2.(左から)井上芳雄、ともさかりえ

すべてが監視、統制される社会を描いた衝撃の舞台『1984』が、新国立劇場で4月12日、開幕した。
物語は、全ての人々が監視され統制されている核戦争後の1984年の社会を描いた小説と、その中にある"附録"に記された「ニュースピークの諸原理」について、"附録"が書かれたと思われる2050年以降に生きる人々が分析し、やがて小説の世界へと入っていく...というもの。

原作は、1948年に発表されたジョージ・オーウェルの小説『1984』で、2014年にロンドンで初演され、現代の社会が抱える問題を鮮烈にあぶり出し、その年のオリヴィエ賞にノミネートされた。2017年にはブロードウェイでも上演、日本では今回が初上演となる。演出は新国立劇場次期芸術監督の小川絵梨子、主演には井上芳雄、ともさかりえを迎えるなど、充実のキャスト、スタッフで臨んでいる。

4.井上芳雄

【ものがたり】
時は2050年以降の世界。人々が小説『1984』とその"附録"「ニュースピークの諸原理」について分析している。過去現在未来を物語り、やがて小説の世界へと入って行く…。
1984年。1950年代に発生した核戦争によって、世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つの超大国により分割統治されており、その3国間で絶え間なく戦争が繰り返されていた。オセアニアでは思想、言語、結婚等全てが統制され、市民は"ビッグブラザー"を頂点とする党によって、常に全ての行動が監視されていた。
真実省の役人、ウィンストン・スミス(井上芳雄)は、ノートに自分の考えを書いて整理するという、発覚すれば死刑となる行為に手を染め、やがて党への不信感をつのらせ、同じ考えを持ったジュリア(ともさかりえ)と行動をともにするようになる。
ある日、ウィンストンは、高級官僚オブライエン(神農直隆)と出会い、現体制に疑問を持っていることを告白する。すると反政府地下組織を指揮しているエマニュエル・ゴールドスタインが書いたとされる禁書を渡され、体制の裏側を知るようになる。
はたして、この”附録"は誰によって、どのように書かれたのか? それは真実なのか? そして今、この世界で、何が、どれが真実なのだと、いったい誰がどうやって分かるのだろうか……。
 
1.(右から)井上芳雄、ともさかりえ

物語に出てくる2050年と1984年という2つの時代、さらに2018年の日本。そこに通底するさまざまな問題へのイマジネーションを喚起しながら、舞台は展開する。追い詰められた人間の精神と追い詰める側の論理、オーウェルが1948年に危機感とともに表現したその恐ろしさは、70年を経た今、さらに肥大化して黒々と国際社会の中で拡がり続けている。その現実を直視させられる作品だ。

3.井上芳雄
 

〈公演情報〉
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新国立劇場開場20周年記念公演
2017/2018シーズン演劇
『1984』
●4/12〜5/13◎新国立劇場 小劇場
原作◇ジョージ・オーウェル
脚本◇ロバート・アイク、ダンカン・マクミラン
翻訳◇平川大作
美術◇二村周作
出演◇井上芳雄 ともさかりえ 
森下能幸 宮地雅子 山口翔悟 神農直隆 武子太郎 曽我部洋士 堀元宗一朗
〈料金〉 A席6,480円 B席3,240円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999
●5/16〜17◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
●5/20◎穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール




【文/榊原和子 写真提供/新国立劇場 撮影/宮川舞子】



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