粟根・玉城
 
畠中恵の人気小説「若様組まいる」は、明治中期を背景に、駆け出しの西洋菓子職人の皆川真次郎と、旧旗本出身の警官たち「若様組」らが繰り広げるスィーツ文明開化物語。2016年に舞台化され、ライトでポップな演出が好評を得た。今回の「アイスクリン強し」は、その後日譚で、皆川が開いた西洋菓子店・風琴屋にたむろする「若様組」や、彼らのマドンナ的存在の沙羅たち若者の日常を通して、明治という時代と日本の状況を描き出す。

【ものがたり】
時は明治二十三年。
お江戸が東京へと変わり、ビスキット、アイスクリン、チヨコレイトなど西洋菓子が次々お目見え。
築地の居留地で孤児として育った皆川真次郎は、念願の西洋菓子屋・風琴屋を開いた。
今日もまた甘いお菓子目当てに、元幕臣の警官たち「若様組」や、マドンナ的存在の小泉沙羅がやってきて大忙し。
華族の令嬢・紫堂志奈子や、皆川や若様たちを執拗に嗅ぎまわる新聞記者・丹羽など、個性的なキャラクターも続々出現。さらに大商人・小泉琢磨の仕掛ける試練が襲いかかる...! 

そんな舞台で、主役の皆川真次郎を演じる玉城裕規、そして大商人・小泉琢磨に扮する粟根まことに、役柄やこの作品の魅力を語ってもらった「えんぶ4月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介。

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粟根まこと・玉城裕規

原作には明治の豆知識が
沢山詰まっている

──お二人のそれぞれの役柄を教えてください。
玉城 僕は皆川真次郎という西洋菓子の職人です。居留地で育って外国の人と触れ合う機会が多かったので、風琴屋というケーキ屋を開こうとしています。でも、事件が起きると「若様組」のみんなと解決しようと動いたり、なかなか本格的に開店できないんです。
粟根 そういう若者たちのマドンナの沙羅が、私が演じる小泉琢磨の娘なんです。
玉城 娘さんを溺愛してます(笑)。
粟根 沙羅は「若様組」や真次郎に好意を持っていて、でも父親としては華族とかそういう地位のある人へ嫁がせたいと思ってるんです。とは言っても、娘の本当の幸せも考えていて、若者たちにがんばってほしいと試練を与える。その若者たちの冒険活劇というか青春群像劇ですね。
 
──明治23年というと江戸も遠くなって、身分や階級にも変化が出てきた時代ですね。
粟根 元旗本で若様と呼ばれていた青年たちが、平民になって食べるために巡査になるとか、平民だった人間が新興成金で急に偉くなる。さらに幕藩時代のままの頭の硬い人もいたり、それぞれの価値観のぶつかり合いが起きる。そこに居留地で育った自由な真次郎が風を吹き込むんです。
 
──原作にはその時代の生活や文化も細かく書かれていますね。
玉城 僕らが知らない時代のことがわかりやすく書いてあって、すごく興味をそそられます。
粟根 いわゆる豆知識が沢山詰まっています。明治初期に電信電話や洋菓子などが初めて日本に入ってきたとか、もちろんスィーツの作り方も出てくる。きっと玉城くんが本番中に何か作ると思います。
玉城 ですよね(笑)。僕が説明しながら作るんじゃないかと。
粟根 バターを何グラムとかトロトロに煮込むとか、喋りながらね。
玉城 喋りだけ弟子の小弥太にまかせたいな(笑)。

明治という新しい時代を
生きる青春群像 

──お二人は一度共演しているんですね。粟根さんの印象は?
玉城 僕が初めて稽古場に行った日のことですけど、1人のシーンでアドリブをしてハケたんです。そしたら粟根さんが近づいてきて、「こうしてみたら」というアドバイスをしてくれて、シーンの返しでそれをやってみたら見事にすべって(笑)。そしたらまた近づいてきて「今のなかったね、ごめん」と謝ってくださったんです(笑)。でも、言ってくださるということが、まず嬉しかった。30人くらいいる中で、すぐ近づいてきて言ってくださるってなかなかできないことなので。それに最初の段階からお芝居がすごくパワフルで、経験値とかではこちらはすでに負けてるわけですから、熱量でがんばるぐらいしかないのに、そこでも上を行かれてしまって(笑)。よし僕ももっとがんばろうと。
粟根 若い子たちが沢山いる中で負けてはいられないので、とにかく動こう、ムダに動くというのをテーマにしました(笑)。腹話術師の役だったんですが、普通、腹話術師は座ってますよね。でもドタバタする腹話術師で(笑)、楽しかったです。
 
──粟根さんから見た役者として玉城さんは?
粟根 すごい数の舞台に出ていて、この若さですごい経験値がある。周りをふわっと明るくするし、しなやかで、でもギュッと強くなる感じもあって、真ん中にいて安心な求心力があります。
玉城 いや、それは周りに助けられているからで。とにかくカンパニーが良い雰囲気でいることしか考えてなくて、そのためには言葉ではなく、エネルギーとかそういうものを見せていきたいなと。

──今回も粟根さんが入るので心強いですね。
粟根 20代と30代ばかりの中にいきなり50代が入ります(笑)。
玉城 全員で頼りにかかりますから。
粟根 今回はアドバイスは控えたいと思います(笑)。
 

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たまきゆうき○沖縄県出身。舞台を中心に活躍中。主な出演作品に、舞台『弱虫ペダル』『Messiah メサイア』シリーズ、『海峡の光』『里見八犬伝』『カレーライフ』『曇天に笑う』ミュージカル『黒執事〜NOAH’S ARK CIRCUS〜』『紅き谷のサクラ〜幕末幻想伝新選組零番隊〜』『99才まで生きたあかんぼう』など。映画『のぞきめ』『新宿スワンII』『咲─Saki─』など。
 
あわねまこと〇大阪府出身。1985年の『ヒデマロ2』より劇団☆新感線に参加。劇団の中核を担う。外部作品への客演も多く、近年の主な劇団以外の作品に『真田十勇士』(2013年、2015年)『ショーシャンクの空に』(2013年)『つんざき行路 、されるがまま』(2014年)『スキップ』(2017年)など。雑誌のコラム執筆などでも活躍中。4月8日まで『トリスケリオンの靴音』(赤坂RED/THEAER)に出演中。

〈公演情報〉
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舞台『若様組まいる〜 アイスクリン強し〜』
原作◇「若様組まいる」「アイスクリン強し」畠中恵(講談社文庫刊)
脚本・演出◇村上大樹 
出演◇玉城裕規 
入江甚儀 塩野瑛久 中村優一 安川純平  宮崎香蓮   井上小百合(乃木坂46)
和合真一 小早川俊輔   橋本全一  武子直輝  松波優輝 小野寺ずる 
鎌苅健太 伊藤裕一 粟根まこと 他
●4/27〜5/6◎サンシャイン劇場 
〈お問い合わせ〉MMJ 03-6804-5456(平日12:00〜18:00)




【取材・文/宮田華子 撮影/アラカワヤスコ】


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