まっているので、そこを自分なりに理解していかないといけないんです。
石田 伏線がすごいよね。「え、そんな先の事を言ってたの?」みたいな台詞が沢山あるから。
味方 そう! でも、それをそこで見せちゃったらまた違ってくるので。あとで、「あれか!」みたいになるから、かっこいいわけで。
──伝兵衛は冒頭のたたみかけるような長台詞が有名で、早口ですし難関ですが、味方さんはきっちりクリアしていましたね。
味方 かなり頑張りました。僕はちょっと走りすぎる癖があるので、言葉がブワーっと行かないようにセーブしながらやってたんですが。それは今回も自覚しながらやりたいです。行きすぎず、抑えていく、自分に負荷をかけていくのが今回の課題です。
──石田さんの『新・幕末』での台詞も見事でした。その経験で『熱海』はどう挑みますか?
石田 龍馬って、実は1対1ばかりなんです。だから実はお芝居がやりやすいんです。でも『熱海』の熊田は、けっこうあちこちに突っ込んでいく人で。
味方 熊田は一番お客さん目線ですからね。みんなに翻弄されるし、相当たいへんです。
石田 ただ、すごく笑えるところも沢山あって、やっぱり笑いってすごく難しいと思うんですよ。でもそこが僕が活躍できるところだと思うんで、この作品の一番MAXの笑いを取れるようにはしたいなと思ってます。伝兵衛に「貴様!」っていう台詞だけで100パターン考えていこうと(笑)。
味方 本当に考えてきそうだな(笑)。そういう安心感があって、石田さんだったら任せられるというか。「ここは頼みます。俺ちょっと後ろで休んでますから」みたいな(笑)。
石田 ははは(笑)。伝兵衛が水飲んでるのを、客には見せないぞくらいの気持ちで、頑張ります(笑)。

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2時間フルスロットルで走り抜く!

──役者としての石田明はどんな人ですか?
味方 一緒に舞台をやっていて、2時間フルスロットルでいられる人です。つかさんの作品は、途中でパワーが落ちてはダメなんです。『新・幕末』で本番終わって喉カスカスなのに、次の日むちゃむちゃ声出るじゃん、みたいな(笑)。本当にフィジカルな部分が強いから、僕も安心してぶつけられるんです。
石田 正直、最初はつか作品の世界はまるでわかってなくて、でも皆さんの稽古を見て、自分なりに付いていきながらも不安は残ってたんです。でも本番が始まってからすごいパワーを貰って、そこから、この作品はこういうパワーでやればいいんだ、龍馬はこういう役なんだと、作品も役もわかっていった感じでしたね。
──その経験がその後の仕事にフィードバックした部分などは?
石田 めちゃくちゃありますよ。最近、けっこう後輩の漫才とかにダメ出しする仕事が多いんですけど、でも、ボケツッコミとかはあんまり言わなくて、言うのは、やっぱり関係性のこととかで、これを深くするだけで、ボケもツッコミも弱くていいと。「こいつがこれをしたい、でもこいつが邪魔するから、ここが熱が帯びるわけでしょ?」とか、そういう作り方をしていったら、4分間なんか一瞬で走り切れるんです。その熱量を作らずに、面白いボケツッコミだけを考えていくから、ブツ切れみたいになっちゃう。でも、こういうことが言えるようになったのは、やっぱり演劇を始めてからで。
──漫才も演劇論で分析できるのですね。すごいですね。では最後にぜひ『熱海』への意気込みを。
味方 僕は2度目の『熱海殺人事件』になりますが、共演者も変わるので、もう一度新たな気持ちで作り上げていこうと。やっぱり熱いものを見せたいし、石田さんとか、他のキャストのお客さんが、初めて『熱海』を観て、「やっぱり熱さっていいよね!」と思って貰えるような、そういう舞台を作りたいです。
石田 僕は稽古に入る前に骨折しないように(笑)。
味方 本当にそうですよ! マジでそうっす! 稽古中、怖かったもん(笑)
石田 本当に迷惑かけたんで、それだけはないようにしたいです。そして、子供ができたので、たぶん子供も劇場に来て、モニターで声を聞いてるだけかもしれないですが、そこにもちゃんと熱い思いを届けられるように、頑張りたいと思います。

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味方良介・石田明 
 
みかたりょうすけ○東京都出身。舞台を中心に活躍中。2011年デビュー。最近の主な出演作品は、残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』、PONKOTSU-BARON project第2弾『回転する夜』、ミュージカル『グランドホテル』、『新・幕末純情伝』、舞台版『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、舞台『Take me out』、『熱海殺人事件』、〜崩壊シリーズ〜『リメンバーミー』、『幽劇』、『ウエアハウス〜Small Room〜』『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania -』など。
 
いしだあきら〇大阪府出身。井上裕介とともに2000年にお笑いコンビ「NON STYLE」を結成。07年に「爆笑オンエアバトル」9代目チャンピオンに輝き、翌年に東京進出。同年に「M-1グランプリ」で優勝を果たすなど、高い評価を得ている。脚本家、俳優としても活躍中。最近の舞台は、『スピリチュアルな1日』(主演)、舞台『ダンガンロンパ THE STAGE〜希望の学園と絶望の高校生〜』(出演・演出)、劇団間座旗揚げ公演『恋の虫』(脚本)、『新・幕末純情伝』など。

この公演の稽古場レポートはこちら
 http://kangekiyoho.blog.jp/archives/52045964.html

〈公演情報〉
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『熱海殺人事件』CROSS OVER 45
作◇つかこうへい
演出◇岡村俊一
出演◇味方良介 木ゆりあ  敦貴(a-X’s)/匠海(a-X’s)[Wキャスト] 石田明   
●2/17〜3/5◎紀伊國屋ホール
〈料金〉6,500円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉東京音協  03-5774-3030 (平日11:00〜17:00)
〈公演HP〉  
http://www.rup.co.jp



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