尾上右近_アー写
尾上右近

2012年にピューリッツァー賞戯曲部門賞を受賞した『WATER by the SPOONFUL』が、パルコプロデュース作品として、今年7月の東京を皮切りに各地方都市で、日本初上演されることになった。

この舞台、『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』の翻訳・演出を手がけるのは、パルコプロデュースで『ダブリンの鐘つきカビ人間』、『メルシー!おもてなし〜志の輔らくごMIX〜』など、エンタテインメントの名作を手掛けてきたG2。ピューリッツァー賞戯曲部門に注目していた彼が、「この戯曲を演出したい!」と心から願った2012年のピューリッツァー受賞作品で、自ら翻訳も担当する。
 
出演者は、昨年のスーパー歌舞伎供悒錺鵐圈璽后戮濃埓遽酣圭が怪我で降板した際に、全編の主演を務めて注目された尾上右近が、自身初となる翻訳現代劇の舞台に挑戦。幼い頃に実母からネグレクトを受けて育ったトラウマを持ち、成長してイラン戦争参加した後に負った負傷が原因で、モルヒネ中毒になった過去を持つ青年・エリオットを演じる。

この戯曲の作家、キアラ・アレグリア・ヒュディスは、2008年にトニー賞で作品賞を含む4部門を受賞したミュージカル『イン・ザ・ハイツ』の脚本も担当した脚本家。本作では、なぜ人は薬物に救いを求めてしまったのか、彼らが求めていたものが本当は何なのか、そこから立ち直ったあと、どうやって生きていくのか、迷い悩む姿を描いている。コカインとインターネットという二つの媒介を通し、対比させることによって、人と人とが直に触れあう関係や結ばれた絆が、いかに人生にとって大切なものかをくっきりと浮かび上がらせている作品だ。

【あらすじ】
スプーン一杯の水。それはオデッサの過去に繋がる言葉。さらに……。
オデッサは、特殊なサイトを運営しているサイト管理人だ。そのサイトは、何千マイルも離れて 、まったく異なる職業につきながら、ある共通点を持った人々が集まるサイトだった。ヘロイン、コカインといった依存性のあるドラッグ中毒者たちである。無職の者、税務署職員、起業家などなど。管理人のオデッサ自らも元コカイン中毒者であり、かつて幼い娘と息子を依存症のために見殺しにしかけ、娘を失った過去を持っていた。
生き残ったオデッサの息子エリオット(尾上右近)は、伯母のジニーに引き取られて青年に成長すると、やがてイラク戦争に出兵して肉体的に負傷すると共に、帰還してからはあるトラウマに悩まされていた。また、エリオットの従兄弟で彼の良き理解者である大学非常勤講師のヤズミンは、現在離婚調停中で人生に行き詰まっていた──。

すべての登場人物が、人生の行方を探そうとしてあらがい彷徨う中、エリオットの育ての母であり伯母だったジニーの死をきっかけに、オンラインとオフライン、それぞれの人間関係がリアルな世界の繋がりの中へとくっきりと浮かび上がり、少しずつ変化していく。
ドラッグを契機に身内も含めた「社会」から疎外されてしまった人々。改めて他者とつながりたいという願望を募らせつつも、うまくいくはずがないと葛藤する彼ら彼女らのありようは、現代社会の闇であると共に、ネット社会こその一筋の希望を照らし出す。

【コメント】

G2(翻訳・演出)
清元宗家の生まれにして、歌舞伎役者との二足の草鞋を履き、そして今度はピューリッツァー受賞の現代劇に挑戦。このとてつもない意欲は素晴らしい。猿之助さんの代役を堂々と勤めていた姿も印象的。伸び盛りの二十代が挑む作品は、作者ヒュディス女史が35才の時に書いた文字通りみずみずしい戯曲。イラン戦争で負傷したと元兵士いう全く異文化の役や世界と、どう取り組むか楽しみです。今回もぐっと伸びて頂こうと思います。

尾上右近(主演)
『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』。この作品が僕にとって初現代劇出演となったこと、とても光栄に思い、そして歓喜しています。初めての経験が重なりますが、演出家のG2さんを信じて、そして自分を信じて、ぶつかる壁をも打ち砕くつもりでぶつかっていきたいと思います!エリオットは僕と歳も近く、共感出来る部分も沢山あります。今の僕だからこそのエリオットを創り上げたいと思っています。皆様、是非劇場に足をお運びください!


〈公演情報〉
PARCOプロデュース2018 
『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』
〜スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ〜
作◇キアラ・アレグリア・ヒュディス
翻訳・演出◇G2
出演◇尾上右近 ほか 
●7/9〜23◎紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
地方公演あり
〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858(月〜土 11:00〜19:00 日・祝 11:00〜15:00)

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