ブルー_軽め

大倉孝二とブルー&スカイによる演劇コンビネーション「ジョンソン&ジャクソン」が、新作『ニューレッスン』を掲げてみたび登場! 今回はいとうせいこう、池谷のぶえという強力なゲスト俳優2名を招き、ナンセンス演劇ファン待望の公演となる予感が。
「稽古中に出演者4人で話し合う場を設けたい」と語るジョンソン&ジャクソンが目指す「自称・くだらない演劇」とは!? えんぶ6月号に掲載されたスペシャルな座談会をご紹介する!

「僕らの理想に理解がある人」を選びました!

──ゲストのいとうせいこうさん、池谷のぶえさんはどのような経緯で決まったのでしょうか?
大倉 僕もブルー&スカイも「少人数でやりたい」という意見は一致していて、あとは人選。
ブルー 僕らがやっていることをよく知ってくれている人を。
大倉 要は「僕らの理想に理解がある人」を選びました。男2人なので、まず女性を入れたいねということで、僕が「池谷さんが良いと思う」と言ったら、ブルー&スカイも「俺もそう思っていた」と。
池谷 有り難いことです。
大倉 池谷さんが決まり、更に誰を呼ぶか? が悩みどころでした。しばらくして、ブルー&スカイが「せいこうさんが出たいと言っていたのを聞いたことがある」と言いだした。最初は「そんなの絶対ウソだよ」とか話していたけれど、結果引き受けてもらえて。
ブルー ダメもとでした。
──出演オファーを受けた際、池谷さんはどんなお気持ちでした?
池谷 すっごく嬉しかった。嬉しかったのと同時に、前にジョンソン&ジャクソンに出て以来(※14年の『窓に映るエレジー』)、ナンセンスには出ていなかったので、少し怖いというか「……忘れてないかな?」と。この2人が求めるナンセンスはそんじょそこらのナンセンスではないでしょうから。でも日程も大丈夫だったし、これは是非やりたいなと。

出演者4人で稽古以外の時間を設けたい

──現時点の構想で構いませんので、『ニューレッスン』に関するお話を聞かせて下さい。
ブルー 今回は稽古をするだけでなく「もっとくだらなく出来ないか?」とか、そういう話し合いが出来たらいいなと考えています。出演者4人で稽古以外の時間を設けたい。
大倉 それありきの人選でした。これが面白いかどうかをジャッジしてもらえる人、という意味合いもあります。
池谷 そんな。恐れ多い。
大倉 もちろん人それぞれ好みがあるので、全部ジャッジして欲しいとは思ってないけれど。でもブルー&スカイが言ったような時間は是非作りたい。
ブルー エチュードをやってから台本を書き下ろすのではなく、台本は大倉さんと僕が書きます。それをやってみて「どうかな?」という話し合いをみんなで。
池谷 「見たこともないような“何か”を探せたらいいね」という話は聞いています。これは見たことがあるとか、そういうことはみんなでチェックしていく。
ブルー それを稽古場でやりたいです。

作品全体に「こういう奴もいるんだよ」という空気を

大倉 ブルー&スカイがチラッと言っていたのは、ギャグっぽくしないで、やりとりの面白さでくだらなくしたいという。最近よく言っているよね?
ブルー 今回やるかどうか分からないですけど、いま興味があるのは、台詞のフレーズが面白いとかではなく、不条理劇というか、理屈がオカシイ感じ。それが好き。
大倉 ナンセンスはやりとりが断絶されるんですよ。成立しているけど、ちょっと噛み合っていない、どう考えてもヘンだ、そういうことを狙っていると俺は受け取っているのだけれど。
ブルー そうです。
池谷 実現したら面白そう。
ブルー それは僕の心の隅にあることなので、そうならないかもしれません。
大倉 さっき言った「せいこうさんと池谷さんに僕らを指南して欲しい」みたいなことも含めて、今回、僕らがやりたいことと芝居の内容をだぶらせて考えている節があります。例えば、人に認められなかったり、人と分かち合えないような感覚ってあるじゃないですか。そういうモノを持っている人達がくだらない意思の元に集まって……みたいなイメージ。
池谷 へーえ、面白いね!
大倉 やらないかもしれないけど。
池谷 え、そうなんだ(笑)。
大倉 「くだらない」と言われるものは好き嫌いが分かれるし、面白みの分からない人には「何これ!?」となっちゃう。
池谷 ほんとそうですよね。
大倉 でも僕らはそれしかやりたくない位の勢いだから。それを「どうせ分かってもらえない」みたいにやるとイヤな感じになるけれど、そうじゃなくて「こういう奴もいるんだよ」という空気が作品全体にあったらいいなと。

自分達がやるのであれば、くだらないこと以外やりたくない

大倉 わざわざ自分達がやるのであれば、くだらないこと以外やりたくない。ブルー&スカイは、多分それ自体もやりたくない。
ブルー くだらない芝居はやりたいよ。
大倉 そうなの? やりたくないかと思っていた。
──「ナンセンス」や「くだらない演劇」に対する情熱は、今も昔も衰えていない?
ブルー 衰えていると思いますけど、いざやるとなれば、情熱は変わらないです。
大倉 それに関して、ブルー&スカイは真面目だし熱いです。
ブルー くだらない芝居が一番感動出来る。僕にとって、ですけど。
──池谷さんはどうですか? 情熱。
池谷 ブルー&スカイくんと出会い、旗揚げした劇団がたまたまナンセンスの濃い劇団になっていたので、「本当にそれが好きか?」と問われたら、正直疑わしい部分もあります。あるけれど、他所の公演でバカバカしいお芝居を観た時に、面白かったら悔しいし、ヘタクソだったら怒っちゃう。そういう、何て言うのかな? ナンセンスに対する監視癖(へき)みたいな、「ステキなものにしないと許さないぞ!」という感覚はありますね。ナンセンスを「好き」に置き換えることは難しいけれど、聖域を荒らされたら悔しいという想いは強いです。大好きとは全然思わない。苦しさもありますし。
大倉 こんなにカタルシスのないものは他にないですよ。モヤモヤしながら。
池谷 そう! 全く達成感がない。
大倉 やった感、やりきった感になりづらいものだよね。笑いの性質上、流れがあってドカンみたいなものではないから。やりながら、もやもやモヤモヤ。
──それでも、一番やりたいのはナンセンス。
大倉 僕はそうですね。

それくらい気概のある演劇界であって欲しい

──最後にこの公演の「目標」などを教えて下さい。
大倉 とりあえずチケットが売れたらイイなぁという目標が。あと、観に来てくれる人は「この4人のナンセンスに期待したい」と思うかもしれませんが、その期待に応えるというより、それと全く違うもの、更にひとつ超えるものを、稽古の中から生み出したい。一番やりたいことはそれですね。
ブルー 公演が終わった後に、もっと長く生きたくなるような達成感が……。
大倉 公演が終わると死にたくなっちゃうから?
ブルー それは公演に限らず。「人生って何だろう?」とか。
大倉 やめてくれるかな、そういうの。
ブルー そういう感覚がいまだにあるので、元気が出れば。
池谷 リハビリ公演になっちゃう。
大倉 1人しか得しねぇじゃん(笑)。
池谷 私、「くだらない!」と思った瞬間、何故か泣けてくることがあるんです。どういう涙か分からないのですが、今回も最終的に泣けたらいいなと。お客さんも泣かせるくらい。くだらなすぎて、みんなで泣けばいい。あと、こういう芝居に対して何かしらの立派な賞が貰えると嬉しいです。それくらい気概のある演劇界であって欲しい。
ブルー せいこうさんなら賞が貰えそうですけど。
池谷 え?
ブルー せいこうさん本人が賞を作ってもおかしくない。
大倉 自分が出ている作品に賞をあげるの? 興ざめだよ、そんなの。
池谷 あはははは。


ブルー_軽め
池谷のぶえ・ブルー&スカイ・大倉孝二

おおくらこうじ○74年生まれ、東京都出身。俳優。95年にナイロン100℃のオーディションに合格。以降、劇団の看板俳優の1人として多くの公演に出演する。劇団外でも様々な舞台作品、映像作品に出演。14年にブルー&スカイと「ジョンソン&ジャクソン」を結成。今作『ニューレッスン』が3度目の公演となる。

ぶるーすかい○73年生まれ、東京都出身。劇作家、演出家、放送作家、俳優。94年に「劇団猫ニャー(後に「演劇弁当猫ニャー」と改名)」を結成、04年の解散まで全作品で作・演出を担う。14年に大倉孝二と「ジョンソン&ジャクソン」を結成、15年に「フロム・ニューヨーク」を結成する。

いけたにのぶえ○71年生まれ、茨城県出身。俳優。94年にブルー&スカイらと共に「劇団猫ニャー(後に「演劇弁当猫ニャー」と改名)」を結成し、看板女優として活躍。劇団解散後も多数の舞台作品、映像作品に出演する。ジョンソン&ジャクソンへの参加は第1回公演『窓に映るエレジー』に続き2度目。

〈公演情報〉
jj2018

ジョンソン&ジャクソン
『ニューレッスン』
作・演出◇ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ) 
出演◇大倉孝二 いとうせいこう ブルー&スカイ 池谷のぶえ
●6/21〜7/1◎CBGKシブゲキ!!
●7/6〜8◎ABC Hall
〈お問い合わせ〉キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜18:00) http://cubeinc.co.jp/stage/info/jj2018.html




【取材・文/園田喬し 撮影/大倉英揮】



『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』

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