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辻仁成の1人の男の0才から99才までをつづった一大叙事詩『99才まで生きたあかんぼう』が、村井良大をはじめとした6人の男優のみで演じられる舞台版となって、大手町のよみうり大手町ホールで上演中だ(3月4日まで。のち、名古屋、福岡、大阪公演もあり)。
『99才まで生きたあかんぼう』は辻仁成の同名小説を、辻本人の脚本・演出により舞台化。泣いて生まれてきたあかんぼうが100年の時を生き、笑いながら死んでいくまでを、6人の男優がエネルギッシュに駆け抜けながら演じる人生賛歌となっている。

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【ものがたり】
これはある男の一生を描いた0才から99才までの物語。人は誰もが泣いて生まれてくる。笑うことを覚え、ヨチヨチ歩いては、転んで泣いて、また起きて。恋をして愛を知り、成功と挫折、哀しみを乗り越えて、それでも人は歩き続ける。人間は生まれてから死ぬまでいくつになっても「あかんぼう」。思い出と経験を積み重ねて、そして男は最後に、微笑みながら旅立っていくのであった。

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原作小説は、生まれてきたあかんぼうの0才から99才までの人生を、見開き2ページで描かれた異色の作品だ。神の視点で書かれる物語は、一難去ってまた一難、上り坂の中に必ず落とし穴が待っているという、まさに禍福は糾える縄の如しの人の一生が描かれていく。ただそこに、どんなに辛い時でもお腹いっぱい食べればまた元気が出るということや、手をかけてあげればあげるだけ、真心をこめればこめるだけ美味しい料理ができる、といった視点が入っていて、作家としてだけでなく、丹精込めた料理を息子の為に作り続ける父親としての顔にも大きな支持が集まっている辻の、優しさがたっぷり詰まっている。人は必ず泣いて生まれてくるけれども、最後は微笑んで死んでいく、そうであって欲しいと願わずにはいられない、人の一生に対する愛が込められているのだ。

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そんな作品を舞台化するにあたり、辻が選んだのは、6人の男優だけで100年の物語を紡ぐという大胆なものだった。二階にもあがることのできる舞台面の上には、電光掲示板があり、ここに0才から主人公が重ねていく年齢が表示され、6人の男優が代わる代わる演じていく黒いマントに身を包んだ「神」が、ゴングを鳴らすことによって、場面が変わり時が移っていく。休憩なし1時間50分の舞台で演じられる100年間の場面は50を超え、4才から主人公の男を演じる村井良大が、人生でかかわる人々、老若男女すべてを5人の男優が演じ分けていく。当然ながら舞台裏は早替わりに次ぐ早替わりの戦争のような状態だろうが、その慌ただしささえもどこかで舞台の笑いとして利用しているライブ感が、舞台ならではの熱量を放ってくる。
 
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特に、作品が濃密に凝縮された空間で演じられることによって、人の一生の物語にスピード感とエネルギーがあふれ、辛いことも多く起こる内容に過度の重苦しさがない。だからこそ終幕の静けさが生きるし、辻の珠玉の言葉には座右の銘にしたいと思えるような含蓄があり、SIGIZOの音楽も時に軽快で、時にロックで、時に涙が出るほど美しいメロディーがこぼれ落ちてきて、胸を打たれる。舞台を疾走する役者たちの熱と、美しい言葉と美しい音楽に、笑ったり泣いたりしながら、あぁ、生きていくって大変だけれど素晴らしいと思えるのは、辻ワールドならではだ。



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その辻ワールドの表現者となる6人の男優たち、まさにフルパワー全開で駆け抜ける彼らの熱量の高さが、舞台を自在に弾ませていく。実際カーテンコールで役者たちが並んだ時、そういえば6人しかいなかったのだ、と改めて思い出したほど、多くの役を演じる役者たちの奮闘は作品の大きな醍醐味となっている。

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主人公の「あかんぼう」を演じる村井良大は、冒頭「あかんぼう」が本当に母親の手に抱かれている赤ちゃんである間に「神」を演じる以外は、唯一1役を通すが、4才〜99才までという長い人生の変化の表現が実に巧み。元々大変美しき二枚目なのに、その輝きを必要に応じて平凡さにも、親しみやすさにも変換できる稀有な役者だが、その優れた資質が、この2時間で100年を生きるという、難しい役柄の表出を可能にしている。いつの間にか主人公を応援したい気持ちにさせるのも、村井の温かさあってこそだろう。

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「あかんぼう」の最愛の妻や、その生まれ変わりとも取れる「あかんぼう」が晩年に飼う愛犬などを中心に演じる松田凌は、女性役の柔らかな美しさに驚かされる。特に、愛犬として台詞は鳴き声しかない中で自由に動き回っている姿が愛らしい上に、終幕に用意されたある仕掛けは舞台版ならではの効果。是非注目して欲しい大役を、柔らかに演じている。

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「あかんぼう」の母親役が、まず大きな登場となる玉城裕規は、「あかんぼう」にどんな時にも元気が出る魔法のオムレツを伝授する、作品の鍵ともいえる役柄を印象深く演じている。母親がやがて老いていく変化も巧みだし、母親が亡くなってからは、「あかんぼう」の有力な支援者など、いくつもの役柄を演じるが、そのどれもが個性的なだけでなく、厨房の料理人の1人といった役どころでも目を惹きつけるのが玉城ならでは。作品の大きな華となっている。

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「あかんぼう」の父「あかんぼう」の娘などを主として演じる馬場良馬は、父を演じ、多くの役を演じ、やがて娘として登場した時に、最初の父親役の役者だとは、一見して想像もできないほどの変身の妙を披露。ひと際長身であることもコミカルに利用していて、多くの役柄に勢いよくダイブする様が爽快だった。

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多彩な役柄の中で、「あかんぼう」の息子役が特に印象的な松島庄汰は、行き場のない焦燥を持て余した若者の表現に、凄味だけでなく哀しみがあるのが魅力。「あかんぼう」自身が学校生活でつまづいているからこそ、同じようにつまづく息子に、ただ甘やかすだけでも、将来を憂いて嘆くあまりに叱り飛ばすだけでもない、温かな手を差し伸べられる。つまづいた経験が「あかんぼう」の人間性を豊かにしていることを、息子を通して感じることのできる好演だった。

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そして、「あかんぼう」の娘婿を中心に多くの役柄を演じる松田賢二は、この座組の父親的存在。それでいて、老け役を一手に引き受けるという単純な構造ではないのも舞台を豊かにしていて、子供役や、女の子役の弾けっぷりが楽しい。原作でも特に印象に残る娘婿役は、朴訥で実直な造形にも深い味わいがあり、全体を引き締めていた。

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何よりも、観終わって人生は素晴らしい、生きていることはそれだけで素敵なことなのだと思える人間賛歌が美しく、今日を精一杯生きる力がもらえる作品となっている。


【囲みインタビュー】 

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松田賢二、馬場良馬、松田凌、SUGIZO、辻仁成、村井良大、玉城裕規、松島庄汰

初日を控えた22日、囲みインタビューが行われ、原作・脚本・演出の辻仁成、音楽のSUGIZO、そして出演の村井良大、松田凌、玉城裕規、馬場良馬、松島庄汰、松田賢二が、公演への抱負を語った。(文中では松田凌さんは凌、松田賢二さんは賢二と表記しています)

──いよいよ初日を迎えますが。
 こういう若い役者の方々とやるのは初めてなので、エネルギッシュで演出をしていて毎日が楽しくて、若返るような感じで、そういう舞台です。観て頂いた方が元気になる。生まれて初めて書いたコメディなんですけど、今まで悲しいラブストーリーとか、シリアスな物語が多かったのですが、今回初めて吹っ切れたと言うか、人生やっぱり笑い飛ばせよ!みたいな感じになりまして。若い彼らのエネルギーを借りまして、自分自身も立ち直る力を舞台にしたいなと思って頑張りました。
──男性6人だけの舞台ですね。
 そうですね。オールメールという、昔シェイクスピアがやっていた形です。宝塚があんなに人が入って、ファンが大勢いて儲かっているのであれば(笑)、男性だけでやったら儲かるんじゃないかと、日テレの人をそそのかしましたら(笑)プロデューサーの方が「それは良い!」ということで。僕の知らない方もいらしたのですが、集まってみたらなかなか面白い連中で。そんな感じでやらせて頂いて、6人で人の一生の100年間をやるので、この6人が今はこのかっこうをしていますが、全員がおじいちゃんになったり、おばあちゃんになったり、お母さんになったり、奥さんになったり、娘になったり。とにかく1人が10回以上着替えて…もっとか?
松島 僕、カツラ12個あります。
 そうだよね、カツラ12個、(馬場に)カツラ何個ある?
馬場 僕も10個くらいあります。
 カツラが10で、衣装もそれだけある訳ですから。演出していても「今、誰の子供をやってるんだっけ?」とか(笑)「今、それ何才?」「えーっと…」っていう感じの芝居で、ゲラゲラ笑いながらね。笑うって身体にすごく良いことなので、メソメソしている人にこそ観てもらいたい劇になっております。

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──そういう芝居で、村井さんはいかがですか?
村井 元々原作小説を読んだ時に、どの世代の人にも受け入れて頂ける小説だなと思って読んでいたので、今回それが舞台になるということで、どういう作品になるのかな?と思っていたのですが、蓋を開けてみると役者6人だけで、全員が袖ではバタバタしつつも、舞台上に立った時には堂々と芝居をしていて。お話も人生100年間を描いているので、やっていて僕自身も歳をとっていく感じがしていて面白いなと。たった6人ですけれども、何十人も舞台上にいるかのような壮大な物語になっていますので、是非是非観に来て頂きたいです。
 面白いのは、彼が0才から99才まで、彼だけが1人の人間の人生を演じるんですよ。その周りの人間を他の皆が全部演じていて。子供、恋人、初めて好きになった人、お母さん、最愛の妻、全部を演じていくんです。息子だったり、友達だったり、おじさんだったり。でも彼だけがずっと99年間生きるんですね。で、彼は今30才だから、40才や50才60才は経験していない。
村井 そうですね。
 だから最初稽古場に入った時にできるのかな?と思って、そこが一番心配だったし、最初は「こんな50才はいないぞ」と思ったりもしたのですが、今日初めての公開ですが、昨日のゲネプロを観ていて一番感動しているのが自分なんですね。村井が99才になった時に「あー99才に見える!」と思って。
村井 ありがとうございます。
 例えば(松田凌に)奥さんの役をやっていますけれど、めちゃめちゃやんちゃな男の子なんですよ(笑)。この子に奥さんできるのかな?と思っていたのに、と思うと涙が出てくるみたいな。人間ってそういう力があるんだなと思いました。それをこの子たちが、20代、30代なのに…あ、1人ちょっと若干(笑)。
賢二 (笑)。 
 そういう若い方々が自分達が経験していない年齢まで演じてくれる。それがすごく面白かったね。
村井 そうですね。

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──音楽のSUGIZOさんにはリクエストなどはあったのですか?
SUGIZO  ないですよね。
 ないない、もう3本目ですから。舞台があって、映画があってね。
──どういったところに意識をして作曲を?
SUGIZO コメディなんで、最初どうしようかと思ったのですが、実は先月インフルエンザで倒れまして、1週間倒れている間に良い曲がたくさんできました(笑)。とても信頼する辻さんと、実力トップレベルの若手キャストの皆と、この素晴らしい芝居を音楽でつなぐことができてとても光栄です。1人の男の99年間の走馬燈のような話じゃないですか。そのイメージを受けて、実は僕もこの20年間のSUGIZOの音楽を走馬燈のようにイメージして、あらゆる場所に今までの自分の音楽の片鱗を盛り込んで、自分の20年史と、主人公の99年史を上手く重ねることができたらなと思って作りました。
──辻さん、どうですか?
 稽古がはじまりまして「音楽どうしたんだよ?」と言いましたら「インフルエンザで倒れちゃいまして」って言われて。なのに稽古場にくるって言うんですよ。「LUNA SEAのコンサートも中止になってるんで、もう3日たって治ってるし、暇でしょうがないから」と言ってきたのに、全員から「絶対に呼ぶな!稽古場に入れないでくれ」と言われて(爆笑)。彼の気持ちだけは届いているんですけれども、そのおかげで1週間音楽なしでやってまして。その後復活してコンサート活動もはじまった時に、ものすごい勢いで音楽が届きだして。とにかくの真面目なんです。信頼しているんで音楽に対しては何も疑うこともない。できてきた音楽は最高です。今日ド頭から聞いてもらいますけど、全部オリジナルで素晴らしいです。
──とても楽しみです。村井さんにはお聞きしたので、役者の皆さんに意気込みを。
玉城 辻さんが言った通り僕らは色々な役を演じるので、役者は色々な種類の人間を稽古場で出さないといけないんですね。で、消えたキャラクターもありますよね(笑)。でも色々な人間を演じることってなかなかないので、それは楽しみつつ、そして0才から99才まで生きたあかんぼうの為に僕ら5人がいると思っているので、その人生の楽しさ、切なさ、はかなさみたいなものを感じて頂けたらなと思います。
辻 玉城は4年まえに『海峡の光』で一緒に仕事をして、ものすごい腕を持っているんですよ。で、今回は村井演じるあかんぼうのお母さんの役なんです。この衣装が最初のお母さんの衣装ですね。これからおばあちゃんまでずっと上がっていきますけど、そのおばあちゃんの演技がまた素晴らしいです。卵焼きを教えるお母さんの役で、で(村井を示して)料理人ですから。お母さんの卵焼き、オムレツを覚えて、そのオムレツで世界にのし上がっていく男の話ですので。玉城がこの子を育てているんだよな?
玉城 そうです、もう可愛くて仕方がない(笑)。

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松島 辻さんの素敵な言葉が…。
 あんまり俺のことヨイショしなくていいよ、皆気持ち悪がってるから(笑)。
松島 いや、後で仕事が欲しいので(爆笑)。じゃあ辻さんの悪口としては(笑)散々散々稽古場で「不器用!」とかすごい怒られまして。
 あ、そういうのが良いと思う。すごく書きやすいと思う(笑)。
松島 すごく傷つけられたんですが、最終的に渡されたのが「立ち直る力」っていう辻さんの著作で(笑)。辻さんに怒られて傷ついて、家に帰って辻さんの本に慰められて、また次の日辻さんにいじめられて…。
 ちょっと待って、俺、叱ることはあってもいじめることはないよ!愛があるからね。こうしたら伸びるんだろうなって思うからこそ、叱るの。思わない人には叱らない。無視する!人間は、好きな人と関係ない人しか存在しないからね。「立ち直る力」に書いてある(笑)。
松島 はい、辻さんならではの素敵な言葉が詰まった舞台でございます! 
 あぁ、この後コメントしずらい(笑)。僕は今回初めて辻さんとご一緒させて頂くことになって、昨日ゲネプロを終えて、辻さんの作品があり、SUGIZOさんの音楽があり、色々なスタッフチームの人たちの力、そして自分たち演者のお芝居に、お客様が入ることによって完成すると思うのですが。僕は毎回毎回やっていて、その都度心に刺さることがあって。それは台詞なのか、シーンなのか、僕自身もわかっていないのですが、刺さることは間違いないので、来て頂いたお客様にも何かしら刺さる台詞やシーンなりがあると思いますので、刺していきたいと思います。覚悟していらしてください。

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馬場 なんかケンカ売ってるみたいだよ?(笑)
 松田凌に初めて会った時に、村井良大に初めて会った数年前と全く同じことを言ったんです。村井が稽古場に来た時、当時アンサンブルの役で主役でもなんでもない、むしろ無理やりプロデューサーから押し付けられた役者で(笑)、仕方ないから端っこにいる悪魔の役を書いたんです。なのに稽古場に来た時に一番態度がデカくて(笑)、「やー辻さんって面白い。こんな面白い人間とやれるのって最高だ!」とか言っていたの。そうしたら松田も同じことを言うので、こいつもきっと大物になるなと。今回夫婦の役なんですけど、最初の言葉があまりにも生意気だったから、いじめてやろうと思って(笑)、奥さんの役と後半は犬の役なんですが、その犬の役が素晴らしくて!まぁ、皆さん生意気なんですけどね。なんと言いますか、固くない世界じゃないですか。この世界で真面目で「よろしくお願いします!」っていうんじゃ面白くないから、生意気な方がいいんです。でなければこんな変わり者と仕事をするはずがないし、面白い方が良いじゃないかと。そういう連中が集まっているので、面白くないはずがないんです。よくぞこれだけ日本に、若くて元気で夢があって面白くて才能のある子たちがいたんだなぁ、と思って、ちよっと僕も毎日嬉しくなってドキドキしながら演出してます。この子たち今でこそカマトトぶってますけど(笑)、「もう絶対アドリブ禁止、アドリブするな!」って言っているのに、玉城なんてアドリブしまくり(笑)。
玉城 違う〜!
 もう「ウケると思っちゃダメだよ」って言っているのに、ウケると思っちゃうんだよね。
玉城 いえ思わないです。これは絶対に言ってはいけない言葉です!(笑)
 そう?大丈夫?(笑)
馬場 今回は0才から99才までのあかんぼうの人生を追うんですけど。僕たち周り5人も共に一緒に人生を作っているので、2時間ない舞台なんですけど、すごくパワーやエネルギーのいる舞台で、その分1公演、1公演終わる度に達成感と言うか、爽快感があって。1人の人生を生きるってこんなにも大変で、でもこんなにも素晴らしいことなんだなと毎回感じるので、それを観ているお客様と一緒に、達成感を作っていけたら嬉しいなぁとすごく思います。
 どうしたんだよ、今日真面目だな(笑)。
馬場 はい、僕生徒会長の役なので、真面目なコメントをしないといけないと(笑)。
 すごい努力の役者で、4人の中で一番年上なので、引っ張っていく力があります。
賢二 1人、若干若手ではないですけれども(笑)。舞台上にいる時が一番リラックス、と言いますかゆっくりできて、袖に入ったら一番忙しいというこういう舞台は初めてで、頑張って若い人たちについていって脳の活性化をはかって、頑張りたいと思います。「立ち直る力」よろしくお願いします!
 松田がいっぱいいる現場なんですが、松田賢二と松田凌は20才くらい違うんです。でも舞台を観てもらったらわかる。運動量は一緒なんです。ものすごくエネルギッシュで。彼の中にある役者を経験してきた力が、若い役者たちにものすごく良い影響を与えているんで。僕から「1人だけ上の世代の人を入れて欲しい」と頼んだんです。それで選ばれたのが彼だったので助けられています。ありがとう。そういう感じのキャストです。

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──では、最後に全員から、全国に回る公演でもありますので、短めにメッセージを。
辻 あぁ、そういうのね、皆、台本がないと喋れないタイプですから。
村井 全然何を言っていいかわからない(笑)。はい、ええと、東京公演、名古屋、大阪、福岡公演までございます。『99才まで生きたあかんぼう』是非、是非、劇場まで足をお運びください。よろしくお願いします!
玉城 よろしくお願いします!
松島 お願いします!
 お願いします!
 皆、語彙力なさすぎだよ!メッセージだよ?
 頑張ります!
 期待してるよ!
馬場 (拳を振り上げて)やるぞ〜!
 俺が一番恐れているのはこれなんです!(笑)。だからアドリブ禁止なの。アドリブで人を笑わせようとするのは役者として自惚れが強いというか、こんなことで笑うお客さんなんていないから。
馬場 こんなところでダメ出しをされた!(笑)
 俺のようなボロボロになった人生でも立ち上がっている姿を見て、やっとお客様はクスっとと笑うって、そのくらいのものなの。君らの人生なんてまだ甘いものだよ(笑)。
馬場 愛をください!(笑)
賢二 名古屋の皆様、大阪の皆様、福岡の皆様、よろしくお願いします!

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SUGIZO 辻さんと僕はそろそろ最初に卒業するんですよね。あとはこの6人が舞台を引っ張っていく。
 そうそう、そうです。
SIGIZO あとはお客様が入って初めて完成するので、この作品を成長させてくれるのは全国の皆さんですので、是非この若手の皆を、一緒にこの舞台を成長させて頂く公演ができたらと思います。よろしくお願いします!
 年の功ですね。さすがです。
SUGIZO (笑)でも多分松田さんとほとんど同じくらいですよね?
賢二 お幾つですか?
SUGIZO 僕は69年生まれ。
賢二 69年、二つ下です。
 どうでもいいじゃない(笑)。ええ、『99才まで生きたあかんぼう』人間賛歌みたいな、人間とはなんぞや?という命題がずっとありまして、それを笑って皆さんにお伝えしたいとずっと思っていて作ったドラマです。僕は今58才で、今年59才で、来年60才なんですよ。99才まで生きたあかんぼうのうちのもう60才までは経験している。それでもまだ40年は経験していない。不思議ですよね人間って。その経験していないことを想像しながら書きました。(村井に)この子はまだ30才。まだ70年くらい経験していないことを演じきる訳です。人間って皆終わりがわからないので、どんな人生を抱えているか人それぞれわかりません。でもこのドラマの中には皆さんそれぞれの年齢、10才の人には10才のシーンがありますし、12才の人には12才のシーンもあります。37才には37才の、77才には77才の人生が用意されています。どの世代が来ても「あ、これ俺の時代だ」ということが描かれていて、最後誰もが経験していない、ここにいる皆さんが経験していない、偉大なる死というか、死ぬということは何か?までを突き詰めています。泣いて生まれてきたあかんぼうが笑って死ぬんです。そういう素敵なドラマですので、是非「立ち直る力」をまず読んで(笑)、その後にこの舞台を観に来て頂けたらと思います。ご清聴ありがとうございました。では皆さん、せーの!(1本締めでにこやかに終わる)

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 〈公演情報〉
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『99才まで生きたあかんぼう』
原作・脚本・演出◇辻仁成
音楽◇SUGIZO
出演◇村井良大 松田凌 玉城裕規 馬場良馬 松島庄汰 松田賢二
●2/22〜3/4◎よみうり大手町ホール
●3/6・7◎名古屋市芸術創造センター
●3/20◎福岡市民会館 大ホール
●3/24◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
〈お問い合わせ〉東京公演/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10時〜18時)




【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】





『遠ざかるネバーランド』
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