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 久本雅美、藤山扇治郎、渋谷天外、高田次郎
 
日本の喜劇をリードし続けて70年! 笑いあり涙ありのエンターテインメント「松竹新喜劇」!
戦後間もない昭和23年(1948)、元は歌舞伎俳優の曽我廼家五郎・十郎が日本で初めて「喜劇」を生み出すと、瞬く間に評判が広まり、数多くの喜劇団が生まれた。その年の11月に五郎が亡くなった後、松竹の創始者・白井松次郎が、五郎の劇団員、松竹家庭劇、初代渋谷天外の劇団を合わせて結成したのが、今日に続く「松竹新喜劇」。不入りの時期を乗り越え、藤山寛美という不世出の喜劇俳優の爆発的な人気もあり、以前は246か月もの連続無休公演という、想像を絶する偉業を成し遂げたこともあった。寛美亡き後、当代の渋谷天外を中心に活動を続け、新たに旗揚げしたのが平成3年(1991)。今年が創立70周年という大きな大きな節目を迎えた「松竹新喜劇」。その記念公演が、7月13日から新橋演舞場で始まる『劇団創立70周年記念公演 松竹新喜劇』公演である(7月22日まで)。

出演者は、座長の渋谷天外、若手注目株の藤山扇治郎(寛美の孫)を中心に、高田次郎、小島慶四郎らを筆頭に劇団員オールメンバー。そこに、65周年の記念公演に初出演し、今や「仲間」「同志」とも呼ばれる久本雅美がゲストとして華を添える。
 
演目は、「人生双六」から幕を開ける。狆消歐郡邨猯表十八番の内″と銘打ったこの作品は、時を同じくして失職した二人の男が、偶然の出会いで意気投合。互いの成功を祈って再会を約束する。その五年後、約束の日、二人の人生双六はどうなったか――という、人の心の温かさが詰まった人情劇。名優・藤山寛美が当り役とした宇田信吉を孫の藤山扇治郎が、もう一人の男・浜本啓一を曽我廼家八十吉が演じる。次に、70年間の感謝を込めた「70周年御礼 口上」で、劇団員勢揃いの豪華な一幕となりそうだ。最後は、贔屓の常磐津の師匠に入れあげて店の大事な品を質入れしてしまい、思い詰めた若旦那を助けようと約束したものの、もちろん金などなく、困った大工の長兵衛が妹のおかんと一緒にある計画を企んで――という爆笑喜劇「峠の茶屋は大騒ぎ‼」。長兵衛を渋谷天外が、おかんを久本雅美が演じる。笑いあり、涙あり、これぞ松竹新喜劇の真骨頂!というラインナップを、心からの感謝を込めて届けようという公演だ。

この作品についての記者会見・懇親会が、5月23日に都内で行われた。会見には松竹新喜劇の渋谷天外、藤山扇治郎、高田次郎、久本雅美、安孫子正松竹株式会社副社長が出席。取材陣のほか、抽選で選ばれた松竹歌舞伎会の会員の方々も臨席、いつもに増して賑やかな雰囲気の会となった。

【挨拶】

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天外
 父(二代目渋谷天外)が18年、藤山寛美が24年、私で20数年(座長を)やっています。だいたい20年前後で各代表が倒れていっているので、そろそろ私の番やないかと(笑)。短いようで長い、諸先輩の実績が積み重なってきた70年だと思います。個人的には、松竹新喜劇は「松竹」という傘の名の下に、曽我廼家、藤山、渋谷という名がある限り、松竹新喜劇は絶対に潰してはならんと考えています。そこにどういうわけか知らんけれど、もう一つ「久本」という名前が食いついてきてる気がします(笑)。うちの劇団員のくせに他所いって芝居してるんですわ。(「逆! WAHAHA本舗や」と久本)え、逆? 辞めたんちゃうん(笑)。そのうちにうちが吸収いたしますので(場内爆笑)、「松竹新喜劇 WAHAHAバージョン」とか、「新喜劇本公演バージョン」とかが出てくる可能性が…5%くらいありますかね(笑)。喜劇なので、ディズニーランドとかUSJとか、劇場が遊びに来る場になってほしい。今回、隠し玉があって、なぜ(「七両二分」が)「峠の茶屋は大騒ぎ‼」になったかというと、峠の釜めしの駅弁屋に新橋演舞場がなります! あっちゃこっちゃで駅弁売ってますし、芝居にも登場します。遊園地みたいな劇場になってほしい。亡くなった(十八代目中村)勘三郎さんも、そう言うて昔の中座を、仕掛けをして怪談話(の作品)をやったように、新喜劇ワールドを楽しんで行って帰ってもらえるように、劇団員一同頑張っていきたいと思います。

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扇治郎
 久しぶりに天外さんのお話を聞いてホッとしました。久本さんとは、先日まで『蘭』という公演をさせて頂き、引き続き出て頂き本当にありがとうございます。もう“お母さん”みたいなね。あ、“お姉さん”のほうがいいですか?(笑) お父さん(天外)、お母さん(久本)、お祖父さん(高田)みたいな。藤山寛美のお祖父さんとお年もほとんど一緒なので、松竹新喜劇は若手から先輩までいて、教わることも多いし、入団5年とても早かった。今回、劇団員として70周年を迎えさせて頂くのは本当にありがたいです。何より応援してくださったお客様、会社の方すべてのお陰で今こうやって話をさせて頂けていると思うと、夢のような不思議なような。今回「人生双六」をさせて頂きますが、祖父がずっと当り役にしていて、名作なので、70周年の記念にさせて頂けるのは本当にありがたい。新橋演舞場から公演が始まるので、東京のお客様に心をお届けして、また観てもらいたいと思ってもらえるように頑張りたいです。

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高田 70周年だそうです。私の入団が昭和57年。それから30何年も、あっという間でした。藤山先生がご存命の時は、本当に色々。考えてみると、私は古いだけが値打ちで。何の技術もありません。ただ正直に、この芝居ではこうしたらお客さんが喜んでもらえるんちゃうかな、ただそれだけでやっています。私は「人生双六」に出させて頂きます。あとは、「峠の茶屋は大騒ぎ‼」。昔(曽我廼家)十吾先生がやっているのを袖で観ていました。僕もあの役やりたいなと思ってましたが、今回は残念ながら「人生双六」だけ(笑)。「人生双六」は藤山先生と一緒にやらせて頂いた、僕の中では一番思い出深い作品です。もういつの時代にやっても、お客さんに喜んで頂ける芝居。僕は社長をやらせて頂きます。ええ加減の社長ですが、スタイルを毎日変えようと思ってます。色んなタイプの社長で出たろと思うてます。出番が少ないんですわ(笑)。この10分間を「高田次郎ここにあり!」で、なんとか存在感を出したいと思います。

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久本
 松竹新喜劇という、ちっちゃい時から観ていた大好きな劇団に、70周年という節目に出させて頂くのは、感謝と感動と、光栄な思いでいっぱいです。私が「峠の茶屋〜」でやらせて頂くお役は、ミヤコ蝶々さんがやってらっしゃったのをDVDで拝見して、本当に大変なお役を頂いて、やれるのだろうかという緊張感でいっぱいですが、どこまでもお客様に喜んでいただけるように、また、来てよかったと思ってもらえるように全力で頑張りますので、どうかよろしくお願いいたします。真面目な話で申し訳ありません。面白いこと言おうかなと思いましたが、頭に浮かびません(笑)。素晴らしい諸先輩方に懐をお借りして、勉強させて頂いて、6回目ですが、私の中では大変な引き出しとたくさんの学びを頂いているので、恩返しも含めて全力で頑張ります。

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【質疑応答】

──久本さんは6回目の出演ですが、ご自身もWAHAHA本舗をやってきて、松竹新喜劇ならではのもの、ご自身の活動とリンクするものは?
久本 松竹新喜劇の真骨頂は、笑わせながら泣かす。泣かしながら笑かすという、松竹新喜劇にしかできないような、独特の素晴らしい世界があります。最初に出させて頂いた時は「裏町の友情」、この時は、私の友達が号泣して楽屋に飛び込んできました。素晴らしいところに出させてもらったね、という声をたくさん頂きました。それがご縁でずっと出させて頂いて、私がやっているのは笑わせるためならなんでもやる過激なパフォーマンス集団ではありますが、演劇、お芝居においてはたくさん勉強させて頂きました。忘れられないのは、天外兄さんが稽古中に出演した女優さんに「リアルはええけどシビアはあかんで」と。すごく感動しました。それを一生の指針にしようと、すぐ柴田理恵と飲んで、ええ話やなと盛り上がりましたが(笑)。お笑いの芝居は難しいですが、勉強させて頂いて、宝物がいっぱい増えています。
 
──65周年の時に入団されて、70周年を迎えられたご感想と、今回のお役について。
扇治郎 65周年が去年のような感じであっという間でした。毎月公演させて頂いているわけではなく、間は空いていますが、そのなかで稽古や先輩方に教わるのは初めてのことばかりですし、入団した時は、子役の時は花道を歩いたことがありましたが、大人になって初めて歩いた時はゾクゾクしましたし、台詞も届いてるのかなとか、お客様の拍手も不思議に感じましたが、1分1秒でも舞台に立たせて頂くことは大事だなと。一番勉強になるのは、人の芝居を観ることと、先輩方とお芝居をすることが、技術的なことや間(ま)のこともありますが、生き方、人間性も学ばせてもらうことも多い。早いなと感じたのは、周りの先輩方に恵まれていたなと。高田先生なんか滅茶苦茶コワイ時もありますが、愛のムチで、普段はにっこり笑顔で可愛らしい、僕がいうのもなんですが、僕はお祖父さんと共演していないので、高田先生はずっと一緒に共演して、祖父の話をたくさんさせて頂けるので、あっという間の不思議な5年間でした。やらせて頂くのは「人生双六」ですが、祖父は神様みたいな方で、映像もDVDも残っていますが、今自分でやるとなると、今生きているお客様にお見せするので、人によっても変わるし、根本は変わりませんが、喜劇は変わっていくと思います。感覚はやっぱり変わってくるので、そこを先輩方や自分が演じていくなかで、祖父がやってきたことを守らなければいけないところもある。そこを融合して、お客様に届けるのが大事だと思います。言われたことと自分がやっていることが重なって、役のことになる。藤山扇治郎ですが、宇田信吉になれるよう、自分の心を伝えられるよう頑張っていきたいと思います。
 
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──これからの松竹新喜劇をどのようにしていきたいですか。座長としての展望は。
天外 今年で64です。持論としては、60の爺が頭になって引っ張って行っている劇団はろくな劇団がないと思っています。それが4年も過ぎてしまった。早いとこ若手が育って、ぐいぐい引っ張っていって頂かないかんのですが…まだもうちょっとかかりそうなんで…あと5年ほど頑張れという声もあります。僕の中では、いい意味で力のある世代交代をしていきたいと思っています。芝居は今日やって明日すぐできるというものではない。僕だって25年かかりました。彼らが芝居の世界に入ってきて5年ちょっとなので、それは仕方ないと思う。あと、彼の周りにいる若手が育ってきてるので、親父の後をおってポックリ逝けるんやないかと感じている今日この頃です。こないだまで俳優座でオカマやってました(笑)。その時、とてもいい演出家(勝野雅奈恵)にめぐり会いました。私の感性では考えられない、でも私の世代の本を書いてくれました。そういう人たちと彼らがめぐり会って、うちの父も十吾先生も、五郎先生なんか新しいものばっかり作り続けて、振り返ったら(作品が)たくさんあった。次の新しい1本をと思った時に、良い感性の本と演出家と、今の感性の彼らが松竹新喜劇を作っていってくれると僕は信じています。あとは、私も高田のお兄ちゃんも、体に気を付けながらお給金を頂き、ハワイに別荘を持てたらええなというところです(笑)。
 
──先の話ですが、80周年くらいに、扇治郎さんの藤山寛美襲名を考えていますか? ご自身はその時も(在団)15年になるので、腕も上がっていると思いますが。
扇治郎 藤山家は、二代目で名前が続いている方はいないです。神様みたいな方なので、お祖父さんですし、お祖父さんみたいな役者を目指さなければいけませんが、今の僕ではどうにも答えられないですね。大尊敬している人ですし、少年野球を始めた子供に王貞治みたいになりたいかと聞けば、誰でもなりたいですが、周りが決めること。自分が発言するのは、生意気ですが、今こういうお話を聞かれて、大変嬉しいです。そう思ってくださるだけでも励みになりますし、そう皆さんに思ってもらえるような、お祖父さんがやってきたことを自分がちゃんとできるように、まずそれからですね。長生きしてください(笑)。
天外 もう、すんません!(場内爆笑)申し訳ない!なんていうことを!(久本と一緒に頭を下げる)

〈公演情報〉
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新橋演舞場7月公演『劇団創立70周年記念公演 松竹新喜劇』
一、松竹新喜劇裏表十八番の内 人生双六
二、七十周年御礼 口上
三、峠の茶屋は大騒ぎ!!
※昼夜同一演目(昼の部 午前11時開演/夜の部 午後16時開演) 
出演◇渋谷天外 高田次郎 小島慶四郎 藤山扇治郎 井上惠美子 大津嶺子 久本雅美ほか
●7/13〜22◎新橋演舞場
〈料金〉1等席12,000円 2等席8,500円 3階A席4,500円 3階B席3,000円 桟敷席13,000円(税込)
〈お問い合わせ〉
チケットホン松竹(10:00〜18:00)0570-000-489または03-6745-0888
 
 
【取材・文・撮影/内河 文】



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