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プラチナ・ペーパーズの堤泰之が作・演出を手がける3人芝居『トリスケリオンの靴音』が、赤坂RED/THEAERで3月28日から上演される。(4月8日まで。5月11日〜13日、大阪・一心寺シアター倶楽で公演) 
舞台なるのは、とある田舎町。その町の活性化をはかるために、郷土の彫金家・見城海山の工房を資料館として公開しようというプロジェクトが立ち上がる。そこで起きる事件を軸に描くヒューマンドラマだ。
タイトルにある「トリスケリオン」とは「三脚巴紋」のことで、登場人物3人を象徴する言葉でもある。キャストは若手演技派の碓井将大と、舞台出演は5年ぶりという作・演出家・女優の赤澤ムック、そして劇団☆新感線の看板役者の1人で様々な客演で活躍中の粟根まこと。
このユニークな組み合わせで注目される舞台への抱負を、碓井将大に語ってもらった「えんぶ4月号」の記事を、別バージョンの写真とロングインタビューでお届けする。

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特化された職業の人を
やってみたいと言ったら

──キャスト3人の関係はどういう形になるのでしょうか?
まず粟根まことさん扮する土門という人が、師匠である町出身の彫金家の資料館を作ろうとします。それに協力する市の担当が僕で、そこに現れる彫金家の失踪した妻が赤澤ムックさんです。そんな3人の出会いで物語がどう展開していくかが基本的なあらすじで、稽古中にまだ変わる可能性もあるので、僕も楽しみにしているところです。
──演出の堤泰之さんも含めて、皆さんでどんな芝居を作りたいか話し合ったそうですね。
そうなんです。でもあまり反映されてなくて(笑)。僕は、たとえば科学者とか新聞記者とか、ちょっと特化した職業の人をやってみたいと。そしたら公務員の役で、たしかに特化されていますけど(笑)、職業としてはわりと表現しにくいかなと。ただ、そういう一見普通のなんでもないような人の中に、すごいドラマがあるというのも面白いですよね。
──3人芝居という形はいかがですか?
3人しかいないということは1人1人の担う役割も大きくなってくるので、まず物語の中での自分の役割を把握する、それが演じる上では大事かなと。でもこれだけ年齢も性別もばらばらの3人が集まったことは、それだけで面白いのではないかと思っています。3人芝居は以前、『女中たち』(2015年)という作品に出演したのですが、女性役だったことや二役の役替わりだったことで、まず台詞を覚えるだけで精一杯だったんです。今回は台詞はそこまで苦しまないで済みそうなので、作品や役の中で少しは遊ぶことができるかなと思っています。

身近にイメージしやすい話は
緻密に気を配りながら演じないと

──粟根さんとは昨年の『スキップ』でも共演しましたね。碓井さんを「変わった役者」だと言っていたそうですが。
(笑)その前に出演していた『The Dark』という作品を観てくださって、そこでは引きこもりの少年みたいな役を演じていたのですが、普段の僕は、かなりイメージが違っていたようです(笑)。
──素顔の碓井さんは、とてもニュートラルな青年という気がします。それにしても出演する作品の幅広さには驚きます。
確かに出ている演劇のスタイルはさまざまですね。昨年でいえば『スキップ』はSFファンタジー、『ペール・ギュント』はすごく尖った表現の作品でした。『PENALTY KILLING』はアイスホッケーの話で、かなり変わった形の演劇でしたが、等身大という意味では一番近かったですね。今回の作品は自分と同い年か、もう少し上の年齢かなと思いますが、現代劇で近い年齢というのは意外と難しいんですよね。たとえばシェイクスピア劇のような、違う国の違う時代のほうがポンと跳べたりするんです。それはたぶん観ている方たちも同じで、知らない国の話だとなんの先入観もなくその世界に入れますよね。でも日本の話で身近にイメージしやすい話は、緻密にディテールに気を配りながら、リアリティを感じていただけるように演じないと、嘘くさくなってしまうと思います。

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その役でちゃんと
生きられているときは緊張しない

──碓井さんは10代半ばに初舞台を踏んで、キャリアも10年以上になるのですね。
そうなりますね。最初はD-BOYSの公演からスタートしました。いつも演出の茅野イサムさんに怒られてばかりで、ダメなほうのトップでした(笑)。
──Dステでは女性役が印象的で、『ヴェニスの商人』(2011年)のポーシャとか『十二夜』(2013年)のヴァイオラとか、綺麗で、生き生きと演じていました。
オールメールシリーズでは、なぜか女性役ばかりで(笑)。もともとシェイクスピアは大好きでしたから楽しかったですし、これからもシェイクスピアの作品は色々出てみたいです。
──これまで出演した舞台は、栗山民也さん、白井晃さん、森新太郎さんはじめ錚々たる演出家ばかりで、そこで鍛えられたことは大きいでしょうね。
毎回、素晴らしい経験をさせていただきました。でもまだまだ必死です。やはりご一緒させていただく演出家さんは、その作品が好きとか、この演出家さんなら自分がこれまで出せていなかったものが出せるかもしれないとか、そういう思いもあって、その方の世界に漬かりたくて入っていくわけです。でも自分がまだ未熟なこともあり、表現しきれていないという反省ばかりです。もっともっと出来るようになりたいです。
──舞台に出ること自体は楽しいですか?
楽しいです。でも「すごく楽しい」とまでは言いきれないかもしれませんね。稽古では苦しみますし、公演では緊張しますから。でも不思議なことに、その役でちゃんと生きられているときは緊張してないんです。自分と役が揺れているときとか、役への入り込みかたがまだ浅いなと思っているときは、絶対に緊張しますね。

3人芝居の一角を
自分も担わせてもらう気持ちで

──碓井さんが、芝居の面白さとか手応えを感じるのは、どんなときですか?
千秋楽が終わってからですね。もちろん稽古場で積み上がっていく過程で、面白いなとか楽しいなとか思うことは沢山ありますけど、公演中はほとんどそんな余裕がないんです。千秋楽が済んで、やっと自分とか作品を客観的に見られるという感じです。
──意外ですね。舞台ではすごく落ち着いて余裕があるように見えます。
それはたぶん、大人の俳優さんが出ている芝居が多くて、自分より経験値のある方たちに引っ張っていってもらうことが多いからだと思います。年齢が若かったせいもあって、自分より年下の人と共演することがあまりなかったんです。そういう意味では、この『トリスケリオンの靴音』も、先輩おふたりと一緒に作る芝居ですが、でも今回は、先輩についていけばいいというような気持ちは捨てて、自分もその一角を担わせてもらうという気持ちで挑みたいなと思っています。
──頼もしいですね。では改めて、この作品を観てくださる方へメッセージを。
今回、赤坂RED/THEAERに初めて立たせていただくのですが、綺麗な赤い色の劇場で、観客として観ていたときから素敵だなと思っていたので、そこで演じられるのが嬉しいです。ただ本当に客席と近い凝縮された空間なので、日常の中から出てくるリアルな感情や言葉で伝えることが大事だと思います。この作品は、たぶん1人1人の方が毎日の生活の中で感じるようなことが、沢山入っていると思うので、そういう日常の中での小さな驚きとか小さな感動を味わっていただければと。そして観終わったら、素敵な赤坂の街を楽しんで帰ってください(笑)。
 
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うすいまさひろ○1991年生まれ、東京都出身。07年、第4回D-BOYSオーディションでグランプリを獲得、同年にデビュー。映画、ドラマ、舞台と幅広く活動中。主な出演舞台は、『ピアフ』『SOUND THEATRE eclipse』『テンペスト』『十二夜』『ボーイバンド』『女中たち』『The Dark』『スキップ』『クレシダ』『PENALTY KILLING〜remix ver.〜』『ペール・ギュント』など。

〈公演情報〉
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『トリスケリオンの靴音』
作・演出◇堤泰之
出演◇碓井将大 赤澤ムック 粟根まこと
●3/28〜4/8◎赤坂RED/THEAER、
●5/11〜13◎一心寺シアター倶楽
〈料金〉4,800円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
 〈公演HP〉http://no-4.biz/triskelion/



【文/宮田華子 撮影/友澤綾乃】