_MG_0147

涼しげな青がよく似合う爽やかな男役であり、同時に炎のような紅もまた映える熱いスター高世麻央。『レビュー夏のおどり』は、彼女のその2つのカラーを象徴するようなコスチュームと明かりが、鮮やかに心に残る舞台だ。そんな高世麻央のラストステージ、新橋演舞場での初日が7月5日開幕した。(7月9日まで。9日はさよならショーも上演)

OSK日本歌劇団には1996年入団、22年間在籍する中で、解散の危機やその後の苦難も乗り越え、2014年9月、トップスターに就任した。2016年からは3年連続で、この新橋演舞場で『レビュー夏のおどり』の上演を実現させてきた。その思い入れ深い劇場での「さよなら公演」は、高世麻央を送り出すにふさわしいOSKらしいレビュー、エンターテインメント性に富んだクオリティの高い舞台に仕上がった。

第一部はOSKの定番でもある和物レビュー『桜ごよみ 夢草紙』。構成・演出・振付を手がけている西川箕乃助が「高世本人の思い入れのある作品・場面を中心としたレビュー」(パンフレットより)というコンセプトで、オープニングからOSKの象徴とも言うべき桜をモチーフに構成。94期の初舞台生10名の“桜姫”を交えて、東京公演参加の38名が平安朝の優雅な衣裳で舞い踊る、華やかで豪華な「オープニング」で幕を開ける。
 
_MG_0022

次の場面は「鏡の夢」、振付を変えながら何度も繰り返し上演されているもので、楊琳、真麻里都、愛瀬光という若手男役3人が、鏡の中に映る高世の若衆とともに端正に踊る。
 
そのあとは趣を変えて、歌舞伎の所作事で有名な「釣女」、桐生麻耶のコメディセンスが光る。大名に若手の虹架路万、大名が釣りあげる上臈に朝香櫻子、太郎冠者が釣りあげる醜女に緋波亜紀と特別専科のベテランが活躍。

_MG_0047

続いて、高世の女役の美しさが見られる「楊貴妃」、さらに貴公子・高世を堪能できる「光源氏」と、優美な和の世界が繰り広げられる。「楊貴妃」では玄宗皇帝に扮した桐生との別れを思わせるシーンが切なく、「光源氏」では高世源氏を囲むように踊る公家たち、楊、真麻、虹架、愛瀬の姿が頼もしい。

_MG_0062

そこから一気に賑やかな「民謡メドレー」へとなだれ込み、〈浪花小唄〉から〈お江戸日本橋〉までご当地ソングが歌い継がれ、桐生を中心に見事な群舞が繰り広げられる。
終盤に入っての「蝶の道行」は、この公演で高世の相手役をつとめている可憐な舞美りらとデュデット。さらに「葉桜」では白藤麗華を中心に桜の精たちとともに舞う。そのなかで背景の桜が葉桜へと色を変え、移りゆく季節が鮮やかに表現される。

_MG_0128

再び平安朝へと景色が戻るといよいよ「フィナーレ」。風格の朝香櫻子や緋波亜紀、そして初々しい初舞台生までが居並ぶ中に、匂い立つように貴公子の高世麻央が登場。艶やかな総踊りのあと、その美しい姿を隠すように第一部の幕が降りる。

_MG_0155

第二部は洋物レビューの『One Step to Tomorrow!』。作・演出・振付を担当する名倉加代子ならではの格好いいダンスシーンが次々と押し寄せる、パワフルで勢いのあるステージだ。
「オープニング」は高世以下総勢28人によるシャープな群舞。そこから「虹の彼方」へと場面が変わると、高世、桐生、楊、真麻、虹架、愛瀬、華月奏と男役7人が、レインボーカラーをまとって踊る。高世、そして9月に退団が決まっている真麻、今この時しか見られないこの7人の並び、なんとも感慨深いシーンだ。

_MG_0191
 
次は「ローズファンタジー」、麻咲梨乃の振付でタンゴの名曲〈ジェラシー〉を舞美を中心に白藤麗華、遙花ここ、城月れい、麗羅リコ、実花もも、穂香めぐみが大人っぽく色香を醸しながら踊る。曲の半ばから高世や男役たちも加わり、9組のカップルで踊るタンゴが官能的だ。

続く場面はファンタジー要素のある「ストーム」。桐生扮する砂漠の長者と白藤扮する白い鳥は、嵐の中で迷った若者たち(楊、真麻、虹架)を助け、元の世界へと導いていく。文明と自然というメタファーを含んだ物語で、ストームの猛々しい群舞が見せ場だ。

_MG_0256
 
場面が変わると、高世にとってとくに思い入れのある曲をモチーフにした「This is the Moment」。黒燕尾の男役たちの一糸乱れぬダンスはトップスター高世の矜持を感じさせ、“今このとき”の心境を歌いあげるような絶唱が心に沁みる。
 
_MG_0282

次の場面は、舞美、白藤、遙花、城月、麗羅、実花がカウガールとなって登場、キュートに歌い踊る。そこから、お待ちかねOSKレビューの華、「ラインダンス」へ。初舞台生10名を交え、総勢19名のロケットは、爪先まで揃って美しい。

_MG_0294

いよいよクライマックスが近づく。赤い衣裳の高世の歌に合わせて、黒のスーツでカチッと決めた男役と娘役たちが踊る「今伝えたいこと」。高世は歌う〈今、旅立ちのとき、わたしに悔いはない〉。
そして、自ら感傷を吹き飛ばすかのように明るく踊り、客席に向かって語りかける。「今、私の心は熱い感謝に思いでいっぱいです。この熱い思いを、熱い熱い仲間たちとともにお届けします! ジャストダンス!」。掛け声とともに始まるジャズ、弾けるパワフルな群舞。仲間たちが次々に踊りながら高世に近づき、笑みを交わし、眼差しを交わし合う。幸せと優しさ溢れる光景なのに涙なしには見られない。全員の熱い思いがほとばしり、この瞬間よ永遠にとばかりダンスに命を注ぎこむ。

_MG_0357

ついに「フィナーレ」が始まる。白いスパンコールの燕尾で大羽根を背負って階段を降りてくる高世麻央。キラキラ光る瞳には、これまで築いてきた絆、託していく未来、そんな想いが浮かんでいるようだ。この素晴らしい公演、『レビュー夏のおどり』を花道に、新しい世界へと踏み出していく高世麻央。そして、その背中を見つめる仲間たちには、4年後、OSK日本歌劇団創立100周年という大きな明日が待っている。

【高世麻央よりコメント】
いつも大変お世話になり、ありがとうございます。
OSKでのラストステージとなります『レビュー 夏のおどり』の公演が本日より新橋演舞場で始まります。
皆様からたくさんのあたたかい応援をいただいて、ここまで頑張って来ることができました。
感謝の気持ちを込めて、メンバーみんなと心ひとつに『レビュー 夏のおどり』を最高のものにしたいと思っています。
一瞬一瞬を心に刻み、有終の美を飾ることができますよう全力で臨みます。
私はこの公演で卒業させて頂きますが、4年後の100周年に向かっているOSKの魅力がたくさん詰まった躍動感あふれる舞台、お一人でも多くの方に観ていただきたいです!!
どうぞよろしくお願い致します。

〈公演情報〉
20180528_05

OSK日本歌劇団 新橋演舞場公演
『レビュー夏のおどり』
第1部 桜ごよみ 夢草紙
 構成・演出・振付◇ 西川箕乃助
第2部 One Step to Tomorrow!
 作・演出・振付◇名倉加代子
出演◇高世麻央 桐生麻耶 楊琳 真麻里都 舞美りら 白藤麗華 ほかOSK日本歌劇団 
●7/5〜9◎新橋演舞場
〈料金〉S席(1・2階席) 9,500円 A席(3階席) 5,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹0570-000-489(10:00〜18:00 年中無休・年末年始除く)
〈OSK公式サイト〉http://www.osk-revue.com
 

 

【取材・文/榊原和子 撮影/山崎伸康】


チケット全品セール中!


kick shop nikkan engeki